若女将コラム

日々西屋と山を縦横無尽に駆け巡る湯守兼若女将の、マイペースなコラムです。好きなものは音楽・写真・自然・宇宙。

若女将コラム

好きな音楽のこと ~癒し系~

2018.02.17

音のある生活 7 「まだ見ぬ心の日本巡り②」




先日、久しぶりに上杉雪灯篭まつりを見に行ってみました。
なんと11年ぶり。








武将隊の大集結、竹あかり、そして会場にずらりと並んだ出店の賑わい…!
普段こういった行事が開催される休日や祝日はまず外出できないので、
会場の撮影記録はもとよりいい家族サービスができたと思います。
(子供たちはバギー乗車体験で大はしゃぎ。)





さて、今回のコラムは「まだ見ぬ心の日本巡り②」ということで、
前々回の続きとなります。

幻想的な雪景色、あたたかい昼下がり、息をのむような美しい夜空…
四季折々変化に富んだ日本の自然風景とそこに暮らす人々の思い…
なぜか心が満たされる瞬間、ありますよね。
音楽という心の目を通して世の中を覗いてみると、日常の中に違う世界が
垣間見えたりします。そんな素敵な音楽を今日もご紹介していきたいと思います。

1.haruka nakamura「Twilight」


haruka nakamura"Twilight"(2010)…リンクは彼のHPのbiography

2010青森出身の作曲家:Haruka Nakamuraさんの1枚。
自身の故郷を描いたアルバム3部作のひとつ。
作風はどこか甘酸っぱく、ノスタルジックな雰囲気。
のどかな田舎の風景を切り取ったかのようなゆったりとした調べは
とても親しみやすく、大好きな一枚です。
Twilightでとりわけ好きなのは「夕べの祈り」と「ベランダにて」
「音楽のある風景」。1曲目「夕べの祈り」では、サックスが
船の汽笛を思わせる音をどこか寂しくも温かく響かせています。
このアルバムを聴いていると、夕闇せまる海辺の小さな街
(都会ではないどこか)をドライブしているような気分になります。
ぽつんぽつんと家々からもれる灯りをふと眺め、
「この家に住んでいるのはどんな人かな、今頃は家族で夕餉を囲んでいるのかな…」
なんて思い浮かべてみたり。

前回のコラムでもお話ししましたが、独身の頃の私は一人旅が大好きで、
暇さえあればあちこち車や電車で出かけておりました。
それも宿泊せず日帰りコースばかりだったので、帰りがけはいつも夕暮れ。
帰りの道すがらの何とも言えない寂しさと家に帰る安心感、
知らない町や家々の前を通り過ぎながら、なぜか人恋しくなった複雑な思いが蘇ります。
今となっては一人旅の機会はほぼありませんが、
場所や人や時代を問わず、“還りたくなる”瞬間が心のどこかにいつもあると、
時々気付かされます。

話が脱線しました。
最近は坂本美雨さんとの共演も多いnakamuraさん。
ふと自分を振り返りたくなった時、オススメのアルバムです。


2.巨勢典子「季節風」


巨勢典子"季節風"(2017)

20年以上の活動歴を誇るベテラン音楽家兼ピアニスト:
巨勢典子さんの新しいアルバム。
haruka nakamura氏のアルバムが夕暮れなら、彼女のこのアルバムは
ひたすら明るく透き通るような青空イメージです。
全曲ピアノソロで、そよ風のように優しい旋律が耳に心地いい。
さらに素晴らしいのは各曲のタイトル。「日々是好日」「特別ないちにち」
「この思い風に乗せて」…タイトルを読むだけで沈んだ気持ちも明るくなれそうです。
手紙を書いたり好きな本を読んだりしている時のBGMにもいいですよ。

巨勢さんは他にも複数アルバムをリリースしていますが、
「この道の向こうに」はソロやアンサンブルの瑞々しい旋律
(とか言いながら初見時ジャケットの林がなぜか緑生い茂った小河墓遺跡に見えた私)、
「I miss you」はコロコロとしたオルゴールのようなピアノ音の優しい曲がメインで、
どれも心癒されるアルバムです。

落ち込んだ時、ぜひ彼女のアルバムを聴いてみて下さい。

小河墓遺跡…“楼蘭の美女”と言われる約3800年前のミイラが発見された
新疆ウイグル自治区の共同墓地跡。
NHKスペシャル「シルクロード」(最近のほう)でも紹介されました。

↑「この道の向こうに」
↓小河墓遺跡(拾い画)


実際並べてみるとまるで似てない上
お互いかすりもしないジャンル(しかも墓標は枯れた木材)なのに
何故空目してしまうのかは謎。


3.久石 譲「銀河鉄道の夜」


久石譲"銀河鉄道の夜"(1996)

言わずと知れた日本の作曲界の大御所、久石譲さんのコンセプトアルバム。
高校生に入って最初に貰ったお小遣いで買ったので、
初めて聴いたときの感動を今でもよく覚えています。
満天の夜空を見上げながら思わず深呼吸したくなるメインタイトル、
冬の夜を思わせる北十字などなど、さすが情景描写が秀逸。
曲のどこかで聴き覚えのあるニュアンスが入るのは久石さんならではです。
原作や原作の絵本を片手に、一緒にジョバンニとイーハトーブ
(岩手県各地に残る賢治の原風景!!)を旅したくなります。



番外.細野晴臣「銀河鉄道の夜~Nocto de la Garaksia Fervojo」


細野晴臣"NOCTO DE LA GARAKSIA FERVOJO"(1996)

1985年に製作されたアニメーション映画「銀河鉄道の夜」のサントラ版。
同タイトルの映像作品の金字塔ともいえる名作です。
ジョルジョ・デ・キリコやマーティン・レーマンの絵本を思わせる
異空間的な美術背景のインパクトもさることながら、細野晴臣さんが
「産みの苦しみ」を覚えつつ生み出した幻想的な音楽は、
未完だった原作を見事に広大無限な世界へ昇華させ、
30年以上たった今も色褪せない鮮やかさを保ち続けています。
アマゾンのレビューの高さも驚異的。
久石版銀河鉄道の夜と全くタイプが異なるアルバムですが、聴きごたえは十分です。

日本巡りというより、文字通り宇宙巡りといった感じ。こちらも超オススメ。


いかがでしたか。
次回はいい所あれこれシリーズの続き(あれ、何回目だっけ!??)です。

2018.01.28

音のある生活 6 「まだ見ぬ心の日本巡り①」




寒さと雪の往復ダブルビンタが止まらない今年の冬模様。
なぜかここ数日は白布温泉のある山の上の方が天候が穏やかで、
市内は吹雪いているのに山では時折朧月が拝めたりしています。
寒さはいずれもハンパないですが。

…皆さん生きてますか(爆)?



さてさて今日は、音のある生活シリーズ6回目です。
普段アンビエントやら洋楽やらクラシックやら聴くことが多く、
国内アーティストに殆どレパートリーがない(特にJ-POPは最も縁遠い)私ですが、
今回は「まだ見ぬ心の日本巡り」と題しまして(語彙力…)、
日常をふと忘れ、ここではないどこかに思いを馳せたい時、
眠る前のひととき、あるいはティータイムにリラックスしながら…
思い思いの「ほっ…」とした時間の中で、気軽に親しめる
日本人アーティストの癒し系推しアルバムをいくつかご紹介したいと思います。

殆どがインストメインです。

1.小瀬村晶「In The Dark Woods」


Akira Kosemura - "In The Dark Woods"(2017)

映画や舞台の音楽も数多く手掛ける若手音楽家・ピアニストである
小瀬村晶(こせむらあきら)さんの最新アルバム。
タイトルのイメージをそのまま視覚化したようなジャケットが既にツボ。

時折、胎教のようにぽわんと不思議なエコーを響かせるピアノや
弦楽器電子音が印象的です。「内省的で静謐な感覚を大切にした」という
作曲者の思いの通り、全曲にわたり、まるで深い森の中を霧がゆっくり
漂うような暗くやさしい旋律が描かれています。



春先や梅雨の季節の白布の森が思わず思い浮かびます↑。
山や森と縁が深い私にとって、
心の故郷を想起するようなお気に入りのアルバムです。

ちなみに小瀬村さんは海外でも非常に評価が高いそうです。
むしろ国外の方が知名度高いかもしれません。
国内では、auの三太郎CM(金太郎こと金ちゃんと小熊の対話シーンが
キュートだった「もうひとつの鬼退治篇」や、スクエニのゲームシリーズの
アレンジアルバム「Cill SQ」でFFVの「親愛なる友へ」のアレンジ楽曲などなど
(ちょっと待ってまだこのアルバム持ってない(汗))。
Apple Musicでも何枚かオリジナルアルバムを聴けますので、気になった方はぜひ。


2.伊藤ゴロー「GLASHAUS」


Goro Ito "GLASHAUS"(2012)

“コードの魔術師”の異名を持つ、
作曲家・編曲家・ギタリストの伊藤ゴローさんのアルバム。2012年リリース。
親交のある坂本龍一さんが「浪漫的かつ抒情的な、真の無国籍音楽」と
評したように、開放的な安らぎに満ちた曲群が満載。
例えるなら、どこか遠い海辺の町の小さな喫茶店で窓の外を舞うカモメを
見ながら異国情緒にひたるような…時を超えた世界を連想させる素敵なアルバムです。

ボサノヴァにも非常に造形が深く、彼のやわらかなギターの音色に
引き込まれること請け合い。特に私が好きなのはNovemberとWings。
Novemberはピアノと弦楽器が加わり、Wingsはチェロとギターの二重奏です。
いずれも優しく、そしてどこかさびしげなアンサンブルで、
乾いた心も潤うような気持ちになれます。

ちなみに伊藤ゴローさんは原田知世さんとのコラボレーションも多く、
彼女のツアーに参加もしています。ファンの方は馴染みが深いはず。

大人のひと休みにオススメです。


3.当真伊都子「When The World Will Mix Well」


Itoko Toma "When the World will mix well"(2017)

わーい、やっと彼女のアルバムを紹介することができた~…。

岡山県出身のピアニスト、当真伊都子さんの2ndアルバム。
本日ご紹介するアルバムの中で唯一歌が入っています(全て英語)。
Apple Music上のジャンルはJ-POPにカテゴライズされています。
限りなくプライベートな環境で収録をしたそうで歌の合間に
多少ブレス音が入っていますが、それだけリラックスしているという証。
優しさに満ちた珠玉のピアノソロが本当に耳に心地よく、
去年Apple Musicで偶然2曲目のShorebirdを見つけ、
聴いた途端にファンになってしまいました。

本作は全体にわたり当真さんの身近な景色である「海」がテーマになっていて、
実は1でご紹介した小瀬村晶さん↑もプロデュースに関わっています。
3曲目のFantasiaでは彼が実際ストリングアレンジに加わっています。
きらきら輝く海、夕刻の凪いだ岸辺、海鳥が優しく波と戯れる様子…
さまざまな情景が浮かんできて、聴いていて飽きません。

私はかつて海辺に住んだことがなく(一番近くて東京…海辺??)、
今は山奥ですので海辺の思い出は殆どないのですが、
学生時代なぜかよく江の島を訪れていました。しかも殆ど一人で(笑)

七里ヶ浜の車通り、見るも珍しいお土産屋さん、はるか遠くに見える富士山、
そして江の島の隠れ里のような神社の数々…
海というと必ず思い浮かべるのが江の島だったりします。
当真さんのアルバムを聴いてなぜかひどく懐かしく感じるのは、
その時の記憶がかすかによみがえるからなのかもしれません。

ああ、またいつか江の島を訪れてみたい。。。



いかがでしたか?今回ご紹介したお三方ですが、
上記のアルバムの他にもたくさん素敵な曲を発信していますので、
機会があったらぜひ触れてみて下さいね。