若女将コラム
2017年08月
2017.08.08
音のある生活 2 Saltillo
毎日暑いですねー。
台風は来るし、梅雨が明けた割に湿気が多く、さっぱりしない天気が続いております。
なかなかじっくり音楽を聴く暇がないまま走り回っておりますが、
皆さんお元気でお過ごしですか?
前回のコラムでは中世の宗教音楽やヴェルディのオペラ、
伊福部さんやバルトークなどなど、紹介したくてもしきれなかった
名作曲家さんが沢山いて(あれだけアルバムを紹介したにもかかわらず)
個人的にかなり消化不良でした。
一発目が守備範囲の広すぎるクラシックだったせいもありますが、これ明白。
ジャンルごとにダラダラ書くと絶対に一発で終わらないし書ききれません(汗)
特に好きなアーティストが集中している
エレクトロニック⇔アンビエント⇔エクスペリメンタル
この辺の境界線がイマイチよく分からないので、
思いつくままに1枚(あるいは1アーティスト)ずつ紹介していこう~と思います。
当然ジャンルはランダムになるので、Apple Musicを参考にしながら
コラムカテゴリで振り分けていきます。ご参考までに。
※
今日はアメリカのSaltilloをご紹介。
Saltillo 「Ascension 」
アメリカのイラストレーター兼ミュージシャン、本名メントン・j・マシューズ3世が
今年5月にリリースしたばかりのアルバム(4作目?)。
日本ではまだ殆ど知られていないアーティストです。私も最近知りました。
彼の出身地であるミシシッピ州にSaltilloという街が実際あり、多分これが元ネタかと思います。
しかし肝心の発音が分かりません(笑)どなたか教えて下さい(笑)
メントン氏は長年イラストやアメコミの作家(つまり漫画家)としてキャリアを
積んでいましたが、タトゥー師もしていたり、弦楽器各種からギターから
ピアノまで弾きこなし、果てはアルバムまで出してしまうという星野源さんのような多才の持ち主。
しかしその風貌はまるで晩年のトルストイかリーランド・スカラー(米国のベーシスト)…
まだ40代そこそこなのにスキンヘッドに長い髭という衝撃的なルックスで、
見た目極めて年齢不詳です。
その道を極めると人は(見た目も)仙人になりたくなるのだろうか。
本業がイラストレーターだけあって、1stアルバム以外はすべて彼自身が
描いたもののようです。どのアルバムのジャケットもダークオーラ全開ですが、
上記アルバムの黒い人物とカラスのモチーフはなかなかお気に入りのようで、
最近よく描いています(詳細はInstagramで)。
曲調もイラストよろしく全体的に暗め。時に激しく、メロディック。
その独特のスタイルや志向は、同じくアメリカのゴシックファンタジー作家:
ジョゼフ・ヴァーゴを彷彿とさせます。ジョゼフ氏もNox Arcanaという
音楽ユニット名で何枚もアルバムを出しており、ゴシック好きさんにはたまらない
オーラを放っています(Nox Arcanaは国内でもネット販売していて手に入りやすい。
もしかしたらこっちの方が有名かも)が、ジョゼフがBGM的なサウンドなのに対し、
Saltilloはより踏み込んだ音楽性を持っているといえます。
曲中そこかしこで聞こえる弦楽器の妖しげな旋律。その道を極めたわけではないので、
彼の弾くバイオリンやチェロの音色は決して超絶技巧ではありません。
どちらかというとヘタウマ(失礼)。にもかかわらず重みのあるリズムや楽器使い、
意味深い歌詞やセリフなど、底知れない才能を感じます。
どのアルバムもインストが多く、歌詞のある曲は少なめです。
2ndアルバム「Monocyte」のIf Wishes were Catholicsでは、
メントンの奥さんが歌っています。ややエフェクトがかかっていますが、
愁いのある歌声がとても好みです。聴きごたえがあります。
また最新アルバムのfloodではリチャード・ウォルターがボーカルで参加していおり、
歌詞の意味含めさらに方向性が明確になっています。
「本来あるべき世界(自分自身)へ、これまで疑問すら抱かず、
小さく埋もれていた場所から洪水のように打ち壊し、どうか導いてくれ」
英語力がなければ英国分解にもうわしくないのでこの意訳はかなりテキトーですが…
アルバムのタイトルにふさわしい内容。
彼の音楽は不思議と印象に残るのです。何かが心の琴線に触れる。
因みにどの曲もiTunes Storeで購入可能です。レビューはまだ無(!!)。
2017.08.02
音のある生活 1 「クラシック音楽」
前回のコラムで「好きな音楽について」さわりだけ書き出しましたが…
実はさわりの段階で、「参った、どうやってまとめよう・・」と頭を抱えていました。
というわけで、新シリーズ「音のある生活」
(かなり長文です!)
未だにその多くの曲を覚えているのだから、印象は強かったのだと思います。
今思えば要らん知識も混ざっていたような…(笑)
2.30秒でピックアップした個人的に好みのクラシック名盤

「音の魔術師」の異名を持つモーリス・ラヴェルのバレエ曲。
第2部が有名ですが、個人的には第1部、特に序曲が好きです。
2 O.レスピーギ 主題と変奏「第12施法によるメタモルフォーゼ」

ローマ三部作(・噴水・祭り)やバレエ曲「シバの女王ベルキス」が有名ですが、
3 L.H.ベルリオーズ 「幻想交響曲」

当時27歳のベルリオーズが最初に作曲した交響曲で、彼の作品の中でも特に有名な大曲です。
編成も大規模で、とてもベートーベンとほぼ同時期に生きていた人の作品だと思えません。
ぜひ生演奏で観てほしいところ。
4 E.ラウタヴァーラ 交響曲第7番「光の天使」 & 「天使たちと訪れ」

2016年7月に87歳で亡くなったフィンランドの国民的作曲家、ラウタヴァーラの代表作。
透明な宇宙を思わせる神秘的な旋律は、彼自身の幼少期の体験にルーツがあるようです
指揮はミッコ・フランク、演奏はバンベルク響でした。
その後の展開が破壊者的で、最後の審判か何かのような激しさも垣間見えます。

もはやタイトルがすべてを物語っています。
梵鐘の音はバンダ(本来オーケストラは舞台上で演奏しますが、音楽表現上舞台裏や
(ちなみにバンダ編成を必要とする曲は上記の「ダフニスとクロエ」「シバの女王ベルキス」
一般的に生身で「死んだことのある人」はいないわけですから、涅槃は
極楽浄土を願う声明を今わの際まで唱え続ける。
永遠の安息が待っている…。
※
せっかく紹介するならメジャーどころを外そう!
というコンセプトでしたので、まあまぁ狙い通り?!
合唱曲も好きなので、メサイアやレクイエムなどもよく聴いています。
他にもマーラーやストラヴィンスキー、ハイドンやモーツァルト、ドビュッシーにバルトークなどなど
クラシック音楽は、同じ曲でも演奏者によってだいぶ印象が変わるので、
聴く人によって好みも分かれるところ。今回は私が所有しているアルバムを
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