若女将コラム

日々西屋と山を駆け巡る湯守兼女将による、自由奔放すぎるコラム改めエッセーコーナーです。
人生は奇想天外に生き抜こう。趣味のことや日々思う事etc...ほぼ西屋に関係ない話題ばかり載せています。

普段着物派は声を大にして言う。袴はいいぞ。


SNSブランディング勉強の一環で、ここひと月余り一生懸命
Twitterを更新し続けていた私。しかしいまいち波に乗れなくて、
既に発信疲れがひどいです。ちょっとクールダウンしたい。



昨夜の満月はピンクムーンだったそうですね。
何か色っぽいものが化けて出てきそうなネーミング。
ちょっとドキドキしながらスカイバレー入口でこの写真を撮っていた時、
突然一匹のタヌキが現われました。さてはおまえも月に誘われたな?
そこにいるはずのない人間に相当びっくりしたでしょうが、
のっそのっそ逃げていく姿が妙に可愛くて、なんだか癒されました。
西屋から徒歩5分。ひとっ気のない山の中なんて平和なもんよ。



閑話休題。

今、袴がアツい。

ここ最近の陽気で、山肌を厚く覆っていた残雪が
漸く少なくなってきました。ガンガンに雪が降っていた頃は
「こりゃ全部溶けるのにGWいっぱいかかるだろう」なんて思っていたのに。
太陽の力は偉大だ。
私も、やっとステルス冬武装をせずに気持ちよく着物を着まくれるように
なりました。古都を散々洋服で歩き回っておいてなんですが、やっぱり
着物がいい。性に合う。着る人にしか分からない理屈だが、
要はズボラなのだ。いちいち流行を気にする必要ないからね。

そんな私が最近ドハマりしているのが、「」です。
そう、卒業式(女性)や結婚式(和装する男性)でおなじみの、
あの袴です。それも腰板の入った男性用の袴。
何をするにもめちゃくちゃ便利で、実は、ここのところ毎日のように
身に着けています。



(…後ろ姿で勘弁して。)

着物は、亡き祖母が戦後すぐの頃に仕立てたという縞模様の銘仙。
黒無地の化繊の袴を合わせています。
この時点で「女学生だ」「鬼滅だ」と身内には散々揶揄されましたが、
当の本人は全く気に留めず。
だいたい女なのに男袴とはこれ如何に。
詳しい理由は後述するとして、とにかく楽過ぎるんです、これが。
何が楽かというと、

①衣紋を抜く必要がない。 

衣紋というのは、着物の襟の後ろ部分です。
女性が着物を着るときは、襟を後ろに空けるのが着付けの基本です。
(これを「衣紋を抜く」という。)
衣紋にはTPOがありまして、フォーマル(喪服以外)は大きめに抜き、
普段着は控えめに抜くのが良しとされます。女性らしくうなじを魅せる
部分ですので、例えば花魁はかなりゴーカイに空けています。
鬼滅の刃の堕姫ちゃんとか。
一方男性は衣紋を抜きません。男袴を履く場合、着物の着付けは
男性のそれに準じるため、衣紋の形を気にする必要がないわけです。
肌寒い日も首元がス―スーしなくて、まさに一石二鳥。

②そもそも着物の着付けが超楽ちん。 

女性用の着物は、旅館の浴衣などと違って丈が長めに仕立てられており、
腰の部分で身頃を折り返して、おはしょり(帯の下から出る身頃の
折り返し部分)を出して着付けます。男と違ってくびれがあるから、
体形補正の意味もあるらしい。
このおはしょりをきれいに仕上げるにはなかなかコツがいるのですが、
男袴を履いた場合、ありがたいことにおはしょり自体が不要になります。
なぜなら男の着物はストレートに着るものだから。
私は、身丈が短くておはしょりが出せない古い着物を主に袴下着物
(袴専用の着物、という意味)にしており、裾を内側に25センチくらい
折り返して縫い込んで着ています。
おかげで着崩れを一切気にせず、身体に着物を巻き巻きするだけで
着付けが完了できてしまうのです。
着物を着るときに巻く腰ひもも1本きりでOK。
普通に着物を着るときよりはるかに時短です。そして楽!!!

③見た目は和装なのに、着心地が洋服感覚に限りなく近い

女袴が胸のすぐ下位の位置で履くのに対して、
男袴は洋服とほぼ同じウエスト部分で着付けます。
袴の下の帯も男性用で、幅は8㎝前後。
これは女性の締める帯の半分の幅です。
腰にぎりぎり引っかからないくらいの位置で巻いて袴を履いて
みましょう。ちょっと幅のあるスカートか何か履いている感覚で、
全然窮屈じゃないと分かります。
それでいて、腰板が入っているため背筋がしゃんと伸びるのです。
縦線が強調される袴ですからね。
自然と真っ直ぐ立ちたくなるもんです。
着心地が楽なのに背筋も伸びるって、
衣服として優秀過ぎやしませんか?

④動きやすい 

結論。ほんとこれに尽きる。
私が好んで履いている袴は馬乗り袴です。
股下が割れており、ワイドパンツみたいな形をしています。
袴の下の着物も②の都合でやや短めにしているため、
とにかく足さばきがいい。風を切ってザクザク歩けます。
裾の広がりが気になるときは、野袴(のばかま)や軽衫
(かるさん)など、よりズボンに近い形の袴を着用すると
尚可ですが、これらはなかなか市場に出回っていません
(そして値段も高め)。それに対して馬乗り袴は、
安価な新品から中古品、仙台平できちんと仕立てられた
本格派まで、わりとかんたんに手に入れられます。

特に、米沢市は日本全国の袴生産市場でトップシェアを誇ります。
米織の織元では、今日もその技を極めた美しい袴生地が
織られていますよ。値段はもちろん高いのですが、
品質は折り紙付きです。

(ごめんね…私は持っていない…米織関係の知り合いさんは
沢山いらっしゃるんですが…なにしろ野良仕事もこなす
山暮らしなので…(汗))

そこは予算と生活スタイルとぜひご相談いただくとして。
語ってしまいました。無修正で(笑)



みんな、もっと積極的に袴を履きましょーよ。
普段着にしたって全然おかしくないから。
袴の着付け?
ネットをちょっと探せば、分かりやすい着付け動画がすぐ出てきます。
見た目よりずっとカンタンなのでご安心を。
慣れてしまえば、肌襦袢からよーいドン!で10分かからずに着れます。
袴生地の総本山米沢で、袴仲間をゆるーく募集します。
老いも若きもジェンダーフリーで!ぜひ一緒に袴を履いて、
上杉神社を散歩しましょう♪

※今日の1枚

Chiaroscuro

Ralph Towner & Paolo Fresu(2009)

ご存じECMレーベル発、
クラシックギターとトランペットによる
しっとりしたアンサンブルアルバム。

以下、主人のレビューです(ちょっと編集を加えてます)。

ピアニストでありながら、ビル・エヴァンスの影響で
18歳にしてギターの道を志し、生国アメリカからオーストリアは
ウィーンに留学したラルフ・タウナー。厳しい指導で有名な師匠に
弟子入りするや、なんと1年でリサイタルを開けるほど上達した
という鬼才の持ち主です。
その後アメリカに戻り、ジャズ・ミュージシャンとしてのキャリアを
磨きつつ、「オレゴン」というグループに参加。
クラシックギターの他12絃ギターを駆使し、アンサンブルに貢献。
かのウェザー・リポートのジョー・ザビヌルからも、正式な
メンバー参加を打診されました。
ただタウナー本人は自由な活動を好んだようで、この話は
立ち消えになったそうな。
ECM傘下のミュージシャンはじめ、いろんなアーティストと共演
しています。おととしは、群馬県のホールに招かれ来日。
間に立ったのは、西屋でも何度も演奏イベントで来てくださった
亀工房の前澤勝典さん!!
ラルフ・タウナー、現在77歳。熟練のギターの音色は今日も
世界のどこかで人々を魅了しています。

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