若女将コラム

日々西屋と山を縦横無尽に駆け巡る湯守兼若女将の、マイペースなコラムです。好きなものは音楽・写真・自然・宇宙。

若女将コラム

好きな音楽のこと ~クラシック音楽~

2019.04.20

音のある生活 24 「The 日本 ③」



こんにちは。絶賛花粉症の若女将です。
お日さまぽかぽかの三十三観音では、抹茶色の杉花粉が
うねるように飛び交っています。目と鼻と喉に痛恨の一撃!
白布よいとこ、春だけアウェー。取り囲まれても心配ご無用。
薬を飲んで完全武装だ!

(話が飛びます飛びます♪)
つい最近不思議な夢を見ました。
現代から1億経った未来の西吾妻山の景色でした。なぜか1億年先。
ニック・レーンの本を読んでから横になったせいかな?
人工物や天変地異の残痕がそこかしこに散らばっているのかと思ったら、
そうでもありませんでした。




それは雲ひとつなく、
今より遥かに濃い青空の彼方で太陽が燦然と輝いている穏やかな景色でした。
スキー場はなくなり、温泉も見えなくなっていて、山の全てが深い緑に
覆われていました。文明の名残は跡形もありません。
残念ながら人類は既に絶滅しているようです。
しかし大地からは強い未知の生命の気配が感じられました(夢の話だよ!)。




それらを強く、希望に満ちた意識全体で感じ取っているという夢。

目が覚めてからしばらくの間は、どっちが夢なのか分からないくらい
本当にリアルでした(↑の写真はイメージです。近所の写真を加工)。

今のところ、50億年~百億年単位の未来は天文学的にもかなり具体的な
筋道が予測されていますが、恐竜の時代から見た現代、くらいの微妙な期間
となると、私含めていまいちピンとこない人の方が多いと思います。
10年先も予想できない今の世の中、明らかに自分がこの世にいない
1億年後なんて興味すら湧かないのは当然のことです。
ほぼ確実に言えるのは、環境依存度の高い人間は須らく滅びているだろう
ということ。これまでの地球史を鑑みるに、1億年の間に一度は隕石衝突なり
大規模気候変動なり起きても確率的におかしくありません。
それらにことごとく耐え長い期間繁栄を保てるのは、環境変化の緩やかな
深海の生物か、地中に生活圏を持つ微生物くらいでしょうから。




はな「そうか…にゃんこも1億年は無理ぽいニャ…ZZZ」

とまぁ、やたら無意味に思える1億年後の未来ですが、
今と同じような青空があって(つまり大気構成は殆ど変わっていない)、
緑があって(人類による砂漠化や環境破壊は未来に影響を残さず自然回復したようだ)、
新たな生き物の繁栄の時代が訪れているらしいことが判明して、
私は妙に明るい気持ちになって目が覚めましたYo!というお話でした。

遺伝子は逃れようのない死をコードしていますが、その遺伝子を
構成している原子そのものは、太陽の先祖ともいえるどこかの恒星の
炉の中で生れ、何十億年も巡り巡って取り込まれたもの。
それ自体のバランスが崩れない限り、この先も世代を超えて受け継がれて
いくでしょう。ある意味私達は肉体が滅んでも“(ほぼ)未来永劫生き続ける”
わけです。行き先、取る形が何であれ。
夢オチなのに変に納得できちゃったのは、その辺ぼんやりと理解していたおかげ
なのかも。すみません。相変わらず訳のわからない独り言でした。
最近しょっちゅうこんなことばかり考えています。
memento mori, carpe diem.



さて、「The 日本」シリーズ最終回となりました。
今日ご紹介するのはこちら。

伊福部昭 「シンフォニア・タプカーラ」2-Adagio

(演奏者は違いますが、Youtubeでの試聴はこちら。)

ゴジラのテーマ曲!
といえばその名を知らぬ人はいないほど有名な伊福部昭さん。
そんな彼の初期の傑作が:シンフォニア・タプカーラです。
タプカーラというのはアイヌ語で「立って踊る」という意味です。
北海道出身の伊福部さんは、幼少期に住んだ北海道の地やアイヌの人々の
文化に思いを寄せてこの曲を作曲したのだそう。
民族の違いはあるものの、心同じくする日本という広い意味でチョイスしました。
独特のリズムと旋律のある舞曲風で、終曲は大団円のように華やかです。
個人的には2曲目のアダージョがイチオシ。
ハープと弦楽器の静かな伴奏で始まる夜明けのような情景で、手つかずの
自然が広がる北海道、はたまた日本のどこかの山野が脳裏に思い浮かびます。
歴代の大怪獣映画のサントラ、ヤシモリ作戦の場面で再び脚光を浴びた
「宇宙大戦争」のメインテーマなど、日本のSF界のミュージックシーンを
長年牽引してきた氏ですが、日本狂詩曲や二十五弦筝の為の幽玄なソロ曲など、
記憶の底にある日本人の魂を揺さぶる荘厳で素晴らしい曲も数えきれないほど
世に送り出しています。
タプカーラのアダージョが奏でる、どこか悲しげであり優しい牧歌的な響きは、
まだ人が誕生する前の時代、はたまた夢に見たはるか未来の、
誰かがそこで平和に暮らしているであろう大地の、
静かな命の讃歌のようでもあります。

もうすぐ日本は新しい時代を迎えます。
人が聡明に今を歩み、この国に留まらず、世界中が末永く穏やかで、
命が巡りあふれる星であり続けることを願っています。

2019.04.05

音のある生活 23 「The 日本 ②」


こんにちは。
チコちゃんの何がいいのか未だによく分からない若女将です。
(つまりはアダルトチルドレン(ど死語!)?)

新年度に入り、いよいよ次の時代の年号も発表されましたね。
どんな世の中になるんだろう。
私の身の回りでは、子供達の通う小学校の廃校決定、市内唯一の
デパートの閉店決定(8月)と、前へ進むごとに環境が大きく変わってゆく
(しかも失われるパターンが多い)宿命が意外と多く存在します。

終わらないと思っていたものが終わり、
在り続けると思っていたものがなくなり、
当たり前が当たり前でなくなり…まさに諸行無常。

かたや時節は春。
去年と同じ場所で、同じようにスイセンが芽吹こうとしています。



自然はこんなにも循環できているというのに、
人の世はまこと右から左へ流れ去る一方ですな…。
尤もこの世に永遠は存在しないので、ある意味それは仕方がない。
執着を捨てて今を生きることが悟りへの道だと二千年以上も昔にお釈迦様も
説いたわけです。求めるものは少なくあれ。林の中の象のように。

それにしてもここ最近のニュースで一番衝撃だったのは、先日新聞の一面に
載っていた「児童虐待の通告件数8万人突破」の文字。
明るみに出たケースしかカウントしていないわけだから、残念ながら
この数は氷山の一角でしょう。とはいえ何なんだこの異常な数は?
8万人といったら、米沢市の人口に匹敵する数じゃないか。
相当な異常事態だと思うのですが、皆さんはこのニュースを知って
どう感じただろうか。

有史以来、人間は大義名分にかこつけて戦争だ侵略だと
無関係な大多数の他者を巻きこんでやりたい放題地上で暴れてきた、
色々な意味で罪深い生き物ではあります。
しかし一方で深遠な思想や芸術、宇宙の果てまで見通さんとする
素晴らしい学問や科学技術を数えきれないほど生み出してもきました。
その知的探究心さえあればもっと潔く歴史に学んで、上記の象とまでは
いかずとも、もう少し今を穏やかに生きることができるはずなのに。
なぜそうならない?
言うまでもないが虐待なんてものは問題外。
種の保存の為に、征服した群れの子供を殺すという類人猿の例外は
あるにせよ、まだ非力な子、まして自分の子供は本能的に命に代えても
守りぬくのが親のあるべき姿。異論はあるまい。
四足の動物や鳥ですら、そうやって厳しい弱肉強食を生き抜いているのに。
言葉はきついけれど、その本能さえ忘れ去ってしまった人間はもはや
哺乳類のはるか以前に退化してしまった(自分で産んだ子を自分の子と
認識できずに“共食い”する魚類とか昆虫類クラス)としか思えないのです。
いっそヒト属じゃない別のカテゴリに分けてくれ。
雑学なんぞよりそれこそチコちゃん得意の喝入れるところじゃろう!と
私は声を大にしてツッコみたい(そんな私が実に毒舌)。



というわけで完全におまけポジションに追いやられてしまった
The 日本 ②」。クールダウンしましょう(自分が)。
今日はこちらの紹介です。

冨田勲 「新日本紀行テーマ曲」

(↑画像をクリックするとYoutubeにリンクします。)

高度経済成長期に湧いていた当時、失われつつある日本の原風景を
追い続けたNHKの番組(昭和38年~昭和57年放送)の印象的なテーマ曲。

リアルタイムで番組を観たことはないものの、途中で挿入されている
祭りの笛のモチーフを聴くと、実家近くの神社の夏越祭や花火大会を
思い出します。そういえば縁日やお祭りを長い間見ていないなぁ…
(遠いし旅館の繁忙期とかぶるしetc…)。
聴く人によって思い浮かぶ情景も様々だと思いますが、
不思議と懐かしい気持ちになれます。
日本のどこかの、まだ穏やかな時間が流れていたあの頃。
西屋はそういう時間を大切に守っていきたいと思っていますが、
最近私個人余裕がなくていかん。

ふと、心の中をリセットする時に聴きたくなる名曲です。

2019.03.29

音のある生活 22 「The 日本 ①」


こんにちは。
一度でいいからネイルに挑戦してみたい!とひそかに憧れている若女将です。

この間初めてIKEA(仙台)に行ってきました。
ショールームはひたすら広く、ところどころに隠し扉のような近道まで
あったりして、なんとまぁダイアゴン横丁ファンタスティックな店内。
一方の1階は半分倉庫のようになっていて、どことなくコストコに似た感じです。
スケールの大きさとインテリアデザインの素晴らしさは流石であらしゃる。
ライフスタイルや好みのパターンに合わせた魅力的な家具調度・
モデルルームはどれも参考になるものばかりで、足を運ぶたびに
新しい発見に巡り合えそう。米沢くんだりから行くには実に
(インテリアに興味のないおとっつぁんには苦痛かもしれない!)
一日コースですが、ぜひまた行きたいお店だと思いました。
(ちょっと待てこれじゃいい所シリーズの〆みたいだ(笑))




今日は(も)マニア炸裂の音のある生活シリーズです。
「The 日本」と題しまして、古き良き時代にタイムスリップできそうな
名曲をシリーズでいくつか紹介してまいりたいと思います。

①回目はこちら↓

古関裕而 NHKラジオ第1「ひるのいこい」テーマ曲

(↑画像をクリックするとYoutubeへリンク!)

日本のスーザと讃えられ、いつまでも耳に残る勇壮な行進曲を
数多く残した他、抒情あふれる「君の名は」から「モスラの歌」!!
まで幅広く手掛けた20世紀日本音楽史の大御所の一人:古関裕而氏。
来年4月からスタートするNHK朝の連ドラ「エール」は彼と金子夫人が
モデルになるということで、今たいへん話題にもなっている方です。
「ひるのいこい」は、1952年の放送開始から70年近く経った今も続いている
NHKラジオ屈指の長寿番組。
日本各地の季節の便りや話題などを紹介する文字通り“憩い”の番組です。

何それ初めて知ったよ!というそこのあなた。とにかく聴いてみて下さいな↑。



いいでしょうこのテーマ曲!西屋っぽいと思いませんか(笑)?
どこか懐かしく、雄大でのどかな故郷の風景を思い起こさせるような、
温かい曲だと思いませんか?
私にとって古関裕而といえば、「六甲おろし」でも「栄冠は君に輝く」でもなく、
この「ひるのいこい」なんです。そして思い出すのが岩手山(故郷じゃない(爆))。
盛岡でOLをしていた独身時代、昼休みに必ずこの番組を聴いていました。
優雅にそびえる岩手山のシルエットを仰ぎながら、ラジオから届けられる
まだ見ぬ土地の情景に思いを馳せたものでした。

番組内のBGMも多分同氏の作曲だったと記憶しています。
こちらもとてもいい曲なので、ぜひNHKラジオ第1の番組アーカイブサイト
お楽しみくださいませ。

2018.12.23

音のある生活 16 「マタイ受難曲」


こんにちは。
いなばのタイカレー缶(特にグリーン!)大好き若女将です。

もうすぐもみの木じんぐるべぇーですね(笑)。
実際は旅館に(自分が!)缶詰の日々、とてもクリスマス&
年越し気分じゃないんですが、たまに出かけた道すがら
軒先に飾られたイルミネーションを見つけたり、
お店で流れるクリスマスソングを聴いたりすると
「ああ…一年が終わるなぁ」とぼんやり感じたりします。

そういえば我が家の朝のBGMも、冬らしいヒーリングから
最近は宗教曲メインにシフト中。
音楽のあるところ時の流れあり、喜怒哀楽あり。
美味しいお茶と音楽(そして時間…)があれば私は何も望みません。
どうか来年もいい年になりますように…。



さて、今日はクリスマスに因んだお薦めのアルバムをご紹介します。


Johann Sebastian Bach " St. Matthew Passion"(1736)(1958)
(リンク先はAmazonです。ジャケットはApple Music版)

ヨハン・セバスチャン・バッハ作曲「マタイ受難曲」。
音楽の授業で名前は耳にしたことがあるかと思います。
新約聖書の「マタイの福音書」からキリストの受難を描いたもので、
生涯に1000曲以上もの作曲を手掛けたバッハの最高傑作とも、
オラトリオの頂点ともいわれています(まぁ、意味は同じか…)
総演奏時間は約3時間(演奏者によっては2時間半位)、
奏者もオーケストラにパイプオルガン、合唱にソリスト群
(ソプラノやテノール等の歌い手)と作曲当時としては割と大編成で、
原典版のほか、作曲からおよそ100年後の復活演奏によって
バッハの再評価につなげたメンテルスゾーン版が有名です。

こちらのカール・リヒター指揮、ミュンヘンフィル演奏1958年版は、
数あるマタイ録音演奏の中でも歴史的名盤とされています。

実際聴いてみると…けっこうピッチ(音高)が高め。
個人的に442Hz~くらいに感じます。
現代ではバロック音楽の演奏ピッチはけっこう低めに抑えるのが
主流らしいのですが、当時の流行り?

でもこれがいい!

テーマが”キリストの受難”だけあって、十字架を背負いVia Dorolosaを
歩む姿が目に浮かぶ1曲目から既に鳥肌もの。
それでいて重苦しさは感じません。
ソリストの感情移入も素晴らしく、全体的にとてもドラマチックです。
オペラを聴いているような錯覚さえ覚えます。

Apple MusicでDLできるのはもちろん、Amazonで試聴もできます。
気になる方はぜひ。

とりあえず1曲目、31曲目、41曲目、47曲目、63曲目あたり。

2017.08.02

音のある生活 1 「クラシック音楽」



前回のコラムで「好きな音楽について」さわりだけ書き出しましたが…
実はさわりの段階で、「参った、どうやってまとめよう・・」と頭を抱えていました。

なぜなら、私の好きな音楽のジャンルがあまりにも幅広く
なかなか一口でまとめることができないからです。
またまた連載?!

というわけで、新シリーズ「音のある生活」


ジャンル別にお届けしていこうと思います。
今日はイントロ&クラシック音楽から。

(かなり長文です!)
1.レコードから部活まで
そもそも私が音楽の魅力にはまりだしたのは小学生のころ、
当時実家にあった両親のレコードがその出発点でした。
クラシック名曲集、ハリウッド映画のサントラ、ポールモーリア、二ール・ダイアモンド…
映画サントラはチャップリンからジェームス・ボンドくらいまでのシリーズ。
(年代が…(笑))

未だにその多くの曲を覚えているのだから、印象は強かったのだと思います。
ピアノも習っていたことから、中学校での部活は吹奏楽部に一直線。
練習に励む傍ら、次第にクラシックの深みにはまっていきました。
さらに大学では学業の傍ら管弦楽サークルに所属していました。
自他共に認めるオケオタクの濃ゆい先輩方に出会い、夜通しの名演奏観賞会に
鬼のような指導(パートは打楽器)、涙と感動の演奏会、
果ては知られざるコンサートホールの舞台裏話まで…(笑)
今思えば要らん知識も混ざっていたような…(笑)
ともあれ当時は、仲間たちと青春を分かち合いつつ、当時は古今の作曲家たちの名曲を
競い合うように聴きまくっていました。
ただ聴くだけでなく、演奏する側から見聞を広め、耳を鍛えられたのは貴重な経験でした。
さらに、いろんな管弦楽器に身近に触れる機会にも恵まれたためか、
異国情緒あふれる民族楽器の音色や歌い回しも大好きになりました。
イスラエルのヴード、アイリッシュハープ、ガムランなどの神秘的で透き通るような音。
そして様々な言語で歌いあげられる古の叙事詩…
一般に「ワールドミュージック」と呼ばれるこれらのジャンルを含めると、
旧約聖書(例:ユダヤ系の皆さんのシナゴーグ音楽・古文書から復活した古代ギリシャの竪琴)
の時代から20世紀末~21世紀の現代音楽(例:武満徹、ラウタヴァーラ、オラ・イェイロ)
まで幅広くカバーしていることになります。
結論を申し上げましょう。
マニアです(笑)




2.30秒でピックアップした個人的に好みのクラシック名盤


そんな私が好きなクラシックの中から、特に好きな曲(の一部)をいくつか挙げてみます。
① モーリス・ラヴェル バレエ「ダフニスとクロエ」


「音の魔術師」の異名を持つモーリス・ラヴェルのバレエ曲。
第2部が有名ですが、個人的には第1部、特に序曲が好きです。
弦楽器とTimpaniによるpppのA音から始まる静謐な調べに、ハープや木管楽器が
幻想的な旋律を重ねてくるだけでもう鳥肌が立つほど神秘的。舞台は森ですが、
森どころか宇宙に行ける(かもしれない)。
10分未満の序曲だけで、全曲中の殆どの登場人物のモチーフが表わされています。
すべての楽器がffになり、高らかに夜明けを歌いあげても全く透明感を失わない
和音の美しさは、さすがラヴェルといったところ。
上品でストーリー性のあるバレエ曲ですので、全体に聴きやすいと思います。
※ジャケットはサイモン・ラトル指揮、バーミンガム市響演奏のもの。



2 O.レスピーギ 主題と変奏「第12施法によるメタモルフォーゼ」



ローマ三部作(・噴水・祭り)やバレエ曲「シバの女王ベルキス」が有名ですが、
敢えてこの「変容」を紹介します。同じフレーズを異なる楽器や表現で演奏し、
曲と曲の間に切れ目を持たせない変奏曲。最後はパイプオルガンまで登場し、
カッコよく〆。
これが不思議と聴き飽きず、イメージとしてはどこか古代の都の王家の栄枯盛衰を
タイムプラスで見ているような感じです。ポジションは王女様(?)。
特に9曲目「レント・ノン・トロッポ」からの厳かな雰囲気から終曲に向かう上昇気流のような
流れが特に好きです。隠れた名曲です。もし興味がある方はぜひ聴いてみて下さい。
※ジャケットはG.サイモン指揮、フィルハーモニア管弦楽団演奏の1985年版。
ベルキスと一緒に収録されたCDは珍しく、個人的にもお気に入りの一枚。
("密林"で買えます!)



3 L.H.ベルリオーズ 「幻想交響曲」



当時27歳のベルリオーズが最初に作曲した交響曲で、彼の作品の中でも特に有名な大曲です。
クラシックにあまり詳しくない人でも名前や曲のさわりは知っているのではないかと思います。
曲調は、かのバーンスタイン曰く「サイケデリック」。失恋したヤケクソでアヘンを吸いながら
作ったというのだから、すっ飛んだ題名通りそれぞれの場面がリアリティに描かれています。
第2章冒頭の美しいワルツもどこか千鳥足リズム。第3楽章ではのどかな田園風景のなか
牧歌が流れていたと思いきや、地の底から湧きあがる不安と共に雷の音が不気味に鳴りだし、
(中略)第4楽章でファンファーレが鳴り響く中、夢の断頭台で拍手喝采の(?)死刑を
食らったのち、最終章のサバトで悪魔と大団円に至るというかなりカオスな展開。

編成も大規模で、とてもベートーベンとほぼ同時期に生きていた人の作品だと思えません。
打楽器奏者が4人、おもむろに並んで一人1台Timpaniをドロドロ叩く雷のモチーフは
なかなかシュール。他にもハープは4台必要とかカリヨン(教会の鐘のような形をした
打楽器)を2台楽団もエキストラ奏者だの楽器集めだの大変だと思いますが、
ぜひ生演奏で観てほしいところ。
※ジャケットは小澤征爾指揮、サイトウキネンオーケストラ演奏の2014年ライブ版です。
(鬼気迫る小澤さんがまさにサバト…なんて思っては決していけません(笑))


4 E.ラウタヴァーラ 交響曲第7番「光の天使」 & 「天使たちと訪れ」



2016年7月に87歳で亡くなったフィンランドの国民的作曲家、ラウタヴァーラの代表作。
アカデミーで教鞭をとる傍ら多くの曲を作曲し、特に上記の「光の天使」はグラミー賞に
ノミネートされたことで話題になりました。特に後年の作品には“天使”と名のつく名曲が多く、
透明な宇宙を思わせる神秘的な旋律は、彼自身の幼少期の体験にルーツがあるようです
(アルバムのライナーノーツでそのことが触れられています)。
同じく「天使たちと訪れ」。英語でのタイトルは「Engels and Visitations」
実は私、この曲の日本初演の聴衆の一人です。東京オペラシティのタケミツメモリアルでした。
指揮はミッコ・フランク、演奏はバンベルク響でした。
彼の描く「天使」は、どうも人々の願いに耳を傾ける身近なタイプではなく
より高次元の、善悪を超越した「神霊的存在」といった感じです。
その印象は「天使たちと訪れ」の方が強いかも。
途中、オルゴールのような美しい旋律が異なる楽器によるアンサンブルで演奏されますが、
その後の展開が破壊者的で、最後の審判か何かのような激しさも垣間見えます。
神聖でありながら厳かな狂気をはらんだ旋律は、もはや異次元的な美しさ。
※ジャケットはハンヌ・コイヴラ指揮、ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団演奏(2003年)。
もはやこのCDの紹介と化していますが、天使好きにお勧めの1枚。
ナクソスGJ。


5 黛敏郎 「涅槃」交響曲



もはやタイトルがすべてを物語っています。
芥川也寸志、武満徹とならび日本を代表する現代音楽の生みの親、黛敏郎氏の作曲。
管弦楽曲と天台宗の声明(男声合唱で表現)を合わせ、生きとし生けるものが
永遠の涅槃に至る様を作曲した全6楽章にわたる交響曲です。

梵鐘の音はバンダ(本来オーケストラは舞台上で演奏しますが、音楽表現上舞台裏や
客席側(!)で演奏する小楽団)を駆使して再現しており、コンサート向けの大編成。

(ちなみにバンダ編成を必要とする曲は上記の「ダフニスとクロエ」「シバの女王ベルキス」
「幻想交響曲」ほか、有名どころではホルストの「惑星(海王星で加わる女声コーラスが
舞台裏に立つ)」、ワーグナーのオペラいろいろ…)

一般的に生身で「死んだことのある人」はいないわけですから、涅槃は
生きとし生けるものにとって“未知”そのものです。
涅槃交響曲も全体に暗いのですが、ただ真っ暗な涅槃に落ちていく、みたいな
絶望的な感じではありません。人知を超えたものへの畏れを正直に不協和音であらわしつつ、
極楽浄土を願う声明を今わの際まで唱え続ける。
そんな印象の流れで、とても人間らしい心理表現だと個人的には思っています。
やがて「全寺の梵鐘が鳴り響く」中、虚空の彼方の涅槃に至った先には無音の闇ではなく、
永遠の安息が待っている…。
ラストでは、この世の苦しみをすべて浄化するような荘厳な響きが待っています。

「死」って何だろう?とふと哲学したくなったとき、
この曲は何かヒントを与えてくれるかもしれません。

※ジャケットは岩城宏之指揮、東京都交響楽団・東京混声合唱団演奏(1995年)。
晩年の黛敏郎氏自ら監修に当たった貴重な録音です。
C.Wの天台宗声明は、薬師寺の現役住職さん達の演奏(?)。
いつものお寺のお経のイメージが180度変わるパワフルな内容です。
オススメです。



結局、どこかタイプが似通ったアルバムばかり挙げてしまいましたが…
せっかく紹介するならメジャーどころを外そう!
というコンセプトでしたので、まあまぁ狙い通り?!

とはいえ、クラシックに関してはあまりえり好みはしません。
合唱曲も好きなので、メサイアやレクイエムなどもよく聴いています。
他にもマーラーやストラヴィンスキー、ハイドンやモーツァルト、ドビュッシーにバルトークなどなど
挙げたらキリがありません。

クラシック音楽は、同じ曲でも演奏者によってだいぶ印象が変わるので、
聴く人によって好みも分かれるところ。今回は私が所有しているアルバムを
紹介しましたが、他にも隠れた名盤がいっぱいあるはずです。クラシックの魅力は
尽きません。皆さんもぜひ、お休みのひとときにお気に入りのクラシックを見つけて
みてください。
次回はワールド・ミュージックです。
いざ、紀元前へタイムスリップ!!

コラム内検索