若女将コラム

日々西屋と山を縦横無尽に駆け巡る湯守兼若女将の、マイペースなコラムです。好きなものは音楽・写真・自然・宇宙。

若女将コラム

好きな音楽のこと ~アンビエント系~

2019.08.10

音のある生活 29「元祖コズミックホラー」


こんにちは。濱田マリさんの声が大好きな若女将です。




かぐら「…ニャ(暑)。無理。」

毛皮100%の猫でなくとも声が裏返っちゃうほど超暑いですねぇ…今年の夏も。
その異常さは、天気予報で繰り返される「(命が)危険な暑さ」という
過激な表現すら、もはや常套句並みにスルーしてしまえるほど。
今年は冷夏になるって言ってなかったっけ天気予報?
やっぱり原因は地球温暖化なのだろうか。
だとしたら、来年以降は立秋をひと月先に設定したほうがいいカモネギ。

とまぁ、年々気候がおかしくなってきていると言われる今日この頃ですが、
じゃあ“正常な”気候は一体いつだったんだろう?…などと、
ひねくれ者の私はつい考えてしまいます。

地球の歴史を長ーい目で振り返ると、スノーボールアースやK-Pg境界など、
およそ分かっているだけでも過去5回急激な環境変化(=生物大量絶滅)が
起きていているようです(まぁ最後のそれは原因そのものが宇宙から突如
やってきた特殊なパターンですが)。その異常天候スパンも数年から
数千万年と原因(多くは特定できていない)によってさまざま。
光合成をおこなう生物が出現したことで大気中の構成が大きく変わったり、
太陽活動の影響か温室効果の弱体化で地球全体が氷におおわれる時期が
あったり、太古には現在の地球とはおよそ想像もつかない世界が
広がっていたと思われます。
いかにビフォーアフターを生き延び、幾世代にもわたって過酷な環境に
適応し続けてこられたかが、その先の進化と繁栄のカギを握って
きたわけです。

わずかな地層の変化や化石の発見から垣間見える、
驚くほど鮮やかでドラマチックな地球の歴史。興味は尽きません。




そんな地球の歴史を文学的に紐解けそうな今日の「音シリーズ」は…
こちら~

 "Nyarlathotep"

Cryo Chamber Collaboration(2016) 

(サムネイル↑をクリックすると、レーベルサイトにルーラします)

ご存じクトゥルフ神話に登場する、絶対神アザトースの分身にして使徒である
ナイアーラトテップ」の名を冠したアルバム。
クライオチェンバー(日本名:零度の間?)はアメリカのオレゴン州にホームを
構えるレーベル名で、文字通り凍り付くようなダークアンビエント(またか(笑)!)
を得意とするアーティストが多数所属しています。
サイトを覗いてみると、なんとまぁシビれるようなジャケ絵のアルバムが目白押し。
彼らが毎年合作で1枚ずつ発売しているのが、コアなファン必涎の
クトゥルフ神話シリーズ。2015年に発売された「アザトース」を筆頭に、
本作、「クトゥルフ」、「ヨグ=ソトース」、「シュブ=ニグラス」の5枚が
現在好評発売中?!
驚くべきはその曲の長さです。どれも1トラック1時間前後。
切れ目のないダークでディープなアンビエントタイムが存分に楽しめます。
アザトースは宇宙に住まう混沌の神だけあって深遠な響きがかっこいいし、
クトゥルフは海底都市ルルイエを思わせる水の滴る音、言葉にならないうめき声
のような気味の悪い音色がなんともいえないし、ちゃんとそれぞれの立場を
音で表現しています。のんびり聴き比べてみるのも一興です。長いけど。
中でもこちらの「ナイアーラトテップ」は怒涛の全トラック3時間15分。
徐々にニュアンスを変えながら心の奥へも宇宙の彼方へも無限に広がる
摩訶不思議な響きが、アザトースの分身で唯一神の意志を代弁できる
ナイアーラトテップの静かなるトリックスターぶりをばっちり醸してくれます。

(これだからマニアというやつは…(笑))

クトゥルフ神話が体系化されつつあった当時は、アインシュタインや
ハイゼンベルグによる様々な物理法則の発見が重なった時期とはいえ、
今と比べると宇宙について多くの実態が未解明のままでした。
ラブクラフト自身伝え聞くところによるとちょっと偏った思考の持ち主で、
小説の中には差別的な表現や、人外含め嫌悪する者達に対する粘着質な
敵対的恐怖心が散見されます(ある意味心の闇)。
その旧態依然なスタンスが個人的に不快で、これまで彼の小説はあまり
真面目に読んだことがありませんでした。が、最近になって我が家の本棚に
いつの間にかラブクラフト全集が並んでいたという理由から(多分義弟の
コレクション)あっさり読み始めてみたオチ。
年の功か若い頃あんなに不愉快に思えた描写もあまり気にならなくなりました。
(無関係の市民や幼い子供を人身御供にするくだりはいただけないが。)
タコやイカはともかく、時空を超越した恐ろしく無情な闇(宇宙)の世界を
「邪悪な」神の御座と捉えたセンスは地味に感動。

少し話題が巻き戻りますが、過去5回の地球生命大量絶滅事件のうち、
三葉虫はじめ史上最多の種が絶滅するきっかけとなったP-T境界
(約2億6000万年-2億5000万年前)は、その甚大な影響(恐竜が滅びる
原因になった約6500万年前の小惑星衝突よりさらに多くの種…
当時の全生物の90~95%が死滅したと言われている)に反して
他のビッグ5のいくつかと共にはっきりとした原因が分かっていない
そうです。

実はグレート・オールド・ワンの皆さんの仕業かもYO?
なんて寓意を込めて想像してみたりして。

彼らの生きた痕跡は、生物史上最大級の謎と共に地球の奥深くに去りましたが、
星は銀河の運動に従い、その寿命が尽きるまで過去と違う位置に座標を変え続けるので、
幸か不幸か暗黒時代復活の可能性はゼロ。
クトゥルフ憐れ。

はいはーい!また話が思い切り脱線してしまいました。すみません。
やめられない止まらないかっぱえ〇せん♪

Cylo Chamberの珠玉クトゥルフシリーズを聴きながら(ついでに小説も読みながら)、
あなたも是非古典ホラーで残暑を(ゾワゾワーっと)涼しく?乗り切ってみましょう(笑)

2019.07.28

音のある生活 28「聴くなよ?絶対聴くなよ?!」




祝:茅葺屋根修復7月25日完了!!
はるばる大内宿からおいで頂いた職人の皆さん本当にありがとうございました!



こんにちは。
G-Shock愛用歴もうじき20年の若女将です。
気が付けば私の身の回りは(仕事用に至っては服も)男物だらけです。
時々我に返ったように思い出してみるのですが、もしや脳内性別は男性寄り?



公私お構いなしに、もう何年もの間毎日愛用しているマイG↑。
(そして、今の季節重宝しているフレグランス…こちらも男性用)
見た目に違わず重量がありますが、今ではすっかり慣れました。
温泉や泥を容赦なく浴びる過酷な湯守仕事にもよく耐えてくれています。

一応私もおなごの端くれですから…
街中を歩く素敵な身なりの女性を見かけると、「あんな姿になれたらいいな」
と一瞬思うこともあります。…が、すぐに「自分には無理だ」と
諦めてしまいます。実は私、街着用の洋服を殆ど持っていません。
そもそも今時の流行がさっぱり分からないから、上から下まで雑誌でも
参考にあれこれ揃えなきゃと思うだけで億劫になってしまう。
強いて女らしい雰囲気を醸すとしたら手っ取り早い着物姿になるのが
せいぜいですが、私にとって着物はあくまで「普段着」または「正装」。
最も組み合わせが面倒なオシャレ着としての認識がすっぽり抜けています
(この時点でどこか感覚がズレている?)。

結局私用で外出するときはヨガかジム帰りと見まごう360度スポーティー系か、
夏でも露出度極小の怪しいダークカラーに身を固めてしまいます。特に後者。
目指すのはSTAR WARSのジェダイマスターや某RPGの黒魔導士っぽい
いかにもな姿。よっぽど自分らしくて(自分で自分に)好感持てる(笑)。

仕事中も着物以外はほぼ真っ黒な姿だし、日頃の服装や行動パターンからして、
私という人間の中身は男性寄りどころか9割以上暗黒面なのかもしれない。
パルパティーン狂喜。どこに行った女子心(笑)

でもこれでいいんだ!
大事なのは醸す湯気であって、
外付けハードディスクみたいな色気など私には必要ないのだーあ!



さて今日は相変わらず舌好調の「音のある生活」シリーズ。
前々回のコラムでチラっと
「SvartsinnのMørkets Variablerみたいな顔」と書きましたが、
それってどんな顔よ?という実にチャレンジャーな質問を頂きまして(ニヤニヤ)。
喜んでお答えするついでに、似たような雰囲気のアルバムをチョイスしてみました。
いわゆる「ダークアンビエント」とよばれる、極めてマニアックなジャンルです。

怪力ダチョウも回れ右全力ダッシュで逃げていくこと請け合い。
題して「 聴くなよ? 絶対聴くなよ?! 」(笑)

1.New Risen Throne
"Whispers of the Approaching Wastefullness"(2007)


(サムネイル↑をクリックするとYoutubeにリンクします)

日本語で「虚しさに誘う囁き」とでも訳せる、
New Risen Throneの1stアルバム。のっけから恐怖満載です。
聴きたくないわそんなもん!という健全な皆様のために分かりやすい例えを
挙げるなら、約20年前に大ヒットした映画「ブレアウィッチプロジェクト」。
いわく付きの森に入った主人公達3人に徐々に降りかかる底知れない恐怖と、
ショッキングな結末を観てしまった観衆の陰鬱な余韻をそのまま音に
変換した感じです。5曲目のAporrhetonでは、不気味なノイズをバックに
時折女性(もしかしてヘザー…)のすすり泣く声が聞こえます。コワー(棒)
全トラック約45分。あなたは最後まで耐えられるだろうか…。

2.Rovert Rich "Illumination"(2007)

(サムネイル↑クリックでEchoⅠが視聴できます)

1.と同じ2007年リリースのアルバム。
40年近いキャリアを持つアメリカ出身のロバート氏は、荒廃しつつも神秘を
湛えた静謐な雰囲気の曲作りが特徴ですが、このIlluminationはかなり異色。
神秘的なんですが、ゾクゾクするような畏怖に満ちたダークオーラ全開。
そのくせになるディープさは他のアルバムと一線を画しています。

全体イメージを例えるなら…非常に古い歴史を持つ寺院や教会など、
とりわけ神聖とされる建物(洞窟タイプだと尚可)の中で一人瞑想するうちに、
最奥の祭壇の影、神様の像の後ろ、あるいは湿気を含んだ土壁の向こうから、
正邪不明の何かが…外と内から同時に忍び寄ってくる…
よく言う「超常現象を見た」はたまた「臨死体験をした」、そんな感じ??

人類史上、世界各地で誕生したあまたの宗教。人々はその思想に忠実に
心の拠り所である社を建て、日々集いながら「清らかでありたい、穏やかな
世の中であってほしい」という現世での願いと、最大の畏怖である死後の
安寧を異口同音に祈ってきました。…しかし、現代もなお人の世に戦争や殺戮が
無くなることはなく、どんなに科学技術が発達しても、生命に等しく
訪れる死は避けられず、その先の世界はいまだ不透明なままです。

歴史を経た遺跡には、よくも悪しくもその年月だけ訪れた人間の敬虔な祈りと
悲しみ…そして一方で、心の弱さや、時に残酷な本性…欲望や怒り、憎しみ…
それさえも「神聖」の名のもとに暴き出し、混沌のうちに引き寄せてしまう
不可思議な引力があるといつも感じています。

清らかなるもの、未知なるものへの憧憬が強ければ強いほど、見えない闇もまた
色濃く寄り添ってくる。何かのきっかけによってその闇と対峙せざるを
得なくなった時、多くの場合人はそれを直視できず、依り代を描くように
“向こう”からもう一方の者…天使(あるいは悪魔)を無意識に召喚する…


出典:宮崎駿「風の谷のナウシカ」第6巻

(ここでいう闇や“彼ら”とは、ユング心理学でいうところの「普遍的無意識」に
よるものです。特定の宗教や思想を指し示すものではないのでご安心ください)
“彼ら”は深部からやってきた、人の心そのものを具現化したような存在です。
人を諫め、導きもするし、時には絶望(死に至る病)に誘うこともあります。
ひたすら現世で人心を惑わせる生霊が悪魔なら、現世と幽世を自在に行き交う
天使は見方によっては死霊(というと聞こえが悪いのですが、要は神様)の
使いともいえるかもしれません。
その表裏の関係が織りなす究極の神秘、トラック5「プラトンの洞窟」の
深遠な響きと囁きの彼方に心が目覚めた時、かつて自我(エゴ)の根底=
高次の世界に広がっていたイデアがあなたにも観えてくる…かもしれないYO!
という寄り道しまくりの解説でした。

…1時間11分。聴くなよ?と言っておきながらかなりおススメの一枚です(笑)

3.Gustaf Hildebrand "Starscape"(2004)

(サムネイル↑をクリックするとYoutubeで
Dead Transmissionsが視聴できます)

トラウマがくせになるBGM3枚目はこちら。
無機質な響きと意味深なタイトルがこれまた重苦しい絶望感を嫌というほど
掻き立ててくれます。実は今日ご紹介するアルバムの中では最も開放感がある
タイプです。(開放感のあるダークアンビエントって何(笑))

大友克洋の映画「Memories」をご存じでしょうか?
第1話「彼女の想いで」では、薔薇のような形の地場を持つ宇宙船の墓場
「サルガッソー」から発せられる謎のSOS信号に導かれ、スペースデブリ
処理を生業とする作業員たちが宇宙船に乗って救助に向かうわけですが、
そこでは既に故人である女優:エヴァのコンピューター・プログラムに
翻弄され、決して逃げられない蟻地獄のような恐怖を味わう…
そんな主人公たちのエピソードが描かれていました。
誰もいない宇宙船のはずなのに移動するSOS。
突如暗がりの天井から落ちてくる天使の人形とか超コワー(棒)。

Starscapeは、そんな主人公ハインツ達の悲劇からさらに200年後くらいの
サルガッソー(の中心の、無機質に“生きた”まま未だに犠牲者を憑り殺し続ける
幽霊コンピューター)みたいなアルバムなのよ…。全トラック45分。
興味のある方(いないと思いますが)ぜひ聴くなy…聴いてみてくださいネ。

4.Svartsinn "Mørkets Variabler" (2017)

(サムネイル↑をクリックすると…)

とうとう来ました今日の本命。
デスメタルが大好きな強面のお兄さんでも思わず「ジャケ絵が怖すぎで賞」を
贈りつけたくなるような身の毛のよだつ“何か”のご尊顔。
もう見ただけで中身推して知るべしでしょ?
Svartsinnはスウェーデンのロジャー・パターソンというミュージシャンによる
ソロプロジェクトですが、この人一体過去何があったの?と突っ込まずには
いられないそら恐ろしい作品を20年近く発表し続けています。
過去の作品、例えばDevouring Consciousnesnessはまだ聴きとれる旋律が
あって、わずかに人のぬくもりのような“色”を感じることができたのですが、
Mørkets~は終曲除いてどのトラックもこれ以上ないくらいどす黒い。
曲自体は激しくありませんが、これまで紹介したアルバムの尖がったところを
全て凝縮したような、憂鬱のどん底みたいな、不気味でいて荘厳な音の波動が
聴き始めて数分もしないうちにリスナーのメンタルを全力で破壊してきます。
Where No Other Can Follow(副題:悪魔のストーカー…)とか
夜道を一人で歩きながら聴いた日にゃ足がすくみます。ズーンと響く地鳴り
のような音に合わせ、聴きとれない言語で徐々にボルテージを上げながら多分
呪いの言葉(?)を囁かれ続ける約10分間。
だから聴くなって(爆)

でもこれが、何故かヨイ。ダイレクトにこちらを見透かしてくる闇の権化の
ような音世界にもかかわらず、妙に心が落ち着いてしまう。
今日紹介したアルバムの中では一番好きですね。

初期作のOf Darkness and Re-Creationもおススメ。
彼の曲を聴いて胎教にも似た深い癒しと、還ってきたような安心感?を
感じてしまったら、あなたも色々な意味でヤバいです。
全トラック1時間4分。
さぁ一緒に世界の終焉気分を味わいましょう?!。



いやぁ…今回は我ながら実にひどいコラムでした。
もはやここが旅館のHPの中だということを完全に無視しています(笑)
Svartsinnは「彼だけはここで紹介するのはやめとこう」とさえ思っていた
アーティストですし(爆)。でもどういうわけか好きなんです、たまらなく。
一見救いのないようなダークアンビエントの世界が。
善悪を超越した異次元のパワーみたいなのが魅力だし、性に合うのかな?
そのうちトビでなく本当にダースベイダーみたいな赤ライトセイバーや、
竿のように長い某武器やら振り回すようになるかもしれません(笑)

普段見ることのできない心の奥底に蠢く何かを、同じく抉るような感性で
強烈に具現化してしまえる彼らの強靭な精神力は称賛に値します。
(ズジスワフ・ベクシンスキーの場合はその手段が絵画だったということか。)
とりあえず一般的な音“楽”とは全く異質の作品であることは確かですが…。
特に海外を中心に複数のアーティストが似たような作品を
世に送り出しているのですから、需要があるのは間違いないでしょう。

こういう世界も知っているから今日を確かに生きられる。
心に闇があることを否定しないから、己の半身ともいえるそれを時には
客観的に見つめなおし、対話し、うまく付き合っていくこともできる。
私は真面目にそう思います。

2018.05.24

音のある生活  10 「ところで宇宙往ってくる③(終)」





雨が降ると途端に気温が5度を切る白布温泉です。



庭の一角で紅いつつじが咲き始めました。
ウコギの垣根も瑞々しく葉を広げています(写真↑)。
うーん、なんだか食べるのがもったいない…(苦笑)



一方シバザクラが覆うはずだった石垣にはなぜかマーガレットが自生。
ああ…これもまた剪定するのがもったいない…(汗)

いつか西屋の庭をきれいにするのが私の目標の一つでした。
今年こそは時間を見つけ、本腰入れて整備したいと思っています。
元々ある草花も全てを刈り取るのはかわいそうなので、
きれいな花を咲かせてくれるもの、ちょっと珍しいものは移植して
活用させたいと考えています(完全に素人思考/笑)。





さて、今日は「ところで宇宙往ってくる」シリーズとうとう最終回
こんなに引っ張るつもりはなかったのですが、いい加減きっちり〆ないと
斥力が効きすぎて二度と帰ってこられなくなりそう。

前々回でオールトの雲を脱したところでしたので、さらにその先へ往って
ちゃんと帰ってきます!
(Jexper Hormenに続く紹介になるので、通し番号で5番からスタートします)


5.Max Corbacho :Source of Present


Max Corbacho "Source of Present"(2017)

スペインの作曲家・マックス・コルバチョ氏のアルバム。
まずは太陽の重力圏を完全に脱し、それまで観測と想像でしか
その姿を把握できなかった銀河系を振り返った時に聴いてみたくなる
(かもしれない)穏やかで神秘的な一枚です。
他にも2008年にリリースされたBreathStreamや、近年シリーズで
出しているNocturnesもおすすめ。アンビエントながら癒し効果のある
いい音楽を生み出しています。
肉眼を通して見る銀河は実際暗い天体のはずですが、沢山の命の源が巡る
懐の深い宇宙の故郷に違いありません。数えきれないほどの星が
その一生を過ごす中で、ゆっくりと繰り返される輪廻の“今”を感じつつ、
ぜひ灯りを落として聴き入ってみてください。


6.Grouper : A I A:Alien Observer


Grouper "A I A : Alien Observer"(2011)

アメリカ出身の女性ミュージシャン:リズ・ハリス(本名エリザベス・アン・ハリス)
のアルバムで、Dream lossとの2部作として2011年にリリースされました。
アルバム名を王様直訳すると「エイリアン観測者(???)」。
出会うことの叶わないほど遠方に住まうエイリアンが、人間(地球)を宇宙から
観察しているのか、それとも人間がエイリアン(の交信)を傍聴しているのか、
真意は謎。
リズ・ハリスのウィスパーヴォイスがその一つの答えを紡ぐように、綿毛のような
旋律を響かせる味わい深いアルバムです。
ジャンルはドローン~アンビエントですが、5で紹介したマックス氏のアルバムの
方がドローンぽいかも。リズの歌声(むしろ音源の一つ)にはノンバーバルな
メッセージ性があって、身も蓋もない話「エイリアンが歌って話しかけている」感じ。
ジャケットのおとめ座プレアデス星団のモノクロ写真もあいまって、暗黒の虚空を
「懐かしく温かい宇宙」といとおしんでいるようにも聞こえます。
私はロマンを込めてパンスペルミア説を信じている派。
あくまで曲を聴いたイメージですが、
宇宙を故郷に見立てたようなこの1枚は特にお気に入りです。


7.Phelios Human Stasis Habitat


Phelios "Human Stasis Habitat"(2016)

紹介するかどうするか最後まで迷いました。
ドイツの作曲家:Martin StürtzerことPheliosが2016年にリリースした
かなりディープなアンビエント・アルバムです。
銀河の群れからさらに遠ざかり、ボイドの辺縁から宇宙全体を見渡している…
というイメージ(もはや意味不明)。
このタイトルの意味は…?
2年ほど前にNASAが火星への有人探査を目的として、
「火星飛行における人体停止状態を利用した冬眠誘導式輸送ハビタット
(Torpor Inducing Transfer Habitat For Human Stasis To Mars)」
という計画を発表したそうですが、つまりはそういうことでしょうか。

いつかそんな宇宙の深遠を肉眼で拝む日が……まぁ十中八九来ないであろう…。
火星はともかく、現在観測可能な宇宙はなんと直径約930億光年も
あるんだそうですから…
たとえ光速で飛んでも、所要時間は太陽の寿命のざっと10倍弱。
そもそも現宇宙がそんな未来にまで存在しているかどうかも怪しい。
それでも、人間の英知は確かに宇宙の彼方を捉えつつあるんだから凄い話です。
重力波も観測されたわけですし。

未知の宇宙への畏怖と生命とのせめぎあいともとれるこの一枚。
聴き応えあります。


8.Lull Moments


Lull "Moments"(1998)(Youtubeのリンク、truck 1のみ)

とうとう思いつく限り宇宙の果ての果てまでやってきました。
ここからは事象の地平線をまたいだ“異界”。実証はされていないものの、
その存在が諸説示唆されている多元宇宙論の世界です。

可視化不能の極致はいつもこのパターン。
Momentsはちょうど20年前にリリースされたLullの初期作品です。
ジャンルはロックとありますが、実際はロックと似ても似つかない。
全曲にわたり、背景のない無味乾燥な信号音の連なりが強弱をつけて
流れ続けるというもので、なんと99トラックもあります。
99ディメンション。
近年のLullは垢抜けしたサイケデリック調のポップ曲作りにすっかり
シフトチェンジしていますが(誰これ?と見まごうほどの変貌ぶり)、
MomentsやWhiteoutを世に出していた頃はひどく病んでいたのだろうか?

紹介しておいてなんですが、真面目に聴いていると20曲過ぎたあたりで
いやんばい発狂できます。ボリュームは最小レベル推奨。


9.(おまけ)ENIGMA Voyaj より Following the Sun


ENIGMA "Voyageur"(2003)(Youtubeのリンク)

7あたりからメンタルにわりとグーパンなアルバムを立て続けに
紹介してしまいましたので、最後はおまけをお届けします。

今やニューエイジ・ヒーリングミュージックの重鎮となったENIGMAが
2003年にリリースしたアルバム。
当時流行りのコピーコントロールCDだったので正直持ち運びし辛く、
プレーヤーが壊れてからはすっかりお蔵入りしてました。
Apple Musicを通して久しぶりに聴けた時は素直に嬉しかったなぁ。

最後のトラックに収録されているFollowing the Sunの舞台は、
イメージすると夕暮れの海岸線。(いつの間に地球に帰還しているという…)

日の沈んだ空にやがて満点の星空(これまで旅をしてきた宇宙、そして未来)が
瞬くダイナミックな時の移ろいに寄せて、愛と命を歌った明るくも壮大なテーマです。
宇宙シリーズの締めくくりにふさわしい曲と思い、チョイスしました。


Have a look up to the sky
See the billion stars above
'cause (maybe) on one of them
You'll spend your further life

空を見上げ
幾億もの星を見つめよう
あの星のどれか一つで
あなたはもう一度生きるのだから


聴いたことのない音楽との出会いが、日々の生活にインスピレーションと
潤いと癒し(こういうテーマになると結構な確率で”畏怖”も)を
もたらしてくれることを願い、今日も心の旅を続けます。





2018.04.28

音のある生活 9 「ところで宇宙往ってくる②」



白布温泉、ようやく桜が開花しました。
ところどころ満開で、山も淡いピンクと木々の芽吹きに目覚め、
いよいよ春本番と言ったところです。

西屋も今日からしだれ桜のライトアップスタートしますよ。








(写真は以前の様子を撮影したものです。)
ぜひ身にいらして下さいね。

「ところで宇宙行ってくる」シリーズが思いっきり半端なまま気が付けばGW間近。
べ、別に怠けていたわけじゃありません。
館内のメンテナンス(9割DIY)、ネットプランの全面リニューアル、
インバウンドに対応するための準備、新しい販売チャンネルの増設等ナド…
この1~1ヶ月半の間、宇宙どころか口から魂がはみ出ないよう地べたを
走り回っていました。かたやこの春は私事ながら子供の卒園入学もありました。
我が子の成長をまぶしく見守る嬉しさの半面、
一気に年月を経てしまったような妙な焦りが心を揺する今日この頃…。
毎日をもっと有意義に過ごさねば。


というわけで「ところで宇宙行ってくる②」多分中編(まだあるの?!)
今日はちょっと趣向を変えて、
当コラム音楽シリーズ初のリクエスト曲(!)を1曲ご紹介します。

The Beatles"Across the Univercse"



Beatles - Across the universe (Best version)
※アルバム画像をクリックするとYoutubeに移動します。

(こちらは、いつも当館の電気系統のメンテナンスでお世話になっている
社長の学生時代同期:きみさんからのリクエストです。
きみさんありがとうございます~!)

知らない人はいないUKロックの超大御所:ビートルズ。
あまりに有名すぎて、実は私、個々のアルバムを殆ど真面目に聴いたことが
ありませんでした(ファンの皆さんごめんなさい)。
ビートルズ自身のみならず、後世のアーティストによるアレンジも数多く
存在するのもかえってややこしく、タイトルと曲がまるであみだくじの
ように一致しません。ぶっちゃけ苦手意識が強いアーティストでした
(ますますファンの皆さんごめんなさい(苦笑))。

Across the Universeも初めて聞くタイトルだなぁなんて思いつつ
ようつべを捲ってみたら、確かに聴いたことある曲でしたというオチです。
今度ちゃんとアルバムを聴いてみます。

話が逸れました。

印象深いのは1969年リリース当時のいわば原曲版(↑画像リンク)です。
平和な鳥のさえずりから始まるオリジナル・バージョン。
故ジョン・レノンとポール・マッカートニーの共作名義ですが、
歌詞からするとジョン色濃いめな感じです。

不思議なフレーズですよね、"Jai guru de va om"。
インドの聖典が元ネタだそうです。

Nothing's gonna change my world...
"私の世界を変えることができるものは何もない"と(いうニュアンスで)
歌っていますが、それは立ち止まることでも何かに固執することでもなく、
この世のすべてのもの、喜びも悲しみも言葉も心も時と共に全てが流れ、
愛に抱かれて宇宙の彼方まで広がっていく…ボーダレスな世界観。
一見諸行無常がテーマのようですが、メロディーの優しさもあいまって
安らぎと幸いに満ちています。

わざわざ遠くを目指さなくても、目の前の日常のどの瞬間にも宇宙は存在し、
あなたと繋がっている…まさにマントラ。

東洋の深遠な思想に関心があったというジョン・レノンですが、
こんなユニークなテーマを親しみやすい歌に乗せた彼らはやっぱり
天才かもしれません。

まさか暗黒物質のことを歌ったわけじゃないよね??

2018.03.09

音のある生活 8 「ところで宇宙往ってくる①」




晴れた日の白布温泉は星がきれいよ~(↑イメージです(笑))。




桃の節句も過ぎ、ようやく長い冬のトンネルから抜け出そうとしつつある西吾妻山麓。
今週は天候もあいまって一気に雪解けが進んできました。
(しかし油断は禁物。大概4月中下旬頃までに1~2回は再びドカ雪に降られる。)
銀世界の裏山でアストラッド・ジルベルト版「fly me to the moon」
がなぜか脳内再生される中、「(雪は)もう要らんわーー!!」
とヤケクソでスコップ振り回していた季節とも、いよいよしばしの別れです。
嬉しいやら寂しいやら(?)。






さて、今日はto the moonどころかさらに彼方、
「ところで宇宙往ってくる」シリーズ1回目です。

のっけから飛んでます。
すみません。
でも宇宙大好き。

図書館に行くとついつい宇宙なぜなぜ?の本ばかり手に取ってしまいます。
(まったくの素人でも分かりやすい本がたくさんあってありがたい。)
最先端の科学技術をもってしても未だ謎の多い宇宙。
(全質量の95.1%は未だダークな領域…)
古来人々は様々な形でこの壮大な未知の世界にロマンを抱いてきました。
そんな宇宙を深くイメージさせてくれる音楽を
ピックアップしていこうという我ながら珍妙なテーマです。
内容が内容だけにアンビエント系多めですが、
地球からだんだん遠方に旅立っていくというシチュエーションで
アルバムや曲を紹介していきたいと思います。
時には底知れない畏怖を抱きつつ、楽しんで頂ければ幸いです。


1.ジング・カール「This Universe」


Singh Kaur "This Universe"1998(Amazon)

地球から見上げた宇宙へのスピリチュアルな畏敬の念と、
時空を超えた旅立ちを思わせる1枚目のアルバムはこちら。
インド出身のニューエイジ・アーティスト兼歌手、
Singh Kaur(ジング・カール?)女史の遺作アルバムです。
Singhさんは7作に及ぶクリムゾン・シリーズでは光り輝く聖水のような旋律、
Gary Stadlerとの共作である「Fairy Night Songs」は語りかけるような
優しい歌声を聴かせてくれていました。
しかし惜しくも今から20年前、40代前半の若さでこの世を去ってしまいました。
“呼ばれた”のかな…。

This Universeは、ヨガにも精通していたという彼女のエッセンスが
込められたアルバムです。地球と宇宙はいつでも繋がっていて、
ただの暗闇や真空ではない温かい何かが満ちていると感じさせてくれます。
スピリチュアルな世界やヒーリング、アセンションに興味のある方にもオススメ。


2.ブライアン・イーノ「Apollo」


Brian Eno "Apollo" 1983-2005(Amazon)

このコラムでもたびたび登場しているブライアン・イーノが、
NASAの月面着陸記録映画のサントラとして1983年に製作したアルバム。
タイトルもそのまんまです。
鋼鉄の船で無音の宇宙を漂いながら時折地球を振り返り、
得も言われぬ孤独感に浸ったかと思えば、
「意外と快適だよ宇宙!」といきなりリゾートハッピーな気分に
吹っ切れる…そんな意外性に富んだ一枚。
Silver Mornigとか一体どんなシーンだったんだろう。気になります(笑)

とはいえ、地上から月までの距離はISSの距離のざっと961倍(約384,000km)。
アポロ11号は約4日かけて月面を目指したわけで。
(その間困難な操縦、途中下車も景色もなし)
さぞ苦行に満ちた長旅だったことでしょう。
ご存知の方もいると思いますが、
月はほんの僅かずつ地球から遠ざかっているそうです(1年で3.8cm)。
人類がこの星を超える未来はやってくるのでしょうか。
とりあえず地球と月との間は末永く平和が続く。そんな明るい希望が
見える素敵なアルバムです。


3.クリストファー・ウィリッツ「Horizon」


CHRISTOPHER WILLITS "Horizon" 2017

アメリカの作曲家クリストファー・ウィリッツの最新アルバム。
1曲目のCometがとにかく最高。
銀色に輝く尾を伸ばし、高速で太陽のそばを駆け抜ける荘厳な彗星のイメージです。
(↑のリンク先からYoutubeでCometを聴くことができます)
イコライザはぜひ重低音厚めでお楽しみください!
他の曲も天上的な癒しに満ちたナンバーで、
今日紹介するアルバムの中では最もヘビロテしている1枚かも。
ウィリッツはオリジナルアルバムの他コラボレーションも積極的に
製作しています。坂本龍一さんとの共作「OCEAN FIRE」もおすすめです。

ところでこの彗星。孤独に宇宙を旅しているようで、
実は太陽系内では火星-木星軌道~エッジワース・カイパーベルト内外まで
兆単位とも言われるまさに星の数の彗星がわんさか飛んでいるそう。
スペースガード的には四六時中監視しておきたいところですが、
今後150万年以内にこれらの軌道に大きな影響を与えそうな恒星
(あるいは巨大重力源)の接近は1回あるかないかくらいだそうで、
当面は穏やかに太陽を回り続けるのではないかと思うのです。
やっぱり割と平和だ宇宙。

惑星の起源のカギを握る宇宙の使者。
どんな名前の彗星になるのか、生きているうちにもう一度仰ぎみたいものです。


4.ホルメン「Oort Cloud」


Jexper Holmen "Oort Cloud" 2011(Amazon)

さて、エッジワース・カイパーベルトのHorizonを抜け、
ボイジャー1号や太陽系最遠軌道を巡る小惑星セドナ(公転周期12000年以上)
よりもさらにさらに遠くにやってまいりました。

本日の最難関、ホルメン(多分これはグループ名だと思います)の
「オールトの雲」。
1枚1トラックの超大作ですが、楽器構成はサックス・
アコーディオン(2台)・電子音のみという異色過ぎる組み合わせ。
時折狂気的な旋律とも叫びともつかない音を響かせながら、
ヘリオポーズの嵐とダークマターの霧の中、一直線に太陽系の
真の果てを目指していく(と私は想像している)1枚です。

オールトの雲とは、太陽系の最果て…太陽の重力と他の恒星・銀河の重力が
均衡を保つ境界に存在すると仮定されている巨大な天体群です。
ここを抜け出せば完全に孤高の旅人。
銀河鉄道999よろしくアンドロメダ銀河を目指してゆけます。
非常に長い周期で太陽を巡る彗星はこのオールトの雲に属していると
いわれていますが、詳しいことはまだ分かっていません。

難解を極めるこのアルバムはまさにそんな謎に満ちた領域をなぞるかのよう。
「宇宙ってすごい!この向こうに何があるんだろう?行ってみたい!!」
などという冷たい感動と共に聴き切れれば、
あなたも立派な宇宙通(かもしれない)。

驚くことにこれでもジャンルは「クラシック」です。
もう細かいことは考えないでおくれ。

いかがでしたか?!
次回は後編です。さらに宇宙の彼方を目指しましょう(笑)

2017.10.22

音のある生活 3 「フレグランスと高相性?」

香りの共感覚…フレグランスのような音楽

秋が一気に深まってきました。
時の流れを肌に感じながら物思いにふけるには良い季節です。
一方にゃんこは相変わらずの元気ぶり。
西屋家の新入り3号はなちゃんは、その小さな体で毎日のように
おんでんとかぐらを追いかけまわしています。



おとなしめな顔をしていますが、実は…
「自分が一番偉い」と思っている…かもしれない!





そんなおてんば娘を先輩の2匹は優しく見守っています。
交互にはなに寄り添い、温めてくれています。
3匹とも元気で楽しく過ごしてくれますように。



さて今回は再び音楽ネタに舞い戻ります。
西屋のにの字もないこのシリーズ、はてさていつまで続くやら?!

今回のコンセプトは「フレグランスのような音楽」。
実は私は音楽と同じくらい香水が好きで、学生の頃からあれこれ種類を変えて
楽しんできました。気ままに音楽を聴いたり香水の香りに触れたりすると、
不思議と見たことのない景色が脳裏に浮かんだり、言葉や何かを感じる時があるのです。

うーむ、私だけだろうか??

ともあれ、そんな共感覚を呼び覚ます…
フレグランスのイメージに合いそうな曲やアルバムをご紹介したいと思います。



1.女性用フレグランスのイメージ


Hector Zazou "Geologies" 1989

フランスの作曲家・プロデューサーの故エクトル・ザズーが1989年に発表したアルバム。
タイトルは「Geologies」、直訳すると地質学を意味するわけですが、ジャケットは
なかなか際どい絵面。曲を聴くと、なぜこんなシーンを選んだのか何となく納得できます。
ザズーは1970年代にZNRというグループにいて、早くからクラシック・ロック・
ジャズ・ワールドミュージックといった幅広いジャンルを取り入れた
味わい深い音楽を世に出し続けてきた人でした。

アルバムごとに世界観が変わるのが面白く、何枚も彼のCDを持っています。
このGeologiesは創世期のポスト・クラシカルな響きを持ちつつ
(音源はややシンセサイザーっぽい響きですが、個人的な第一印象として)
満ち欠けする月のように美しくも恐ろしくも移ろいゆく魔性の女」的なオーラを放っています。
各曲のタイトルから、ジェームズ・ジョイスの長編小説「Finnegans Wake」を
題材にしたらしい要素もちらほら。とはいえ殆どインスト曲ですので、気負わず直感的に聴けます。
時に神秘的で、エロティシズム漂う怪しげな雰囲気には、
ジェニファー・ロペスのスティルやクロエのオードパルファム、
ご存知シャネルのNo.5あたりが合いそうです。
もう30年近くも前のアルバムですが、いつ聴いても古さを感じません。



2.男性用フレグランスのイメージ


Harold Budd & Hector Zazou "Gryph" 1995

同じくエクトル・ザズーとハロルド・バッドの共作アルバム、グリフ。
1995年発表。ジャケットは一面の赤い薔薇。これだけでも十分香りかおる雰囲気。
ぱっと見はX JAPAN・YOSHIKIさんのプロデュースフレグランス
「Battre Sung(バトゥサン)」のパッケージデザインによく似ています。
(バトゥサンはレース柄ですが…。)
ハロルド・バッドはアメリカのミュージシャン兼ピアニストです。
アンビエントミュージックの提唱者:ブライアン・イーノとの関わりも深く、
「The Peal」などの共作もあるほか、ソロ・ピアノアルバムの「Room」や
「In the Mist」はヒーリングにもオススメの一枚です。
話がそれました(笑)

GlyphはGeologiesほど感情の起伏は激しくありません。
全体的に重く陰鬱な曲調。そこにハロルド・バッドのやわらかく透明感のあるピアノや、
ザズーの名アルバム「Sahara Blue」にも参加しているChristian Lechevretel
(読み方が分からない)のメロディックなトランペットが、これでもかと幽玄な世界を
醸し出しています。さらに曲によっては低音美声な男性のナレーションも入ります。
英語力がないのでナレーションはところどころしか聞き取れないのが残念ですが、
過去のこと、ヴィジョンのこと、さまざまな情景を語っているのがおよそ伝わってきます。
どこまでも渋く、物静かで思慮深い大人の男といったイメージです。
香水で例えるならシャネルのアリュールオムやエゴイスト、ブルガリのブラック、
アランドロンのサムライ・ダズル、トム・フォードのノワールのような、
官能的で落ち着いた男性用フレグランスが合いそうです。

3.香水の原材料(エッセンス)系(!)


Brian Eno "Neroli" 1993

アンビエントミュージックのパイオニア、ブライアン・イーノが
1993年に発表したアルバム。丸々1枚が1トラックのみという仕様で、全曲約1時間です。
しっとりとした音調のシンセサイザーが、ひたすら読めないゆったりテンポにのって
浮遊感あふれる旋律を奏で続けるという、聴きながら眠れること間違いなしの一枚。

タイトルの元ネタでもある「ネロリ」は上品な甘い香りが特徴で、
橙(だいだい:ビターオレンジ)の花から精製した希少価値の高い精油です。
もちろんさまざまななフレグランスにも採用されています。
ネロリの格調高い香りと共に、ぜひあなたも瞑想の旅に出かけてみて下さい。

4.おまけ


Jon Hopkins "Insides" 2009 Light through the Veins

アルバムではなく曲の紹介になります。
Light through the Veins。
ジョン・ホプキンスの2009年のアルバム「Insides」におさめられている曲です。
この曲にはPVがあり、オンラインでいつでも見ることができます。



(↑YoutubeのSSより)




きらきら輝く複雑な造形が暗闇の中で舞う様子がとてもきれい。→動画リンクはこちら
PV版は原曲の半分ほどの尺しかなく、動画サイト上だとなぜか画像が荒いのが気になるところですが…
Apple Music内のトップビデオではかなりクリアな動画を視聴できますので、もしもアカウントを
お持ちの方がいたらぜひそちらでもご覧になってみて下さい(スマホ推奨!)。
PVからも分かる通り、爽やかなユニセックス系のフレグランスを思わせる素敵な曲です。
具体的なフレグランスを挙げると、シャネルのアリュールオムスポーツ・コローニュ、
ジバンシィのウルトラマリン、、ライジングウェーブのフリー・ライトブルー
あたりがイメージに合いそうです。エゴイスト・プラチナムもこっち系かも…?
特に冒頭は音によって画面の色が変わり、“共感覚”のイメージを彷彿とさせます。
実際に共感覚を持っている人が見たら「色違う!!」と思うかもしれませんが、
音楽の表現ってこんなに自由でカラフルなんだと改めて思い知らされます。
これからが楽しみなミュージシャンの一人です。



リンクまでべたべた貼ってしまいました。好きなものを好きなだけ語って
ストレス発散していくタイプです(笑)

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