若女将コラム

日々西屋と山を駆け巡る湯守兼女将による、自由奔放すぎるコラム改めエッセーコーナーです。
人生は奇想天外に生き抜こう。趣味のことや日々思う事etc...ほぼ西屋に関係ない話題ばかり載せています。

鳥小屋の扉 2

 
今回の話題。執筆するにあたり、
本コラム史上最強の生みの苦しみを味わいました。
ほんと、どえらい時間がかかった…
アップロード寸前で謎のデータすっ飛びエラーが起きたのもヤバかった…
呪いかよ…百鬼夜行かよ…

メリー・クルシミマス!?!!!!

今年の西屋のクリスマス演出↑。毎年控えめです。



ある日、出かけ先から漸う帰路につく車の中、
だしぬけに息子が放った一言。

「ねぇ。そういえば、イエス・キリストはサイゴノザンパンで何を食べたの?」



サイゴノザンパン。



・・・・・・最後の残飯。





…は。

おのれ、今残飯と言ったか息子?
まさか空耳アワーじゃあるまいな??

神の子イエスの人間最後の食事がザンパンとかなんの冗談だ。
イスカリオテのユダとて”Mottainai”に涙して裏切りを悔い改めるわ。
てか、それ言うなら「晩餐(ばんさん)」な!

内容?
血(ワイン)と肉(パン)な!!



(↑どさくさに紛れておススメのやまがた金渓ワインをうp。)

…また別の日。
中学校の校外授業(フィールドワーク)で訪れた寺の近くに、
たまたま私用で本人連れてやってきたときのこと。

「ここここ!お母さん、このお寺さんが僕こないだ学校行事で来た、
…えーと…「ゴクモンデラ」だよ!!」


ゴクモンデラ。


もしかして:獄門寺。


…へぇ、そうか、もれなく地獄行きかヤバいな(白目)……って、

ちっがーーう!!
表札には「極楽寺(ごくらくじ)」と書いとるがな!!



また日付は遡り。中学校入学早々クラスに張り出した自己紹介で
「好きな食べ物」コーナーに書き込んだのは、なんと「ボルシチ」。
肉じゃがでもハンバーグでも餃子でもなくボルシチ。マジかボルシチ。
そもそも最後に食べたのがいつだったか、作った本人の私がまるで
思い出せないんだけど。あぇえ…少なくとも1年半以上は前かな…
一体全体何が気に入ったというんだ?
真相が気になって、後日当の本人に尋ねたら、

「え?え??ついこの間食べたよね?」

…ただのマジボケだった。
息子、あれはポトフだ。





↑あんまりボケるから、このコラム書いている間にボルシチ作っちゃったよ。
田舎だからビーツなかなかなくて探すのに苦労したわい…
(やまやで売ってました☆彡)



とまぁ、よくも悪しくも"阿保の子ほどカワイイ"を地で行く我が息子。
最近思春期なりの隠し事こそ増えてきたものの、素直で心根の優しい
子供に育ってくれました。
(尤もまだ10代前半…この先どう化けるかは神のみぞ知るところ。)
五体満足のおかげで、病気や大きなケガもなく、
すくすく成長しつつあります。ありがたい限りです。

ただ…それとは反対に、言葉やしぐさから滲み出る奇妙な幼さが
母はずっと気になっていました。うまくは言えんのですが、
自分(中身)を律し鍛えようとする意識、そして、子供ならではの
瑞々しい「好奇心」…つまり学びへの意欲がまるで感じられない。
まぁ…そんな最初から何でも備わった人間なんているわけないし、
まして今の日本社会は(たとえそれが得られなくても)与えられる
ものが溢れすぎて、それでいて先行きが見えない、漠然とした不安が
いつもどこかに停滞している不穏な印象がぬぐえません。
行動の軸となる夢や目標意識を抱きにくい環境要因も
あるのかも。ちょっと甘~い見方ですが。

だとしてもだ。
「他の子と較べて」やたら人間力の稚拙さを感じてしまうのはなぜ。
親の目が厳しすぎるから??
比較対象が少なすぎるから??
そんな堂々巡りの答えは、2学期折り返しの時点で渡された
成績表にバッチリ記されていました。つまり…アレだよアレ。
「紅の豚」のワンシーン。青天井の空の下で某夢から醒めた
若き日のポルコ・ロッソ。超低空海上飛行。

察してくれ…その状態でよく飛んでいられるな。奇跡か。
そう…我が息子の目下の弱点はまさに"頭脳"だったのである!
おつむ!!!


人間社会ってのはどうにも息苦しい環境で。生きていくために
成長しながら学んで、やがて収入を得る手段を獲得して、
どんなかたちであれ地に足のついた生活を築く必要があるわけです。
ストレートに弱肉強食な野生動物の世界とはまた違う生き方、
世を渡る術を身に付けなければいけません。

ところが若い頃の私はとんだアウトローでして。
「んな屁理屈知るかぁ!」とばかり散々道を外しまくり、
何度か綱渡りも経験しました。
つまりは真正阿保の子だった(笑)
それが何の因果か旅館の女将となって、一念発起して、自分をより
好きになりたくて、己の内側からとにかく「変わる」取り組みを
続けてきました。己にカツを入れれば、身の回りの環境ごと状況が
好転して、やがてWin-Winの関係が築けるだろうと。

家族、こと息子についても「ちっと日本語スキル怪しいな(汗)」
と思う時はあったものの、基本楽観的に見守っていました。
成長と共に学ぶ環境も変われば、年相応に自分を磨く努力くらいは
しているだろう、徐々にその範囲を広げて、いずれ周囲に流されない
人格を身に着けていってくれるだろうと。
勿論親としてのサポートも折々添えてきたつもりでした。

でも、違っていた。私は息子のことを分かっていたようで、
全然理解できていませんでした。

今年最後の三者面談の後、半ば宇宙猫みたいな顔になっていた
息子と膝を突き合わせ、よーくよーく話し合ってみました。
どうやら彼は、日頃何でもないような様子でいて、計画的な学習の
仕方とか、日常生活での優先順位の付け方とか、勉学以前の
「生きるための基礎知識」をまとめて後ろにポイポイしたまま
何となく生活していたらしいことが漸く判明。

えーと…例えるなら、泥酔して今にも意識トびそうなのに
「俺酔ってないよ!!」なんて自信満々に笑いながら、
何なら千鳥足ですたすた歩ちゃうパリピタイプ(違う違う違ry(笑))。

そんなわけ分からん状況が続いていたにもかかわらず、
本人は学校に行くのはめちゃくちゃ楽しいと真顔で言うのです。
たとえ体調が優れなくても、這ってでも登校すると訴えるほど。
おいどういうことだ。



息子は進学と同時にいきなり人数30倍の学校に放り込まれました。
最初は本人も不安がっていたし、さぞ順応するのも大変だろうと
思いきや。意外なことに、今じゃクラス内外問わず両手両足じゃ
数えきれないくらい友達がいるらしいのです。
さらに驚くべきことに、息子は家での会話で、そんな友達(複数)
への称賛を頻繁に口にするのでした。とにかく褒める褒める。
「あの子滅茶苦茶成績イイんだ。そんで僕とも仲良しなんだ」
「〇〇って子はスケボーが上手だよ。すごいよね!でもさ、
意外な一面もあって面白いんだ」etc.…


正直ビックリでした。
ますます私の理解は追いつきませんでした。
なぜなら、同じ頃の私にはそんな才能全くなかったから。
むしろ「アタシの屍を越えてゆけ!」と言いながらワザと
相手を蹴落とす滅茶苦茶ひどい奴でしたので…。いやホント鬼。
今でこそ、そんなロクでもない本性と折り合いをつけて穏やかに
暮らしてはおりますが、本来の性格が性格なだけに、
息子、プライドないのか?
なんてつい心配したくなることもありました。
しかし、よーく話を聞いてみると、
決して自分を卑下しているわけでもないのです。
ちゃんと矜持があって、違うものは違うとキッパリ言い切ります。


ここでやっと気づきました。
私は、自分の過去の経験や知識、理解できる範囲やかたちを
全く変えないまま「なんで息子はポツコンなんだ」と
向こう岸から檄を飛ばしてばかりいたこと。
そのせいで、息子の良さや為人(ひととなり)を全く
理解できていなかったこと。
理解できないから、結局他所の子供や返ってきた成績など、
ほんの一部の比較できるものだけを基準にして、相対的に
息子の輪郭を捉えようとしていたことに。



他者をありのままに受け止め、尊重し、友情を育むという、
教科書的な知識だけでは獲得できない慈悲にも似た精神を
幼いなりに息子は既に備えていました。
にもかかわらず、母とはいえ考え方も生き方も異なる私が
自分基準でしか息子を映し出せなかったために、最近まで
その本質を見抜いてやれませんでした。
確かに学力面では他の子からかなりな遅れをとっているだろうし、
これまでの子育て観を大きく変更して息子と向き合わなければ
いけなくなったわけですが、
実はこれ、すごくいいパラダイムシフトできたということなの
ではないだろうかと思い始めています。

お手本にしているのは、そう、ご存じスティーヴン・R・コヴィーの
「7つの習慣」。有名な本ですね。
うん、最近読んだ(爆)
結論から言えば、もっともっと早くから読んでおけばよかった!!
まぁ時間は巻き戻せないので、今じっくり彼の理念を読み解きながら、
息子に来るべきパラダイムシフトを目指しているところです。
変身せよ!ムーンプリズムパワー!!!

実は私、自己啓発系の本は眉唾だと思ってこれまであまり読んで
来ませんでした。でも、改めてよく読んでみたら、特に湯守に
なってからの紆余曲折や自己変革の過程で、7つの習慣のかなりの
部分をしっかり踏襲していたっぽいことに気づいて一人秘かに歓喜。
…おお…もしかしてこれ、ちょっとでも自分で自分を褒めていいヤツ?

それもこれも湯守業のおかげだ。
ありがとう温泉。ありがとうお薬師様。




今年のクリスマスでは子供達にそれぞれ本を送りましたが、
私もちょっとした1冊を自分にプレゼントしました。
禅僧にして造園デザイナーである枡野俊明さんの近著。

禅の思想や言葉は好い。水のように、不思議と心にすっと落ちてきます。

結局人生には完成形なんて存在しない。挫折も失敗も後悔も付き物ですが、
どの曲がり角も決して無駄なもんじゃなくて、掴み方を変えるだけで、
そのどれもが自分を変えるチャンスになるんだと教えてくれる。


息子もいつか越えてくれるといいな。
新しい自分になれる未知の扉の向こう側へ。



今日の1枚

UP直前で文章トンだせいでギリギリアウトだちくしょう!
百鬼夜行6時間遅れ!

Weihnachts-Oratorium,BWY248

J.S.Bach/Jordi Savall & Le Concert des Nations(2021)

(視聴するには長すぎるので、今回はリンクナシ!)


1734年にバッハが作曲・初演した「クリスマス・オラトリオ」。
初演はライプツィヒの聖ニコライ教会&聖トーマス教会。
教会で聴くには長丁場なので、日時や場所を変えて、第1部から
第6部を分割して演奏しました。

クリスマスソングと言えばワム!や山下達郎が王道かもしれませんが、
いいか、本物の王道(?)はこれなんだ!
オーケストラはバロック式ほぼ全乗せ編成+パイプオルガン+
混声4部合唱に各パート独唱有り。演奏時間は堂々のフルサイズ
映画約1本分(2時間半位)!
中身は言わずもがな荘厳すぺくたきゅら―!
とにかく長いし何回リピートしても何部だかすぐ忘れちゃうから、
1日中BGMで聴いててグーよ!!


…なんだこのノリ(笑)
まさに深夜ズハイ。(只今0:05)

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