若女将コラム

日々西屋と山を縦横無尽に駆け巡る湯守兼若女将の、マイペースなコラムです。好きなものは音楽・写真・自然・宇宙。

若女将コラム

好きな音楽のこと ~アンビエント系~

2018.05.24

音のある生活  10 「ところで宇宙往ってくる③(終)」





雨が降ると途端に気温が5度を切る白布温泉です。



庭の一角で紅いつつじが咲き始めました。
ウコギの垣根も瑞々しく葉を広げています(写真↑)。
うーん、なんだか食べるのがもったいない…(苦笑)



一方シバザクラが覆うはずだった石垣にはなぜかマーガレットが自生。
ああ…これもまた剪定するのがもったいない…(汗)

いつか西屋の庭をきれいにするのが私の目標の一つでした。
今年こそは時間を見つけ、本腰入れて整備したいと思っています。
元々ある草花も全てを刈り取るのはかわいそうなので、
きれいな花を咲かせてくれるもの、ちょっと珍しいものは移植して
活用させたいと考えています(完全に素人思考/笑)。





さて、今日は「ところで宇宙往ってくる」シリーズとうとう最終回
こんなに引っ張るつもりはなかったのですが、いい加減きっちり〆ないと
斥力が効きすぎて二度と帰ってこられなくなりそう。

前々回でオールトの雲を脱したところでしたので、さらにその先へ往って
ちゃんと帰ってきます!
(Jexper Hormenに続く紹介になるので、通し番号で5番からスタートします)


5.Max Corbacho :Source of Present


Max Corbacho "Source of Present"(2017)

スペインの作曲家・マックス・コルバチョ氏のアルバム。
まずは太陽の重力圏を完全に脱し、それまで観測と想像でしか
その姿を把握できなかった銀河系を振り返った時に聴いてみたくなる
(かもしれない)穏やかで神秘的な一枚です。
他にも2008年にリリースされたBreathStreamや、近年シリーズで
出しているNocturnesもおすすめ。アンビエントながら癒し効果のある
いい音楽を生み出しています。
肉眼を通して見る銀河は実際暗い天体のはずですが、沢山の命の源が巡る
懐の深い宇宙の故郷に違いありません。数えきれないほどの星が
その一生を過ごす中で、ゆっくりと繰り返される輪廻の“今”を感じつつ、
ぜひ灯りを落として聴き入ってみてください。


6.Grouper : A I A:Alien Observer


Grouper "A I A : Alien Observer"(2011)

アメリカ出身の女性ミュージシャン:リズ・ハリス(本名エリザベス・アン・ハリス)
のアルバムで、Dream lossとの2部作として2011年にリリースされました。
アルバム名を王様直訳すると「エイリアン観測者(???)」。
出会うことの叶わないほど遠方に住まうエイリアンが、人間(地球)を宇宙から
観察しているのか、それとも人間がエイリアン(の交信)を傍聴しているのか、
真意は謎。
リズ・ハリスのウィスパーヴォイスがその一つの答えを紡ぐように、綿毛のような
旋律を響かせる味わい深いアルバムです。
ジャンルはドローン~アンビエントですが、5で紹介したマックス氏のアルバムの
方がドローンぽいかも。リズの歌声(むしろ音源の一つ)にはノンバーバルな
メッセージ性があって、身も蓋もない話「エイリアンが歌って話しかけている」感じ。
ジャケットのおとめ座プレアデス星団のモノクロ写真もあいまって、暗黒の虚空を
「懐かしく温かい宇宙」といとおしんでいるようにも聞こえます。
私はロマンを込めてパンスペルミア説を信じている派。
あくまで曲を聴いたイメージですが、
宇宙を故郷に見立てたようなこの1枚は特にお気に入りです。


7.Phelios Human Stasis Habitat


Phelios "Human Stasis Habitat"(2016)

紹介するかどうするか最後まで迷いました。
ドイツの作曲家:Martin StürtzerことPheliosが2016年にリリースした
かなりディープなアンビエント・アルバムです。
銀河の群れからさらに遠ざかり、ボイドの辺縁から宇宙全体を見渡している…
というイメージ(もはや意味不明)。
このタイトルの意味は…?
2年ほど前にNASAが火星への有人探査を目的として、
「火星飛行における人体停止状態を利用した冬眠誘導式輸送ハビタット
(Torpor Inducing Transfer Habitat For Human Stasis To Mars)」
という計画を発表したそうですが、つまりはそういうことでしょうか。

いつかそんな宇宙の深遠を肉眼で拝む日が……まぁ十中八九来ないであろう…。
火星はともかく、現在観測可能な宇宙はなんと直径約930億光年も
あるんだそうですから…
たとえ光速で飛んでも、所要時間は太陽の寿命のざっと10倍弱。
そもそも現宇宙がそんな未来にまで存在しているかどうかも怪しい。
それでも、人間の英知は確かに宇宙の彼方を捉えつつあるんだから凄い話です。
重力波も観測されたわけですし。

未知の宇宙への畏怖と生命とのせめぎあいともとれるこの一枚。
聴き応えあります。


8.Lull Moments


Lull "Moments"(1998)(Youtubeのリンク、truck 1のみ)

とうとう思いつく限り宇宙の果ての果てまでやってきました。
ここからは事象の地平線をまたいだ“異界”。実証はされていないものの、
その存在が諸説示唆されている多元宇宙論の世界です。

可視化不能の極致はいつもこのパターン。
Momentsはちょうど20年前にリリースされたLullの初期作品です。
ジャンルはロックとありますが、実際はロックと似ても似つかない。
全曲にわたり、背景のない無味乾燥な信号音の連なりが強弱をつけて
流れ続けるというもので、なんと99トラックもあります。
99ディメンション。
近年のLullは垢抜けしたサイケデリック調のポップ曲作りにすっかり
シフトチェンジしていますが(誰これ?と見まごうほどの変貌ぶり)、
MomentsやWhiteoutを世に出していた頃はひどく病んでいたのだろうか?

紹介しておいてなんですが、真面目に聴いていると20曲過ぎたあたりで
いやんばい発狂できます。ボリュームは最小レベル推奨。


9.(おまけ)ENIGMA Voyaj より Following the Sun


ENIGMA "Voyageur"(2003)(Youtubeのリンク)

7あたりからメンタルにわりとグーパンなアルバムを立て続けに
紹介してしまいましたので、最後はおまけをお届けします。

今やニューエイジ・ヒーリングミュージックの重鎮となったENIGMAが
2003年にリリースしたアルバム。
当時流行りのコピーコントロールCDだったので正直持ち運びし辛く、
プレーヤーが壊れてからはすっかりお蔵入りしてました。
Apple Musicを通して久しぶりに聴けた時は素直に嬉しかったなぁ。

最後のトラックに収録されているFollowing the Sunの舞台は、
イメージすると夕暮れの海岸線。(いつの間に地球に帰還しているという…)

日の沈んだ空にやがて満点の星空(これまで旅をしてきた宇宙、そして未来)が
瞬くダイナミックな時の移ろいに寄せて、愛と命を歌った明るくも壮大なテーマです。
宇宙シリーズの締めくくりにふさわしい曲と思い、チョイスしました。


Have a look up to the sky
See the billion stars above
'cause (maybe) on one of them
You'll spend your further life

空を見上げ
幾億もの星を見つめよう
あの星のどれか一つで
あなたはもう一度生きるのだから


聴いたことのない音楽との出会いが、日々の生活にインスピレーションと
潤いと癒し(こういうテーマになると結構な確率で”畏怖”も)を
もたらしてくれることを願い、今日も心の旅を続けます。





2018.04.28

音のある生活 9 「ところで宇宙往ってくる②」



白布温泉、ようやく桜が開花しました。
ところどころ満開で、山も淡いピンクと木々の芽吹きに目覚め、
いよいよ春本番と言ったところです。

西屋も今日からしだれ桜のライトアップスタートしますよ。








(写真は以前の様子を撮影したものです。)
ぜひ身にいらして下さいね。

「ところで宇宙行ってくる」シリーズが思いっきり半端なまま気が付けばGW間近。
べ、別に怠けていたわけじゃありません。
館内のメンテナンス(9割DIY)、ネットプランの全面リニューアル、
インバウンドに対応するための準備、新しい販売チャンネルの増設等ナド…
この1~1ヶ月半の間、宇宙どころか口から魂がはみ出ないよう地べたを
走り回っていました。かたやこの春は私事ながら子供の卒園入学もありました。
我が子の成長をまぶしく見守る嬉しさの半面、
一気に年月を経てしまったような妙な焦りが心を揺する今日この頃…。
毎日をもっと有意義に過ごさねば。


というわけで「ところで宇宙行ってくる②」多分中編(まだあるの?!)
今日はちょっと趣向を変えて、
当コラム音楽シリーズ初のリクエスト曲(!)を1曲ご紹介します。

The Beatles"Across the Univercse"



Beatles - Across the universe (Best version)
※アルバム画像をクリックするとYoutubeに移動します。

(こちらは、いつも当館の電気系統のメンテナンスでお世話になっている
社長の学生時代同期:きみさんからのリクエストです。
きみさんありがとうございます~!)

知らない人はいないUKロックの超大御所:ビートルズ。
あまりに有名すぎて、実は私、個々のアルバムを殆ど真面目に聴いたことが
ありませんでした(ファンの皆さんごめんなさい)。
ビートルズ自身のみならず、後世のアーティストによるアレンジも数多く
存在するのもかえってややこしく、タイトルと曲がまるであみだくじの
ように一致しません。ぶっちゃけ苦手意識が強いアーティストでした
(ますますファンの皆さんごめんなさい(苦笑))。

Across the Universeも初めて聞くタイトルだなぁなんて思いつつ
ようつべを捲ってみたら、確かに聴いたことある曲でしたというオチです。
今度ちゃんとアルバムを聴いてみます。

話が逸れました。

印象深いのは1969年リリース当時のいわば原曲版(↑画像リンク)です。
平和な鳥のさえずりから始まるオリジナル・バージョン。
故ジョン・レノンとポール・マッカートニーの共作名義ですが、
歌詞からするとジョン色濃いめな感じです。

不思議なフレーズですよね、"Jai guru de va om"。
インドの聖典が元ネタだそうです。

Nothing's gonna change my world...
"私の世界を変えることができるものは何もない"と(いうニュアンスで)
歌っていますが、それは立ち止まることでも何かに固執することでもなく、
この世のすべてのもの、喜びも悲しみも言葉も心も時と共に全てが流れ、
愛に抱かれて宇宙の彼方まで広がっていく…ボーダレスな世界観。
一見諸行無常がテーマのようですが、メロディーの優しさもあいまって
安らぎと幸いに満ちています。

わざわざ遠くを目指さなくても、目の前の日常のどの瞬間にも宇宙は存在し、
あなたと繋がっている…まさにマントラ。

東洋の深遠な思想に関心があったというジョン・レノンですが、
こんなユニークなテーマを親しみやすい歌に乗せた彼らはやっぱり
天才かもしれません。

まさか暗黒物質のことを歌ったわけじゃないよね??

2018.03.09

音のある生活 8 「ところで宇宙往ってくる①」




晴れた日の白布温泉は星がきれいよ~(↑イメージです(笑))。




桃の節句も過ぎ、ようやく長い冬のトンネルから抜け出そうとしつつある西吾妻山麓。
今週は天候もあいまって一気に雪解けが進んできました。
(しかし油断は禁物。大概4月中下旬頃までに1~2回は再びドカ雪に降られる。)
銀世界の裏山でアストラッド・ジルベルト版「fly me to the moon」
がなぜか脳内再生される中、「(雪は)もう要らんわーー!!」
とヤケクソでスコップ振り回していた季節とも、いよいよしばしの別れです。
嬉しいやら寂しいやら(?)。






さて、今日はto the moonどころかさらに彼方、
「ところで宇宙往ってくる」シリーズ1回目です。

のっけから飛んでます。
すみません。
でも宇宙大好き。

図書館に行くとついつい宇宙なぜなぜ?の本ばかり手に取ってしまいます。
(まったくの素人でも分かりやすい本がたくさんあってありがたい。)
最先端の科学技術をもってしても未だ謎の多い宇宙。
(全質量の95.1%は未だダークな領域…)
古来人々は様々な形でこの壮大な未知の世界にロマンを抱いてきました。
そんな宇宙を深くイメージさせてくれる音楽を
ピックアップしていこうという我ながら珍妙なテーマです。
内容が内容だけにアンビエント系多めですが、
地球からだんだん遠方に旅立っていくというシチュエーションで
アルバムや曲を紹介していきたいと思います。
時には底知れない畏怖を抱きつつ、楽しんで頂ければ幸いです。


1.ジング・カール「This Universe」


Singh Kaur "This Universe"1998(Amazon)

地球から見上げた宇宙へのスピリチュアルな畏敬の念と、
時空を超えた旅立ちを思わせる1枚目のアルバムはこちら。
インド出身のニューエイジ・アーティスト兼歌手、
Singh Kaur(ジング・カール?)女史の遺作アルバムです。
Singhさんは7作に及ぶクリムゾン・シリーズでは光り輝く聖水のような旋律、
Gary Stadlerとの共作である「Fairy Night Songs」は語りかけるような
優しい歌声を聴かせてくれていました。
しかし惜しくも今から20年前、40代前半の若さでこの世を去ってしまいました。
“呼ばれた”のかな…。

This Universeは、ヨガにも精通していたという彼女のエッセンスが
込められたアルバムです。地球と宇宙はいつでも繋がっていて、
ただの暗闇や真空ではない温かい何かが満ちていると感じさせてくれます。
スピリチュアルな世界やヒーリング、アセンションに興味のある方にもオススメ。


2.ブライアン・イーノ「Apollo」


Brian Eno "Apollo" 1983-2005(Amazon)

このコラムでもたびたび登場しているブライアン・イーノが、
NASAの月面着陸記録映画のサントラとして1983年に製作したアルバム。
タイトルもそのまんまです。
鋼鉄の船で無音の宇宙を漂いながら時折地球を振り返り、
得も言われぬ孤独感に浸ったかと思えば、
「意外と快適だよ宇宙!」といきなりリゾートハッピーな気分に
吹っ切れる…そんな意外性に富んだ一枚。
Silver Mornigとか一体どんなシーンだったんだろう。気になります(笑)

とはいえ、地上から月までの距離はISSの距離のざっと961倍(約384,000km)。
アポロ11号は約4日かけて月面を目指したわけで。
(その間困難な操縦、途中下車も景色もなし)
さぞ苦行に満ちた長旅だったことでしょう。
ご存知の方もいると思いますが、
月はほんの僅かずつ地球から遠ざかっているそうです(1年で3.8cm)。
人類がこの星を超える未来はやってくるのでしょうか。
とりあえず地球と月との間は末永く平和が続く。そんな明るい希望が
見える素敵なアルバムです。


3.クリストファー・ウィリッツ「Horizon」


CHRISTOPHER WILLITS "Horizon" 2017

アメリカの作曲家クリストファー・ウィリッツの最新アルバム。
1曲目のCometがとにかく最高。
銀色に輝く尾を伸ばし、高速で太陽のそばを駆け抜ける荘厳な彗星のイメージです。
(↑のリンク先からYoutubeでCometを聴くことができます)
イコライザはぜひ重低音厚めでお楽しみください!
他の曲も天上的な癒しに満ちたナンバーで、
今日紹介するアルバムの中では最もヘビロテしている1枚かも。
ウィリッツはオリジナルアルバムの他コラボレーションも積極的に
製作しています。坂本龍一さんとの共作「OCEAN FIRE」もおすすめです。

ところでこの彗星。孤独に宇宙を旅しているようで、
実は太陽系内では火星-木星軌道~エッジワース・カイパーベルト内外まで
兆単位とも言われるまさに星の数の彗星がわんさか飛んでいるそう。
スペースガード的には四六時中監視しておきたいところですが、
今後150万年以内にこれらの軌道に大きな影響を与えそうな恒星
(あるいは巨大重力源)の接近は1回あるかないかくらいだそうで、
当面は穏やかに太陽を回り続けるのではないかと思うのです。
やっぱり割と平和だ宇宙。

惑星の起源のカギを握る宇宙の使者。
どんな名前の彗星になるのか、生きているうちにもう一度仰ぎみたいものです。


4.ホルメン「Oort Cloud」


Jexper Holmen "Oort Cloud" 2011(Amazon)

さて、エッジワース・カイパーベルトのHorizonを抜け、
ボイジャー1号や太陽系最遠軌道を巡る小惑星セドナ(公転周期12000年以上)
よりもさらにさらに遠くにやってまいりました。

本日の最難関、ホルメン(多分これはグループ名だと思います)の
「オールトの雲」。
1枚1トラックの超大作ですが、楽器構成はサックス・
アコーディオン(2台)・電子音のみという異色過ぎる組み合わせ。
時折狂気的な旋律とも叫びともつかない音を響かせながら、
ヘリオポーズの嵐とダークマターの霧の中、一直線に太陽系の
真の果てを目指していく(と私は想像している)1枚です。

オールトの雲とは、太陽系の最果て…太陽の重力と他の恒星・銀河の重力が
均衡を保つ境界に存在すると仮定されている巨大な天体群です。
ここを抜け出せば完全に孤高の旅人。
銀河鉄道999よろしくアンドロメダ銀河を目指してゆけます。
非常に長い周期で太陽を巡る彗星はこのオールトの雲に属していると
いわれていますが、詳しいことはまだ分かっていません。

難解を極めるこのアルバムはまさにそんな謎に満ちた領域をなぞるかのよう。
「宇宙ってすごい!この向こうに何があるんだろう?行ってみたい!!」
などという冷たい感動と共に聴き切れれば、
あなたも立派な宇宙通(かもしれない)。

驚くことにこれでもジャンルは「クラシック」です。
もう細かいことは考えないでおくれ。

いかがでしたか?!
次回は後編です。さらに宇宙の彼方を目指しましょう(笑)

2017.10.22

音のある生活 3 「フレグランスと高相性?」

香りの共感覚…フレグランスのような音楽

秋が一気に深まってきました。
時の流れを肌に感じながら物思いにふけるには良い季節です。
一方にゃんこは相変わらずの元気ぶり。
西屋家の新入り3号はなちゃんは、その小さな体で毎日のように
おんでんとかぐらを追いかけまわしています。



おとなしめな顔をしていますが、実は…
「自分が一番偉い」と思っている…かもしれない!





そんなおてんば娘を先輩の2匹は優しく見守っています。
交互にはなに寄り添い、温めてくれています。
3匹とも元気で楽しく過ごしてくれますように。



さて今回は再び音楽ネタに舞い戻ります。
西屋のにの字もないこのシリーズ、はてさていつまで続くやら?!

今回のコンセプトは「フレグランスのような音楽」。
実は私は音楽と同じくらい香水が好きで、学生の頃からあれこれ種類を変えて
楽しんできました。気ままに音楽を聴いたり香水の香りに触れたりすると、
不思議と見たことのない景色が脳裏に浮かんだり、言葉や何かを感じる時があるのです。

うーむ、私だけだろうか??

ともあれ、そんな共感覚を呼び覚ます…
フレグランスのイメージに合いそうな曲やアルバムをご紹介したいと思います。



1.女性用フレグランスのイメージ


Hector Zazou "Geologies" 1989

フランスの作曲家・プロデューサーの故エクトル・ザズーが1989年に発表したアルバム。
タイトルは「Geologies」、直訳すると地質学を意味するわけですが、ジャケットは
なかなか際どい絵面。曲を聴くと、なぜこんなシーンを選んだのか何となく納得できます。
ザズーは1970年代にZNRというグループにいて、早くからクラシック・ロック・
ジャズ・ワールドミュージックといった幅広いジャンルを取り入れた
味わい深い音楽を世に出し続けてきた人でした。

アルバムごとに世界観が変わるのが面白く、何枚も彼のCDを持っています。
このGeologiesは創世期のポスト・クラシカルな響きを持ちつつ
(音源はややシンセサイザーっぽい響きですが、個人的な第一印象として)
満ち欠けする月のように美しくも恐ろしくも移ろいゆく魔性の女」的なオーラを放っています。
各曲のタイトルから、ジェームズ・ジョイスの長編小説「Finnegans Wake」を
題材にしたらしい要素もちらほら。とはいえ殆どインスト曲ですので、気負わず直感的に聴けます。
時に神秘的で、エロティシズム漂う怪しげな雰囲気には、
ジェニファー・ロペスのスティルやクロエのオードパルファム、
ご存知シャネルのNo.5あたりが合いそうです。
もう30年近くも前のアルバムですが、いつ聴いても古さを感じません。



2.男性用フレグランスのイメージ


Harold Budd & Hector Zazou "Gryph" 1995

同じくエクトル・ザズーとハロルド・バッドの共作アルバム、グリフ。
1995年発表。ジャケットは一面の赤い薔薇。これだけでも十分香りかおる雰囲気。
ぱっと見はX JAPAN・YOSHIKIさんのプロデュースフレグランス
「Battre Sung(バトゥサン)」のパッケージデザインによく似ています。
(バトゥサンはレース柄ですが…。)
ハロルド・バッドはアメリカのミュージシャン兼ピアニストです。
アンビエントミュージックの提唱者:ブライアン・イーノとの関わりも深く、
「The Peal」などの共作もあるほか、ソロ・ピアノアルバムの「Room」や
「In the Mist」はヒーリングにもオススメの一枚です。
話がそれました(笑)

GlyphはGeologiesほど感情の起伏は激しくありません。
全体的に重く陰鬱な曲調。そこにハロルド・バッドのやわらかく透明感のあるピアノや、
ザズーの名アルバム「Sahara Blue」にも参加しているChristian Lechevretel
(読み方が分からない)のメロディックなトランペットが、これでもかと幽玄な世界を
醸し出しています。さらに曲によっては低音美声な男性のナレーションも入ります。
英語力がないのでナレーションはところどころしか聞き取れないのが残念ですが、
過去のこと、ヴィジョンのこと、さまざまな情景を語っているのがおよそ伝わってきます。
どこまでも渋く、物静かで思慮深い大人の男といったイメージです。
香水で例えるならシャネルのアリュールオムやエゴイスト、ブルガリのブラック、
アランドロンのサムライ・ダズル、トム・フォードのノワールのような、
官能的で落ち着いた男性用フレグランスが合いそうです。

3.香水の原材料(エッセンス)系(!)


Brian Eno "Neroli" 1993

アンビエントミュージックのパイオニア、ブライアン・イーノが
1993年に発表したアルバム。丸々1枚が1トラックのみという仕様で、全曲約1時間です。
しっとりとした音調のシンセサイザーが、ひたすら読めないゆったりテンポにのって
浮遊感あふれる旋律を奏で続けるという、聴きながら眠れること間違いなしの一枚。

タイトルの元ネタでもある「ネロリ」は上品な甘い香りが特徴で、
橙(だいだい:ビターオレンジ)の花から精製した希少価値の高い精油です。
もちろんさまざまななフレグランスにも採用されています。
ネロリの格調高い香りと共に、ぜひあなたも瞑想の旅に出かけてみて下さい。

4.おまけ


Jon Hopkins "Insides" 2009 Light through the Veins

アルバムではなく曲の紹介になります。
Light through the Veins。
ジョン・ホプキンスの2009年のアルバム「Insides」におさめられている曲です。
この曲にはPVがあり、オンラインでいつでも見ることができます。



(↑YoutubeのSSより)




きらきら輝く複雑な造形が暗闇の中で舞う様子がとてもきれい。→動画リンクはこちら
PV版は原曲の半分ほどの尺しかなく、動画サイト上だとなぜか画像が荒いのが気になるところですが…
Apple Music内のトップビデオではかなりクリアな動画を視聴できますので、もしもアカウントを
お持ちの方がいたらぜひそちらでもご覧になってみて下さい(スマホ推奨!)。
PVからも分かる通り、爽やかなユニセックス系のフレグランスを思わせる素敵な曲です。
具体的なフレグランスを挙げると、シャネルのアリュールオムスポーツ・コローニュ、
ジバンシィのウルトラマリン、、ライジングウェーブのフリー・ライトブルー
あたりがイメージに合いそうです。エゴイスト・プラチナムもこっち系かも…?
特に冒頭は音によって画面の色が変わり、“共感覚”のイメージを彷彿とさせます。
実際に共感覚を持っている人が見たら「色違う!!」と思うかもしれませんが、
音楽の表現ってこんなに自由でカラフルなんだと改めて思い知らされます。
これからが楽しみなミュージシャンの一人です。



リンクまでべたべた貼ってしまいました。好きなものを好きなだけ語って
ストレス発散していくタイプです(笑)