若女将コラム

日々西屋と山を駆け巡る湯守兼女将による、自由奔放すぎるコラム改めエッセーコーナーです。
人生は奇想天外に生き抜こう。趣味のことや日々思う事etc...ほぼ西屋に関係ない話題ばかり載せています。

若女将エッセー

好きな音楽のこと ~ワールドミュージック系~

2022.07.23

海辺の「開眼」

♪海は広いな大きいな。月は昇るし日は沈む。
実に見たまんまの歌詞。好きだなぁ、このピュアな感性。
今でも小学校では歌われているのかな?





お薬師堂に続く森の小径。
山です。白布温泉です。私の好きな場所。
しかしこうして長いこと山暮らしをしていると、何の反動か、
時々無性に海を見に行きたくなることがあります。
まあ、行ったところで別に何をするわけではありません。
ただ景色を眺め、海岸を歩くだけでいい。
たとえば大洗海岸の神磯鳥居。
いつか行きたいな。
きっと違う景色に、沈む心も晴れ上がるに違いない。

当たり前ですが、水平線の遥か彼方には他所の国々が存在しています。
海を隔てていようが、世界に壁はない。
人、経済、環境…これらは常に一つの生き物のように動いています。
見方よっては、私達は存外小さな箱庭の中で暮らしている、
といえるのかもしれません。



(最近海見ていないなぁ…。京都からの帰途、仙台空港着陸
直前に飛行機から見た太平洋が直近の海風景でした↑)



「なぜロシアはウクライナを侵攻したの?」


ある日、娘からだしぬけに放たれた一つの質問から、
今日の話は始まります。

突然の侵攻から5ヶ月あまり経ちました。
最初こそ、爆撃で破壊される街や、怪我をした市民が逃げ惑う
悲惨な映像がが生々しく映し出されていましたが、今はどこか
霞がかかった別の世界の出来事のように、ニュースの主たる
話題から一歩遠ざかっています。

もともとロシアと国境線を挟んだ近隣国との関係は、歴史的に
見てもかなり複雑です。戦火のきっかけはそれこそ諸説ありますし、
さて、どうやって説明したものか。

土地続きで昔から民族間の対立があったこと、NATOにウクライナが
加入するのをロシア側が武力で阻止しようとしたこと、
ロシアが自国の影響力を武器に、間接的に諸外国を「兵糧攻め」に
して世界的な混乱を起こす→発言力を高める狙いもあったかも
しれないなど。いずれにせよ、今回の侵攻による影響は世界中を
駆け巡り、特に日本では物の値段が上がって大問題になっている
ということも、私は娘に伝えました。

「なんで物価が上がるわけ?」


即座に跳ね返ってくる疑問ブーメラン。
日本から地理的にも遠く離れた国同士の争いが、巡り巡って「物価上昇」
という形で日本に影響を及ぼすなど、そりゃなんでって思うわな。
まさに風が吹けば桶屋が儲かる、の悪いパターン。
子供にはまだ難しいかもしれない。そこで私はこう説明しました。


「ロシアは国連加盟国の中でもで常任理事国に名を連ねる、
世界的にも影響力を持つ大国の一つ。そして、決して裕福では
ないけれど肥沃な土地を持ち、特に欧州向けの小麦生産量が多い
農業大国のウクライナ。この両国が戦を始めたせいで、
絶妙なバランスで保たれていた世界の貿易や経済事情に大きな
影響を与えたわけだ。一番大きいのは物流が一気に滞ったこと。
治安の悪いルートは使えない上、場所によって物を運ぶのに
命懸けになってしまった。当然輸送費が跳ね上がるわけね。
日本は元々自国の資源に乏しいから、昔から食料やその他諸々
海外からの輸入に頼ってきた。
そこにこの戦。さぁどうなる。
当然輸送費上昇の影響をもろに喰らうね。まずこれが理由の一つ。

もう一つは、必要な資源や食料といった物資そのものが
手に入りにくくなっちゃったこと。
今回のウクライナ侵攻で、日本含めて世界各国はロシアに抗議した。
「なにやってんだよ止めろ」って。
一方的に他国を責めるなんて、人道的にやっちゃいけないこと。
諫めるのは当然だよね。
ところがロシアは、その仕返しにと日本や諸外国への輸出を厳しく
制限した。それどころかロシアと仲のいい中国まで、なぜか日本へ
圧力をかけてその関係が悪化した。日中関係は元々あんまり
良好じゃなかったし、グッドタイミングとばかり絡んできたわけ。
『私(中国)の友達(ロシア)を敵に回すなら、
私もアンタ(日本)の敵よ』
ざっくり例えると↑こんか感じ。まるで小学生の喧嘩だね。
大の大人がやるこっちゃない。

さて話を戻そう。

ロシアと中国、この両国から日本が輸入していた物資は、
場所が近いこともあってそれこそ多岐にわたっている。
燃料から、食料から、世界的に不足している半導体(原料を含む)
から諸々…そうそう原油(ガソリン)も。
それらの物資がことごとく入手しにくくなれば、どうなる?
当然値段は上がるわな。野菜も天候異常で不作になると
値段が上がるでしょ。それと同じと考えてね。

さらにはコロナ。ああもうコイツだよこいつ。
この厄介すぎる問題が未解決のまま現在進行形な上に、
最近になってこれまた新規感染者が増えたとニュースで騒がれて、
状況が悪化している。そもそもコロナのせいで経済状況が
おかしくなっていたから、もはやダブルパンチね。
これらをひっくるめてよけいに物価がはね上がっているわけだ。

こうなればもう頼みの綱は我が国の政府。
政府が何とかして国民の生活を守って下さいよって話になる。
ところがどっこい、肝心の日本の経済政策が上手くいってない。
そのせいで日本人の生活水準は他の国に比べて全く上昇の兆しが
ないまま何十年も経過していて、少子高齢化も進んで、経済力が
他国と比べて相対的にどんどん落っこちているときた。
先行きが見えないまま、そうして今に至るというわけよ。
というわけで、かなり粗削りな説明だったけどOK?」

うむ。ヤバいってことが凡そは伝わったらしい。

「じゃあどうして日本人は平和ボケと言われるの?」

…おお、今度はそうきたか。
よっしゃ、とことん付き合うか。


「…つい最近のことだ。元首相の安倍さんが
凶弾に倒れたショッキングなニュースがあったね。
海外の人たちは、あの瞬間の動画を見て心底驚いたそうだよ。
『なぜ銃声が聞こえたのにその場の誰も逃げ出さなかったのか?』
って。もしこれが海外で起きていた事件だったら、
一発音が鳴っただけで大衆は一目散にその場から逃げ出すそうだ。
それが発する音が、日常のすぐそばにあるもので、かつ命を即座に
刈り取る凶器だと本能的に理解しているから。
ところが日本は銃が厳しく規制されている国だから、
銃への耐性がない。そもそも銃は社会に存在しないというのが
日本の常識だから、まさかあの真っ昼間の人通りが多い駅前で、
VIPに向かって堂々と銃をぶっ放す気狂いがいるなんて、
普通の日本人は即座に認識できるわけがない。
あの日あの場の誰もが、きっと何が起きたのか分からなかったんじゃ
ないかな。銃でなく、花火か何かが破裂したような感覚でいたんじゃ
ないかな。だから、至近距離で発砲音がしたのに、ヤバいヤツが
明らかに真後ろで銃口を向けていたのに、本人すら終ぞ逃げなかった。

…そして悲劇は起きた。

よいか娘。
地球儀を見れば分かるね。
大陸にある国の多くは、国境を歩いて跨ぐことができる。
海辺の国もあるっちゃあるけど、主たる国の殆んどが、ロシアと
ウクライナのように隣の家が即隣の国、そんな関係なんだわ。
どんな暮らしをしているのか、どっちがより豊かか、
お互いに何が起きているのかすぐに見えるし、言葉だって
大きな違いはないから、国境線に関係なく民族が入り乱れている。
仲良くしている国同士もあるけれど、国土の大きさは豊かさの
バロメーターの一つでもあるから、歴史的には
「いつ獲るか獲られるか」の関係になることが多いのだよ。

さらには互いの力関係によって国境線が容易く動く。政(まつりごと)の
トップは、いつだって戦争おっぱじめる理由にもっともな大義を
掲げているけど、要はただの奪い合い、殺し合いだからね。
別に頭いい事をやっているわけじゃない。
せいぜいサルの群れ同士の縄張り争いと同レベル、とでも思ってて。
ともあれ陸続きの国境線では、土地や自分達の存在を巡ってそういう
深刻な諍いになりやすいんだよ。ロシアだけじゃない。
中東も、アフリカも、アメリカ大陸も、地上のどこもかしこも、
歴史上常に数えきれないほど争いが起きている。もちろん今も。


一方日本は島国で、四方を海にガッツリ守られている。
隣の国とは言っても船か飛行機を使わなければ辿り着くことはできない。
歴史上では幾度か大陸からの侵攻の危機に見舞われたけど、そのたびに
海が日本を守った。元寇の神風のように。
海…もとい自然の地形が日本の国境を、民族を守ってくれたわけよ。
島国は数あれど、歴史上一度も他国の支配をうけなかった日本のような
国は極めて稀なんだ。
さらに日本人は元々経済的にも貧富の差が比較的少なくて
(最近はかなりなペースで2極化しつつあるというが)、
一般社会はいたって平穏。例えば大きな災害が起きて自身の生活が
脅かされても、決して配給の列を乱したり略奪をはたらいたりはしない。
基本的に譲り合い、整然と秩序だって暮らしている。

確かに、海外からしたら平和ボケに見えるのかもしれない。
でも、日本人のそれは決して悪いことではないとお母ちゃんは思う。
なんだかんだ日本が平和であるおかげで、お兄ちゃんは徴兵される
ことなどないし、コロナコロナ言っていながらも、命が脅かされる
心配をすることなく、緊張を解いて外に出かけることができる。
これは十分感謝すべきことなのだ。


しかし娘。
守られているということは、
即ち「見えなくなる」ということでもあるのだ。

冒頭に書いた通り、『海を隔てていようが、世界に壁はない』。
日本の文化・常識とはおよそ異なる他所の国だが、海の向こうで
立ったさざ波は、何かしらの形で必ず日本に影響を及ぼしてくる。
今回の物価上昇のように。
そういう外の世界を知らず、狭いコミュニティの中で生涯を終える
暮らしもアリだろう。例えば西屋なんか海どころか山からも
守られちゃってる。このまま細々商売を続けるも、また一つの人生。
否定はしない。

しかし、これまた何度でも言おう。世界は広い。
国境というブラインドを上げて敢えて他所を知り、なんならその目で、
足で他国を実体験することで、違う価値観や生き方、全く新しい景色や
人に出会うことができる。
尤(もっと)も、今のように便利な情報社会であれば、何も実際海を
越える必要はない。もちろん直接行けりゃ尚可だが、文明の利器を
使いこなせれば、いくらでも正しく学びようがある。

世界で何が今起きているのかを自ら知ろうとすることは、
巡り巡って己自身を守ることに繋がる。
いつか自分が大人になって、人生の道中で迷った時、
世界の知識・常識が思いがけず助けになることもあるだろうから。

その時は、世の中が今より少しでも平和であることを
お母さんは祈っているよ。
え?お母さんこそくたばるな??
もちろん長生きするさ。

だからよいかね、
遠く離れなくても、守られたままでもいい。
眼をよく開いて、娘よ、世界を学びなさい。

そして心から誇れ。自分が日本人であることを!


今日の2曲 

"Asian Sea"

Wong Wing Tsan(黄永燦)"Fragrance"(1989)


(↑Youtubeで視聴!)

中国系イギリス人(日本人クォーター)のピアニスト、
ウォン・ウィンツァンのアルバムから。
曲のタイトルが今日の話題にぴったりだったのでチョイス。
ヒーリング系ピアノ曲を集めたコンピレーション・アルバムにも
よく収録されるので、聴いた方もいらっしゃるかと思います。
ひたすら癒されます。静かに波が打ち寄せる、
あたたかい春の海辺のようなやさしい曲です。


"La mer"  L.109 

Debussy / Simon Rattle & Berliner Philharmoniker (2005)


(↑ラトル&ベルリンフィルがなかったので指揮者カラヤンver.で
お届け。ラトルver.よりやや大人しめの仕上がりです。)


海つながりでもういっちょ。
ご存じドビュッシーの組曲「海」。波の打ち寄せる様や水しぶき、
夜明けの眩い朝日など、表情豊かな海の情景を壮大に描いた、
クラシックきっての名曲です。
初版のフルスコアには、かの葛飾北斎の「富嶽三十六景~神奈川沖浪裏~」
が描かれたことでも知られております。wikiで見てみて。
(表紙になっただけで作曲のモチーフになったわけではないようですが。)
芸術はいいな。
いついかなる時も、海という国境を平和の裡に容易く越えてしまえる。
私も何かを作ったりできたらいいのにな…。
有名な曲なのでアルバムはたくさんありますが、
今回は王道のラトル&ベルリンフィルコンビを選びました。

2022.07.02

Quo vadis? ~後編~





暑い。めちゃ暑い。
というわけで、話題とは全く関係ない涼しい写真を
冒頭に投げ込みます。サムネイル対策。
三十三観音の小さな滝で撮った水しぶきです。
色味など弄っています。Photoshopは奥が深い…勉強頑張ります…




身長約180センチ。
豪奢な光背と冠衣装をまとい、スッとした眼差しで
古式床しくアルカイックスマイルを浮かべた神秘的な表情…。
このお方、実は相当なイケメンだったみたいよ。

…さて、「彼」は誰でしょう。





Quo vadis? 後編です。

当初はもっとあっさりした話題で終わるつもりでしたが、
書いている途中でどんどん話が膨らんでしまいました。
毎度同じツッコミですが…どうしてこうなった。

今回は本当に長いので、少しでも読みやすいよう
段落名をつけてお届けします。



1.衝撃のクラファン


聖徳太子をリアルモデルにしたと言われる「救世観音」が
安置されている、奈良の法隆寺。

先日その法隆寺が、境内のメンテナンス費用捻出のために
クラウドファウンディングを始めたという衝撃的なニュースが
先月報じられました。いや、本当に愕然としました。

だって、あの世界遺産・国宝・重要文化財の
キングオブデパート法隆寺よ。世界屈指の知名度を誇る名寺よ。
コロナによる参拝客の激減とはいえ、檀家をそもそも持たない
別格のお寺とはいえ、よもやクラファンに頼るほど深刻な
資金難に瀕していたとは、だれが想像したであろう。




↑救世観音が安置されている法隆寺の夢殿。建物も柱も八角形。
手前に立っているのは息子です。
太子にあやかって、すくすく育つのだ。


2.古ければ古いほど維持は大変  

あまりピンと来ないかもしれませんが、古くなった建物の
維持というのは、実はとんでもなくお金と労力がかかります。
現代の建物とは色々事情が異なるのです。

例えば…ちょっとジャンルは違いますが、
マニア垂涎のヴィンテージカー。
ハコスカとか、117クーペとか。
想像してみて下さい。燃費、車検代、いざ故障した時に
必要になる代替え部品(無論とっくに生産終了)の確保、
ついでにセキュリティ万全の保管場所…
考えただけでもまぁ大変。
ただの趣味で持っていられるような代物じゃない事が
よくわかるかと思います。

建物の場合、それが重文や国宝など
「歴史的にとても価値がある」とみなされた史跡だと
さらに厄介です。ちょっと具合悪い箇所が発生しても、
そう簡単には工事に着手できません。自分達だけの
所有ではない訳だから、国や自治体への修繕許可だの
事前調査だの、意外にも面倒な手間が多く発生するのです。

西屋(米沢市景観重要建造物(第一号))でさえ、
以前母屋の屋根を葺き替えた時がそうでしたから。

法隆寺の貫主さんは、インタビューで
「ボロボロの境内では、せっかく訪れてくれた参拝者の
皆さんに申し訳ない」と悲しげに仰っていました。
分かります、その気持ち。その場所に住んでいると、
つい細かいボロが目について切なくなっちゃうのよね。

でも、春にお寺を訪れた時は、見窄らしいなどと
これっぽっちも思いませなんだ。
むしろその貫禄に圧倒されるばかりでした。
1000年以上長い間この世にあるのだから当然です。
それでいてどこか懐かしくて、やさしくて、いつまでも
ここにいたいと思ってしまうほど、心が和む場所でした。




↑境内の回廊。右に見えているのは金堂。

年数が経てば経つほど、その希少価値はいやが応にも高くなります。
万が一壊れたり燃えたりして、この世から失われてしまったら、
二度と再建できません。どんなに形や素材を同じくして
建て直しても、長い年月が育む唯一無二の風格だけは、
絶対に真似できないからです。

まして法隆寺は、あの広い境内全てが重文以上の文化財。
責任も重大だろうし、管理するのは本当に大変だと思う。
当然景観や建物の保存が優先されるため、快適な空調設備もありません。
お坊さん方は、この酷暑の夏も底冷え厳しい冬も、昔のままの
設えで慎ましく耐えています。境内を案内してくれた
ガイドの岡村さんはしみじみ語っていました。

「…お坊さんも人間だからね。
さすがに真夏は暑くてたまらん言うてるなぁ…」

そりゃそうだ。ネットで調べましたが、
ここ数日の奈良の最高気温はなんと40度近く。
しんどいだろうな…どうか皆さん身体を壊しませんように。

そしてどうかたくさんの善意で、法隆寺が無事に
修繕事業を行えますように。


(女将はクラファンどうするのかって?
代わりと言ってはなんですが、春の参拝の折に
私は軒先瓦を奉納させて頂きました。)


3.日本津々浦々、古き良きものの危機


今回の法隆寺のニュース。
実は私、少し羨ましいと思っていました。

同じくらい有名な観光名所ならともかく、そうでない
他所がもし法隆寺と同じようにクラファンを展開した
ところで、多分、そう簡単には資金が集まらないだろうから。
どこの観光地も、コロナの影響でそれまでの状況が
大幅に悪化し、客足が遠のきました。しかしこれは
あくまで物理的・一時的な引き潮に過ぎません。

元々時代の変化に柔軟で、世代を問わず強い
集客力を持っている都会や観光スポットは、
じきにもとの賑わいを取り戻すはずです。
法隆寺や古都の他の古刹だって、海外からの旅行者さえ
再び動き出せば、いずれ苦境を脱することができる
だろうと私は見ています。

古き面影や歴史を守っているのは、法隆寺だけでは
ありません。全国津々浦々、同じような社寺仏閣・
古民家がたくさん存在しています。おそらく今、
その多くが同様の資金難に直面しているのでは
ないかと思います。
もちろん西屋も御多分に洩れず。


文化財保護法など救済措置はありますが、
公共の施設でもない限り、なんだかんだ言って
維持管理費用の殆どは自助努力で捻出していくしか
ありません。観光スポットとは無縁の小さな
一軒宿ともなると、維持費がかかる割に集客力で
どうしても有名どころに劣ります。当然収入だって
"それなり"です。
わずかな資金でどこを直すのか、それとも支出を抑えて、
現状維持でこれ以上壊れないための小細工に留めるのか…
実際はいつも綱渡りです。


ご存じの方がどれほどいるのかは分かりませんが、実は、
国内旅行者はコロナ禍が起きるずっと前から減少の一途を
辿っていました。
コロナの影響とはいえ、(連呼してゴメンね)法隆寺ですら
国内旅行者だけでは収益をカバーできないほど、一時
ピンチに陥ったのですから、他所はさらなり。


観光業界ではかなり以前からこれを問題視していて、
業界誌の特集にもたびたび取り上げられていました。
専門家によっていろいろ意見はあったようですが、
規模や立地などそれぞれ抱える事情が違い過ぎて、
なかなか全容解明に至る答えに
たどり着けませんでした。


というわけで、観光業最前線(ど僻地)にいる一人の
肌感覚として、私なりに思い至った要因は2つです。

一つは世の中の価値観の変化
もう一つは守り手の衰退と減少


4.世の中の価値観の変化~古きものへの関心の薄れ



↑五重塔東側。雨が中に入らないよう工夫されてひさしが組まれています。
風雪に晒されながらも当時と変わらない、どっしりした姿。好き。

時を止めたような古都の社寺は、その圧倒的な存在感と
得も言われぬ優しさで、人々の心に忘れられない記憶を焼き付けます。
山奥の茅葺の建物は、住んでいた場所でもないのに
なぜか見ただけで「懐かしい」と思わせる不思議な力を持っています。

一言で表すのは難しいのですが、日本人としてのDNAが無意識から
呼び覚ます共通の感覚、といえばいいしょうか。
誰でも一度は経験したことがあるのではと思います。


かくいう私も、古き良き温泉文化を守るという使命感のもと、
変わらない姿を維持することこそが価値だと思い、持てる力を
以て西屋を日々守っています。古臭さ、不便さを知りながらも、
それをよしと理解してくださるお客様が元気になれるよう、
日々お迎えしながら白布に暮らしてきました。


ところが昨今、そんな日本人の日本人たる原風景への憧憬が、
我が国古来の文化に対する理解と関心が、少しずつ薄れつつある…。
旅館に携わるようになって以来、ずっとそんな印象を抱いていました。
というのも、この十数年、あることに気づいたのです。

客層の年代が徐々に上がったまま、なかなか若返りしないと。
常連さんも然り。いつまでも世代交代しない。後に続かない。

時代のうねりに流されるように、人の価値観は止まることなく
変わり続けています。キラキラした新しい世界が次々生み出され、
進化のスピードがどんどん速くなっています。
前述の通り肌感覚なので根拠があるわけじゃないんですが、
なんとなく、若い世代ほど、古いもの=既に知っている
(新しいものに比べてさほど興味をそそられない)ものとして、
過去にどんどん切り離してしまう傾向が強くなっている
ような気がしてなりません。

もちろん歴史が大好きな人もいるし、興味関心がゼロになる
なんてことは流石にないと思いますが。

今の若い子たちは一昔前と違って、溢れんばかりの便利な情報
社会の中に生きています。
果たして彼らは、点と線で時空を隔てた古き良きもの、
不便だけれども、今は無き人々の人のかけがえのない思いを
宿した大切な「器」をどう捉えているだろう。

例えば修学旅行の希望の行き先。
彼らが真っ先に思い浮かべるのはどこだろうか?

歴史的名所だろうが世界の果ての僻地だろうが、今や
学校で教わる以前にネットで簡単に、しかも詳細に
検索し、情報を得ることができてしまいます。
ならばわざわざ修学旅行で
行く必要はないと、
あたかも既に行って見てきたかのように疑似体験で
完結してしまっていないだろうか。
実際にその地に足を運び、本物を目の当たりにしたときの
圧倒的経験を知らぬまま。


それらが、単に私の中のくだらない杞憂であることを
切に願っています。願いつつも、次の世代に対する漠然とした
不安は日々膨らんでいます。
この先、変わることのない古きもの、古き文化に熱い
眼差しを向ける人々がどれほど続いていくだろうかと。


5.世の中の価値観の変化~   
  価格を下げる=価値を下げる=体力を失う


以前このエッセで、ネット予約サイトの便利さ、
そして便利だからこそ選ばれにくい難しさがあることを
書きました。

>よく利用されるのが、じゃらんや楽天みたいな
ポータルサイトです。好みの条件で手軽に宿を絞り込める上、
値段も口コミも一覧で見比べられるからホント便利なツールです。
あとはお客様自身の好みや予算etc.に全て委ねられるわけです。
(2022.3.7 掲載「Dr.スランプ女将ちゃん(後編その2)」より)


それまでの旅行代理店による宿泊予約手配から、ネット予約事業が
市場を席捲し出したのは今から20年近く前です。
私が西屋にきて最初に取り掛かった仕事も、このネット予約
受付のための設定と運営でした。

快適なネット環境が僻地まで広がっていくにつれ、
手軽で便利なネット販売に参戦する旅館の数も激増しました。

そうなると必然的に勃発するのが「競争」です。

ポータルサイト内での表示順位と露出度をいかに上げるか。
口コミのポイントや、目新しさを強調した広告販売で、
いかに他より多く販売件数を獲得するか。
まさに仁義なき戦い(?)。今も水面下で続いています。


工夫の仕方は色々ありますが、当初から最も惹きが強いと
言われてきた差別化の手法は「販売価格を割り引くこと」でした。
「何かをおまけでつけるのもいいのですが、
特典で一番喜ばれるのはやっぱり値下げすることですね」
エージェントさんにも、当たり前のように
そう言われ続けてきました。

とにかく他よりも安く、お得に。それでもって質は下げない。
よりいい料理、よりいい部屋をより良いサービス価格で提供する。
よく考えなくても、相当無茶振りな売り方です。

さて。同じことを同じエリアの旅館が一斉にやったら
どうなるでしょうか。
答えは言わずもがなです。


凄く例えは悪いのですが、バナナのたたき売り状態。
自分の旅館の個性も体力の限界も悉く度外視して、画一的な
薄利多売の俎上に自ら進んで上がってしまったようなものです。

そりゃお客様からしてみたら、安く泊まれて贅沢できる宿ほど
魅力的に映るものはないでしょう。そういうところがいい宿だと
評判になるのも当然だろうし、そのいい評判=表示順位UP
を目指して、宿が躍起になってしまうのだって仕方がない。

しかし、本来サービスと料金は等価のものです。
身を切ってまで提供するものではありません。

なのに、ただでさえ差別化しづらいネット上で生き残るため
だからと、決して削るべきではない価格に我らは真っ先に手を
つけてしまったのです。
価格を下げるということは、建物の維持費から仕入れ原価から、
一番大切にするべき人件費にいたるまで、すべてにわたって
自ら余裕を狭めてしまったも同然です。特に最後。
接客業は働いてくれる人こそが資源なのに。

…という問題だらけのデフレ販売体制。
せめて短期決戦の切り札に留めておくべきでしたが、
結局競争熱が収まらないまま、常態化してしまったのでした。
西屋も乗ってしまった。

遠因かもしれないけど、この流れが結果的に業界全体の
弱体化につながったのではないかと、今では思います。
もっと早く、このやり方の間違いに気づくべきだでした。
小手先に頼るのでなく、自分の旅館が持つ価値や個性に、
もっとちゃんと目を向けるべきだった。


6.守り手の衰退

①スタッフのこと

最近、「底辺の職業ランキング」とかいう当事者に失礼
極まりないトンデモ記事をSNSに乗せて、
大顰蹙を浴びたとある就職情報サイトがありした。
一応旅館業は、そのランクには入っていません。
が、部分的にかぶる部門が複数ありました(飲食業・清掃)。
つまりはそういうことです。
サービス業は総じて下に見られがちです。
業腹だが、偏見が一部にあることは否定できません。

旅館業は万年人材不足です。
ついでに後継者不足です。
それも、どちらも極めて深刻なレベルで。
少子高齢化の煽りは、特に地方に暮らす世襲が基本の
小規模経営を、これでもかと直撃しています。

旅館は、言ってみれば「時間を売る」商売です。
スタッフは住み込みが主体。当然労働・拘束時間が長くなるし、
立地によっては働く場所も人里離れた僻地だったりします。
車がないと通勤も大変です。特に冬の白布。

にもかかわらず、上記の理由もあり、どうしても働いて
くれているスタッフの待遇を厚くすることができません。
さらに工場と違ってシーズン引け醒めが激しいから、
シフトも極めて組みづらい(収入になるべく波が出ないよう
配慮しなくてはいけない)難しさ。
努力不足と言われてしまえばそれまでですが…
あまりにも歯がゆいジレンマです。

そんな特殊な仕事だからか、旅館業は昔から(というか昔は)、
様々な疾患や家庭問題など、日常生活を送るには色々と難しい
事情を抱えた人も普(あまね)く受け入れる、
いわば寺子屋的な職場でした。

前にも書いたと思いますが、私は学生の頃、夏休みを利用して
裏磐梯のホテルで住み込みアルバイトしたことがあります。
その時一緒に働いていた人たちは、
それはもう訳ありドラマありの人生街道オンパレード。
DVから逃れてきた人、刑期を終えて俗世に戻ったものの
家族に受け入れを拒否された人、天涯孤独で住む場所がなく、
たまたま宿に拾ってもらったという人…
ある意味社会の縮図です。
今は殆どいなくなりましたが、一昔前は、
本当にそういう人が多かった。

働く側にしてみたら、収入を得られるだけでなく、
衣食住が保証されて路頭に迷う心配がなくなります。
雇う方にとっても、貴重な働き手が常時宿にいてくれる
安心を得られます。
まさにwin-winの関係(…でもないけど…)です。

経営者は、さまざまな事情を抱えつつ働いてくれる
そんな彼らの人生を文字通り丸ごと預かる形で、
時に厳しく、時に情けを以て、大家族のような時間を
共有してきました。時代は変わりましたが、
今もそのスピリットは変わりません。
そもそも少人数だから、公私のサポートが多少は
できるくらいは目が行き届きます。

しかし、働く人だってやがて年齢を重ねていきます。
徐々に世代交代しないといけません。
でも、それがなかなかうまくいかない。
なぜか。とにかく新しく入ってくる人がいないから。

平たく言うと、仕事がきついと敬遠されがちです。
まぁ…否定はしません。確かに体力は使います。
かくいう私も女将ですが、番頭(そもそもいないけど)
差し置いて湯守をしているし、調理場にも入るし、
掃除やベッドメイキングだってします。
立ち入らない部署はほぼないと言っていい。

もちろん、そんなやり方じゃ続かないのは分かっています。
私の体力だって無尽蔵じゃない。人がいないからカバー
しているだけで、騙し騙し回しているに過ぎません。


②後継者のこと

今は少子高齢化の時代です。労働人口がそもそも
減っているのはもちろん、国がなかなか有効な政策を
打ち出せないまま、全体的に経済状況は悪化しています。
暮らしにくい地方はどんどん人口が減少し、
学校は統廃合され、何もかもが市街地中心部に
遠ざかりつつあります。

白布温泉も然り。ほとんど陸の孤島です。
買い物に行くのも、子供を学校に通わせるのも一苦労です。
今でこそ義務教育のおかげで登下校の送り迎えを自治体が
請け負ってくれていますが、高校生になったら、
確実に下宿させないとまともに通学できなくなってしまう。

そんな状況です。
私達が単体で知恵と体力を絞ったくらいでは、到底解決できない
社会全体の問題が広がっています。それこそ何十年という単位で。

そこに未曾有のコロナ禍。瞬く間に世界を駆け巡って二年半。
収益が激減する中、何かと維持費用のかかる建物(固定費)も抱えて
もはや苦境なんてもんじゃありません。国や自治体のフォローで
何とか道を繋いできましたが、今となっては、我等の体力は
実際殆ど残されていないというのが現状です。
西屋は小規模ゆえ、新陳代謝がまだ低く収まっている方ですが…。
旅行として、たまに訪れるにはいいかもしれません。
けど、暮らすのには相当の覚悟が必要です。
守るべきものを絶対に見失わない強さを保つことが大切でも、
ガッツだけではまかりなりません。
物理的不利、経済的苦境、そして経営の大変さ。
すべてを吞みこんで、なお我が子に跡を継いでくれと、
あなたなら言えるだろうか?


もしもこの先、世の多くの人々が、何かをきっかけに
旧(ふる)きものへの大いなる価値を再発見したとしましょう。
しかし、その頃私たちが今と変わらず営業を続けていられる
保証はありません。既にその数を大きく減らしているか、
よしんば生き残っていたとしても、昔懐かしい面影を
止める力をとうに無くしてしまっているかもしれない。

書きながらふと思いましたが、世の中の価値観の変遷よりも、
私達自身の余力の方が深刻かもしれない。
なにも手を打たずに坐していたら本当に破綻する。
そんな現実が、遠からずやってきてしまいます。

人知れず、静かに失われていく古き良き面影、
古き良き温泉文化。
知り合いの旅館やお店仲間が、後継者がいないことや
働き手がいないこと、これ以上建物を維持できないなど、
さまざまな事情を抱えて看板を下ろす姿をポツポツと
見るにつけ、胸が痛むばかりです。

たとえ戦争が起きなくても、国が貧しくなれば
文化(人々の社会活動)は衰退する。
つくづく思い知らされます。

老舗だとて、その将来が保証されるわけでは
ありません。人はノスタルジーに憧憬を抱きますが、
その守護の代償に背負うものは、世間一般が思うよりも
はるかに重いものなのです。


かなり話は遠回りしてしまいましたが、
法隆寺は、そんな複雑な現実の一端を
垣間見せてくれたと、私は思います。




いつか、もう一度「会い」に行きたいな。


7.Quo vadis?

未来は誰にも予想できない。
「指輪物語」の賢者ガンダルフも、
「STAR WARS」のマスター・ヨーダも、
異口同音にそう主人公に諭していました。

散々自問してきた「どこへ行く?」ですが、
私もきっと、この答えを
生涯見つけることはできないでしょう。

どのみち、かたちあるものはいつか壊れます。
永遠はない。それだけはハッキリした未来です。
いかなる「器」も、たどる道は同じです。
いつかこの世から姿を消します。

抗うことはできない。分かっている。
でも、少しでも長く未来に残したい。
それは、古き良きものを守る人達の共通の願いです。
今の状態を保っていくのはとにかく大変ですが、
今はただ、逃げずに今と向き合っている自分を
誇りに思いたい。たとえ誰も褒めてくれなくてもね…。

時間、人生、気持ち…様々な場面で行き着くところまで行った時、
どういうわけか人は、もう一度懐かしい世界に還りたい、
あの日に戻りたいという感情が湧き上がってくることがあります。
それは晩年に差し掛かったある日、ふと過去を懐かしく振り返り、
楽しかった日々に思いを馳せて、そこから今を再び見つめて
生きる糧とする、それに近い心理です。


だから、その時彼らが安心して還って来られる場所が必要なんだ。


"Quo vadis?"

私はどこへも行きません。
この地に留まり、温泉を、温泉文化を守ります。
いつか、誰かに必要とされる日が来ることを待ち続けながら。



今日の1曲

木こりと魔女 

逆瀬川剛史(2017)


↑本人のライブ映像から。



若手のギタリスト、逆瀬川剛史のアルバムに収録されている
「木こりと魔女」。USENで流していたチャンネル
「ギター・コンピレーション」で偶然この曲が流れていたのを
聴いたのが、彼の名を知ったきっかけです。
どこかで聴いたことがある様な、
それでいてひどく印象的な曲になぜかピーンと来るものが
ありました。まるで朝霧の白布の森を歩いているような感じ。

なぜか耳に残る名曲です。

2022.02.02

米沢のいい所あれこれ 【第38回:「旬!朝日町ワイン&出羽桜酒造のリキュール」】




晴れて初伝の免状を頂いた息子が今年一発目に活けた花。
良い良い。まだまだ先は長いのだから、気長に心を磨いていっておくれ。
この経験はいつか必ずどこかで花開くだろう。母は生温かく見守るぞ。

さて二月に入りました。
米沢もとうとう蔓延防止重点措置の対象地域になり、
冬季随一のイベントだった上杉雪灯篭まつりは中止になったでよ。
なんと2年連続の中止。まぁ不可抗力。仕方あるまい。
風邪その他インフルエンザだって大概冬になると
元気になっちまうんだからね。

冬はまだまだ続くし、どのみち旅館は半休業状態。
これ以上体がナマって抵抗力が落ちないように、
除せt…筋トレしながらピークアウトを待つわいな。

え?一応トレやってるよ!年初で目標に挙げちゃったし!
お、アナタもヤッてみる?
じゃあおススメの筋トレ動画を紹介ちゃおうかな。
これ。



Marina Takewakiさんの50分ワークアウト。
結構、いやかなりハード。
ちょっと慣れてきても、最初にうっかり飛ばすと
後半のスクワット(32:00あたり)で文字通り地獄を見ます。
でも大丈夫!半月も耐えればあら不思議。カーボンファイバー
みたいな尻や太腿がちゃんと育ってくるから(笑)



ハッ、またやっちまった!
本編前のボリュームばっかでかくなりすぎる安定仕様!!

さて今回は、ネットでもお取り寄せ可能!
白布温泉のかもしかやさんが今イチオシする、
旬の山形名酒を2品ご紹介しましょう。
米沢のいい所あれこれ第38回!!
(以下のリンクは各製造元さんのオンラインショップサイトです。)




①朝日町ワイン リースティングフォルテ&リオン 



2021年のワンチャレンジで見事金賞に輝いた、朝日町ワインの白ワイン。
葡萄酒独特のくせや酸味が殆どなく、きりりとした辛口でさっぱりと
味わえる逸品です。

普段は赤のフルボディを好む私ですが、
これはまた爽快なまでに飲みやすい美味しさ。
日本酒が好きな人、
「ワインて要はアルコール入りぶどうジュースでしょ?!」な方、
甘いお酒はそもそもニガテという人にもおススメ。
白身魚のソテーとか、和食なら湯豆腐とか、
あんまりこってりしていないお料理に合いそうです。
キンと冷やしてどうぞ!


②出羽桜酒造 とろけるやまがた ラフランス 



日本酒コンテストで数々の受賞歴を誇る天童・出羽桜酒造
プロデュースしたフルーツリキュール。
他にも「りんご」「ぶどう」「もも」が販売中です。
現在ももが一番人気だそうですが、
今回は敢えて山形特産のラ・フランスを選びました。

まずはロックで素の味をテイスティング。
これすごい。
ラ・フランス・スゴイ・ウマイ・サケ。
ついついどこぞの"スゴイタカイビル"みたいな片言レベルに
語彙力が落ちるほど、素晴らしく果実感たっぷりです。
なにしろ口当たりがとろとろ。
まるで果肉入りジュースを飲んでいるんじゃないかと錯覚するほど。
これは売れるわけだわ。

しかしガッツリ甘口なので、ロックで飲もうものなら間違いなく
美味すぎて忽ち空にしてしまいそうです。
いろいろ試してみましたが、個人的にスローペースで楽しめて
一番おススメなのはミルク割です。
酒:ミルク=1:2くらいがちょうどいいかも。
原酒のアルコール度数は8%なので、
ほどよい飲み口のカクテルとして楽しむことができます。
食事の後のデザート感覚にもぜひいかが。

※ 

今回は本編が短かったねぇ…
中尾彬「能書きはいい、飲めばわかる(ドヤァ)」

今日の一枚!

ぽるとがる幻想

マリオネット(1995)

アルバム収録曲ではありませんが、「大分むぎ焼酎二階堂」の
CM"孤独の風"編で、お二人の曲「南蛮マンドリーノ」という
最近の曲が採用されています。静かな曲なのに、めちゃくちゃ
映像とマッチしていてインパクトがスゴイ。
なんとこちら、登場する老齢の画家さんが実際に住まう
自宅兼アトリエで撮影されたCMだそうです。
選曲といいカットといい、センス良すぎやしないか。
演奏の魅力が非常によく伝わってきますのでリンクを貼りました↓



はい、「ぽるとがる幻想」です。
日本では極めて珍しいポルトガルギターと、
マンドリン(時々マンドリュート、マンドローネ)
という古楽器デュオによるアルバム。1995年リリース。

今主人がマリオネットのお二人に激ハマりしています。
どのアルバムも完成度が高すぎるのでとりま1stアルバムをpicup。
ほぼ2人による演奏なのに、どの曲もアンサンブルの深みが半端なく、
まるでオーケストラの演奏を聴いているかのようです。
いい!いいねぇ~!!
やさしく物悲しく、異国情緒あふれる甘酸っぱい音色。
旅先の酒場でこんな素敵な生演奏を聴いたら、
郷愁にかられてさらに遠くに旅立ちたくなる(方向逆かい)。

お二人ともすごい演奏技術をお持ちなのに、
最初から最後までリラックスして聴けるのでおススメ!
お好きなお酒を手元に、じっくり耳を傾けてみてくださいませ。

・・・

最後にも一つおまけ!



同じく「大分むぎ焼酎 二階堂」のCMから。
こちらは娘がめちゃくちゃ惚れ込んだという"記憶の結晶”編。
曰く、「この昭和を思わせるノスタルジックな世界観と詩的な
言葉がたまらなく好き
」だそう。

…おまえ何歳じゃ4年生……(汗)

2021.11.22

湯桝と水路の工事のこと ~後日談③~


・・・ふむ、今日は朝から山の空気が妙に生温かい。



時折風に乗ってやってくるのは、
仄かに甘くまろい落ち葉の香り、そして湿った山土のツンと冷たい香り。
間違いなく予報通りだ。数日もすればこの辺りには雪が降るだろう。





今日も今日とて湯けむり模様。
かくして白布の温泉を巡る西屋の集水機構工事その他諸々は、
前述の通り約3か月半にわたる施工と試行錯誤を経て、
滞りなく終了しました。
アシゾーが使徒のごとく乱入するという予定外はありましたが、
なんだかんだで昔の状態にほぼ戻ったかっこうです。
合理性を目指したはずが、結局自然の摂理に還りました。
ちょっと意味あいは違うかもしれないけれど、
「およそ到達しうる最高の肯定の形式」というやつだろう。
ツァラトゥストラはかく語りき。

今冬は"えるにいにょ現象"とやらで、雪が多くかつ低温になるという
長期予報が出ております。ただの冬ではない大荒れの予感。
水を受ける新しい器と仲間たち(??)といかにして極寒の季節を
戦い抜くか、今から心の準備をひそかに進めています。

尤も、やることと言えば
桝の周辺をせっせと除雪する作業が95%強ですが…。

守るべきは、沢から引く水の流れ。
とにかくそれを止めないこと。そこから満々と流れてくる水の量を
桝のそばで見守ること。あくまで自然の力に任せ、必要が生じた
時だけ、手を添えるように変幻自在に調整すること。
心あるものを相手にするように、しっかり寄り添うこと。
ほんとそれだけ。
湯守の役割は永劫変わりません。

温泉が絶え間なく湧いていて、山の水が枯渇することなく
流れてきてくれるこの日々の有難みを、決して忘れてはいけないと
いつも言い聞かせています。その力を借りてはじめて温泉旅館という
商売が成り立ち、暮らしていけるのだから。
自然(温泉・水)に対して「存在して当たり前だ」とか、ただの
下心(商売っ気)ばかり醸すのでなく、ちゃんとした情を
かけなければ、彼らは人の意に応えてくれません。

結論から言ってしまえば、湯守の精神の根底にあるのは
」です。上記の意味を込め感謝と言い換えてもいい。
而して温泉と山(の水)との付き合いは恋愛とどこか似ています。
擬人化するなら温泉は分かりやすすぎる天然キャラってところかね。
表裏が一切なし。だいたい天気によってころころ気分が変わるし、
嵐が来ればほんとに荒れる(笑)でも必ず前振りがあるから、
「なんで突然機嫌悪くなんの?わけワカンネ!!」などと理解に
苦しむことはありません。
まぁ、その気分の乱高下については、こっちがほぼ100%合わせて
あげなければいけないわけなんだけれど、どんなにすれ違おうと
絶対向こうから別れようなどとは言ってきません。
何しろ言語外対話な付き合いなので。
うわー、ある意味ウルトラめんどくさいツンデレだ(笑)

…冗談はさておき。
のどかな山の景色の下、
四季折々温泉と水と仲良く365通りのお付き合い(は、3P?)。
飽きることはありません。



風呂に入った瞬間の
「あ”~気持ちい"い"~」
・・・を体感してもらえるベストな入り心地…
を決定づける湯温への微調整は…

はっきり言って、

実に、

大変で、

根気が必要で、

想像以上に繊細な作業です。
何しろ(恋愛的)駆け引きなので。

まぁ、前述の通りなんら特別なしかけがあるわけでもない、
ただの私個人の拘りですが…。

お風呂の温度が常に(大多数の皆さんにとっての)
「とっても心地イイ」状態であるように、春夏秋冬、
その日の気温や天候等を見ながら調整桝の中
(実際は6本の湯滝に温泉を通す分湯桝の出口付近)で湯温を
徹底監視しています。

ええいこなくそ、同じ表現ばかりで伝えるのが難しいな。

これはいつも脳内で完結していた設定ですが、思い切って
表にしてしまいます↓

天候条件による私流設定温度の目安はだいたいこんな感じ↓



調整桝の温度が高めなのは、湯滝風呂までの落下距離や
石造の構造等の特質により、湯滝風呂に到達するまでに数度
湯温が下がることを勘案しているためです。
あくまで入浴時のお風呂の体感温度は季節問わず40~41度
これをひたすら、ひたすら!!目指しています。
実はこの表の凡その設定温度は一昔前のもの。
今は、色付きの部分をさらに1度程低めに設定しています。
ひとえにヒートショック対策です。

ここで釈明。昔々の超熱いお風呂が好きだった往年の常連さん、
ごめんなさい。今の風呂がどんなに拳(ぱんち)不足だと
いわれようと、私が湯守である限り、現在の設定温度を
変更するつもりはありません。
なぜなら、西屋のお風呂は石風呂なうえに上下に吹き抜けが
あるため冬は滅茶苦茶寒い。ただでさえヒートショックを
誘発しかねない条件がそろってる上、お風呂まで熱いときたら
むしろ危険だからです。
さらに言えば、一番最初に湯に浸かる体の部位は99.99%の確率で
(最も冷え切って熱さに対する感覚がとち狂っている)足先です。

(いや、俺は違うところ(手とか尻)から入るぜ!なんてゆー
面白い猛者の方いらしたらぜひ教えてね。)

もちろんかけ湯をして入って頂くことが公序良俗の上でも
大前提ですが、ここで「熱すぎ!入れん!!」ではもう
いろんな意味で駄目なわけです。
ここで、最初が多少熱く感じられてもその後とっぷり入れる
お風呂の状態であるかどうかは、自動的に温度管理の行き届いた
一般家庭のお風呂であれば考慮するまでもないでしょう。
しかし西屋はそうはいきません。
全て人の手で仕組みを理解し、調整しなければなりません。

大袈裟だ、と笑われても構わない。
私はこの、冷え切った冬の身体と温泉との最初の邂逅に
命を懸けているといってもいい。
そも烏の行水では絶対に体の芯は温まりません。
私はお客様に「ゆっくりと」温泉に浸かり、
「身体の芯から温まって」ほしいのだ。
西屋のお風呂の特質とお風呂の温度、その匙加減を決して
間違えないように、現在の入浴時の適正温度とされる概念に
従って調整しています。

はーー……相変わらずくどくてごめんね。
でも私は白布の温泉を心から愛しているんだ(惚気)。
愛で空が落ちてくるほどにね(笑)!

さて、温泉と山の水が直接混ざる調整桝の中は常に水流が
発生しています。源泉の流れです。量が量だけにかなりの水圧です。
ここに通称:雷鳥管を駆使して山の水を斜めから注ぐわけですが、
蛇口をひねるだけで狙った温度のお湯に即なるわけではありません。

分湯桝から出る加水済みの温泉が適温になるまでには、
実は必ず時間差が発生します。

原理は多分こんな感じ。↓



一見するとただの桝。…ですが。



↑実際はこんな感じの物理現象がせめぎあっている…模様。
印はそれぞれのパイプからの水落下地点。

物理は高校2年生で挫折した文系人間なので詳しく解説はできませんが、
温泉と水が溶けあう前の僅かな時間に生じる二つの熱の散逸構造…つまり
を中心とする半径15㎝くらいの場所。
一定方向の水圧で桝の中を回りながら、57度の温泉と真夏でも10度を
切る水(冬はほぼ氷)が混ざり合うこの地点では、無秩序に見えて、
熱力学だの流体力学だのちゃんと根拠ある熱交換が行われているはずです。

あー、あれだ。 えんとろぴぃ? F値最小?
そんな専門用語が飛び交うような世界です。

えぇこれ以上細かいことは突っ込むな。

無学な私は熱力学の第二法則を全て勘と経験で読んでいる。

この、温泉と水が完全に混ざるまでの物理現象と時間差をひそかに
「ソラリス」(スティーヴン・ソダーバーグ版)と呼んでいます。
同じ散逸構造でも"味噌汁"と名付けるのはあまりにも芸がなくてだな…

面白いことに、一度でもソラリスの均衡をパイプ調整でずらした途端、
例外なく温度のバランスが崩れます。パイプを増設したのに湯温が
上がったり、いくら落下地点を遠ざけても温度が上がらなかったり…
それがある程度の時間が経つとがらっと様相が変わったりetc...

恐らくこの間に、なんだっけ、不可逆過程?が進んでいるのでしょう。

再び最適温度(熱力学的平衡…で合ってる?)になって取水口から
分湯桝に流れ出るまでには、夏場でおよそ2~3分ほどかかります。
その間、私は分湯桝に湯温計を突っ込んだまま待機。
温泉と水の混ざり具合が落ち着くまでひたすら待機。
春から秋の時期は別に問題ないのです。
問題は冬季。
温泉街のロードヒーティングによる源泉提供で源泉量が少なくなる
(全盛期の2/3~3/4)冬季は、湧出口から噴き出す源泉の水圧が
下がると同時に、水温も気温に応じて低くなります。
水は落下地点からわりとそのまま調整桝の下方に深く潜っちゃう上、
温泉と水がこの条件の中で混ざり合って正しく安定するまでには、
それこそ夏場の3倍以上の時間がかかります。
(誰か熱力学に詳しい人、時短化のコツを教えて。)
長いときは10分以上、やっぱり分湯桝にかがんでじっと
待つわけですが、吹雪の日は背中に数センチ雪が積もることも
しばしばです。瞬きを忘れて凝視するあまり、冷えた温泉の
湯気が顔にかかって睫毛がガチガチに凍ったこともありました。
何を言っているのか分からねーと思うが
私も何をされたのか分からなかっry

でも、動かない。
相手の気分(温度)?が収まるのをじっと待ちます。
健気?んなわけないよ~。心の中では
「さっさと素直になれェこの湯けむり野郎ォ!」って
めっちゃ吼えてるから(笑)
…そんなくだらないことを時々考えながら、
湯温計をただただにらみ続けます。
吹雪の真冬は堪えますが、それでも狙いすました温度にだいたい
収まってくれれば「ぬぉー!やっぱ大好きだぁ!!」なんて
一人で気分V字回復できるオチ。あぁバカだ…。
あとはお山が地雷を踏みぬかない(上流で表層雪崩が起きない)
ことを願って建物内に戻ります。

これだけ想いを込めて愛情を注いでも、天候が急変すれば
やっぱりへそ曲げるんだよこのツンデレ温泉は。
齢709歳の物言わぬ相方。
ああ好き。憎さ余って愛情100倍。

・・・ね。
こういうわけよ(何がだよ)。
物理法則を超越する不可侵のパワーがここにはあるのよ。
水と温泉が滞りなく在ってこそ、湯守のは生きるのよ。
だろ、。どこの宣伝文句だ。

なんかすごいシリキレトンボな終わり方をしてしまいました(笑)
許して。今日もついさっきまで真っ暗な裏山に凸してたの。
詰まった落ち葉を取り除こうとして、桝の中を横切っていた
お勝手用のパイプをうっかりへし折っちゃったのは
ココだけの話にして(爆)
(残骸がまだ桝の底に沈んだままだ…明日直そう(汗))

ああ、今年の冬はどうなるかなぁ…(遠い目)。





今日の一枚 

"Gopro: Eagle Hunters in a New World"

William Ryan Frich(2017)

(↑サムネイルクリックで、アルバム内の
"Red Wolves"を視聴!)

アメリカのミュージシャン、ウィリアム・R・フリッチの
通算12枚目のアルバム。映像音楽を手掛けることが多い
生粋のアメリカ人ですが、このアルバムはズバリ
「悠久の中央アジア遊牧民族のテーマ」。
最初聴いたときは「え、作曲者アジア系?」なんて
錯覚を覚えるほど、イイ感じに情感が込められています。
まるで古のシルクロードに生きた高原の民の高潔な生きざまが
存在しない記憶としてありありと脳裏に浮かぶような。
そういうコンセプトのサントラか何かだという表記は
どこにもないので、おそらく完全なオリジナルでしょう。
前々回のシルクロードからなんとなく引き継いでみました。

これ知っている人多分、いや絶対少ない。

2021.11.13

湯桝と水路の工事のこと ~後日談②~

後日談のくせに続きました。



こちら、湯桝のすぐそばに自生しているヤマブドウの葉↑です。
葡萄唐草。実物はけっこうデカい。
大人の顔が完全に隠れるくらいデカい。



こっちは朴の葉です。写真のものは枯れてしまっていますが、
青いうちはおにぎりも包めます。
しかしこれも天敵。
どんな格好であれ、予備動作なしでこれらがホースにハマると
秒で水が止まります。この時期の急激なお風呂温度上昇の原因のうち
8割はこれら落ち葉のせいと言っていい。

どれだけ新しい設備に生まれ変わろうと、
その厄介さが解消されることはありません。
今も昔も落ち葉回避率はほぼゼロ、だって山だもの。
ひたすら手作業で取り除いていくしかないのでした。

毎夜、自ら湯滝風呂に入浴しながら湯温や量に異常がないか
直接確かめますが、晩秋の今はどうしても温度が安定しません。
夜になると大概熱くなります。
理由は上記の通り。

この日も暗い中湯冷めと闘いながら裏の桝へ凸。
案の定5号、4号どっちにも落ち葉が詰まっていました。



(↑これは別の日の昼間に撮ったもの。昼夜問わず起きる現象は同じ。)

昼間落ち葉を取り除いて取水口をきれいにしたはずのアシゾーは
既に戦力外。ノジリ君は…今のとこフル稼働で問題なし。
問題ないがこれでもかと落ち葉が流れ込んでくる。
素晴らしい、鏖殺調整だ。

とりあえず落ち葉除去後、ノジリ君の水の出具合から水量を予測し、
5号と4号では水量多すぎだと判断。4号すっこ抜き。



しかし4号を3号に切り替えたところ、
どのポジションに先端を乗せてもいまいち温度が高すぎて塩梅悪い。



仕方がないので、5号と3号をぴったりくっつけて、
細木にかましたタオルを取っ払い、2本のホースの上を走る
ノジリ君からの絶妙な水流↑をプラスして何とか適温に調整しました。
おぉ、裏技発掘じゃ。
名付けてノジバシリ((ノジリ+地走り)÷2)

この時はこのパターンで済みましたが、
私はまだこの新しい機構の水の動きが読み切れていません。
今までの経験でカバーできることと1から覚え直さなければいけないこと、
対処法の実効性は今のところ半々てところです。
1年経てば少しは慣れるのだろうがね。



また今週に入って、白布界隈はかなりな悪天候に見舞われました。
雨はザーザー、風はビュービュー…
こういう天気の後は大概沢の水が荒れ狂います。

とうとうノジリ君も詰まりました。
案ずるな、想定の範囲内だ。



ジョイントになっているバルブ部分↑はほんの少し管内に段差があり、
そこに落ち葉が引っ掛かったのでしょう。




迷うことなく接続部をフルパワーでこじ開けて(もちろん素手)、
中の葉の塊を除去。よいよい。水流復活。

さて、よく見ると沢の水が少なくなっています。
休館日明けたばかりだし、いい加減アシゾーの方も水通しを良くして
おかなければ。というわけで三十三観音へ。




…やっぱり詰まってる(見えます?写真中央寄りの白い網が取水口です)
ていうか詰まってるってレベルじゃない。

ここでもパワー全開で作業開始。
オラオラオラァ~取れとれ葉っぱァ!!!!



取った。
いやぁすごい量。
落ち葉の山だよ。半年後には見事な腐葉土になるだろう。

実はこの沢で落ち葉取りをする時は、取水口周辺だけではなく
少し上流の滝から沢のあちこちにたまった葉を丁寧に取り除いていく
作業が必要です。






(↑うっかり手袋忘れたまま沢の落ち葉取りしてますが、見えない所に
栗のイガが隠れている場合があるので良い子は真似しちゃダメよ。)

なんで上流の沢まで?
放っておけばいいじゃん別に!と思われるかもしれません。
でもそこが大いなる落とし穴。
なぜなら、ひとたび雪が降ればこの沢は完全に雪の下に隠れてしまい、
来春まで一切落ち葉の除去ができなくなるからです。

今は全く雪がないので容易く沢に入って落ち葉を取り除けますが、
真冬にはこの取水口周辺には深さ約2mの壁がそそり立ちます。




↑いつぞやの真冬の取水口。
水底が、見えぬ…!!

この状態で一度気温が緩んで水かさが増すと、
上流からの落ち葉の塊が一気に取水口になだれ込み、
奈落の底(笑)で葉の詰まりようがどえらいことになります。
それこそ井戸に潜るようなキツイ体勢で取水口↑に降り、そこから
落ち葉やら水を含んだ重い雪の塊やら汲んで取り除くわけですが、
マジ容易ではありません。
湯守なりたての冬はこのせいで何度泣きを見たことか。

秋の終わりに何度もタヒぬアシゾールートも放置せず定期的に
メンテナンスしなければいけない理由はここにあります。
すべては真冬のジゴク対策のため。

さて、ここまでやってもまだ沢の水が足りない。
大樽川本流は爆流なのに。
ということはもう一つ上にあるバンカーが怪しい。

というわけで、
さらに沢を登りやってきたのが旧国民宿舎の敷地内にある沢上流。



入口は写真左寄りの木の枝の間。この道なき道を只管(ひたすら)登れ。
レッツらごーごー。




たどり着いたここの水路には落ち葉を受け止める網
(というかごつい鉄柵)がかけられています。
ここもまぁ秋は落ち葉が詰まる詰まる。
今日は脇から溢れるほどの水量もなかったおかげか周囲は水浸しでは
ありませんでした。
とりあえず葉っぱ取る。



取った。
水が氾濫して勢いマッハのときはこの作業、
全身ずぶぬれになる覚悟で挑まなければなりません。
作業中いつ顔面水ブシャーされてもいいようにメガネも外しましょう。
マスク?んなもん要るか!!
メクラになっても構うもんか。どうせどこもかしこも視界も濡れるんだ。
もう慣れましたが…。

さて…まだ水が少ない。
これはさらに上流に行かなければいけないやつです。

というわけで、
風呂掃除を終えて一服していた師匠倉ちゃんを無情にもとっ捕まえて、
東中西屋すべての水源地である上流の堰堤へ強制連行一緒にハイキング。



倉「#$%&’+*、オメーはよォ、¥&%#」



距離はそうでもいなんですが、
落ち葉に足はとられるわ、道幅はほぼないくらい狭いわ、
けっこうハードなコースです。



道=水路、といった感じのルートです。



倉「&$%#*…」

道中倉Pの小白布弁解読に四苦八苦しているうちに・・・
ハイ着いた。





ここが三十三観音沢の大元の取り入れ口です。



おお、ここも詰まってる詰まってる。
えぇ、作業しますよ。
今日何回目だよ。




はい取れました。
これで三十三観音もガンガン水が来ているはず。

往路の足場がきつかったので、
帰りは川を横切って若女平(わかめだいら)コースを下ってきました。



↑この対岸の川沿いが若女平コースです。



この日は天気が穏やかであった。



しかしまぁ、長雨の影響とはいえ山道が小川になってるとかウケる。
冬場もここを歩いたことがありますが、天候によっては遭難コースです。
一人では危険すぎるので良い子は必ず誰か大人と一緒に行きましょう。



さて、漸く湯桝に戻ってきました…って、



行きがけにサンダーバードの代わりに水路にかけていた
高木ちゃんがいない。
どこ行った?
まさか銀魂トリオみたく誰かに持ち去られた??!!

焦りまくって探していたら…




あ”ーー!!!
桝の中に!
高木ちゃんが!!
沈んでるwwww!!!

さてはさっき一気に増量した水の勢いで吹き飛ばされたな。
細木さん乗せとかないと高木ちゃんですらこれだもの。
水圧おそるべし。
てかアイドルドザエモン。
なんか…咄嗟に思い浮かんだ物騒なネーミングですが、
妙にツボで不覚にも笑ってしまいました…我ながらイカれてる(笑)
いやこれ以上いじったらいかんな。
葵君が不義遊戯(ブギウギ)ステップで飛んできそう。

はぁ、ご心配なく。




高木ちゃんは愛用の鳶口(とびぐち)で即救助です。
勿論この後きちんと温度も調整して、とりあえず正常運転に
復帰させたのでした。
ここまでの所要時間∞。



めでたしめでたし…(いつまでもつかな…)。



さて、この鳶口、もともと主人が消防団で使っていたものでしたが
勝手にかっぱらいました。私の湯守マストアイテムです。
本来は木材の運搬時等に使う道具ですが、



ホースを手繰り寄せたり、急峻な流れの先にあるノジリ君先端↑の
落ち葉を除去したり、杖代わりにしたり
足場の代わりにしたり…もう大活躍。
もし壊れたら、誰か恵んで下さい。140㎝くらいの長さがいいな♡
あー、冗談です(笑)。
ともかく、これと湯温計と懐中電灯は欠かせません。

…おのれ何の職業だ。

だめだ終わらん。さらに続きます。



まだ続きそうなので今日の1枚

"Boheme"

Deep Forest(1995)


(YoutubeでFreedom cryのMV視聴!↑
なかなかドラマチックだよ。)



裏山の落ち葉がどうしようもなく恨めしくなった時に聴くやつ(ウソ)。
ディープフォレストの2ndアルバムです。
東ヨーロッパ地方のロマ民族(ジプシー)のテイストを取り入れ、
全体的にしっとりエキゾチックな雰囲気にまとまっています。
8曲目のFreedom Cryが当時ホンダの…何だっけ…車のCMに
起用されたことで、彼らの日本での知名度が↑↑になりました。
特にMarta's Songが好きです。
紅葉の景色は皆さんにとっちゃロマンチック絶景だと思いますが、
私と彼らの付き合いは四六時中泥水試合なので、せめて音楽でイメージ
補給します(笑)

2021.10.30

米沢のいい所あれこれ 【第37回:「ラグパティ」】




のどかな秋景色の中、スタッフ一同馬車馬の如く働く日々。

番頭コバちゃん「アレ、〇〇〇〇って亡くなったべ?」
私「なんて?」
コバちゃん「〇〇〇〇」
私「誰?芸能人?」
コバ「なんだ知らねぇんか、元議員だでホレ、こないだ#$%&しったな」
私「は、銀行強盗?!」
コ「あ"?なんだ女将耳詰まったが、「全国放送」だデバ、ゼンゴクホーソー!」

…ごめんねコバちゃん、私は耳ダッチョじゃない。
でも何回聞いても#$%&が「銀行強盗」にしか聞こえなかったんだ。
絶妙に母音だけ合ってて内心笑いが止まらなかったのはここだけの話である。

結論:小国弁ベリーハード。



スカイバレーがフライング通行止めになっても、ザ・多忙!
今日は能書きなし(ウソ、めっちゃ書いた)で参ります。
米沢いい所あれこれシリーズ(まだ生きてる!)
第36回目は、全国各地よく似たお店があったりなかったり…
謎の横の繋がりインド料理屋さん、
もといみんな大好きナン付きインドカレー。
米沢オリジナルじゃないけど私の個人的なイチオシである
市内の名カレー店「ラグパティ」!!





ラグパティは米沢や南陽、福島県会津若松市にも同名の店舗を構える
インドカレー屋さんの一つです。
上杉神社の向かいにも「シバヤ」
(シバ屋…シバ…もしかしなくてもあの「シヴァ」屋?)という名の
姉妹店がありますが、ラグパティの方が先輩株。

どのお店も「インド人が作るインド料理
が謳い文句で、お店に入ると、日本語に堪能なインド人店員さんが
にこやかに「いらっしゃいまシェ」と独特の柔らかいイントネーションで
声をかけてきてくれます。



↑店内の様子。

メニューは全店共通ですが、シバヤより金池版ラグパティの方が
内装的にもイン度高め。ちょっと前までは、店内に設置されたテレビで
延々とインド映画が流れていました。
映画っちゅうか大概見目麗しい男女が歌って踊って愛を語っている
タイプの…PV?当然言葉はちんぷんかんぷんですが、オチもなくひたすら
イイムード全開の舞踏模様が静かな店内に延々流れる様子は実に
シュールでツボでした。
しかし最近は普通に日本の民間放送を流すようになってしまった…
ちょっと残念?



↑お店の外に貼られたメニュー表。お店に入らなくても
何を提供しているのか分かるところが粋。

いつもこちらのお店に行くのは昼時なので、食べるのはほぼランチ。
ラグパティはランチコースが充実しています。
メニューは固定ですが、辛さが選べるうえにバリエーション豊富なので、
決して飽きることはありません。

いつもならサグカレーのチキン(中辛)を選ぶのですが、
この日はコラム紹介を兼ねて「スペシャルランチ」をオーダーしました。


どーん。

直径約30㎝の楕円型銀盆からはみ出るようにど載ったナンが圧巻。
ナンの上に載っているのはタンドリーチキン。これ好き。バリ旨。

スペシャルランチのカレーは2種類あって、一つ(右)はバターチキン、
もう一種類は5択で選びます。今回はホウレンソウキーマをチョイス。
(右から2番目の緑色。
一番左、同じサイズの銀皿にはかわいいサラダが付いています。
これだけの量が並ぶと「食べきれるか?」と思えますが、
これが意外と感触で着ちゃう。
小食の私でさえイケるのでご安心を(ただし夜はほぼ抜く)!

確かに少なくない量ですが、現地の方が作る本場のカレーだけあって、
とにかく香辛料の味と香りが素晴らしい。身体に染み入る美味しさです。
まさに薬膳。



↑メニュー表の中にある香辛料の解説はなかなかためになります。
待っている間に読むよろし。

焼きたてでほかほかもちもち、ほんのり甘さを感じるナンが、
とにかく単品で食べられる美味しさで、これだけでも病みつきになりそう。
他にもほうれん草を練りこんだグリーンナン、
チーズを包んだチーズナン(カロリーヤバい)、
単品スイーツにもなるチョコナン!!なんてのもあります。

そして嬉しいことにこちらのお店、殆どのメニューがテイクアウトできます。
セットメニューが圧倒的に人気ですが、「これ何だろう?」みたいな
単品メニューを敢えて注文してみるのもありかも。
まだまだコロナの収まらない今時分、行ったつもりでインド気分はいかが?
また、最近ではこんな張り出しメニューも登場しました。



駐車場に設営された告知ポスター。振るっています。

左から順に、「Get Nan Free」
カレーをオーダーすると、なんと替え玉ならぬ替えナンが食べられるという
胃力自慢の方に朗報の巻。あの1枚につきごはん茶碗3~4杯分の
エネルギーボンバーを無料でお替りできるチャンス(?)です。

真ん中は「「晩酌セット¥890-」
インド発の「BANSHAKU SET」だけに、
つまみのパパドが未踏の異国情緒(と食欲)を誘います。
豆や米粉を使ったクラッカーみたいなやつです。美味しいらしい。
ババガヌーシュではない。

そして右。「アーユルヴェーダインドラーメン」
アーユルヴェーダ・印度(インド)・拉麺(中華)。
・・・アーユルヴェーダ、トリ・ドーシャ。

心を無にして王様が直訳すると「生命科学インドラーメン」。
マジか字面の破壊力。このメニューを見た時何故か
「行けレインボーマン」が脳内再生されたのは絶対に気のせいです。
ちょっと気になる。
どなたかぜひチャレンジを(自分じゃないんか)!!

アー、すみません。悪癖でつい脱線しました。







最後にご紹介するのはインド本場のレシピによる手淹れチャイ。
これがめちゃ美味しい。本体はお砂糖が入っていないので、
既製品のような甘ったるさは全くありません。
お茶本来の香りとミルクの濃厚な味わいが楽しめます。
(甘さが欲しい場合はお好みでスティックシュガーをどうぞ!)
特にこれからの季節、食後におススメです。
いかがでしたか?
ああ…忙しい秋の行楽シーズンが終わったらまた行こう。
インドラーメン食べよう…。
食べたらきっとダイバ・ダッタの境地に至れるに違いない。

【ラグパティ(米沢店)】
〒992-0017 山形県米沢市桜木町2-76 
Tel 0238-24-3363 
営業時間 11:00~15:00 17:00~23:00
不定休? 
第2、第4火曜日はランチのみ営業。 
駐車場 お店の周囲に駐車スペースが3台分ほどあります。
ただし交差点の角でかなり駐車しにくいので注意。


今日の一枚 

”シルクロード(絲綢之路)”

喜多郎(1980)

↑「絲綢之路」のライブ版を見つけました。さすがようつべ。


NHK特集『シルクロード』のテーマとして作曲された、
知る人ぞ知る超有名な曲。
中国長安から第2部の最終回ローマまで、シルクロード(主に
西域の天山回廊とよばれるルート)を文字通り横断しながら
各地を紀行していく番組で、かなり人気だったためか何度か
リバイバル放送されています。当時の珍しい中国国内を遍く
取材した第1部のサントラとして作曲されたこのアルバム。
地域色というか仏教的な癒しオーラが全開です。
シンセサイザー100%ですが、優しい旋律が心を洗い流して
くれます。「飛天」「永遠の路」とか個人的に好き。
実は中学受験で心が折れそうだった時に何度も聴いていました。
周りの友達がB’Zだリンドバーグだ聴いている中で。
つまり、この頃から音楽の推しジャンルがヤバかった。

…悪癖封印(2回目)。

ていうかインドじゃないじゃん!
いいんだよ、インドのブッダガヤは仏教の発祥地だよ?

インドってばシルクロードから微妙にずれてんじゃん!
違うんだな、シルクロードには複数ルートがあって、
海のシルクロードは香辛料の主要ルートだったんだよ?
要はカレーのルーツよ!!?

ほら~ちゃんと今日の話題に繋がったじゃないか(強引w)。

2021.09.30

閑話休題 ~支離滅裂な小話種々 1~



今年の十五夜は美しい満月でしたね。
月も星もあんまり綺麗だったので、
涼やかに鳴く秋の虫の心になって写真を撮ってみました。



本当はお供え(とお夜食)用に月見団子を作りたかったけど、
どうしても都合が合わず断念しました。

白布のこの山間でいつか実現させたい。
毛氈敷いて、団子を三方に載せて、一番上は黄色く染めて、
お気に入りの花器にススキやリンドウを飾って、
拙くも零れ出る思いの丈を歌に綴って…
空の彼方に幾星霜。
人々がそうして移り行く時を愛おしんできたように。




(iPhone&Photoshop)
あぁ、まだまだ使いこなせない。



時と所変わって、昨日の我が家にて。



娘「お母さーん、なぁにこの漬物。」
私「漬物じゃないマーマレードだ。」
娘「だって中身キュウリだよね?」
私「キュウリじゃないかぼすだ。」

九州にお住いの常連さんから贈って頂いた箱一杯のかぼす。
悪くならないうちにと全量投下でマーマレードを作りました。
季節柄、秋刀魚に添えるとか土瓶蒸しに添えるとか色々活用方法も
あったのですが、貪欲な私はそんな料理に思い至らなんだ。
ひたすら、その美しい深緑色の皮ごと味わいたかったのだ。

しかし、何時間もじっくりと火を通して出来上がった頃には…



どうしてこうなった。
そりゃ漬物と言われても仕方ない。
かたやキュウリの佃煮と言って出されたら、多分口にしない限り
10人中100人は騙されるだろう。



どっこい食べてみると、これがもう見事にマーマレードなもんだから
(しかも我ながらなかなかウマい)、視覚と味覚の情報ギャップが
すごすぎて脳みそバグりそう。助けてヅラ。

小太郎「ヅラじゃない桂だ。」




↑ちなみにもとはこんな色でした。
「実物じゃないじゃん!」なんて、その通り過ぎるツッコミは勘弁ね。
結果を急ぎ過ぎて、ビフォーを撮るのを忘れました。大失敗。
仕方がないので箱のかぼす絵を記憶の限り原色に近づけてみました。




またまた時と所変わって、今朝の調理場にて。

調理場の奥にある、この間新しい直管に取り換えたばかりの非常灯。
それを見上げ、なぜかあの倉ちゃんが来館早々水筒に
水を詰めながらクックッと笑っていました。
なに怖い。
既にいつもの腹筋崩壊の予感しかしない。

倉「オーw 新しくしたんかこの電気ッへッw
オメーこの間までコレオメー、くたびっちゃ夜のネオンみたく
パッカァーーン、パッカァーーンて言ってたやつよぉw」

…おぅ倉ちゃん、何が面白いんだ倉ちゃん。
てかなんだそのオノマトペ。相変わらずツボがよく分からんな。
なのに…なのにどうしてこうも草が伝染するのやら。
無理に笑いを堪えようとすると御厨子所の誰かさんぽくなるから
ホント、ねぇ、勘弁してほしいのにw

私「ヒヒッ、てか倉ちゃんそういや今日も女物ズボンじゃんねw
意識して見てるとそれ履いてくる頻度高いよね、ケヒッw
気に入ってんの?w」

倉「そりゃあオメーwこいヅ腰回りあったかくて気持ちいんだど、
前がねェから社会の窓も開かなくていいんだぞぉヘッヘw」

会話が成立してなかろうと、草が生えまくろうと全く気にしない。
師弟は今日も正常運転である。

クレープ宿儺「ザクザク楽しい♡?」
もちもち楽しい!!!(なんかもうヤケクソw)


ネタ切れをいいことに、好き放題ろくでもない話題を投げ込みました。
なんでかな、西屋のコラムって分かっててどーうしてもマジメに書けません。
手書きでこれらの文章達筆目指して下書きするとさらにシュールさ5割増し。
どのみち下書きだから私しか見ないんだけどね(汗)
やっぱり性根が曲がってる?

否、マジメにフザケているだけだ!!

…今日のコラムホント支離滅裂ですみません(笑)
(元ネタ…銀魂、森永怪盗クレープ(というか中の人(笑)))




今日の一枚

うわぁ。こんなぶっ飛んだ話題でもこのコーナー入れちゃうんだ。
意訳:実はめちゃくちゃ疲れています。私は癒しが欲しい。

中国二胡十大金曲(二胡独奏)

华夏乐团(華夏樂團)(1997)


(↑画像をクリックすると、4曲目に収録されている
「山村变了样」という曲がようつべで視聴できます。
文字化けしたらごめんなさい。
「山村変了しょう(「木」へんに「羊」)」??)


日本でもメジャーな中国の民族楽器、
二胡による伝統音楽を集めたアルバムです。演奏しているのは
中国の古式の音楽をレパートリーとする楽団です。
表記は簡体字ですが、無理やり繁体字にすると「かかがくだん」
と読めます。Google先生のもとで直訳するとチャイナオーケストラ。
…あー、ちょっと範囲が広すぎて要約できません。
だれか正しい発音教えて。
二胡の独奏は刘雨声さんというお方。これまた発音不明。
まるで日本語の情報がない。

よく混同されがちなのですが、二胡は「和楽器である胡弓」とは
違う楽器なので要注意です。同じ擦弦(さつげん)楽器で、音色もまぁ
似てるっちゃ似てるけど、ルーツも形も素材も違いますからね。
二胡は皮がニシキヘビ、胡弓は三味線に似た形状で、
素材は猫や犬の皮を使います。個人的に二胡の方が高貴な音色が
すると思う(胡弓ごめんなさい)。

話が逸れました。
こちらのアルバム。

独奏または古琴(こきん)とのアンサンブルを主とする構成で、
二胡の魅力を余すところなく堪能できます。哀愁ある独奏も
すごく味がありますが、古琴とのアンサンブルもすごくステキです。
特に1曲目の「二泉映月」は20世紀に作曲されたものですが、本国では
二胡の代表曲の一つとされているそうな。
国籍を問わず、こういうゆったりした曲が大好きです。
民族音楽全般が好きですが、腹の底から踊るタイプではなく、
幾千年経とうとも人の心に共感を呼び覚ます不変の想いを歌うような
曲が好きなんだな。書道界に名だたる中国古典臨書のお供にもグー。
これまたいい字が書ける…ような気がする(笑)

全曲通して紡がれる優雅でゆったりとした旋律。癒されます。

2021.09.16

愛すべき師匠。



『師匠!うちの風呂場にルルイエが!!』




当コラムでも話題に取り上げた7月の湯桝工事。
お湯を完全に堰き止めて作業しましたので、当然湯滝風呂も数日間
温泉が流れず、そこには異様なほどの静けさが満ちていました。



白布温泉は自然湧出の温泉です。人為的に流れを止めることはできません。
湯量も莫大で、たとえ掃除で栓をMAX抜こうとも、常に湯量が流出量を
上回っており、浴槽の底が丸見えになることはほぼありえません。
ゆえにこれは数年に一度も観ることができない貴重な光景です。



色といい素材といいまるで遺跡。
大きな御影石のパーツがそれぞれぴったり嵌っているのが分かります。
300年以上休みなく激しい量の温泉を受け続けてなお現役なのだから、
当時建造に携わった職人さんの技術の高さが伺えます。

よく誤解されますが、色が黒いのは何センチも積もって固まった
温泉の成分です。ストロマトライトだと思ってくれ(違)。

・・・

そんな西屋のお風呂を毎日デッキブラシでゴシゴシ磨きあげ、
源泉や水回りの管理も含め半世紀近くにわたって一手に
担ってきたのが、番頭の倉ちゃんです。



本名倉吉。御歳81歳。
西屋先代からの愛称が倉ちゃん。老いも若きもみんな倉ちゃん呼び。
他でもない、私の湯守師匠です。

倉ちゃんは西屋家の先祖の出身地でもある関は小白布在住。
一言で表すと「食えないジイちゃん(いい意味で)」。

とにかくマイペースで、距離感がおかしくなるほど人懐こい性格です。
生粋の小白布弁使いのため訛りがキツく、実はコミュニケーションを
とるのは一苦労。なのに、ひょっこり会話に混ざってきたかと思ったら
それこそいきなりボケをかましてきてくれるので、誰もツッコんで
あげられない(から自分でツッコんでは楽しそうに笑っている)という、
ある意味すごくすごーく貴重なタイプです。
お互いに会話がズッコケるってどうよ。

かと思えば、たまにしれっと女物の服を着て仕事に来たりします。
曰く、「タンス漁ってたら出てきた」。
いや待てそれどう考えても奥さんのだろう。
ラメが入ったカーディガン着てきた時はさすがにどうしようかと思ったわ。
それこそツッコみどころ満載なのですが、「なに、まだ着られっドレ」
と真面目にニコニコ返されちゃえば何も言えまい。
(ちなみに↑の写真で身に着けているズボンも、前ポッケに小花の刺繡が
入っています。フツーに似合っている…。)

またあるときは、緩くなったズボンのベルト代わりに
「まだ使える」というただそれだけの理由で、壊れたカバンの
肩紐、果ては自転車のチューブまで巻いて来たこともありました。
要は勿体ない精神の鑑なのだ倉ちゃんは。
なぜか腹回りにかけての装備が半端ない。イカしてんね!と声をかければ
「拾いモンだぁ」とあっさりタネ明かししてくれ、それをちっとも
恥ずかしいことだと思っていない。
時々上にはみ出る腹巻がどう見てもバ〇ボンのパパ。
ちぐはぐだよ倉ちゃん!!!さてはその腹巻に括り付けたずり落ち防止の
紐も、この間ぶっちゃいたシーツだな(笑)!!

…なのに、これら全部ひっくるめてなお"何この可愛い生き物"。
…そう思えてしまう謎のビジュアル補正が毎度展開されるんだから
わけがわからん。その上「頑丈でいいんだぞぅ」と満面の笑みで
アイディアマンアピールされたら、あとはもうひたすらあたたかい目で
見守ってあげたくなっちゃう。

そんな愛すべき珍獣のような倉ちゃんですが、
毎日休館日以外は必ずお風呂を手際よくピカピカに掃除してくれます。



↑見て下さいな、この人懐こい笑顔。もうね、大好き。

「なんだオメー、俺の写真そがい撮って、アルバムでも作んなか?」
…いや作らんけど!



びしょぬれになるし、水圧もかかるしなかなか重労働にもかかわらず、
手際の良さは申し分なく、掃除後のお風呂はいつもピカピカ。



中庭を流れる排湯の通り道もデッキブラシでくまなく掃除してくれます。
慣れたものです。半世紀のキャリアは揺るぎません。

お掃除だけでなく、湯滝風呂の管理の仕方はもちろん、
温度の調整の仕方、館内の源泉の配管やら水回りの点検方法やら、
すべて倉ちゃんが伝授してくれました。地形に詳しく、力仕事から
ちょっとした修理から大工工事からなんでもこなせる倉ちゃんは
みんなから頼りにされてきました。

まだ湯守に慣れなかった頃、三十三観音の水が極端な少雨でピンチに
陥った時に一緒に現場に来てくれてたことがありました。困り果てた
私に倉ちゃんはホースや土管をかき集めてきて、いつもの調子で
「その辺の物何使っていいんだぁ」とのんびり宣いながら、あっという
間にあちこち継いで水不足を一気に解消してくれました。

その姿を見た瞬間、私は彼を「師匠」と仰ぐに至ったのでありました。
倉ちゃんの持てる経験と知識(と使えるものは拾って使え!魂)は
確かと私に引き継がれました。
彼無くして今の西屋の風呂(と野尻NA(笑))は存在しえません。

ご機嫌斜めでぶすくれることもあるけど、「元気出そうね」と大好物の
饅頭を渡しながら声をかけばたちまち喜んでくれたり、
普段着物を着ているのに「なんだ、オメカシしてどっかお出かけか?」と
すっとぼけてくれたり。無自覚なまま人の懐にすっと入ってきてくれます。
前世はきっとたくさんの人に愛された柴わんこに違いない。

正真正銘西屋のアイドル的存在です。

西屋のスタッフみんなに愛されている倉ちゃん。
私の大切な師匠。
これからもよろしくね☆






今日の一曲

"明けの方から"-「マヨヒガ」より

姫神(1995)

(リンク先はようつべへ!!)

個人的に倉ちゃんのテーマと言えばコレ。
「神々の詩」で大ヒットを飛ばした岩手発民族系ミュージシャン
姫神のアルバムから。姫神に詳しくなくても、昔々放送されていた
「日本全国各駅停車路線バスの旅」シリーズのBGMと言えば
「ああ、あんな感じの曲」と思い出してもらえるかもしれません。
シンセサイザーを巧みに取り入れ、どこか懐かしい民謡を思わせる
独特の旋律は、後の風の縄文シリーズに引き継がれていきました。
所々歌詞がよく分からないところも倉ちゃんぽくていい(笑)

2021.07.31

湯桝と水路の工事のこと 2


たまに下山した時のささやかな楽しみ。 


セブンイレ文のキリマンジャロブレンドがうんまいです。
本命は素タバですが、どうしても寄れない時(が最近多い)はいつもこれ。
キリっとした苦みとコク味がたまらない。ブラックコーヒー一筋365日。



さてさて、なんだかんだで予定通り無事終了した湯桝改修工事です。



はい、ピッカピッカ!…に見えなくてもピカピカなんだ感じてくれ!!

湯桝は生まれ変わったのでこっちは当分の間大丈夫。
間違って蹴りを入れてもまず壊れないでしょう。まぁ絶対蹴らないけど。

…ただ、ただね、実は私、心配していたことがありました。




こいつ↑ 桝の後ろの貯水タンクことアシゾー君の方。

細いバルブ一本で、本当に58度の源泉を適温に調整できるだけの水量が
賄いきれるだろうかという漠然とした心配。
そもそも安定した水量を確保し、低い位置にあった水受けの場所を変える
ために今回アシゾー君が投入されたわけですが、アシゾーの場所も
出来上がった配管ルートも、実際は私の想像とだいぶ違っていました。




あまりにも密閉された、臨機応変できないガチガチの固定水路で。

もちろん計画の段階で湯守なりの視点から色々希望や意見は伝えましたし、
それが理解されたと思っていたし、出来上がったものに対して
施工依頼主側が今更こんなこと言っちゃいけないのは十~分わかって
いるんですが…。
ちょっと私の中では「こんなはずじゃなかった」感が拭えなかった。
本当に今更。
自分の名乗る「湯守」というスタンスが、いかに微妙で言語化しづらい
世界だったのかをこの時ほど思い知ったことはありませんでした。





左、バルブ。右下、ノジリ君(のバルブ)。

施工段階でノジリ君だけでも旧体制のまま残してもらったのは正解でした。

誰だノジリ君て?

このコラムでは「オマエ友達か?」くらい何度も軽いノリで紹介しています。
ていうか私にとっては友達みたいなもんだ。



↑過去コラムに載せた画像より。懐かしの旧桝にて。
①は三十三観音オーバフロー、
②はノジリ君より使用歴長いのに使い勝手悪くてノジリ2号。
因みに②は今春の裏山土砂崩れでほぼ使用不可に(爆)

かつて土砂で貯水槽が盛大に詰まった時、苦肉の策で
湯桝の脇の急斜面を流れ落ちる沢の途中に括りつけてもらった
援護射撃ホースがノジリ君(設置してくれたベテラン職人さん
の名がまんま野尻さんだったのがネーミングの由来。ベタ!)。

まさかそのまま5年も召喚しっぱなしになると思わなかったよ
万年ピンチヒッター!このノジリ君実は非常に優秀で、
桝のすぐそばで自在に水量の調整ができる上、
山の水が何らかの原因で減少したときの補助要員になり、
雪解けや紅葉の季節など、三十三観音ルートがほぼ機能しなくなる
時期はノジリ君が冗談抜きで唯一の生命線になってくれるのだ。



写真↑は落葉ピーク時の様子。桝のふちに先端を乗せて、桝に入る
水量を(かなり強引に)調整していました。自然落差の
水圧をナメるな。台風の後で沢が増水した時だったのでかなり
えげつない出方をしちゃってますが、同時に後ろのオーバーフローが
落ち葉で詰まってほぼ用をなしていないのが見て取れます。

正直ノジリ君がいなけりゃ春と秋は乗り切れません。
口径が6㎝とそこそこでかいので詰まりにくいのが心強い。
大雨の時は透明な水でなくほうじ茶(?)やらカフェオレ(!?)やら
運んできてくれたりもしますが(しかも無料サービスときた(笑)!)、
湯守だって24時間お風呂に張り付ていられるわけじゃありません。
細けぇことはこの際不問に処す。
そんな奴です。
改めてお見知りおきを。

アシゾーが来る前の西屋のお風呂調整は、
このノジリ君と三十三観音フローの2つを使い分けて行っていました。
基本的には後者の豊富な水を駆使していたわけですが、




例えばひどい日照りの時は裏山のどこぞで拾ってきた極限野尻NA
(直径15㎝のゴン太塩ビ管…元ネタはFF7)を大胆にもそのまま突き刺し、
はたまた大雨で水が濁って単発コントロールが不可能そうなときは、
近年新調したばかりの直管補助ホース:太(直径6㎝)・中(4㎝)・
細型(3㎝)の『銀魂』トリオ
(ノリで太いのから順に銀さん、新八、神楽と名付けていました!)
を使い分け、その辺に落ちていたホースに至るまで諸々自由自在に繋いで
おろぬいて、千変万化の気候変動に対応してきました。

ていうか写真がない…新八と神楽見えにくいけど最前線にいたんだよ…



これらは全て、水がめに溢れるほどの豊かな水量が届いていたからこそ
できた芸当でした。
しかし今は…



その豊富な三十三オーバーフローの出口が、湯桝より低い&射程距離が
短か過ぎて全く調整に使えない残念なインファイターになってしまった。
心なしか先端がうなだれているようにも見える…

ただのホースをどこまで擬人化するつもりなんだ私は(笑)

これを再び活用するとしたら、アシゾー君のオーバーフローを湯桝以上の
高さくらいの鼻っ先で思いきりぶった切るか、何らかの方法で単騎バルブと
役割を交代して温泉への供給量を増やすしかない。
まぁぶった切るくらいなら私でもできそうだ。電動のこぎりで。
ついでに同じ口径の配管をゲットして湯桝のいい場所まで水を引くとか。
いいね。やってもいいかな?あー、でもダメだよねそうだよね。
いくら私でも、新設したての配管を勝手に切り刻むなんてそんな真似でき…
気が触れたらやるかも…まぁ社長が真っ青になるからやらないけど。

実際アシゾー導入後10日も経たないうちに梅雨明けの日照りが山の水源を
直撃し、激減した水量を十分に湯桝に落とせずあっという間にお風呂の
温度が熱くなるという発狂したくなる状態が発生しました。

ほれ見ろ予想が当たっちゃったではないかー!!

やっぱりバルブ単騎じゃ歯が立たなかった…
ノジリ君もこの時はさすがに水量不足で沈黙していたし。

仕方がなくて、急場しのぎでアシゾーの上蓋をこじあけて半ば無理やり
ホースを通し、サイホン式で場外垂れ流しだったオーバーフローの水を
一部湯桝にバックしていました。



見た目はひどいが仕方なし。
しばらくそうして口から「エクトプラズム」を吐き出しておけアシゾー。
そう呟いて、私は無情にも放置プレーを敢行したのだった。台風来るまで。

この時はそれでも温度調整が追い付かなかったので、ついでに湯桝の底にある
源泉バルブを開けて相対的に湯量を落とすという苦肉の策で、どうにか
こうにか温度を保っている状態でした。アシゾーがさすがに不憫だった。

しかし何よりも解せぬのは、この工事の前後なぜか野尻NAと新八が
行方不明になり、(私の見間違いでなければ)銀さんはいつの間にやら
切り刻まれてアシゾーの一部に吸収合併されているし、
神楽だけがぽつねんと奥の石垣に取り残されていたこと。



↑神楽と元からあった補助ホース、これしかもう手元に残っていません。

ホラーすぎる。
ブレアウィッチプロジェクトすぎる。

私はっ、我慢しているのにっ。
転がってたホースは切るんかい職人さぁあああんw!!!




ちょっとぬるすぎる、ノジリ君を細くして水量を確認する、



いきなり熱くなりおった。バルブを開く、



ノジリ君付近には上がり湯に通じるホースがあるので
暴発厳禁(いつか場所変えよう)。両方微調整。水の総量を変えず
温度をさらに微調整…(?!?)

※ノジリ君とバルブでは水の落ちる俯角も場所もまるっきり違うので、
一緒くたには扱えません。湯滝にもたらす効果スピードが違います。
即効性があるのはノジリ君、後からじわじわ来るのがバルブってとこか。
口径は同じだけど別物だと思った方がいいかもしれない。
使い方次第ね(独り言ですぶつぶつ…)。




そして時間をおいて再び温度測る…

なるほど分からん。
今まではずっと勘とフィーリング9割、視覚情報1割で作業していましたが、
今後活かせる経験があるとすれば気温と水圧・水温くらいかなぁ…
新しい湯桝には、以前と違い温度に差をつける仕切りがありません。
水と温泉がそれぞれ流れながら桝全体で複雑に攪拌していく過程を把握
せにゃいかん。
水を落とす場所は動かせないから、つまりアシゾーたちとは
ひたすらロジカルに付き合わなきゃいけないわけです。
え?エントロピー?散逸構造?うぉおおあ超ニガテ。
今のところ自覚レベル3くらい。弱~…。



とはいえだ、
私は湯守ですから。
ここのお風呂はれっきとした温泉で、水も無濾過の山の水そのままだから。
少しでも人の手が入った水道水なんぞに頼らずとも常に適温で、気持ちよく、
できれば長くゆっくり入っていただきたいといつも願っています。
例えば水が足りないからって、本来有難い恵みであるはずの温泉を直前で
みすみす廃棄するなんて言語道断なのだ。
しかし先週はそれをやらざるを得なかった。悔しかった。
何に対して?そうせざるを得ない無力な自分に対して。

ここ数日まとまった雨が降ってくれたおかげで水量は何とか持ち直し
ましたが、8月以降当分天気予報は晴れマーク。
水が少なくなる現象は分かっていても脅威です。
やっぱりあのうらぶれたインファイターを無理やり再稼働させるか?
エクトプラズム抽出ホースを増やすか?
まだ今の桝と付き合い始めて半月弱。
ブラックコーヒーで苦みと癒しを味わいつつ、暗中模索の日々は続く。


今日の一曲 

"Mike Oldfield's Single (Theme From "Tubular Bells") "

Mike Oldfield (1973) 


(↑Youtubeのマイク公式ページにジャーンプ。)

イギリスのミュージシャン、マイク・オールドフィールドの
1stアルバム。リリースからもうじき半世紀!!!!
ジャンルはプログレッシブ・ロックにカテゴライズされている模様。
このチューブラベルのアルバムでは、映画「エクソシスト」の
主題歌になったパート1の冒頭が超有名。ですが、
私が一番好きな曲はこの哀愁漂う3曲目です。パート2のモチーフを
ノスタルジックに凝縮したような3分ほどの曲ですが、冒頭の
イングリッシュホルンの主旋律がいい。遠い過去の懐に帰るというか、
寂しいけど今は頑張るぞ、という気持ちになれるというか、
とにかくちょっとほろ苦い感覚にキューンとします。

湯守作業で、ある時は冬の嵐の中、またある時は秋霜に濡れた
紅葉を踏みしめつつ、一人水確保を求めて三十三観音を目指すとき、
なぜかこの曲が脳内再生されることがあります。
おかげで個人的に「湯守のテーマ」の一つにもなっていたりする、
理由はよく分からんけど「そういうもんなんだ」と自分で
納得できちゃう1曲です。
何だろうね?この気持ち。
モチーフがエンドレスなのがまさになんとも。

2021.05.10

着る桜、見送る桜 ③



↑絶賛ステイホーム中だった去年、何回も白布温泉街の遊歩道に遊びに行きました。
展望台から見える景色はまさに絶景かな。



↑一方こちらは早朝のスカイバレー。
最近、基礎体力向上のために
ジョギングで朝スカイバレーデビューしました。
標高900m~950mの高さだから、けっこう息が上がる~シビれる~
ただ景色はキレイなのに、足元は動物のウ〇コがちらほら…
なんでわざわざ道路に垂れていくんだ。開放感がくせにでもなるのか?
どうでもいいけどお前ら持って帰れやー(爆)!

ーーーーーーー

さて、着物の話でめちゃくちゃ脱線しましたが、本流①に話題を戻します。
え?てかアレ一応本流。
どっからだっけ?

『また一つ、新しい人生のコマに歩みを進めた長男の前途明るい未来を
願ったが故のイレギュラーな「桜」チョイスだった』…からでしたな。

…ふと自分の中学校時代をふと思い返してみたんですが、
だいぶ前のことにもかかわらず、驚くほど当時の情景が色鮮やかに蘇ってきます。
そんな自分がいつのまに人の親になって、中学生になった我が子の背中を
保護者席から見守る日がこうもあっさり訪れようとは。
入学式からひと月余りたちましたが、未だに夢でも見ているような、
狐につままれたような、とにかくとても変な気分でした。

中学校の3年間はあっという間です(だから大いに学び、青春しましょう)。

来賓の声で、どこかで聴いたことがある様なフレーズの祝辞を聞きながら、
それよりもその後の人生の方がマッハ坂道早送りもいいとこだよ~、
なんて一人でツッコんでいました。
時間の速さは一定のはずなのに、年齢と共に斥力でもはたらくんだろうか?
はぁ、そうかつまり人生は宇宙か。
よく分からん。



かつて中学生だった当時、親といえばまだまだ絶対の存在でした。
防波堤に囲まれた入り江の如く、よくも悪しくも世の波から
両親はじめ大人世代のフィルタリングによってしっかり覆われていました。
でも、実際自分が順送りでその防波堤ポジションまできてしまうと、
ああなんだ、別に思ってたほど「大人」でもないじゃんか、なんて。
めちゃくちゃ自分を棚に上げて呆気に取られたりして。

しかし同時に、当時その背を追いかけていた親や先達が立っていた場所に
たどり着いたにもかかわらず、いつまで経ってもその距離が縮まらない
ことに気づかされます。そりゃ歳の差が縮まるわけじゃないから当然な
わけですが、永遠に追い越せないとちゃんと理解していて、それでもなお
焦る自分もいるわけです。
実際まだまだ未熟だと思い悩むところばかりで、こんなんで本当にこの先
ちゃんと親としての務めを果たしていけるのだろうかと不安になること
しばしば。まぁ、当時の親世代も子供の前で見せなかっただけで大方
同じような葛藤を抱えていたのでしょうが。

少しずつ形や位置を変えながら、寄せては返す波のように。
毎年春になると咲き誇る桜の見慣れた景色に、それでも初めて
出会うような感動を覚えるように。

思えば、この、世代を超えて幾星霜重なってゆく日々こそが時間であり、
その見えない「地層」の上をひたすら歩き続けるのが人生なんだろうよ。

山あり谷あり、決して一か所にとどまることのない、どこか歪んだ一本道。
自分が理想とするゴールはあっても、それは旅路のはるか上空で輝き続ける
星のようなもので、地平線の先に横たわる人生の終着点そのものではない。
目指すことはできても、ゴールにたどり着くことは絶対にない。
どこまで行ってもまだまだ自分には伸びしろがあると信じて、理想を
追いかけたまま命の果てまで歩き続けていくというのは、そういう事だろうと。

時間と理想の奇妙な平行線が、人の数と歴史の分だけ思想や哲学、
果ては宗教を生み出してきたわけで。少し目覚めれば誰でも気づく、
古今東西みんなが通ってきた道。
そうおもえば、妙な不安はたちまち消えていくから不思議です。

ただ凡人は悪あがきせず、難しい言葉や詩で人生を語るのは専門家に
丸投げすればいい。いたずらに時間に抗わず、ただ静かに遥か彼方の
ゴールを目指して、繰り返し咲く桜のように歩き続ければいい。

少なくとも私は自分の人生そうありたいと考え、母が亡くなってから
残された時間を日々かみしめています。
いつか子供達にもそうして自分だけの高みに目覚め、恐れず目指して
ほしいと願いつつ。
息子の門出を「幸あれ!」と心の中でエールを送った4月のある日のお話でした。



今日の一曲

"Skellig"

"The Book of Secrets"
Loreena Mckennitt(1997)


↑非公式ですが、なかなか情感あふれるPVを見つけたので
ようつべリンクぺったん。



アイルランド・スコットランドにルーツを持つカナダ出身の
ベテランシンガーソングライター、ロリーナ・マッケニットの
アルバムから。はるか昔、実在した修道士が友人に書き残したという
書簡が元ネタです。多分わりと晩年の内容。自らの歩んできた
苦難の人生を振り返りながら、かつて通り過ぎた旅の情景や、
折々出会った愛おしい命に万感の思いを馳せつつ、
じき訪れるであろう自分の死をどうか見届けてほしい…そんな歌です。
哀愁に満ちた旋律と、ロリーナの透き通る歌声がめっちゃ沁みる。


2021.05.08

着る桜、見送る桜 ①


洗剤と柔軟剤の詰め替えをいつも間違って買ってくる
→間違えたまま容器に突っ込んで「ア”ーーーー!!!」



GWの最終日、Instagramにしだれ桜「みやえ」の美姿をUPしました。

昨日今日撮ったようにみえるでしょ?
えへへ、実は12年前の写真なんだな~。
私が撮ったように見えるでしょ?
残念。素人にこんなキレイな写真撮れんわ。

今の様子と全く同じなので、前の前のHP用に
プロのカメラマンさんが撮影してくれたものを拝借しました。



まるで窓に映された天然の錦絵。
数ある西屋商用写真の中でも極めてお気に入りのショットです。



麓はもう初夏だというのに白布はようやく桜が散り際の頃です。
ずれっずれの話題だが気にしない。

先月、長男が麓の中学校に入学しました。
コロナの影響でだいぶ中身は簡略化されたものの、
普通に保護者参加のもと式典は執り行われまして。
私は桜と雪輪の柄の訪問着を着て臨みました 。



当日の組み合わせ。
ややくすんだ菫(すみれ)色の地に、満開の桜を思わせる
一斤染(いっこんぞめ)に似た色のぼかし、金糸で縁取った
雪輪と桜の花びらの刺繍柄というシブい設え。




一方の帯は銀糸に桜の地紋。日本画のような京の春景色が
お太鼓に刺繍されています。着物は大女将のお下がり、
帯は知人さんに譲っていただいたもの、自分で買ったのは…
ん?襦袢だけ?!着物あるある安定の低予算。

分かりにくいと思いますが、桜を模した霞の色は虎杖悠仁君もとい
宿儺氏のキュートな髪の色によく似ています。加えて帯の高専ぽい五重塔etc...
フッフッフ分かるかな?
そう。実はひそかに手持ちの着物で呪術廻戦ネタを仕込んでやったのだ。
絶対バレない自信があったわ。誰特(笑)

子供の人生の節目折々、これまでに参列した入学(園)式では、
一つ紋の色無地(または江戸小紋)に黒や控えめな色柄の絵羽織を
組み合わせる、というのが私のセオリーでした。
(スーツ、本当に一着も持っていないのよ…。)
「なんて古臭いカッコだ!」と気づいたアナタはある意味相当な着物通。
なぜなら、上記の「入学式に地味略礼装+羽織」の組み合わせは、現代の
着物業界では恐らく教えないであろう昭和中期の母ちゃんスタイルだからです。
てゆーか、今となっては羽織自体がイレギュラーだろう。

『入学式には少々地味目な略礼装を。
これから子供をよろしくというお母さま方の願い、学校へのお願いの心を
表し、卒業式には、どうもありがとうございました、これから上級に、
社会に出ますという強い喜びの心を表すような、晴れやかな衣裳を。
何時の時代もお母さまらしい上品さ、落ち着きのある装いを心がけて
下さい(中略)』


1977年春号の「美しいキモノ」に書かれた、卒入学式母ちゃんの装い指南。
えー、堅苦しいっちゃ堅苦しいお上品な縛りですが。
なぜかその心得にいたく共感し、せっかくそれらしい色無地や江戸小紋を
持っているからと、今までその精神を追随してきました。

とはいえ、だ。
今の時代の着物は言うほど堅苦しいものじゃありません。
そも「身体の上に着る」という機能において洋服と何ら変わりない代物だし、
着物が持つ最低限の格(特に礼装は今も昔も厳格なので、ご利用は計画的に。)
とTPOさえ弁えておけば、別になに組み合わせようが、着方がどうだろうと
他人から咎められるものでもない。普段着なら、着物の下にパーカー
着ようが袴の代わりにGUのロングスカート穿こうが
アンティークをめっちゃ短い丈にしてパンプス合わせようがステキに映える。
着物は着物でも、そこに込める脳内カテゴリーはなんだっていいんだよ。
推しキャラの普段着が着物なら「趣味同じ~」とか何とか
しょうもない自己満足だってできる。
完璧じゃないか(笑)

そんな私の目指す着物コンセプトは「昭和ばばーちゃん(※詳細次回」。

これらを全て鑑みたうえで、今回長男の入学式ではこれまでの趣向を変え、
敢えて"訪問着"を選びました。保護者の中で誰一人和装がいなかった(ちょっと
びっくりだった)中、人知れず盛大に呪術ネタ醸したかったなんてゆーバカな
野望もありましたが、それはあくまでオマケ。
いつまでも収まることを知らないコロナの猛威を前に、「本当の春」の訪れを、
またひとつ新しい人生のコマに歩みを進めた長男の前途明るい未来を
願ったが故の願掛けが主たる理由でした。
着物はね、色や模様に思いを込めるだけでそんなドラマも醸し出せるんだよ。
完璧じゃないか!!

(続く)



今日の一枚

"Luminous Spaces"

Jon Hopkins (2021)


リンク先はジョンの公式Youtubeサイト内のPVです。
伸びやかな歌声とキラキラした動画がなんともステキ。

2020.05.31

米沢のいい所あれこれ 【第32回:「うふcafe」】




碧の森からこんにちは。
なぜか今朝から無性にJagabeeを食べたい若女将です。
あの絶妙な食感、たまらん~。おやつによし夜のつまみによしアレンジよし、
羨ましいくらい良いところしか思い浮かばない。ん~。
しかしここは白布。
思い立ってもすぐに買いに行けない山の中なので、



代わりにUkogeeを採取しましたとさ(笑)
鉄砲ぶちする身内は今はいないので、山菜とウコギぐらいしか
自給自足できない我が家の依存率…(苦笑)

このウコギ、じゃがビーじゃありませんが意外にバター醤油が
合うことを最近発見しました。
え?ウコギ和え?天ぷら?ノンノン、世界は広いのよ。
そもそも用途の半分が庭の垣根って時点で
何かを超越しているのだよウコギは。

実家の母は台所に立つと「料理はセンスとアドリブ!」というのが
口癖でした。今ではちょっとネットを検索するだけで、食材や調理の
垣根を斜め上に超えた絶賛ねとめし神レシピがごろごろ発掘できます。
つくづく便利な時代になったもの。
みんなよく考えるなぁと感心するし、何よりどのページも生き生きと
していて、いつも私はこの手の情報サイトをワクワクしながら
(いつかウコギのビックリレシピ(美味しい意味で)に出会えるかも
しれない期待を込めて)日頃の主婦業の参考にさせてもらっています。

ただ単に流し込むのではなく、ご飯は美味しく食べる。これ人間の基本。
どうか忘れないで。
生産者の皆さんや、日頃ご飯を作ってくれる大切な人への感謝の気持ちを。



今日は米沢のいい所あれこれ第32回目。
地元で大人気の隠れ家カフェ、うふcafeさんのご紹介です。



米沢市街地の西に位置する斜平山の麓、
雪菜の栽培で有名な古志田地区にひっそりと建つうふカフェ。



田舎道なのでうっかり通り過ぎそうですが、
DIYでユニークにデコレーションしたモニュメントが駐車場スペースにも
置かれていますので、それを目印に!
淡いブルーの建物がとても可愛らしいですよ。



店内はそれぞれ出材の異なる椅子・テーブルがあり、
カフェというよりおしゃれな一軒家という感じです。
ソファ席やカウンター風に窓辺を向いた席もあります。
今日はどの席にしようかな♪

こちらのお店は、何を隠そう「ガレット」が名物。
ガレットとはフランスはブルターニュ地方(大西洋側)発祥のお料理で、
要はそば粉を使った正方形のクレープみたいなものです。
はるかヨーロッパでそば?!と思うかもしれませんが、
元々やせた土地であったブルターニュに十字軍が中国原産のそばを
持ち帰って植えたのが始まりだそうで、実はフランスとお蕎麦は
(食べ方全然違うけど)1000年近い付き合いがあるそうな!

うふカフェさんでは、地元米沢産のそば粉を使ったガレットを
提供していて、ランチタイプのもの、スイーツタイプのもの、
また定番から週替わりのテイストまで実に種類さまざま。
どれも香ばしいガレット生地と相性抜群の美味しさで、
地元でもやみつきになるリピーターさんが多いお店なのです。

ちなみに私はいつも週替わりをオーダー。一期一会を楽しんでいます。



去年12月に訪れたときは日替わりガレットの
帆立&玉ねぎのホワイトソース↑をチョイス。



とび子も乗ってカラフル。めちゃ旨でした…。



直近でお邪魔したときはラザニア↑をオーダー。一見グラタンですが、
中にちゃんとガレット生地が入っています。これがまたふわっふわ。
そばの香りがほんのりと、チーズとよく合います。お見事!!



こちらは定番メニューのベーコン&トマト&エッグ。
(撮影を待ちきれずに娘が食べ始めるところ…(汗))

王道のトッピングですが、やっぱり決め手はそば生地。
見た目固そうに見えますが、全然ぱりぱりじゃないですよ~。
ふわふわなのよ~。そしていい匂いなのよ~。
うふcafeさんのガレット、すっかり子供たちの大好物になりました。

また、うふカフェさんは前菜も凝っていておしゃれです。





↑こちらは去年の冬訪れた時の前菜。



↑こちらは直近でお邪魔したときの前菜。
紫色のキャベツはザワークラウトです。酸味が程よくて美味、美味!!

美味しいのはもちろん、器や盛り付けにも遊び心が見えて、
いつも頂くのが楽しみです。ぜひこのセンスを見習いたい…。



カフェと言えばスイーツもまた楽しみたいもの。
こちら↑は去年訪れた時に注文したバスクチーズケーキ。



チーズケーキ好きにはたまらない…(涙)



ドリンクも各種あります。こちら↑はホットティー。
器がとにかく凝っていて、このミルクガラスのソーサーは本当に
魅力的でした。



↑こちらは今の季節特に恋しくなるアイスコーヒー。
デカンタに入ってくるので大容量です!
驚いたことに氷までコーヒー分が入っていて(まん丸の大きな氷)、
まったり飲んでも味が薄くならない真心仕様。素晴らしい…!

のどかな風景と雰囲気に、ついつい長居してしまいます。
小学生未満の子供さんは入店不可ですが、気軽に女子同士で楽しんだり
ちょっと一息入れたい時におススメです。
オーナーさんもとても穏やかで素敵な方です。
米沢を訪れたら、ぜひうふカフェさんのガレットをご堪能下さいませ。

【うふcafe】
〒992-0065 山形県米沢市古志田町2782-2
Tel 0238-55-4500
営業時間 11:00~18:00
定休日 水曜日・第2火曜日 
(冬季は12月中旬~2月末までお休み)
駐車場 お店の前に数台分のスペースがあります。




今日の一枚☆

"Triona Marshall"

Triona Marshall(2006)


(↑いつものサムネイルクリックで、
彼女の「ローズマリーリール」他が視聴できます。
(アルバム未収録曲))

ちょっと(かなり)海は隔てているけどブルターニュつながり!
ガレットタイムに合いそうな(?)ケルトミュージックから、
アイルランドが誇るアイリッシュハープの名手、
トリーナ・マーシャルの1stソロアルバムをチョイス。

トリーナ・マーシャルは、半世紀以上にわたって国際的に
活躍しているケルト音楽の大御所:チーフタンズのハーピスト
としても名を馳せています。故デレク・ベルの後継者として
パディ・モロニーが見出しただけあって、本場アイルランド
仕込みにしてクラシックの素養も持つトリーナの演奏は極めて
ハイクラス。
私も少しだけアイリッシュハープをかじった時期があるので、
彼女の奏でる複雑な和音と優雅かつ高速の撥弦技法にはマジ
脱帽です。ホントどうやって弾いてるの?!
…いや、そりゃプロだもの。
トリーナの最大の魅力は、そんな高い演奏技術を持っているのに
全体にリラックスした音楽として一曲一曲が完成されていること。
聴く人に威圧感を与えず、思わず一緒に歌いたくなるような
親しみまで感じさせてくれるこちらのアルバムは、気取らずに
コーヒーやガレットを楽しむ日常のひと休みにぴったりです。

チーフタンズ(アンサンブル編成)としてのトリーナさんは
あくまでサポートポジションですが、改めてソロで聴くと、
アイリッシュハープって本当にいい音だな、ステキな演奏家だな…
と魅力を再発見できます。
キラキラと穏やかで、それでいて心が明るく輝くような素敵な
アイリッシュハープの音色。おすすめです。

2020.04.11

米沢のいい所あれこれ 【第31回「(楯の川酒造)ヨー子」】





手前味噌ですがご覧ください、この神々しい三十三観音の朝。
白布温泉はもともと人口密度激低いし、まぁほんと悲しいくらい静か。
動物王国と化しています。いつかまた皆様にも来て見て頂きたいものです…。

というわけでこんにちは。
以前から好きだった「今日の猫村さん」まさかの&衝撃の実写化ドラマ
遂にスタートで興奮冷めやらぬ若女将です。
あんなに違和感ハンパなかったはずの松重版猫村さん。
トレードマークの"neco"のエプロンを付けて、猫耳フードをかぶって、
揚げパン作って、こちらをユルくガン見する身長188センチの猫村さん…

「どうしてこうなった。」

どっこい、実際のドラマを観てみたら、山田さんに頭撫でられてゴロゴロ…
あらやだ可愛い(笑)

コロナの惨禍が文字通り世界を覆いつつある今日この頃ですが、
おかげで週に一度のささやかな楽しみができました。
なんていうか、目が醒めた。
いつまで経っても1+1=2しか思い浮かばない現実悲観脳でいるのは
もうやめよう。いつか訪れるであろうコロナ終息に備えて、
西屋も考えてみようかな、ミスマッチ商法(そっちかい)。




さて、今日のお題は西屋お薦めの逸品紹介回です。
酒率高いです。酒は百薬の長。というわけで今回もお酒です。

今日ご紹介するのは、こちら↓



以前もご紹介したことがある酒田市の楯の川酒造さんが展開する
バリエーション豊富なリキュール「子宝」シリーズの
中でも
一際異彩を放つ濃厚ヨーグルト味のお酒、その名も「ヨー子」。

鳥海山の麓で週末だけopenする幻のバー「ヨー子」の看板メニューという
設定でリリースされたもので、猫村さんばりのゆるく素朴なボトルデザインが
印象的です。

が、すごい。何がすごいって、破滅的な美味しさです。これ。

子宝シリーズには同じヨーグルト系のリキュールが2種類ありますが
(あっさりめの白ラベルとヨーグルト成分80%の濃厚青ラベル)、
子宝とヨー子の決定的な違いはブレンドしているお酒。
前者は醸造アルコールですが、ヨー子はなんと純米大吟醸を使用!!!
なにしろ「特別版」だもの。
新鮮なヨーグルトと、楯の川自慢の純米大吟醸の醸す、甘くも深い黄金比。
今年の初めにスタッフ女子と夜の飲み会でシェアしましたが、
圧倒的ビール派のK子さんも、普段はほろ◯い1缶で十分というMちゃんも
皆が「ウマーー!!」と思わず叫んだほど。
男が夢中になるヨー子(違う意味で)のはずが、同性すら構わずリピーターに
引き込む魔のリキュールです。
気になるアルコール度数は控えめの6度とビールとほぼ同程度のライトさなので
悪酔いしません。そう、まさにそこがヨー子の罠です。
放っておくとあっという間に瓶が空になります。
とろとろ梅酒以上に飲みやすいので、マジで飲み過ぎ注意。

ところで、ヨー子さんが常時手に入る白布温泉のかもしかやさんには
「凍らせた苺をクラッシュしてトッピングして飲むと美味しい」という
禁断の裏メニューを教えてもらいました。

というわけで…早速試してみた。



ワン!



ツー!!



スリー!!!!
写真が下手なのはツッコまないでくれ!!

見た目はほぼスイーツです。
肝心の味は…苺のほのかな甘さとヨーグルトの酸味、
それをまろやかに包む大吟醸のあり得ないトリプルハーモニー。
たまらん。ウマー。

※今回はたまたま手元にあった苺を使いましたが、
冷凍のベリーでも十分いけると思います。いずれもオンラインでゲット可。

長引く"Stay Home"でいい加減鬱憤溜まっている20歳以上の老若男女の
皆さんにおススメ。未成年のお子さんはクラッシュ苺を飲むヨーグルトに
トッピングしてご一緒に乳酸菌補給をどうぞ!
ただし見た目そっくり注意。途中でうっかりグラスを取り違えないためにも
Social distance厳守で!


ヨー子さんには専用サイトもありますが、
なかなかミステリアスに凝っていますのでぜひ一度覗いてみてください。
【Bar ヨー子(公式サイト)】



今日の一枚。

"Getz/Gilberto"

Stan Getz & Joao Gilberto(1964)


(↑サムネイルをクリックすると、Youtubeで
Corcovadoが視聴できます)

ボサノヴァの元祖ジョアン・ジルベルトと、
サックスの名演奏家スタン・ゲッツがリリースした、
ボサノヴァの金字塔とも呼ぶべきアルバム。
有名すぎてむしろここで紹介するのが珍しい(?)。
ボサノヴァに詳しくない人も、
「イパネマの娘」etcのタイトルを知らなくても、
ナンバーを聴けば「あ、この曲知ってる!」という方は多いと思います。
同じくボサノヴァの立役者の一人であるアントニオ・カルロス・ジョビンの
ムーディーなピアノ、ジョアン・ジルベルトの奏でるリラックスした
ギターと甘い歌声は、隠れ家バーの片隅(…のつもりで家飲み)で、
悲喜こもごも思いを巡らせながら、ゆっくりグラスを傾ける大人の
夜にぴったりです。

特にアストラッド・ジルベルトが素人感たっぷりに気だるく歌う
Corcovado (Quiet nights of Quiet stars)は必聴。
天気のいい月夜にはベランダに出て、
ヨー子さん(または飲むヨーグルト)片手にお楽しみ下さい☆

2019.09.09

米沢のいい所あれこれ 【第27回:(県内版)HOCCA Kir】


こんにちは。
実は時々こっそり習字を続けている若女将です。
今日は前置き2本立て。



①お盆だ風邪だと散々な8月中一度も足を運べなかったスタバ。
ようやく先週のお休みの間に憩いの機会を得ました。
アップルクランブルパイが美味しすぎる…♡

スターバックスが最近InstagramにUPした”Ethical Sourcing”についての
動画が大変素晴らしくて、感銘を受けました。
コストコも今夏発行のフリーマガジンに”Ethical Shopping”という特集記事を
掲載して、自社プロデュースのフェアトレード商品の紹介等していましたね。
世界の最先端を行くグローバル企業は今や己の利益だけに固執するのではなく、
消費者のニーズばかり追うのでもなく、生産者や地球環境に至るまですべてが
循環可能・持続可能なシステムを目指して努力しているというのがよく分かります。
規模はまるで違いますが、その倫理的姿勢を少しでも見習いたいと思う今日この頃。


②最近ファミレスチェーン店やレシピサイトで「よだれ〇〇」と名のついた献立を
よく見かけるようになりました。おもに中華。花椒やごま油、唐辛子などの香りと
辛味が効いたたれがポイントで、“垂涎間違いなしの美味しい料理”というのが
本当の意味だそうですが…
そのド直球すぎるネーミング、かえって食欲が失せる…(爆)
気がしてならないのは私だけか(汗)?
だいたい見ればおよそ味のイメージは湧くわけだから、花椒棒棒鶏(適当)とか
もっと洒落た名前にできなかったのかとどうしてもツッコみたくなってしまいます。
そもそも人様にあまり晒したくない体液を、よりによって巷で売り込みたい料理の
呼び名にもってくるとは。
名付け親はよほどの料理好きか、ホヤやウニを人類で初めて食べた人並みに度胸が
ある人に違いない。
相変わらず変なところで感心してしまうネジ野郎な私でした(笑)

①と②のギャップ(笑)



今日は米沢(でなく山形)のいいとこあれこれシリーズ。
第27回目。ご紹介するのは鶴岡市生まれのワインカクテル、
HOCCA Kir(キール)」(リンク先はかもしかやさん)です。

HOCCA(←こちらのリンク先がHOCCA公式サイト)は、
鶴岡市の老舗酒造:楯の川酒造が母体のブランド名。
新たにワインづくりを目指して2年前に庄内地方でぶどう栽培を始めたばかりですが、
2021年には正式に「ホッカ ワイナリー」を立ち上げるそうです。
酒類の国内消費量が少しずつ減少しているという言われている今、
果敢に新境地を目指して活動を展開する素晴らしいチャレンジャー精神。
ひやおろしで有名な地酒「吾有事」ブランドも楯の川さん監修だし、
今山形で一番勢いのある酒造店さんかもしれません。
そのHOCCAから、Kir(キール)というフランス発のカクテルが先日発売された
ということで、かもしかやさんから早速取り寄せました。



白ワインをベースにカシス果汁を加えた麗しいベリー色がなんとも魅力的です。



そして肝心のお味。

…美味しい。やばい、めちゃめちゃ美味しい。

甘酸っぱいカシスの香りとワイン本来の深みある味わいが絶妙にマッチして、
何だこの化学反応は?!ありそうでなかった組み合わせに目からビーム…
じゃないウロコが落ちまくりのウマー!!
食前酒向きといいながら無限に飲めてしまう中毒性があります飲みすぎ注意(笑)。
まるでおとぎ話のお姫様と王子様がハッピーエンドの後で二人で嗜むような、
仕事を終えたベテラン魔法使いがひそかに愛飲していそうなファンタスティックな
味なのです。アルコール度数10%。
女性やあまりお酒に強くない男性にもおススメです。
取り扱いしているお店はまだ少ないようなので、白布温泉にいらしたらぜひ
かもしかやさんへGO。

ちなみにHOCCAからはKirの後続で辛口テイストのシードルが発売されています。
リンゴのほのかな香りとキリっとした飲み口は、焼酎好きのお父さんもきっと
好きになるはず。既にいくつもの輝かしい受賞歴を誇ります。
こちらも大変おススメ。
HOCCAの洋酒作りのセンスとクオリティの高さは折り紙済みです。
今後に期待!




完全におまけポジションです今日の1枚。

"Telenn Geltiek - Harpe Celtique"

Alan Stivell(2013)

(サムネイル↑をクリックすると、Youtubeでアルバム内の曲を
ダイジェストで視聴できます)

フランス・ブルターニュ地方出身のアラン・ステイヴェル。
アイリッシュハープ演奏の世界的権威であり、半世紀以上にわたって
ブルターニュ地方におけるケルト音楽の普及に努めてきたほか、
ジャンルを超えて幅広い人脈を持つ稀有な音楽家でもあります。
フランスのカマックという老舗ハープメーカーには、彼の名を冠した
アイリッシュハープがあるくらい本国では有名なお方。
そのステイヴェル氏が2013年にリリースしたのが本アルバムです。

…と思ったら、2013年版はどうもリマスターものっぽい。
録音自体もっと過去の可能性があるのですが、ソースを辿れませんでした。
テキトーに書き立ててしまいすみませんでした(汗)。

立ち演奏でエレキハープをギンギンに響かせたり、ロックかと思うような
サウンドをバックに朗々と歌ってみせたりと、ワールドミュージック
らしからぬ積極的アプローチが目立つ彼ですが、Brian BoruやAgainなどの
代表作に対してTelenn Geltiekは全曲インスト&ハープソロ。
主張しすぎない楽器本来の素朴な旋律が楽しめます。
ところでアラン氏は今年で御年75歳。
いつまでも若々しいイメージがありましたが、久々に近影を見たら
ものすごく髪がなくなってて「え、誰(汗)?」て思わずツッコんで
しまいましたが、今なお衰えを知らない創作意欲には敬意を表したいところ。
これからも身体を労わりながら、活躍し続けてほしいですね。

Kirには、ジャズよりもこんな異国情緒あふれる器楽曲が似合うと思う。
そんな個人的な好みからピックアップしてみました。

2019.07.05

音のある生活 27 「西屋アクションバトル(?!)」


こんにちは。
聖イエスさんより“一発芸貞子”が得意な若女将です。
すっかり自他共にチタン箸がトレードマーク化し、小学校の授業参観でも
他の子たちからしっかりツッこまれ、期待通りのリアクションについニヤリ(笑)




はな「テーブルの上の箸をコロがして隠しちゃうのが今日も楽しいのよ~」

さて、いろんな意味で見るも無残…更新期間がガッパリ空いてしまいました。
文打つ時間が取れないどころか、ほぼまともに事務所にいなかった気がするこの1か月。

実は先月、ここのところ深刻さを極めていた人員不足問題を打破すべく、
かねてより構想していた接客体制の大胆な改革を実施していたのでした。



一番の目玉は飲み物のセルフオーダー式導入。
宴会場に新しく設置した冷蔵ショーケース↑からお好きな飲み物を、
その隣の棚から好みのグラスorぐい飲みをお客様ご自身で選んで頂き、
思い思いのペース&スタイルで楽しんでいただけるよう食事中のサービス内容を
変更したことです。
特に地酒コーナーには力を入れました。
扱う種類を3倍以上に増やし、季節ごとに次々生み出されていく山形各地の
地酒を白布温泉街のかもしかやさんと相談しながら小ロットで仕入れています。

ほかにも、今まで後出ししていたご飯や汁物を同じくバイキング式にし、
好きなだけ自由にテーブルに持っていけるようカウンターを増設しました。



ご飯茶碗や湯呑茶碗も、グラス類と同じく西屋にあったヴィンテージや
セレクトショップで見つけた作家物などさまざま集め、味覚だけでなく
目で見て食事を楽しめるスタイルに変えました。
(得意のDIY技で古かった棚を古民家カフェ風にリノベできて我ながら大満足)
こうすることで、接客スタッフが少なくてもお客様をお待たせする時間が縮小され、
お互いにゆとりが生まれます。
シフト管理を預かる傍次々と入る予約を前にして、新しいやり方が伸るか反るか
焦りや不安もありましたが、杞憂でした。夕食時、お部屋までお客様をお迎えに
上がるスタイルも思い切って廃止しましたが、今のところ混乱はありません。

今は軌道修正段階だしまだ結論を出すのは早いのですが、
この決断は間違っていないなかったと確信しています。

時代の流れとともにサービスの形は変わっていっても、西屋の温泉や建物の
歴史と風情は不変です。どうぞこれからも西屋をご贔屓いただきますよう
お願い致します。




・・・唯一の誤算は限界突破のハイペースぶり。
当初は今年中に改造を…なんて考えていましたが、
ゴーサインを自ら掲げて走り出してみたら一ヶ月も経たないうちに①plan ②do まで
完遂してしまったという鬼スケジュール。当然ながら机に向かう時間もないわけです。
いつのまに疲労が溜まったのか、数日前、白布街道でぼんやり運転していたハイエースの
土手っ腹を盛大にガードレールに擦り付けるという自爆をとうとうやらかしてしまいました(涙)

当たりどころが少々悪かったせいか、スライドドアがすんなり閉まらなくなり、
抉れ傷はご丁寧にも助手席のドアからスライドドアから後輪付近のボデーまで
満遍なく逝っちゃってます。
いつも何気なく通っている道な上、とてもこんな物損をやらかすようなコーナーでは
なかったはずなのに、思わぬところにメンタルをへし折る伏兵(ガードレール)が
潜んでいたという笑えないオチでした。何という皮肉。
ようやくまともな休みが取れた矢先の惨事。
ウキウキ気分は一瞬にして暗黒面に転落…
休み中ずっとSvartsinnのMørkets Variablerみたいな顔していたと思います…(白目)

修理代の痛いダメージは喰らいましたが、誰も乗せておらずただの自爆だったのが
とにかく不幸中の幸いでした。全国ニュースで聞かれる悲惨な交通事故の数々は、
ほんの一瞬の無自覚な油断によって起きているのだという事実。改めて身に沁みました。
同時に、脇目も振らず猪突猛進していた私に神様が手痛い喝を入れてくれたのだと
今では言い聞かせています。
皆さん。くれぐれもお休みはしっかり取りましょう。



さて、新コーナーの紹介から一転、ブルーになる話題を再び打ち上げるように
(ちょっと自虐を織り交ぜ)今日の1枚。

Transglobal Underground "Psychic Karaoke"

          Transglobal Underground (1998)

イギリスのグループ、トランスグローバルアンダーグラウンドの4thアルバム。
どこかレトロで多国籍っぽい音楽づくり(ジャンルはワールド)が特色です。
ノリで作るスパイシークレイジー闇鍋のような作風が大好き(褒めてます(笑))。
濃ゆいアジアンなジャケットが見た目にも印象的なこちらのアルバムは、中身も
イメージに違わず、伝統文化と近代的発展が複雑に絡み合う東アジア諸国を
仲間とともに旅する冒険映画サントラのような熱(暑)い曲が散りばめられています。

季節は雨季?特にアルバムのタイトルにもなった「サイキックカラオケ」が血湧き
肉躍る隠れた名曲。場面イメージとしては終盤一歩手前、例えば香港の繁華街。
敵のアジトを前に大勢のチンドン屋…いやチンピラから逃亡劇を繰り広げるも
まさかの袋小路。絶体絶命のピンチに陥った矢先…!!
待たせたな、今助けるぜ!」という頼もしいかけ声とともに路地の影から突如
現れたかと思いきや、いきなり敵味方見境なく(しかもよりによって)ロケット
ランチャーをぶっ放すネジのすっ飛んだ問題児(一応仲間)乱入!!
…みたいな、いかにもコテコテの手に汗握るシーンが思い浮かびます(笑)

アーデモヤッパリソコジャーナイヨーソコジャーナイヨーナイヨーダー!
(ご丁寧にこの曲、こんな空耳シャウトまで練りこまれている。)

狭い路地で土ぼこりを上げながら豪快な勧善懲悪バトルを繰り広げる
仲間たち。そしてその背後からこれまた豪快にポンポン飛んでくるロケット。
「ゥワハハハ!!!逃げ惑え(cv.堀内賢雄)!!!!」
味方モブ「どこめがけて撃ちやがる!!お前ちゃっかり楽しんでるだろー!!」

すみません一人で笑いながら書いています。全然疲れが取れていないようです(苦笑)
まぁかなりマニアックなアルバムには違いありません。

話ちょっと逸れますが、
この「ネジのすっ飛んだ」しかし「めちゃめちゃ頼りになる」ユカイ犯すれすれの仲間…
私はこういう敵とも味方ともつかない絶妙な立ち位置キャラが大好きです
(一番好きなキャラポジは完全無欠のラスボスですが)。商売を営んでいると、
お客様のニーズと事業としての様々な縛りという、時にベクトルが拮抗する両界に
神経を巡らせ、
微に入り細に入りうまく立ち回らなければいけない場面に多々遭遇
するわけですが、そのバランスをさりげなく「揺さぶり」ながら両方を取り持つセンスは、
逆境さえも逆手にとって楽んでしまえる破天荒なネジ野郎にどこか通じるところが
あるような気がする(…と思うのは私だけか(笑?))。
そりゃ何でもかんでも楽しめばいいってわけじゃありません。
TPOは弁えねば、「送迎車を盛大に擦っといて何バカ言わんや」と
叱責を買うだけです社長本当にごめんなさい(汗)

私は、「仕事(&人生)は最大限に楽しむ」ことをモットーにしています。
(まだ言う(笑))
苦あれど楽は実際のところあまりない、というのが人の世の個人的な所感。
だからこそ、苦の中から楽しみを引き出すことに常にエネルギーをかけています。
音楽はそんな自分を鼓舞し、時に慰めてくれるなくてはならない活力剤。
今日もApple Music内を果てしなく渡り歩きながら2828している私でした。

2019.06.14

米沢のいい所あれこれ 【第24回:Edible 紅花②】




こんにちは。
とうとう今年もお留守番で源泉祭りに行けなかった若女将です。

最近虫干しを兼ねて「半日」着物生活をスタートさせました!!!…
といっても、実際はなかなか着ている場合じゃない日が多いんですが…。
気温も天気も激しく変わるので、あまり外気に左右されない綿着物
(30~60年前くらいのヴィンテージ絣)が大活躍。
幾世代にもわたって着こまれてきた着物は肌触りがよくていいわよー。
洋服感覚でいたいので、衿芯も帯板も付けず、背中が楽な矢の字や
かるた結びで済ませています。普段着物の“格”はいいとこ部屋着+αくらい。
別に外に出るわけじゃないので、気になりません。
いつかゴフクヤサン.comの可愛いニャン柄帯を買いたい♡♡



さて、前回ご紹介した「紅花」の巻。
実は…もう1品ご紹介したいものがあるんだす。

先日、紅花あいすの取材で米織会館さんを訪れた時のこと。
事務局の方に「食べられる紅花」のお話をしたところ、私がアイスを頂いて
ポケ―っとしている間にいろいろ調べてくださったようで
「こんなのがあるみたいですよ!」と、
漬物の丸昌「紅花らっきょう漬け」を紹介して下さいました。

地元米沢の漬物屋さん、しかも紅花使用!!
初めて耳にする商品名に思わず飛びつきましたが、なぜか市内の
スーパーではとんと見かけません。サイトを調べたらどうやらネット販売が
主流らしいことが判明しました。

・・・というわけで、取り寄せてみた。



こちらが紅花らっきょう↑。
味付けというよりは、色身を加えるために紅花を用いたようです。



↑ほんのり浮かんでいるのが紅花の花弁。
某ピリ辛らっきょうみたいな見た目ですが、らっきょう自体の形はずっと大きく、
鮮度の高いうちに漬け込んだのか、写真よりも透明感があります。

さて気になるお味は…

美味ではないか!!!!

いやこれ本当美味しい。
酸味は効いていますが全然ツーンとしません。
ほのかに甘みがあり、びっくりするほど品がある(やっぱり)お味。
ちょっと出会ったことない逸品です。一袋540円(税込)と、普段見かける
同じくらいのサイズのらっきょに比べてかなりお高めではありますが、
いやいやなかなか。食す価値ありですわよ。
普段食べるというよりは贈答用に向いているかもしれません。
漬物が好きな方ならきっと大満足するはず。
丸昌さんでは他にも米沢の伝統野菜丸ナスを使った各種漬物や
季節限定の雪菜ふすべ漬けなど、素材の持ち味を生かし身体に優しい製法に
こだわった商品がそろっています。
気になった方。ぜひ味わってみてください。

スイーツじゃありませんが、変わり種の紅花らっきょう漬け。GJ!

【漬物の丸昌(後藤商店)】
〒992-0003 山形県米沢市窪田町窪田413-3 
電話(フリーダイヤル)0120-37-5378 
実店舗はありません。オンラインサイトはこちら




むっふ。お待たせしました今日の一枚。

Deep Forest "Comparsa"

Deep Forest(1998)

Noonday Sun(Youtube)
Deep Weather(Youtube)


ヒーリング・ワールドミュージック界ではすっかり大御所の存在感。
日本にもファンの多いDeep Forest。3rdアルバムの本作では、
マダガスカルやキューバ、ラテンアメリカ系のミュージシャンを
ゲストに迎え、聴きごたえ抜群な1枚に仕上がっています。
Noonday SunやGreen And Blueでは、当時100歳のマダガスカル歌手
(マダム・サナだったっけ?)の明るい歌声をサンプリングし、ラテンポップな
曲が心を晴れやかにしてくれるし、Deep Weatherではあのウェザー・リポートの
故ジョー・ザビヌルがメロディックなアコーディオンで参加しています。
穏やかな夕暮れの海上のような優しい旋律がどこか懐かしくて大好き。

ちなみにComparsaとはスペイン語でカーニバルのアマチュアバンド
(一般名詞)を意味する言葉です。楽しそうに談笑をしたり、くつろいだ
様子で料理をするアルバム参加メンバーの写真がブックレットに紹介されて
いて、見ているだけでもいい雰囲気が伝わってきます。
ほかにも「地球上で地震が起きるのは、人知れず月と地球が戦っているから」という
ラテンアメリカの古い伝説を、ミュージシャンの一人が静かに、しかし壮大に語る
EarthquakeとLa Lune se bat avec les etoilesなどなど、まぁ盛りだくさん。
日本版ボーナストラックでは、前作Bohemeからホンダ「シビック」のCMに
起用され大人気を博したFreedam Cryが収録されています。
全体に明るい曲調なので、大変おススメ。らっきょうもおススメ。
今日も美味しい音楽と漬物をいただきます♪

2019.06.02

米沢のいい所あれこれ 【第24回:Edible 紅花】


こんにちは。
どんなフェイントにも怯まず、ガードカウンターできるようになりたい若女将です。
インドカレー最高。



娘「はなちゃーん、ただいまーっ。ほっぺびにょーん♡」
はな「ぐぬぬぬ…」




つい先日、思い切って家庭用の冷凍庫を買いました。見切り発車ゴーゴー!
どこまで使いこなせるかシャア専用ザクならぬコストコ専用フリーザー?!

「ザクとは違うのだよ、ザクとは(ぐふふ…)w」

この白グフを迎え入れるにあたって予め食品庫から居間のラックの
中身から総入れ替えしておいたので、格納庫(初期設定)はばっちり。
本格的な山籠もり生活体制が着々と整いつつあります。
自ら人里を遠ざけていくスタイル。いいんだか悪いんだか。



さて今回も「米沢いい所」シリーズです。だんだん音シリーズ並みの
マニア路線に傾きつつあるともっぱらの噂(?)ですが、そうと知ってて
メジャーな観光案内にはなかなか載っていない米沢の魅力を敢えて
ピックアップしておりますので、「こんなものがあったんだ~」と気軽に
楽しんで頂ければ幸いです。

今回は第24回目、多分今まで誰も取り上げたことがないであろう
ユニークなEdible“食べられる”紅花(主にスイーツ)を特集してまいります。

一つ目は、当コラム「米沢いい所あれこれ」シリーズ第2回でも
ご紹介したことのある米織会館さんにてただいま販売中の「紅花あいす」



上杉神社の参道から東に100メートルほど歩いたところにある洋館風の
建物が米織会館さんです。この中で紅花あいすが販売されているわけですが、
実は以前伺った時から気になっていました。




今度こそはとお邪魔し、初注文!



会館に入ってすぐ左に休憩コーナーがあって、
そこで(麗しい米織の生地や着物の見本を眺めながら)頂くことができます。
さて、ふたを開けると…



おぉ、ほのかなピンク色!なんて美しい色だろう!!
こちらのアイスは紅花紬で有名な新田織物さん(米沢市)と
お菓子メーカーさんとのコラボだそうです。



ちなみに紅花染めの米織一例はこんなかんじ↑
この繊細な色遣いがまさかスイーツでも再現できるとは。紅花おそるべし。
紅花だけでなく、シルクまで練りこまれているという気合の入れようです。
決して着物を食べているわけではありません?!

肝心のお味は…なんとも不思議。フルーツ系のジェラートとも違う、
ちょっと濃厚なバニラのアイスとも違う、上品で、奥深いコクとほのかな
甘さが花びらのように広がります。絹って&紅花ってこんな味なんだ…と
感動すること請け合い。

1個360円(税込)なり。かのハー〇ンダッツもビックリのお値段ですが、
そもそも素材がレアでリッチだし、だいたい他では買えないもの。
米沢を訪れたらぜひ一度味わってみて頂きたい逸品です。



お次は場所を変えて、市内金池にある菓子処:錦屋さんに参りました。





錦屋さんはお隣川西町に本店を持つ地元の老舗菓子店の一つです。
そこで売られているのが…



じゃーん!ズバリ紅花饅頭(まんじゅう)
ふわふわの蒸しまんじゅう生地に紅花がダイレクトに練りこまれています。
ところどころ放射状に見える筋が花弁ですね。
生地全体も紅花カラーの温かみある黄色で、小ぶりながら存在感があります。
お味も紅花アイスと同じく、品のある(本当に他に表現が思いつかない!)
味わい!なんというか、本当に上品なのよ。こしあんの甘さも程よく
マッチします。日持ちはしないのですがお土産におひとついかがでしょう。
気軽なお茶請けにも◎。



お次はこちら。紅花つむぎ。ネーミング!紅花紬!!
生クリームとふうき豆(山形市発祥のグリーンピースのお菓子)餡を
紅花入りのふわふわスポンジでサンドしたボリュームのあるお菓子です。
(写真のカット面が全然きれいでなくてすみません(汗)
かじってないよ!ナイフでカットしてありますのでご安心を(?)。)

饅頭とはまた違い、和の素材をふんだんに使ったケーキといったところ。
どちらかというと中身のほうがパンチが効いているので、
上記2点に比べると紅花風味は控えめです。

まんじゅうとクリームサンド、どちらを選ぶかはお好みでどうぞ☆

ところで錦屋さんは大変創作意欲があるお菓子屋さんで、
紅花のほかにも地元の特産品を使ったユニークな和洋菓子を数々
プロデュースしています。たとえば…



米沢牛パイ!!
いきなり米沢の本命キタ――(゚∀゚)――!
本当に米沢牛が練りこまれた旨味たっぷりのパイです。




同じシリーズで、ネーミングも強烈な「鯉していっパイ」(鯉入りパイ)に、
「うこぎパイ」(ご存じうこぎ入りパイ)なんて商品も↑。
成分は少なめですがそれぞれちゃんと風味が感じられます。
形は原材料にかかわらずどれもおしゃれ(?)なリーフ型。
約2か月ほど日持ちもするので米沢お土産におススメです。
行ったつもりで米沢牛。食べたつもりで鯉のパイ。
特に鯉。すごい。うなぎパイとタイマン張れる。

…とまぁ、最後すっかり話が脱線してしまいましたが、
美味珍味なエディブル紅花+αラインナップ、いかがでしたでしょう?
米沢には単なる伝統食・特産品だけではなく、こんなユニークな
スイーツがあるんです。奥深いでしょ?

いずれは着物バージョンでも紅花の紬や米織の素敵な織元さんも
ご紹介したいと思いますので、どうぞお楽しみに…。

【米織会館(米沢織物歴史資料館・おりじん)】
〒992-0039 山形県米沢市門東町1-1-87 
電話 0238-23-3525 
営業時間と定休日 
4-11月 9:30~16:30(無休)
12~3月 9:30~16:30 (土日・年末年始休み)
駐車場 建物の前に数台分あります。

菓匠庵 錦屋(金池店)
〒992-0044 山形県米沢市春日1-2-9 
電話0238-21-9218 
営業時間 8:00~18:30 
駐車場 お店の敷地内に7~8台分あります。





さてさて最後になりましたが、今日の一枚(二枚?)はどれにするかいな。

Karl Jenkins "Symphonic Adiemus"

           Karl Jenkins(2017)
(↑のサムネイルをクリックすると、1トラック目の
"Adiemus"(Youtube)が視聴できます)

イギリスのクラシック系現代音楽作曲家、カール・ジェンキンス御大。
彼がプロデュースした「アディエマス」のシリーズは、独特の言語による
コーラスと勇壮なリズム、さらにオーケストラ(ロンドンフィル)との
ドラマチックな融合から大ヒットし、リリース当時日本でも一世を風靡
しました。1999-2000年にかけて放映されたNHKスペシャル
「世紀を超えて」ではOPテーマにも採用されたので、ご記憶の方も
いるでしょう。異世界の物語のように壮大なアディエマスワールドには
私もどっぷりハマったものでした。
こちらのアルバムは、そんなアディエマスシリーズを中心とする自身の
往年ヒット作をさらにオーケストラ&合唱曲に編曲したものです。
個人的にはミリアム・ストックリーによる力強く原始的な歌声が幾重にも
響く初期アルバムのほうが好きなんですが、全体的に聴きやすくまとまって
いるアルバムなのでおススメとしてピックアップしました。
名曲の数々が重厚なコーラスになって甦るぅう。

Karl Jenkins "PIANO"

                                Karl Jenkins(2019)
(↑のサムネイルをクリックすると、3トラック目の
"White Water"(Youtube)が視聴できます)



一方のこちらは、同じく人気曲を選んでカール本人がピアノアレンジ
したもの。どれも良アレンジ。沢のせせらぎやそよ風のような、優しい感動が
聴く人を包み込んでくれます。心癒せるひと時をお求めの方にはこちらがお勧め。

ちなみにカール氏の作品で私が好きなのは、
ご存じ「聖なる海の歌声(Adiemus)」、
雨の日もハッピーな気分になれる「レイン・ダンス」、
冒険物語が中盤に差し掛かり、今度は仲間とともに飛空艇で新たな空の
舞台へ旅立つ!新展開の幕開けのような(どういう例えだ(笑))
「In Caelum Fero」、「Zarabanda」「Hymm」
そして現代ミサ曲「The Armed Man」などなど…(すべて原曲版)が好きです。

音楽も着物もカレーも最高ね!

2019.03.08

音のある生活 21 「桃とペンギン?!」


こんにちは。
洋服をあまりにも持っていなくて、せっかく休みが取れても
出かけるたびに「服ない2971~♪」と騒ぐ若女将です。



この間のひな祭りの日のこと。
娘「菱餅を食べてみたい!」
ひな祭りといえば蛤、ちらし寿司、そして菱餅!!

…というわけで日曜日、送迎担当を交代してもらい、
家族連れでごった返す麓のスーパーを訪ねました。
迎えの予定まで時間があまりなかったので、
寄り道しないよう娘の手をがっつり引き、
寿司ネタだのオードブルだの白酒を模した甘酒だの、
ひときわ買い物客で賑う桃の造花に囲まれたひな祭り特設コーナーへ一直線。
菱餅その他必要な材料をゲットしてすぐ店を後にするつもりでした。

が!いくら探し回っても目当てのブツがない!
念のため店員さんに尋ねましたが、なんと「今は扱っていない」
というショッキングな回答が。うそーん。ひなあられはあったのになんで〜。

地元のお菓子屋さんがテナントで入っている銘店コーナーにも、
途中で立ち寄ったお菓子屋さんでさえも、とうとう見つけられませんでした。

今時流行らないの菱餅?あのほのかに甘く柔らかい、
クチナシ、白、ヨモギカラ―のソリッドな形がオシャレな菱餅。
だめじゃん日本人。和食は今や無形文化遺産よ。
食生活がボーダレスに多様化している今こそ和食の何たるかを見直し、
歴史に育まれた四季の行事と食文化を同時に見て味わうことができる
数少ない年中行事なのに。
島国日本の希少な文化が失われていく様を、
よりによってひな祭りその日に目の当たりにしてしまうとは…。
私は一人、特設コーナーの最上段を陣取るアンパンマンの男雛
(必ずといっていいほど女雛がメロンパンナちゃんなのも解せぬ。

たまにはドキンちゃんを持ってきて呉越同舟すればよかろうに(爆))
を凝視しながら、漠然と未来が窄まっていくような妙な焦りを
感じてしまいました。

え?考えすぎ?
そうかもしれない。しかし構うこたない。
こんなバカみたいに深読みしちゃう人間一人くらいいたっていいじゃないか。
別段世の中はもっとシンプルでいいのよ。人間だもの。
よくも悪しくも自由が保障された現代、そして短い人生。
健康管理は自己責任だとしても、食べたいもの・美味しいものを
自由に食べて幸せに過ごす方がはるかに有意義だものね。

そもそも餅好きの娘にぜひ、と思いスタートした菱餅クエストですが
そんなこんなであえなく手柄なしで終わりました。
よかろう。ないならしかたない。来年は自分で作る(宣言)。

とりあえず買ってきた材料をもとに、出来る範囲のひな祭り料理を
こしらえた次第でした。



↑こちらお吸い物。蛤本来の味を損なわないよう、
板前さんに分けてもらった白だしだけをベースにつくった
シンプルかつシンプルな一品。こういう味が私は好きです。
しかし肝心の子供達は「貝殻は好きだけど中身はちょっと…(汗)」
などとのたまう始末。まぁ仕方がありません。普段なかなか食べない素材だから。
というわけでウケはイマイチでしたが、見た目と味の記憶は残るはず。
今後も時間の許す限り、こういう機会を作っていきたいと思う私です。

言葉では表現しきれない日本のアイデンティティが
日々の暮らしの中で失われていかないように。
親から子へたくさんの物事や愛情を直接伝えていきながら、
共に過ごす時間がいつも幸せであるように。

※ 

というわけでやってまいりました今日の1枚。

”Penguin Cafe Orchestra”

Penguin Cafe Orchestra(1982)

ペンギンカフェオーケストラは、イギリスのギタリスト、
サイモン・ジェフズ氏が率いていた1976年デビューのグループです。
プログレやらアンビエントやら、とんがった最先端ミュージックが
持て囃されていた1980年代に、敢えてアコースティック楽器を
メインにゆるくほんわかした作品を発信し続け、好評を博しました。
グループ名よろしく、どのジャケットもペンギンとペンギン…の
かぶり物をしてなぜかあとはほぼ全裸(!)の人間が語り合う図という、
ユーモアなのかジョークなのか分からないインパクト抜群のジャケット。
何を話しているんだ君達(笑)
曲調もどこかコミカルでありながら、ウクレレやバイオリン、ギターなどが
奏でるメロディーは人間味のある温かさに満ちていて、聴いていて癒されます。
こちらの2ndアルバムは私が初めて聴いたペンギンカフェでした。
電話のプッシュ音をサンプリングしたTelephone and Rubber Bandが特に好きです。
1枚目のアルバムもオススメ。特にThe Sound Of Someone You Love Who's
Going Away And It Doesn't Matterが秀逸。
「彼女にフラれたけど大したことじゃないよ(ふふん)」と余裕のはずが、
だんだんメンタル崩壊していって「未練タラタラだよこんちくしょうぅぉおお」みたいに
錯乱していく様子(?)がバイオリンやチェロだけで見事に表現されています。

サイモン・ジェフズ氏は1997年に惜しくもこの世を去りましたが、現在は息子さんが
後を継いでいるようです。まだこちらは未開拓なので、これから聴いていくのが
楽しみ。

2018.12.30

音のある生活 17 「過去を振り返って」



こんにちは。♪猫はこたつで…定員オーバー!!若女将です。
この年末は子供達を実家、もとい雪のない下界に疎開(?)させ、
母は元気で寒波最前線。
同じく山篭り道連れ組のニャンコ達は、自宅唯一のオアシス:
猫タツで毎日場所取り合戦。



今日ははなちゃんが溢れ気味です。

はな「なによ~寒いじゃないの!」

大きめの毛布でカバーしているので温かさは保証されていますが…
これじゃまるでテトリスもといテト猫。
だいたい人間様用のこたつも我が家にはないのだよ。何とか仲良く頑張っておくれ。





さて、今年も残すところあとわずかです。
みなさん、どんな1年をお過ごしでしたか。
嬉しいこと、悲しいこと、出会い、そして別れ…
沢山の出来事があったと思います。
私も新しいことにチャレンジし、壁にぶつかりつつも、
(恐らく)坂を下ることなく自分なりに悔いのない1年を
過ごしてこられたと自負しています。

つい先日の天皇陛下のお誕生日の会見は泣けましたね。
終戦を迎えてから今日までの長い間、どんな思いで日本と
世界を見つめてきたのか、奥さまである皇后陛下はじめ
国民全ての人への優しさと願いがひしひしと伝わってきました。

”位を譲るその日まで、天皇としての立場を模索しながら勤めを果たしていきたい…”

80歳を過ぎてなお研ぎ澄まれつつある、過去・現在・未来を見通す叡智と
深い慈しみ。私は人生まだまだ道半ばですし、立場も違うし、この先どこまで
進んでいけるかは分かりませんが、少しでもその精神を見習いたいもの。

発達心理学によると、人は晩年、生物学的に衰え肉体が死に向かう一方で、
人生の最後の瞬間まで成長し続ける“力”が備わっているんだそうです。
その力を実際に発動させるには、自らの過去を肯定的に受容することが肝要だと。

というわけで、今日は1年の締めくくり、はたまた人生の節目で自らの心を
穏やかに見つめなおしたい時にぴったりな1曲をチョイス。

加藤登紀子「時には昔の話を」
(←Youtubeの原曲版)

@スタジオジブリ「紅の豚」

1992年夏に公開されたスタジオジブリ映画「紅の豚」の
EDとなった加藤登紀子さんの「時には昔の話を」。この曲は元々
彼女本人の作詞・作曲ですが、菅野よう子さんの編曲版である
ED版が広く知られています。昔の男友達(?)と馴染みの喫茶店で
コーヒーを飲みながら昔話に花を咲かせる、という大人ドラマチックな
内容で、ジブリソングズの中ではトップ3に入るほど大好きな曲です。

加藤さんはかつての学生運動時代、リーダーの一人であり当時
獄中にいたご主人との結婚・出産という壮絶な経験をしています。
そんな彼女が見てきた激動の時代や生き方をそのまま歌にした、
と言ってもいい曲なんですが、旋律はとても穏やか。
”嵐のように燃えていた毎日”も今となってはセピア色のいい思い出、
”今ではどこにいるのかわからない友達”もいるが、きっと
”あの時と同じような夢を描いて、どこかで走り続けているだろう…”
…素敵です。
決していいことばかりだったわけではない過去も、かつての仲間も
一切否定しない、その潔く深い思い。

私も人生の終点が近づいてきたら、歌いながら
「わが生涯に一片の悔いなし(ドゴーーン)!!」
天に向かって高らかに宣言したい(キャラ違う(笑))。

今宵も素敵な音楽に耳を傾けながら、
どうぞ楽しい年末年始をお過ごしくださいませ。

2018.07.21

音のある生活 11 「Jerusalem 平和への讃歌 」




(半年前、白布はこんな景色でした。まるでウソみたい(汗))

一体いつから!?
最早カウントする気にもならないくらい暑い日が続いていますね。
皆さん忘れずに水分補給を続けていますかー!?

森の草木にとっては試練の夏、裏の沢はもちろん、
最上川源流も水量が激減しています。枯渇しないのが奇跡に思えるほど。


(↑上杉神社で育てられているスイレン。7/11撮影。美しい花が咲いていました)

半年もしないうちに写真のような冬が再びくることは分かっているのですが、
いっそ今来てくれ!と思いたくなる。
というわけで白布も真夏の日々です(30度はぎりぎり切っていますが…)。
せめて写真で涼んで下さいませ。。



さて、久しぶりに「音のある生活」シリーズです。
自分で言うのもおこがましいのですが、
このシリーズになるとほんとマニアな予感しかしない(笑)

今日ご紹介するのは、カタルーニャ(スペイン)出身の
ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者にして指揮者・作曲家、
ジョルディ・サヴァール(Jordi Savall i Bernadet)が2009年に発表した
壮大な歴史音楽絵巻「エルサレム~二つの平和の都市:天上の平和と地上の平和」です。


"Jerusalem - La ville des deux Paix"(2009)

ジョルディ・サヴァールは、長い間歴史に埋もれていた古代~近世古楽の
再発見とその保存・演奏に長年取り組んできた音楽史の功労者。
彼が世に送り出したCD・音楽はかなり膨大な量で、私も全部は聴ききれていません。
氏がプロデュースしたアンサンブルグループ・エスぺリオンXXI(名前カッコよすぎ!)
演奏によるルネッサンス~バロック期の時代の音楽が多めですが、
広く中東~アジア圏の音楽史に残る楽曲やその演奏家との交流による
コンセプトアルバムも複数手掛けており、そのどれもが傑作・大作揃い。

例えば日本史でも有名な宣教師フランシスコ・ザビエルの足跡をたどった
「イスパニアと日本の対話(2011)」では、聖歌やルネサンス楽曲の他
琵琶や尺八といった日本古来の楽器や能楽が登場。ザビエルが旅した当時の
世界を物語のように描いていますし、
今年初めに発売された「Venezia Millenaria(ヴェネツィア千年紀)」では、
イタリアの古都ヴェネツィアにまつわる音楽をビザンツ~バロック時代から
pick up(ヴィヴァルディも入ってる!)した記念碑的な一枚です。
歴史が好きな人なら尚更聴き応えがあるはずです。

さて、今回ご紹介する「Jerusalem」。
文字通り、神話から続く古の都エルサレムの長い歴史を
“平和”というコンセプトでまとめた2枚組の長編アルバムです。

序曲となるファンファーレはサヴァールの作曲とされていますが、
世界最古の町と言われるエリコ(現ヨルダン川西岸地区)の名を冠しており、
紀元前1200年頃の曲が元ネタのようです。
しょっぱなから旧約聖書の時代にタイムスリップ。

アルバムは2枚組ですが、全体では7部構成になっており、
1.天上の平和:黙示録と審判の預言者たち
2.エルサレム、ユダヤの都市 BC1000-AD70
3.エルサレム、キリスト教の都市 AD326-1244
4. エルサレム、巡礼の都市 AD383-1326
5.エルサレム、アラビアとオスマン・トルコの都市 AD1244-1516
6.エルサレム、避難と流浪の都市 15-20世紀
7.地上の平和:義務と希望

歴史をたどりながら、エルサレムに寄せるさまざまな人々・
民族の思いを演奏しています。

とにかく民族色、宗教色豊か。古楽器あり、ヴードあり、コーランあり、
グレゴリオ聖歌ありetc…
もちろんサヴァール本人も指揮を兼ねてヴィオラ・ダ・ガンバで参加しています。
彼の奏でる素朴な音色が不思議に民族楽器と調和し、
遠い異国の世界を
見事に表現しています。
また、途中には朗読も入っています。それもただの読み聞かせではありません。
タルムード(モーゼが伝えたといわれる、十戒とは別の律法)の一部を
ヘブライ語で朗読したもの、
十字軍のエルサレム進軍に際し、時の教皇ウルバヌス2世が寄せた言葉を
フランス語で読み上げたもの、
ムハンマドがメッカからエルサレムを訪れた際の一節をクルアーンから
アラビア語で詠唱したもの…

実際何と言っているのか分かりませんが、ただならぬ言葉のパワーを感じます。
エルサレムにかかわる作者不詳の器楽曲も多数取り上げられており、
よく編集したなぁと感心するばかり。

第6部の最後では、その美声と歌唱力からナチスの温情を受け、ホロコーストを
生き延びたというユダヤ人歌手:シュロモ・カッツが1950年に歌った
アウシュビッツ犠牲者の鎮魂歌の貴重な録音も収録されています。
(朗々としていますがとても哀しげな歌声です。)

中東地域の歴史を深く掘り下げた書物は数あれど、エルサレムという
未だに難しい民族問題を抱える都市を巡ってここまで色彩豊かに
まとめあげた音楽作品は他に類を見ません。

最終章となる7部では、複数の言語で祝詞のような平和への誓願、
そして中東の古典声楽であるガザル(Ghazal)の一つが歌われています。
一つの旋律を、それぞれの民族の皆さんがそれぞれの言葉で朗々と歌うのです。
元ネタは古典的な恋愛叙事詩(詩的様式)ですが、平和への誓願同様
神様へ向けた内容らしく、特に宗教色の強い曲を選んだのでしょう。
アラビア語、ヘブライ語、アルメニア語、ラテン語、ギリシャ語、
ラディーナ(ごく限られた地域で使われているユダヤ系の言葉)…
これらの歌声が各地の楽器演奏をバックにまとまっていく様は荘厳極まりありません。
最後の「Final Ensemble」で声楽器楽が一つになり、大河のような大合唱に
昇華していく様は、聴くだに激しく魂が揺さぶられます。
最初に聴いたときはあまりの感動で涙が出ました。

…とはいえ実際聴いてみなきゃ雰囲気伝わってきませんよね…
素晴らしいことに8年ほど前のライブの様子を映したYoutubeを見つけたので
リンクします↓


(Jerusalem La Ciudad De Las Dos Paces - Concierto de Jordi Savall - Youtube)
※画像をクリックするとYoutubeにリンクします

全編観ようものなら2時間オーバーのスペクタクルになってしまうので
(珍しい民族楽器&衣装のオンパレードで観ごたえは十分ですが)、
能書きはいいまず結論だ!という方は最後の10分だけでも
ご覧になって見て下さい。口の動きと音楽がちょっとずれてたり、
CD版と多少編曲が違っていたりしますが、
雰囲気は十分伝わってくると思います。

既に故人となった音楽家もいるわけですが、この讃歌が末永く歌い継がれ、
エルサレムだけではなく、戦火の絶えない地、今の世に生きる人々の
全ての心に希望と平和が高らかに光り輝くことを願わずにはいられません。


2017.11.08

音のある生活 4 「四葉さんのピアノソロ」




11月に入って早くも一週間以上経ちました。本格的な冬はまだですが、いつ雪が降っても
おかしくない白布温泉です(写真は4年前の11月11日)。

米トランプ大統領(と娘さん)の訪日がいろいろ話題になっていましたね。
私はニュースを時々広く浅くネットからしか拾わない性質ですが、
かいつまむだに相当な過密スケジュールだったと想像できます。

そりゃ一か所に悠々留まれないわけで、後ろから「次の予定まで時間がない」と
言われたら、鯉の餌の残りくらいドバーッせざるを得ない。
まるで現代人の忙しさを凝縮したような一幕そして滞在だったわけですが、
なぜか微に入り際に入り批判する人が少なくありませんでした。
会ったことのない、知り合いでもない人をほんの少し垣間見ただけで、
あたかも相手が目の前にいるかのように人間性がどうとか言えてしまう。
冷静に考えたらなんとも妙な話です。


生活は絶えず目の前に流れる時間と共にあり、切り取られた一時の“動画”ではありません。
なのに動画やほんの軽い気持ちで発した言葉があたかも全てのように伝わってしまったら、
切り口次第で人なんていいところが一つもない存在だと(逆もしかり)いくらでも錯覚できてしまう。
それは本当に相手を正しく映し出した鏡と言えるのだろうか?

Twitterでは例の事件以来、自殺をほのめかすハッシュタグが溢れるようにもなりました。
孤独を訴える人の多さには驚くばかりで、悲しくなります。
事情はさまざまあれど、死が聖地に見えるほど追い詰められているということなのでしょうか。
凄惨な事件の被害者しかり、本当はみんな死にたくはない(なかった)はずなのに。

「死ぬ勇気があるなら、死んだ気で生きろ」
「あなただけじゃない、もっとつらい人がいる」


こんな言葉は、彼らに決してかけてはいけない。余計孤独に追いやりかねません。
ただ誰かにそばにいてほしい、話を聞いてほしい、この世に心安らげる居場所が欲しい、
温かい人と人の繋がりに還りたい…人らしく生きたい。
上手くは言葉にできませんが、本当の願いはそいういうことなんじゃないのかな。




社会が成立しているようで孤独になりがちな今の世の中、こんな悲しい出来事が続くと、
私達旅館業に何かできることはないだろうかと深く考えてしまいます。




出張はできませんが、ご来館時にはいつでも気軽にお話をしてほしいし、
ゆっくり温泉につかって心身を(物理的・精神的に)温めてほしいし、
近くを散歩しながら自然に触れ、ひたすら穏やかな時間の流れを
(生きている実感を)取り戻してほしいと願う次第です。



それでも寂しいと思うとき…
嵐のようなやり場のない怒りが治まらないとき…
心が冷たいままでどうしようもないというときには、こんな音楽はいかがでしょう。

四葉「憂鬱を癒すアロマ・ピアノ~四葉 ヒーリング・ピアノ・セレクション」


2012年からコンセプチュアルアーティストとして活躍する
四葉(しば)さんのアルバム。2015年発表。
アロマ・ピアノというタイトルですが、前回のフレグランスシリーズとは違い
「アロマ=癒し」にスポットを当てたソロ・ピアノシリーズの一枚です。
四葉さんはオフィシャルブログの他Twitterアカウントもお持ちです。
iTunesで楽曲を購入できるほか、Apple Musicでは10枚のアルバムを聴くことができます。

どれもゆったりとした優しい旋律で、さざ波のように沁みわたる素敵な曲ばかり。
最近は私も繁忙期疲れから、日中の事務作業の時や子供たちと食事する時など、
パンチのある洋楽等でなく四葉さんのアロマシリーズを高頻度でかけています。

イライラした気分や、落ち込んだ心が不思議と溶けるように消えていきます。
そのまま眠るのもGood。

皆さんも、ティータイムや寝る前のホットしたいひと時などにいかがでしょう。

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