若女将コラム

日々西屋と山を駆け巡る湯守兼女将による、自由奔放すぎるコラム改めエッセーコーナーです。
人生は奇想天外に生き抜こう。趣味のことや日々思う事etc...ほぼ100%西屋に関係ない話題を思いつくまま載せています。

着る桜、見送る桜 ③



↑絶賛ステイホーム中だった去年、何回も白布温泉街の遊歩道に遊びに行きました。
展望台から見える景色はまさに絶景かな。



↑一方こちらは早朝のスカイバレー。
最近、基礎体力向上のために
ジョギングで朝スカイバレーデビューしました。
標高900m~950mの高さだから、けっこう息が上がる~シビれる~
ただ景色はキレイなのに、足元は動物のウ〇コがちらほら…
なんでわざわざ道路に垂れていくんだ。開放感がくせにでもなるのか?
どうでもいいけどお前ら持って帰れやー(爆)!

ーーーーーーー

さて、着物の話でめちゃくちゃ脱線しましたが、本流①に話題を戻します。
え?てかアレ一応本流。
どっからだっけ?

『また一つ、新しい人生のコマに歩みを進めた長男の前途明るい未来を
願ったが故のイレギュラーな「桜」チョイスだった』…からでしたな。

…ふと自分の中学校時代をふと思い返してみたんですが、
だいぶ前のことにもかかわらず、驚くほど当時の情景が色鮮やかに蘇ってきます。
そんな自分がいつのまに人の親になって、中学生になった我が子の背中を
保護者席から見守る日がこうもあっさり訪れようとは。
入学式からひと月余りたちましたが、未だに夢でも見ているような、
狐につままれたような、とにかくとても変な気分でした。

中学校の3年間はあっという間です(だから大いに学び、青春しましょう)。

来賓の声で、どこかで聴いたことがある様なフレーズの祝辞を聞きながら、
それよりもその後の人生の方がマッハ坂道早送りもいいとこだよ~、
なんて一人でツッコんでいました。
時間の速さは一定のはずなのに、年齢と共に斥力でもはたらくんだろうか?
はぁ、そうかつまり人生は宇宙か。
よく分からん。



かつて中学生だった当時、親といえばまだまだ絶対の存在でした。
防波堤に囲まれた入り江の如く、よくも悪しくも世の波から
両親はじめ大人世代のフィルタリングによってしっかり覆われていました。
でも、実際自分が順送りでその防波堤ポジションまできてしまうと、
ああなんだ、別に思ってたほど「大人」でもないじゃんか、なんて。
めちゃくちゃ自分を棚に上げて呆気に取られたりして。

しかし同時に、当時その背を追いかけていた親や先達が立っていた場所に
たどり着いたにもかかわらず、いつまで経ってもその距離が縮まらない
ことに気づかされます。そりゃ歳の差が縮まるわけじゃないから当然な
わけですが、永遠に追い越せないとちゃんと理解していて、それでもなお
焦る自分もいるわけです。
実際まだまだ未熟だと思い悩むところばかりで、こんなんで本当にこの先
ちゃんと親としての務めを果たしていけるのだろうかと不安になること
しばしば。まぁ、当時の親世代も子供の前で見せなかっただけで大方
同じような葛藤を抱えていたのでしょうが。

少しずつ形や位置を変えながら、寄せては返す波のように。
毎年春になると咲き誇る桜の見慣れた景色に、それでも初めて
出会うような感動を覚えるように。

思えば、この、世代を超えて幾星霜重なってゆく日々こそが時間であり、
その見えない「地層」の上をひたすら歩き続けるのが人生なんだろうよ。

山あり谷あり、決して一か所にとどまることのない、どこか歪んだ一本道。
自分が理想とするゴールはあっても、それは旅路のはるか上空で輝き続ける
星のようなもので、地平線の先に横たわる人生の終着点そのものではない。
目指すことはできても、ゴールにたどり着くことは絶対にない。
どこまで行ってもまだまだ自分には伸びしろがあると信じて、理想を
追いかけたまま命の果てまで歩き続けていくというのは、そういう事だろうと。

時間と理想の奇妙な平行線が、人の数と歴史の分だけ思想や哲学、
果ては宗教を生み出してきたわけで。少し目覚めれば誰でも気づく、
古今東西みんなが通ってきた道。
そうおもえば、妙な不安はたちまち消えていくから不思議です。

ただ凡人は悪あがきせず、難しい言葉や詩で人生を語るのは専門家に
丸投げすればいい。いたずらに時間に抗わず、ただ静かに遥か彼方の
ゴールを目指して、繰り返し咲く桜のように歩き続ければいい。

少なくとも私は自分の人生そうありたいと考え、母が亡くなってから
残された時間を日々かみしめています。
いつか子供達にもそうして自分だけの高みに目覚め、恐れず目指して
ほしいと願いつつ。
息子の門出を「幸あれ!」と心の中でエールを送った4月のある日のお話でした。



今日の一曲

"Skellig"

"The Book of Secrets"
Loreena Mckennitt(1997)


↑非公式ですが、なかなか情感あふれるPVを見つけたので
ようつべリンクぺったん。



アイルランド・スコットランドにルーツを持つカナダ出身の
ベテランシンガーソングライター、ロリーナ・マッケニットの
アルバムから。はるか昔、実在した修道士が友人に書き残したという
書簡が元ネタです。多分わりと晩年の内容。自らの歩んできた
苦難の人生を振り返りながら、かつて通り過ぎた旅の情景や、
折々出会った愛おしい命に万感の思いを馳せつつ、
じき訪れるであろう自分の死をどうか見届けてほしい…そんな歌です。
哀愁に満ちた旋律と、ロリーナの透き通る歌声がめっちゃ沁みる。


コラム内検索