若女将コラム

日々西屋と山を駆け巡る湯守兼女将による、自由奔放すぎるコラム改めエッセーコーナーです。
人生は奇想天外に生き抜こう。趣味のことや日々思う事etc...ほぼ100%西屋に関係ない話題を思いつくまま載せています。

若女将コラム

2021年09月

2021.09.16

愛すべき師匠。



『師匠!うちの風呂場にルルイエが!!』




当コラムでも話題に取り上げた7月の湯桝工事。
お湯を完全に堰き止めて作業しましたので、当然湯滝風呂も数日間
温泉が流れず、そこには異様なほどの静けさが満ちていました。



白布温泉は自然湧出の温泉です。人為的に流れを止めることはできません。
湯量も莫大で、たとえ掃除で栓をMAX抜こうとも、常に湯量が流出量を
上回っており、浴槽の底が丸見えになることはほぼありえません。
ゆえにこれは数年に一度も観ることができない貴重な光景です。



色といい素材といいまるで遺跡。
大きな御影石のパーツがそれぞれぴったり嵌っているのが分かります。
300年以上休みなく激しい量の温泉を受け続けてなお現役なのだから、
当時建造に携わった職人さんの技術の高さが伺えます。

よく誤解されますが、色が黒いのは何センチも積もって固まった
温泉の成分です。ストロマトライトだと思ってくれ(違)。

・・・

そんな西屋のお風呂を毎日デッキブラシでゴシゴシ磨きあげ、
源泉や水回りの管理も含め半世紀近くにわたって一手に
担ってきたのが、番頭の倉ちゃんです。



本名倉吉。御歳81歳。
西屋先代からの愛称が倉ちゃん。老いも若きもみんな倉ちゃん呼び。
他でもない、私の湯守師匠です。

倉ちゃんは西屋家の先祖の出身地でもある関は小白布在住。
一言で表すと「食えないジイちゃん(いい意味で)」。

とにかくマイペースで、距離感がおかしくなるほど人懐こい性格です。
生粋の小白布弁使いのため訛りがキツく、実はコミュニケーションを
とるのは一苦労。なのに、ひょっこり会話に混ざってきたかと思ったら
それこそいきなりボケをかましてきてくれるので、誰もツッコんで
あげられない(から自分でツッコんでは楽しそうに笑っている)という、
ある意味すごくすごーく貴重なタイプです。
お互いに会話がズッコケるってどうよ。

かと思えば、たまにしれっと女物の服を着て仕事に来たりします。
曰く、「タンス漁ってたら出てきた」。
いや待てそれどう考えても奥さんのだろう。
ラメが入ったカーディガン着てきた時はさすがにどうしようかと思ったわ。
それこそツッコみどころ満載なのですが、「なに、まだ着られっドレ」
と真面目にニコニコ返されちゃえば何も言えまい。
(ちなみに↑の写真で身に着けているズボンも、前ポッケに小花の刺繡が
入っています。フツーに似合っている…。)

またあるときは、緩くなったズボンのベルト代わりに
「まだ使える」というただそれだけの理由で、壊れたカバンの
肩紐、果ては自転車のチューブまで巻いて来たこともありました。
要は勿体ない精神の鑑なのだ倉ちゃんは。
なぜか腹回りにかけての装備が半端ない。イカしてんね!と声をかければ
「拾いモンだぁ」とあっさりタネ明かししてくれ、それをちっとも
恥ずかしいことだと思っていない。
時々上にはみ出る腹巻がどう見てもバ〇ボンのパパ。
ちぐはぐだよ倉ちゃん!!!さてはその腹巻に括り付けたずり落ち防止の
紐も、この間ぶっちゃいたシーツだな(笑)!!

…なのに、これら全部ひっくるめてなお"何この可愛い生き物"。
…そう思えてしまう謎のビジュアル補正が毎度展開されるんだから
わけがわからん。その上「頑丈でいいんだぞぅ」と満面の笑みで
アイディアマンアピールされたら、あとはもうひたすらあたたかい目で
見守ってあげたくなっちゃう。

そんな愛すべき珍獣のような倉ちゃんですが、
毎日休館日以外は必ずお風呂を手際よくピカピカに掃除してくれます。



↑見て下さいな、この人懐こい笑顔。もうね、大好き。

「なんだオメー、俺の写真そがい撮って、アルバムでも作んなか?」
…いや作らんけど!



びしょぬれになるし、水圧もかかるしなかなか重労働にもかかわらず、
手際の良さは申し分なく、掃除後のお風呂はいつもピカピカ。



中庭を流れる排湯の通り道もデッキブラシでくまなく掃除してくれます。
慣れたものです。半世紀のキャリアは揺るぎません。

お掃除だけでなく、湯滝風呂の管理の仕方はもちろん、
温度の調整の仕方、館内の源泉の配管やら水回りの点検方法やら、
すべて倉ちゃんが伝授してくれました。地形に詳しく、力仕事から
ちょっとした修理から大工工事からなんでもこなせる倉ちゃんは
みんなから頼りにされてきました。

まだ湯守に慣れなかった頃、三十三観音の水が極端な少雨でピンチに
陥った時に一緒に現場に来てくれてたことがありました。困り果てた
私に倉ちゃんはホースや土管をかき集めてきて、いつもの調子で
「その辺の物何使っていいんだぁ」とのんびり宣いながら、あっという
間にあちこち継いで水不足を一気に解消してくれました。

その姿を見た瞬間、私は彼を「師匠」と仰ぐに至ったのでありました。
倉ちゃんの持てる経験と知識(と使えるものは拾って使え!魂)は
確かと私に引き継がれました。
彼無くして今の西屋の風呂(と野尻NA(笑))は存在しえません。

ご機嫌斜めでぶすくれることもあるけど、「元気出そうね」と大好物の
饅頭を渡しながら声をかけばたちまち喜んでくれたり、
普段着物を着ているのに「なんだ、オメカシしてどっかお出かけか?」と
すっとぼけてくれたり。無自覚なまま人の懐にすっと入ってきてくれます。
前世はきっとたくさんの人に愛された柴わんこに違いない。

正真正銘西屋のアイドル的存在です。

西屋のスタッフみんなに愛されている倉ちゃん。
私の大切な師匠。
これからもよろしくね☆






今日の一曲

"明けの方から"-「マヨヒガ」より

姫神(1995)

(リンク先はようつべへ!!)

個人的に倉ちゃんのテーマと言えばコレ。
「神々の詩」で大ヒットを飛ばした岩手発民族系ミュージシャン
姫神のアルバムから。姫神に詳しくなくても、昔々放送されていた
「日本全国各駅停車路線バスの旅」シリーズのBGMと言えば
「ああ、あんな感じの曲」と思い出してもらえるかもしれません。
シンセサイザーを巧みに取り入れ、どこか懐かしい民謡を思わせる
独特の旋律は、後の風の縄文シリーズに引き継がれていきました。
所々歌詞がよく分からないところも倉ちゃんぽくていい(笑)

2021.09.13

米沢のいい所あれこれ 【第36回:「笹野民芸館」】





朝晩の涼しさが心地よく身に染みるようになってきた今日この頃です。
白布では既に10度を切る日も珍しくなく、9月初旬にして、朝イチの
吐く息が白くなったのにはホントに驚きました。
まさに白露。

さて、相変わらず笑いのツボがずれっぱなしの当コラム。
今までは編集しやすいという理由から一貫してPC内で下書きから清書まで
つらつら書いていましたが、今度から拷問よろしく、手書きで全文綴って
からPCで清書するやり方に変えました。何故か。
字の練習にもなるし、忘れかけた漢字(綴り・書き順・その他もろもろ)の
再確認、ひいては理解がおぼろげだった単語の勉強になるやらで、
まさに一石三鳥だったから。

ただ惜しむらくは…
分かっちゃいるけど…
恐ろしく書き進むペースがおっそいこと!!!

必然的に字典や辞書片手に所々書き直したり調べたりしながら
作文するため、頭の中ではハイスピードで作文が進行しているのに、
まるっきり手が追い付いていきません。なかなか苦行。
でもね、達筆を本気で目指すなら、とにかく日々一つでも多く字を
書くしかないんだよ。頭より手で覚えろって算段です。
効率悪い上、自分でもびっくりするほど字や言葉を忘れているという
衝撃の事実にいちいち打ちのめされますが、結局のところ、手書きが
一番いろんな意味で近道だと考えるようになりました。
無駄にだらだら文章長くなることもないし。
(あ、もしかしてコラム的にこれ↑が一番メリット?)

ちなみに、主に参考にしている書籍は江守賢治氏の筆順・字体字典と
鈴木啓水氏のペン字練習本あれこれです。毛筆の字典を含めると
棚一列完璧に埋まるねぇ…読み切れないねぇ…(白目)



↑故江守賢治氏の字体字典。ほぼこれ1冊で硬筆・毛筆両方カバーできる。

書体字典はその名の通り、主に常用漢字の楷書から草書まで各種書体が
掲載されています。物によって筆順も丁寧に手ほどきされているので
字の練習に事欠かない一方、原則音読み順に漢字が掲載されているので、
調べたい字の音読みを知らないと、これまた検索に時間取られて
地味にストレス溜まるので超おススメ(爆)

・・・実は私、どM気質なのかもしれない??



前置き結局長くなりすぎました。。

さて、今日は旧シリーズの一つ「米沢いい所あれこれ」でお届けします。
第36回、「笹野民芸館」
近場です。灯台下暗しです。



民芸館は米沢市南部、
斜平(なでら)山麓にある笹野観音のすぐそばにあります。
皆さんご存じの「笹野一刀彫」のお膝元。
あまりにも有名だし今更ここで説明するまでもありませんが、
笹野一刀彫は約千数百年もの古い歴史を持つ置賜地方特産の郷土玩具で、
「お鷹ぽっぽ」でお馴染みの通り、鷹や梟、さまざまな動物等を象った
木彫りです。原料となるコシアブラや槐(えんじゅ )の特性を生かした
独特の造形美が特徴で、海外でも珍重される土産物なのだとか。
笹野民芸館はその一刀彫作品を一堂に見て絵付け体験を楽しんで、
実物を手に取って購入ができる施設です。
因みに「木材工芸品等加工展示施設」 なんてまぁ素晴らしくお堅い
正式名称がありますが、地元民誰もこの名前で呼んだことはないと思う。

少し前まで職人さんの減少と高齢化に悩まされていましたが、
数年前に彗星の如く米沢市内の男子3人が弟子入りして一気に若返りし、
新作の創造から一時継承が途絶えた古典的一刀彫の復古など、非常に
精力的な創作活動を広げています。



↑彼らが笹野一刀彫期待のニュー世代達。
写真を提供してくれた小山くん(写真右)ありがとう!!

さて館内の様子は…



古風で素朴な建物内に…



大小さまざまな一刀彫が所狭しと並んでいます。
壁のパネルでは材料となる木の伐採から製造過程まで細かく解説されて
いて、なかなか根気のいる作業であることが伺えます。



↑この夫婦シリーズ好きよ。



テーブルにちょことんと飾るのにもちょうどいいサイズも売っているので、
お土産やプレゼントにすごくいいと思います。結婚祝いとか。



↑これがオーソドックスなお鷹ぽっぽ。この大きさの木を見つけるだけでも
大変なのに、加工可能な状態になるまで寝かせたりする手間暇だって
かかります。縁起のいい置物として会社の社長室や邸宅の床の間に
飾られたりと、とにかく非常に人気が高い逸品。



↑西村版黄門様が!!お鷹ぽっぽを!!!八兵衛にお銀さんも!!!!
笹野がロケ地だったんかな?時代劇ファンなら三度見間違いなしの写真。



意匠は同じでも、当然一つ一つ手作りなので全部ワンオフです。
特にこの木の根の造形を活かしたミニ一刀彫ズ↑はそもそも数が少ないので、
気に入ったデザインを見つけたら即買いしないとゲットのチャンスを逃して
しまうレアもの。
Instagramで以前紹介されたときは即買いしました。
今西屋の玄関にも飾っています。



↑これがそれ。



↑それぞれの本来のサイズはこんな感じ↑ですが、



それがまぁえらくちっこいサイズになって切り株に乗ってるのよ。
可愛すぎでしょ。



他にも「カメェ――!!」がいたりします。石田太郎さんじゃありません。

さらにさらに、
一刀彫だけではなく、館内では地元の木工作品も併せて並んでいたりします。



竹の柄杓や、王将駒を模したオブジェやお盆。



そしてこちら瓢箪を使った透かしランプ。
あまりにもきれいで、以前西屋でも買いました。




これ。



裏面はハート型というこだわりの作り。1本で2度おいしい。

製造工程が図解されている通り、ここでは修学旅行で遠方から米沢を訪れる
子供達や団体の皆さんが絵付け体験に来館することが多く、民芸館では
随時お鷹ぽっぽへの絵付け体験の予約受付をしています。

一から塗るのではなく、ちゃんと下絵が施されたものに仕上げのような
形で一本筆を入れていくやり方だそうですが、伝統工芸品に直接
触れられるまたとない思い出になるわけですな。

運が良ければ当日の予約も可能だそうですので、
興味がある方はぜひ民芸館に直接電話で問い合わせてみて下さい。

【笹野民芸館】
〒992-1445 山形県米沢市笹野本町5208-2 
Tel 0238-38-4288 
営業時間 10:00~16:00 
定休日 火曜日 
駐車場 
建物の目の前と、道路向かいに大型バスも駐車可能なスペースがあります。





今日の一枚 

Anton Bruckner Synphonie No.7

Wiener Philharmoniker & Herbert von Karajan (1989)


(↑ないだろうと思ってググったらようつべあったわー!!)



えー、例の春の祭典以来の管弦楽曲である。
アントン・ブルックナーの交響曲第7番です。
世界に名だたる指揮者の一人として半世紀以上にわたって活躍した、
ヘルベルト・フォン・カラヤンの生前最後の録音となった一枚。
全部で9つあるブルックナーの交響曲の中でも人気が高く、
お馴染みオケマニアの間ではブル7(しち)の愛称で親しまれています。
ボルシチかよ。
ン十年前、バイト頑張ってチケットゲットして、サントリーホールで
聴いたウィーンフィルの演奏は見事過ぎて膝が震えたのはいい思い出です…
隣の隣にピアニストの内田光子さんが座っていたのも驚き桃ノ木アッヒョオ!でした…
別プログラムで彼女がウィーンフィルと共演するピアノ協奏曲
(肝心の曲名忘れた)があってだな…。

この曲を聴くと、カラヤンの最晩年の貫録と相まって、
「光と影の魔術師」といわれた画家レンブラントの油絵がなぜか
思い浮かびます。ゆるぎない光明が行く先を厳かに、しかし明るく
力強く照らすようなクライマックスは感動の一言。「聴く」よりも
「流す」と長時間の演奏時間も(多分)あっという間です。

あ、全然中身紹介してないや…

2021.09.04

「有言実行」縛りがいよいよヤバい





西屋の蔵にあった年代不詳…ひょっとして三桁いってるかも…
婚礼衣装と思しき二重の綿入り着物を、現在茶の間で公開中です。

まちg

ちょっとした自館ミニ展示イベントの一環です。
効果はまるっきり薄いですが、一応虫干しも兼ねています(爆)。




シンプルながら青地に菊の花をあしらった古典的な柄と、
一部絞りの入った裏地いっぱいの鮮やかな紅絹(もみ)がなんとも艶やかな
組み合わせ。いいねぇ、いいねェ!紅絹入りの着物ほんと好き。最高。

礼装には違いないのですが、この大振袖は上衣と、振りや裾に同様の生地を
使った内重ねとセットというなかなか珍しいアンサンブルです。
着物歴の長い私でも、これほど古くてユニークな着物を扱うのは初めてなのだ。
人生の晴れの日に、万感の思いを込めて袖を通したであろうこの着物。
10年以上前に蔵から発掘して、長い間風通しのいい所で干したりしながら
大事に大事に保管していました。
もし西屋を訪れる機会があったら是非見に来てみてね。期間限定です。






↑他にもこーんなビビットなアンサンブルを飾っています。
こちらは西屋由来ではなく、私の母方祖母の伯母にあたる人の着物でした。
大正末期~昭和一桁くらいの頃のものです。よく見ると鹿や鳥のシルエットが
見え隠れしています。現代とは違う大胆な構図がグー。大伯母(?)は
日舞の師範だったためか、わりと裄や裾が長めに縫製されていて、私でも
なんとか着れる。ちょっと勇気要るけど。生地は柔らかいちりめんです。
合わせた帯は昼夜帯で、裏面は絽の竹模様です。締めるにはちと短いの
ですが、切るのが勿体なさ過ぎてちょっと持て余してる。
身に着けたいけど年齢的にビミョー…。
とまぁこんな具合で、
茶の間のあちこちに着物を飾っては一人で萌えて喜んでいます(笑)




えー、コラム。8月中にもう一度更新しておきたかったんですが、
あー、ぶっちぎりで間に合わなかった…。

正直に言おう。ネタが思い浮かばなんだ。

本当は外に飛び出していくつか紹介したい場所があるんですがー…。
あんまり世の中コロナコロナ煩いからどうも取材に足を運びにくく、
どうしよっかなー…と迷っています。
別に紹介する話題まで自粛してどうするんだよって話なんですがね。
まぁ、米沢も今あまり穏やかな状況ではないので、もう少し
落ち着いたらUPしていきます。それまで腹筋頑張るのでしばしお待ちを。
(なにこのオチ。)





さて、相変わらず「有言実行」という名の縛りは良くも悪しくも効果覿面
(てきめん)でございます。

昨今の事情で、例年なら今頃繁忙期なのにもかかわらず観光地周辺は
不気味なほど静かなので、気が触れないように浮いた時間をなるべく
自己研鑽に充てています。

書道(通信講座)は1回目の添削が無事に帰ってきました。
俺は海賊王かな文字狂になる!
という相変わらず無謀な意欲をメッセージ欄にぶちまけましたが
(いや、字面そのまんまじゃないから安心して!)、添削指導の先生から
なかなか明快な激励を頂いたのが嬉しかったわい。
目標が明確なほど上達は目覚ましいらしい。
単純なのですぐにノッちゃう。

同時に自分なりの課題も見えてきました。
ふむ、線が細くなる箇所が散見される、か。
ならばもう一度楷書をみっちり鍛えよう。

かくして、2回目の課題対策も含め手に取ったお手本は市立図書館から
借りてきた書道のテキストです。中国に現存する拓本や真筆etcが
年代別に紹介されている内容で、著者曰く、
「こんなものを書いてみたいというお気に入りのお手本をぜひ見つけて、
みっちり練習してください」。
もう一度言おう。単純なのですぐにノッちゃう。

文字通りの意味で受け取り、よっしゃこれ気に入った!と選んだのが…

生前から書聖と謳われ、楷書はじめ各書体における最高のお手本として
書道史に君臨し、歴代の偉人がこぞって収集・臨書した書道界のカリスマ:
王義之!
酔っぱらって書いたらしい「蘭亭序」が行書屈指のバイブルになるくらい
だからその非凡さは半端じゃありません。ちなみに日本では奈良時代に
彼の書が伝わってきました。光明皇后がパワフルに臨書した「楽毅論」
(正倉院蔵)が有名です。ガッツ藤三娘。

はい、そしてこっからがめくるめくイバラの道である。

現在、王義之の楷書による拓本「楽毅論」「黄庭経」「東方朔画賛」を
少ーしずつ臨書しています。
よせばいいのに欲張りだから、的を一つに絞れないドM根性。
実際臨書してみるとよく分かります。ただ書くのとはわけが違います。
筆にかける力加減といい、迷いのない点と線の筆運びといい、
簡単そうに見えて、シンプルに滅茶苦茶難しい(語彙力)。
一見ひょろい人間みたいな外見の癖に、何の対策もしないまま挑んだ
ところ秒で玉砕する裏ボス第一形態みたいな初見殺し(だから語彙力)。




↑楷書じゃないけど、こっちはかな文字を覚えるために
書き散らした百人一首いろいろ。もっと落ち着いてやれ私!!
まるで煩悩にまみれた昔の恋文の下書きである。
それでもぶっちゃけ楷書の方が難しい…。

かつてペン字の通信講座を受講した際、序盤で楷書を書く時の
字のバランスを繰り返し頭と指先に叩き込んだ時期がありました。
これらの極意が実は全て王義之に始まった黄金比そのものだと
気づいた時も驚きでしたが、そもそも1700年も前に生きた人の
認めた字が、そのまま現代人にも平易に読める楷書の最高峰の
お手本として、未だに燦然と輝いているというこれまた驚きの真実。

つまり王義之の書は非の打ち所がない完璧な存在だという証左。

唐代の皇帝太宗(李世民)よろしく、墓にまで王義之の作品を持って
逝きたくなる気持ちも分からんでもない。残念ながら王義之本人の
真筆は現存していないといわれていますが、太宗が苦労して編集を
命じたという「集字聖教序」他忠実な模写本や拓本が残されている
おかげで、その精神を存分に学ぶことができるわけです。
ホント感動しちゃうよ。

道のり遠すぎて笑っちゃいますが、
書聖にあやかりつつ草書→かな文字までたどり着けるように頑張るわ。



はな「おう、頑張れ。」


一方、同時進行で日本画…でなくてアドビ(Adobe)ソフトも
(やっぱりナメたらいかんやつだった…と大後悔しながら)徐々に
学び始めています。Illustrator、Fresco、深みにはまってPhotoshop。
うぇーいこっちも三本立てときた。
Photoshopは使用歴自体長いものの、まだまだその多くの機能を
使いこなせていないのが現状でした。だから改めて勉強し直し。
知らないことは素直に認め、ひたすら学ぶべし。

というわけで、ただいま悶絶しながらチュートリアルにかじりついている
状態です。ていうかこれ、独学で上達するの?!
うーん…分からん。
けど、始めてしまったからにはやってやる。



↑チュートリアルを観ながらタイムアタック1分で描いてみた超適当マンダラ。
ソフトはフォトショ。
数年ぶりに引っ張り出したミニマムサイズのペンタブレット:愛称お竹が
「ようやく出番か…」と泣いている(笑)まだまだ現役なので、
当分この縛りスペックで練習します。iPad?ステイホームだし我慢する。

いつか平安期以前の仏画とか琳派の錦絵とか描けるようになれたら嬉しいナ~。
…って、これまた自分でも呆れるほど大それた目標ですが(苦笑)
むしろほんまもんの日本画を製作するのに必要な画材に比べたらはるかに
低予算だし、そういう意味ではずっとハードルは低い。
かてて加えてサブスクリプションは、どケチな私にとってイヤでも
モチベーションを底上げしてくれるから便利ね。
あとは気合。気合で頑張る。 
どうなることやら?!!


※ 


今日の1曲 

"Nothing Like Them" - Chemicals

Loving Caliber (2017)


(↑リンク先はようつべ!)

スウェーデンの3人グループ、Loving Caliberのアルバムから。
前々回のコラムで話題に挙げた宅トレユーチューバーこと竹脇まりなさんの
体操動画で採用されていた曲です。通称「タッチマイヘアダンス」。

歌詞は1人称か2人称でいろんな解釈ができますが、前者だとしたら、
「大丈夫だよ、変わると言ったんだ。ボクは誰にも似ていない、
唯一の大事な存在なんだ」と過去の自分(写真)に向かって語り掛けている、
みたいなシチュエーションに取れます。なかなかいい曲よ。
散々腹筋だのHIIT(高強度インターバルトレーニング)だのヒィヒィ
汗かいた後に、このきらっきらのBGMと虹を描く体操よ。
ポジティヴにならずにはいられない!

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