若女将コラム

日々西屋と山を駆け巡る湯守兼女将による、自由奔放すぎるコラム改めエッセーコーナーです。
人生は奇想天外に生き抜こう。趣味のことや日々思う事etc...ほぼ100%西屋に関係ない話題を思いつくまま載せています。

着る桜、見送る桜 ①


洗剤と柔軟剤の詰め替えをいつも間違って買ってくる
→間違えたまま容器に突っ込んで「ア”ーーーー!!!」



GWの最終日、Instagramにしだれ桜「みやえ」の美姿をUPしました。

昨日今日撮ったようにみえるでしょ?
えへへ、実は12年前の写真なんだな~。
私が撮ったように見えるでしょ?
残念。素人にこんなキレイな写真撮れんわ。

今の様子と全く同じなので、前の前のHP用に
プロのカメラマンさんが撮影してくれたものを拝借しました。



まるで窓に映された天然の錦絵。
数ある西屋商用写真の中でも極めてお気に入りのショットです。



麓はもう初夏だというのに白布はようやく桜が散り際の頃です。
ずれっずれの話題だが気にしない。

先月、長男が麓の中学校に入学しました。
コロナの影響でだいぶ中身は簡略化されたものの、
普通に保護者参加のもと式典は執り行われまして。
私は桜と雪輪の柄の訪問着を着て臨みました 。



当日の組み合わせ。
ややくすんだ菫(すみれ)色の地に、満開の桜を思わせる
一斤染(いっこんぞめ)に似た色のぼかし、金糸で縁取った
雪輪と桜の花びらの刺繍柄というシブい設え。




一方の帯は銀糸に桜の地紋。日本画のような京の春景色が
お太鼓に刺繍されています。着物は大女将のお下がり、
帯は知人さんに譲っていただいたもの、自分で買ったのは…
ん?襦袢だけ?!着物あるある安定の低予算。

分かりにくいと思いますが、桜を模した霞の色は虎杖悠仁君もとい
宿儺氏のキュートな髪の色によく似ています。加えて帯の高専ぽい五重塔etc...
フッフッフ分かるかな?
そう。実はひそかに手持ちの着物で呪術廻戦ネタを仕込んでやったのだ。
絶対バレない自信があったわ。誰特(笑)

子供の人生の節目折々、これまでに参列した入学(園)式では、
一つ紋の色無地(または江戸小紋)に黒や控えめな色柄の絵羽織を
組み合わせる、というのが私のセオリーでした。
(スーツ、本当に一着も持っていないのよ…。)
「なんて古臭いカッコだ!」と気づいたアナタはある意味相当な着物通。
なぜなら、上記の「入学式に地味略礼装+羽織」の組み合わせは、現代の
着物業界では恐らく教えないであろう昭和中期の母ちゃんスタイルだからです。
てゆーか、今となっては羽織自体がイレギュラーだろう。

『入学式には少々地味目な略礼装を。
これから子供をよろしくというお母さま方の願い、学校へのお願いの心を
表し、卒業式には、どうもありがとうございました、これから上級に、
社会に出ますという強い喜びの心を表すような、晴れやかな衣裳を。
何時の時代もお母さまらしい上品さ、落ち着きのある装いを心がけて
下さい(中略)』


1977年春号の「美しいキモノ」に書かれた、卒入学式母ちゃんの装い指南。
えー、堅苦しいっちゃ堅苦しいお上品な縛りですが。
なぜかその心得にいたく共感し、せっかくそれらしい色無地や江戸小紋を
持っているからと、今までその精神を追随してきました。

とはいえ、だ。
今の時代の着物は言うほど堅苦しいものじゃありません。
そも「身体の上に着る」という機能において洋服と何ら変わりない代物だし、
着物が持つ最低限の格(特に礼装は今も昔も厳格なので、ご利用は計画的に。)
とTPOさえ弁えておけば、別になに組み合わせようが、着方がどうだろうと
他人から咎められるものでもない。普段着なら、着物の下にパーカー
着ようが袴の代わりにGUのロングスカート穿こうが
アンティークをめっちゃ短い丈にしてパンプス合わせようがステキに映える。
着物は着物でも、そこに込める脳内カテゴリーはなんだっていいんだよ。
推しキャラの普段着が着物なら「趣味同じ~」とか何とか
しょうもない自己満足だってできる。
完璧じゃないか(笑)

そんな私の目指す着物コンセプトは「昭和ばばーちゃん(※詳細次回」。

これらを全て鑑みたうえで、今回長男の入学式ではこれまでの趣向を変え、
敢えて"訪問着"を選びました。保護者の中で誰一人和装がいなかった(ちょっと
びっくりだった)中、人知れず盛大に呪術ネタ醸したかったなんてゆーバカな
野望もありましたが、それはあくまでオマケ。
いつまでも収まることを知らないコロナの猛威を前に、「本当の春」の訪れを、
またひとつ新しい人生のコマに歩みを進めた長男の前途明るい未来を
願ったが故の願掛けが主たる理由でした。
着物はね、色や模様に思いを込めるだけでそんなドラマも醸し出せるんだよ。
完璧じゃないか!!

(続く)



今日の一枚

"Luminous Spaces"

Jon Hopkins (2021)


リンク先はジョンの公式Youtubeサイト内のPVです。
伸びやかな歌声とキラキラした動画がなんともステキ。

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