若女将コラム

日々西屋と山を縦横無尽に駆け巡る湯守兼若女将の、マイペースなコラムです。好きなものは音楽・写真・自然・宇宙。

若女将コラム

好きな音楽のこと ~癒し系~

2019.08.26

米沢のいい所あれこれ 【第26回:カフェ蓮桜(れんおう)】


こんにちは。
先週、不覚にも風邪でKOダウンしていた若女将です。

最後に熱を出したの、いつだったっけ?多分ブランク5年以上。
これまでの間、家族がインフルエンザで次々倒れようが
息子がマイコプラズマ肺炎で入院しようが、ネジ野郎バリバリ元気で
走り続けてこれたのに…不覚!!
最初は「やっちまった!が所詮はただの風邪だぐはは気合で治してやる(爆)」
つもりでした。ところが発症して3日経っても熱が下がらないどころか、
体温計が示したまさかの「39.8度」。初めて焦りました。

そうか、今年の夏は猛暑が直接身体に憑りつくタイプだったのか!!
(んなわけないだろ(笑))

話には聞いていましたが夏風邪は本当に曲者です。
いつもの“動いて治す”根性論が全く通用しません。
おとなしく医者に行き、処方された薬でよしんば熱が下がっても、
身体の中で何かが重力崩壊するごとくどんどん体力が奪われ続けていきます。
ひどい寝汗はかくし、しまいには浮腫みまできれいさっぱり干からびて、
それはもう干し芋のような貧弱な姿になりました(苦笑)

真夏日は脱したようですが、気温や天気が変わりやすく油断はできません。
皆さんもどうかご自愛ください。



さて、前回・前々回と連続で地獄のような音シリーズが続きましたので、
今日は癒し255%の素敵なカフェと音楽をご紹介しましょう。

米沢のいい所あれこれ第26回、上杉神社のお堀のすぐ近くにある、
カフェ蓮桜(れんおう)さんのご紹介です。



蓮桜さんはお堀の北側、米沢牛紀伊国屋さんから上杉神社駐車場へ
入った道を右に曲がった曲がり角にあります。
隣にはカイロプラクティックの施術室があって、お姉さんがカフェを、
妹さんがカイロ整体を営んでいらっしゃいます。
実は私、カイロ整体には長いことお世話になっておりまして、
整体の後にカフェにお邪魔するというなんとも贅沢なコースが、
ひそかな楽しみとなりつつあります。



お店の中はこぢんまりとしていながら開放感があり、
ユニークなテーブルや椅子の配置がリラックスした雰囲気を醸しています。





カフェのオーナーさんはアロマセラピーもされているので、
店内ではハイクオリティなアロマオイルやヒーリンググッズ、



ステキな服や雑貨なども売られていて、眺めているだけでも飽きません。

さぁいよいよメニューのご紹介よ。

私が好きなメニューは各種ハーブティー



こちら↑はフルーツガーデン
名前の通り、色とりどりのフルーツを思わせる華やかな香りが最後まで続き、
これ一つで優雅なひと時が楽しめます。



一方こちら↑はメディテーション…と、これまた大好きなスコーンのセット。
フルーツガーデンと色身はそっくりですが、メディテーション(=瞑想)には
ローズヒップ系の甘酸っぱい風味と共に、気持ちを落ち着かせる
カモミールが配合されています。香りに誘われるまま飲むうちに、
張り詰めた気持ちや落ち込んだ心がふわ~っとほぐれていくのがよく分かります。
ストレスの多い現代社会人にもぜひ試してもらいたいお茶です。
そしてスコーン!!
プレーン・紅茶・チーズの各フレーバーで、右から順にメープルバター・
自家製桃ジャム・クロテッドクリーム(※)が添えられています。
フレーバーの組み合わせは自由。プチサイズですが、もうこれが
たまらなく美味しいいい。こちらも大変おススメです!

※スコーンの本場:イギリスでのティータイムには欠かせないといわれている、
高脂肪乳を煮詰めて作ったクリーム。

今年の夏休み初日には子供たちにもリラックス気分を味わってもらおうと、
ちょっと背伸びカフェで蓮桜さんに連れてきました。

子供たちがこぞってオーダーしたのは厚切りトースト
以前このコラムでご紹介したことのある「愛とパン」の手作り食パンを
贅沢に厚切りし、カリッモチッの絶妙な食感にトーストした大満足プレート。



↑写真を撮る前に息子がうっかりバターを塗ってしまったので、
実に臨場感あふれるポートレートになってしまいました(爆)



こちらは夏にアイスで飲むのがひたすら美味しい、爽やかなはちみつゆず。
ステキな陶器の割り水までついて、のんびり味わえるのがうれしい。




そしてこちらは本格的な生クリームがどっしり乗った魅惑のチョコドリンク
トッピングの生クリームはアイスかと見違えるほどソリッドながら、
風味がギュッと詰まっていて本当に絶品(どうやって作ったの?!!)。
来店のたびにこれを注文する!というリピーターさんも多いとか。

どれも飲みごたえ食べごたえ抜群のサイズですよ。



さらに素晴らしいのは窓辺からのロケーション。
お店のあるお堀端は、季節になると一面のスイレンが美しく咲きそろいます。
7月後半~8月いっぱいくらいまでが丁度見頃です。
エメラルドグリーンの茂みから高貴に咲くスイレンを眺めながらの
ティータイムは極上の癒しです。上杉神社を散策した後にもGood!
ぜひ皆さんも一度いらして下さい~。


【珈琲・甘味 Cafe蓮桜】公式サイトはこちら
〒992-0052 山形県米沢市丸の内1-7-30 
電話 0238-24-8887
営業時間 10:00-19:00
駐車場 お店の前に数台分のスペースがありますが、上杉神社の駐車場も利用可。 
定休日 火曜日

※ 

さて、天国タイムその2。今日ご紹介するのは、
イタリアのピアニスト、ルドヴィゴ・エイナウディの名曲です。

1."Una mattina"

Ludovico Einaudi(2007)

現在イタリアの音楽大使も務めている、ピアニストにして名作曲家の
ルドヴィゴ・エイナウディ。映画のワンシーンを思わせるような情緒的な
旋律が印象的で、徐々に表情を変えながら心穏やかに奏でられるクラシカルな
ミニマルミュージックはまさに癒し。
そんなルドヴィゴ氏の代表作の一つがこのアルバムです。
特にNuvole bianche(邦訳:白い雲)がいい!
数年前にTSO Photography(公式サイト…Facebook)というノルウェーの
アーティストが“The Mountain"というタイトルのタイムプラス映像を発表しました。
そのBGMに採用されたのがこのNuvole bianche。これがもう鮮烈な美しさで、
以来すっかりルドヴィゴ氏の魅力にはまってしまいました。



(↑サムネイルをクリックするとvimeo公式サイトで"The Mountain"が視聴できます)

銀河を見つめながら、ゆっくり地球が自転しているのがよく分かります。
日頃のちっぽけな悩みなどたちまち消え去っていくような、雄大な時の流れ。
何気ない日常を音に表現したアルバムだけあって、どの曲もリラックスして
楽しむことができます。

2."Ludovico Einaudi Portrait"

Angele Dubeau & La PIETA (2015)

カナダ・モントリオール出身のバイオリニスト:アンジェル・ダオーと
オール女性の弦楽奏者グループ:ラ・ピエタによる、ルドヴィゴ・エイナウディの
ストリングアレンジアルバム。ルドヴィゴ氏の往年の名曲をチョイスしていますが、
どれも良アレンジ。特にI giorni(邦題:「光、溢れる日々」が素晴らしい。
深い悲しみも解けるように癒されていく…そんな光あふれる優しいピアノソロを、
これまた見事にストリングバージョンに昇華しています。
初めて聴いたのはアンジェル・ダオーのライブ版でしたが、かなり感動しました。

Youtubeで聴く"I giorni" by Angele Dubeauはこちら

落ち込んだりして元気がどうしても出ないとき、好きな飲み物を飲みながら
聴いてみるといいですよ。

今日はあまり能書き(?)は書きませんでした。
ぜひ皆さんも、好きな1曲を見つけてみてください。

2019.08.10

音のある生活 29「元祖コズミックホラー」


こんにちは。濱田マリさんの声が大好きな若女将です。




かぐら「…ニャ(暑)。無理。」

毛皮100%の猫でなくとも声が裏返っちゃうほど超暑いですねぇ…今年の夏も。
その異常さは、天気予報で繰り返される「(命が)危険な暑さ」という
過激な表現すら、もはや常套句並みにスルーしてしまえるほど。
今年は冷夏になるって言ってなかったっけ天気予報?
やっぱり原因は地球温暖化なのだろうか。
だとしたら、来年以降は立秋をひと月先に設定したほうがいいカモネギ。

とまぁ、年々気候がおかしくなってきていると言われる今日この頃ですが、
じゃあ“正常な”気候は一体いつだったんだろう?…などと、
ひねくれ者の私はつい考えてしまいます。

地球の歴史を長ーい目で振り返ると、スノーボールアースやK-Pg境界など、
およそ分かっているだけでも過去5回急激な環境変化(=生物大量絶滅)が
起きていているようです(まぁ最後のそれは原因そのものが宇宙から突如
やってきた特殊なパターンですが)。その異常天候スパンも数年から
数千万年と原因(多くは特定できていない)によってさまざま。
光合成をおこなう生物が出現したことで大気中の構成が大きく変わったり、
太陽活動の影響か温室効果の弱体化で地球全体が氷におおわれる時期が
あったり、太古には現在の地球とはおよそ想像もつかない世界が
広がっていたと思われます。
いかにビフォーアフターを生き延び、幾世代にもわたって過酷な環境に
適応し続けてこられたかが、その先の進化と繁栄のカギを握って
きたわけです。

わずかな地層の変化や化石の発見から垣間見える、
驚くほど鮮やかでドラマチックな地球の歴史。興味は尽きません。




そんな地球の歴史を文学的に紐解けそうな今日の「音シリーズ」は…
こちら~

 "Nyarlathotep"

Cryo Chamber Collaboration(2016) 

(サムネイル↑をクリックすると、レーベルサイトにルーラします)

ご存じクトゥルフ神話に登場する、絶対神アザトースの分身にして使徒である
ナイアーラトテップ」の名を冠したアルバム。
クライオチェンバー(日本名:零度の間?)はアメリカのオレゴン州にホームを
構えるレーベル名で、文字通り凍り付くようなダークアンビエント(またか(笑)!)
を得意とするアーティストが多数所属しています。
サイトを覗いてみると、なんとまぁシビれるようなジャケ絵のアルバムが目白押し。
彼らが毎年合作で1枚ずつ発売しているのが、コアなファン必涎の
クトゥルフ神話シリーズ。2015年に発売された「アザトース」を筆頭に、
本作、「クトゥルフ」、「ヨグ=ソトース」、「シュブ=ニグラス」の5枚が
現在好評発売中?!
驚くべきはその曲の長さです。どれも1トラック1時間前後。
切れ目のないダークでディープなアンビエントタイムが存分に楽しめます。
アザトースは宇宙に住まう混沌の神だけあって深遠な響きがかっこいいし、
クトゥルフは海底都市ルルイエを思わせる水の滴る音、言葉にならないうめき声
のような気味の悪い音色がなんともいえないし、ちゃんとそれぞれの立場を
音で表現しています。のんびり聴き比べてみるのも一興です。長いけど。
中でもこちらの「ナイアーラトテップ」は怒涛の全トラック3時間15分。
徐々にニュアンスを変えながら心の奥へも宇宙の彼方へも無限に広がる
摩訶不思議な響きが、アザトースの分身で唯一神の意志を代弁できる
ナイアーラトテップの静かなるトリックスターぶりをばっちり醸してくれます。

(これだからマニアというやつは…(笑))

クトゥルフ神話が体系化されつつあった当時は、アインシュタインや
ハイゼンベルグによる様々な物理法則の発見が重なった時期とはいえ、
今と比べると宇宙について多くの実態が未解明のままでした。
ラブクラフト自身伝え聞くところによるとちょっと偏った思考の持ち主で、
小説の中には差別的な表現や、人外含め嫌悪する者達に対する粘着質な
敵対的恐怖心が散見されます(ある意味心の闇)。
その旧態依然なスタンスが個人的に不快で、これまで彼の小説はあまり
真面目に読んだことがありませんでした。が、最近になって我が家の本棚に
いつの間にかラブクラフト全集が並んでいたという理由から(多分義弟の
コレクション)あっさり読み始めてみたオチ。
年の功か若い頃あんなに不愉快に思えた描写もあまり気にならなくなりました。
(無関係の市民や幼い子供を人身御供にするくだりはいただけないが。)
タコやイカはともかく、時空を超越した恐ろしく無情な闇(宇宙)の世界を
「邪悪な」神の御座と捉えたセンスは地味に感動。

少し話題が巻き戻りますが、過去5回の地球生命大量絶滅事件のうち、
三葉虫はじめ史上最多の種が絶滅するきっかけとなったP-T境界
(約2億6000万年-2億5000万年前)は、その甚大な影響(恐竜が滅びる
原因になった約6500万年前の小惑星衝突よりさらに多くの種…
当時の全生物の90~95%が死滅したと言われている)に反して
他のビッグ5のいくつかと共にはっきりとした原因が分かっていない
そうです。

実はグレート・オールド・ワンの皆さんの仕業かもYO?
なんて寓意を込めて想像してみたりして。

彼らの生きた痕跡は、生物史上最大級の謎と共に地球の奥深くに去りましたが、
星は銀河の運動に従い、その寿命が尽きるまで過去と違う位置に座標を変え続けるので、
幸か不幸か暗黒時代復活の可能性はゼロ。
クトゥルフ憐れ。

はいはーい!また話が思い切り脱線してしまいました。すみません。
やめられない止まらないかっぱえ〇せん♪

Cylo Chamberの珠玉クトゥルフシリーズを聴きながら(ついでに小説も読みながら)、
あなたも是非古典ホラーで残暑を(ゾワゾワーっと)涼しく?乗り切ってみましょう(笑)

2018.11.29

音のある生活 13 「休みモード」


こんにちは。
お酒は飲めなくなったけれどラミーが美味しくて止まらない若女将です(笑)



とうとう白布温泉も銀世界になりました(11/23早朝撮影)。
これ自体は見慣れた光景とはいえ、いきなり除雪の憂き目。
冬篭りスタンバイOK?

ハイシーズンは過ぎ去りましたが、個人的には漸く自分の時間が
とれるようになってきました。嬉しいやら悲しいやら。

ふつふつと湧きあがる“あれもしたい、これもしたい”衝動。
まずは子供たちの(時々共同制作)おやつ作りをしたり、
読書を楽しんだり、有意義な時間を少しずつ確保しながら
気分をホカホカにしていきたい。



↑手始めに、夏ごろから娘に催促されていたイチゴ大福を作りました。
見た目は相変わらずアレですが、兵糧丸じゃないよ(笑)!!
(クリスマスが近づいて、漸く店頭にイチゴが並ぶようになりまして…)



↑PTAのイベントで作る予定のクレープを試作しつつ、ミルクレープに
してみたもの。写真では分かりにくいのですがとんでもなく巨大。
子供達は狂喜乱舞したものの、食べても食べても一向なくならない
まさに魔物のようなエンドレスイーツに…(苦笑)

まぁ、楽しければいいのだよ!細かいこたぁ気にするなぃ!






今日は、久しぶりそして久しぶり!大好きな音楽シリーズ復活!!
…と申し上げましたが、今後「音シリーズ」は中身をより軽い内容に
マイナーチェンジしようと思います。
というのも、私の紹介するアルバムは「どれもマニアックすぎて1枚でも
お腹一杯」というごもっともすぎるコメントを(主人から)頂きまして(汗)
余談メインで最後に「今回の1枚」ということで、(やっぱりマニアックですが)
好みのアルバムをさらりと紹介していくという方向で参りたいと思います。
1枚のアルバムだけでも語りだしたら止まらなくなってしまうタイプなので、
この方が読みやすいとも考えました。
その代わり更新の頻度は出来るだけ上げていくつもりです。
どうぞ今後ともよろしくお願いします^^

というわけで、今日の一枚は癒し系。

Christoph Berg & Henning Schmiedt "Bei" (2017)


ドイツのクリストフ・ベルグ(Pf)とへニング・シュミット(Vn)による、
即興曲を主とする二重奏アルバム。計算された旋律とはまた違う味わい深さ、
それでいて即興くさい小難しさは全くなく、温かいお茶やコーヒーを
飲みながら緩く楽しめる優しい曲ばかりです。
休日にお薦め。
※サンプルが聴けるサイトを見つけました。→こちら

2018.02.17

音のある生活 7 「まだ見ぬ心の日本巡り②」




先日、久しぶりに上杉雪灯篭まつりを見に行ってみました。
なんと11年ぶり。








武将隊の大集結、竹あかり、そして会場にずらりと並んだ出店の賑わい…!
普段こういった行事が開催される休日や祝日はまず外出できないので、
会場の撮影記録はもとよりいい家族サービスができたと思います。
(子供たちはバギー乗車体験で大はしゃぎ。)





さて、今回のコラムは「まだ見ぬ心の日本巡り②」ということで、
前々回の続きとなります。

幻想的な雪景色、あたたかい昼下がり、息をのむような美しい夜空…
四季折々変化に富んだ日本の自然風景とそこに暮らす人々の思い…
なぜか心が満たされる瞬間、ありますよね。
音楽という心の目を通して世の中を覗いてみると、日常の中に違う世界が
垣間見えたりします。そんな素敵な音楽を今日もご紹介していきたいと思います。

1.haruka nakamura「Twilight」


haruka nakamura"Twilight"(2010)…リンクは彼のHPのbiography

2010青森出身の作曲家:Haruka Nakamuraさんの1枚。
自身の故郷を描いたアルバム3部作のひとつ。
作風はどこか甘酸っぱく、ノスタルジックな雰囲気。
のどかな田舎の風景を切り取ったかのようなゆったりとした調べは
とても親しみやすく、大好きな一枚です。
Twilightでとりわけ好きなのは「夕べの祈り」と「ベランダにて」
「音楽のある風景」。1曲目「夕べの祈り」では、サックスが
船の汽笛を思わせる音をどこか寂しくも温かく響かせています。
このアルバムを聴いていると、夕闇せまる海辺の小さな街
(都会ではないどこか)をドライブしているような気分になります。
ぽつんぽつんと家々からもれる灯りをふと眺め、
「この家に住んでいるのはどんな人かな、今頃は家族で夕餉を囲んでいるのかな…」
なんて思い浮かべてみたり。

前回のコラムでもお話ししましたが、独身の頃の私は一人旅が大好きで、
暇さえあればあちこち車や電車で出かけておりました。
それも宿泊せず日帰りコースばかりだったので、帰りがけはいつも夕暮れ。
帰りの道すがらの何とも言えない寂しさと家に帰る安心感、
知らない町や家々の前を通り過ぎながら、なぜか人恋しくなった複雑な思いが蘇ります。
今となっては一人旅の機会はほぼありませんが、
場所や人や時代を問わず、“還りたくなる”瞬間が心のどこかにいつもあると、
時々気付かされます。

話が脱線しました。
最近は坂本美雨さんとの共演も多いnakamuraさん。
ふと自分を振り返りたくなった時、オススメのアルバムです。


2.巨勢典子「季節風」


巨勢典子"季節風"(2017)

20年以上の活動歴を誇るベテラン音楽家兼ピアニスト:
巨勢典子さんの新しいアルバム。
haruka nakamura氏のアルバムが夕暮れなら、彼女のこのアルバムは
ひたすら明るく透き通るような青空イメージです。
全曲ピアノソロで、そよ風のように優しい旋律が耳に心地いい。
さらに素晴らしいのは各曲のタイトル。「日々是好日」「特別ないちにち」
「この思い風に乗せて」…タイトルを読むだけで沈んだ気持ちも明るくなれそうです。
手紙を書いたり好きな本を読んだりしている時のBGMにもいいですよ。

巨勢さんは他にも複数アルバムをリリースしていますが、
「この道の向こうに」はソロやアンサンブルの瑞々しい旋律
(とか言いながら初見時ジャケットの林がなぜか緑生い茂った小河墓遺跡に見えた私)、
「I miss you」はコロコロとしたオルゴールのようなピアノ音の優しい曲がメインで、
どれも心癒されるアルバムです。

落ち込んだ時、ぜひ彼女のアルバムを聴いてみて下さい。

小河墓遺跡…“楼蘭の美女”と言われる約3800年前のミイラが発見された
新疆ウイグル自治区の共同墓地跡。
NHKスペシャル「シルクロード」(最近のほう)でも紹介されました。

↑「この道の向こうに」
↓小河墓遺跡(拾い画)


実際並べてみるとまるで似てない上
お互いかすりもしないジャンル(しかも墓標は枯れた木材)なのに
何故空目してしまうのかは謎。


3.久石 譲「銀河鉄道の夜」


久石譲"銀河鉄道の夜"(1996)

言わずと知れた日本の作曲界の大御所、久石譲さんのコンセプトアルバム。
高校生に入って最初に貰ったお小遣いで買ったので、
初めて聴いたときの感動を今でもよく覚えています。
満天の夜空を見上げながら思わず深呼吸したくなるメインタイトル、
冬の夜を思わせる北十字などなど、さすが情景描写が秀逸。
曲のどこかで聴き覚えのあるニュアンスが入るのは久石さんならではです。
原作や原作の絵本を片手に、一緒にジョバンニとイーハトーブ
(岩手県各地に残る賢治の原風景!!)を旅したくなります。



番外.細野晴臣「銀河鉄道の夜~Nocto de la Garaksia Fervojo」


細野晴臣"NOCTO DE LA GARAKSIA FERVOJO"(1996)

1985年に製作されたアニメーション映画「銀河鉄道の夜」のサントラ版。
同タイトルの映像作品の金字塔ともいえる名作です。
ジョルジョ・デ・キリコやマーティン・レーマンの絵本を思わせる
異空間的な美術背景のインパクトもさることながら、細野晴臣さんが
「産みの苦しみ」を覚えつつ生み出した幻想的な音楽は、
未完だった原作を見事に広大無限な世界へ昇華させ、
30年以上たった今も色褪せない鮮やかさを保ち続けています。
アマゾンのレビューの高さも驚異的。
久石版銀河鉄道の夜と全くタイプが異なるアルバムですが、聴きごたえは十分です。

日本巡りというより、文字通り宇宙巡りといった感じ。こちらも超オススメ。


いかがでしたか。
次回はいい所あれこれシリーズの続き(あれ、何回目だっけ!??)です。

2018.01.28

音のある生活 6 「まだ見ぬ心の日本巡り①」




寒さと雪の往復ダブルビンタが止まらない今年の冬模様。
なぜかここ数日は白布温泉のある山の上の方が天候が穏やかで、
市内は吹雪いているのに山では時折朧月が拝めたりしています。
寒さはいずれもハンパないですが。

…皆さん生きてますか(爆)?



さてさて今日は、音のある生活シリーズ6回目です。
普段アンビエントやら洋楽やらクラシックやら聴くことが多く、
国内アーティストに殆どレパートリーがない(特にJ-POPは最も縁遠い)私ですが、
今回は「まだ見ぬ心の日本巡り」と題しまして(語彙力…)、
日常をふと忘れ、ここではないどこかに思いを馳せたい時、
眠る前のひととき、あるいはティータイムにリラックスしながら…
思い思いの「ほっ…」とした時間の中で、気軽に親しめる
日本人アーティストの癒し系推しアルバムをいくつかご紹介したいと思います。

殆どがインストメインです。

1.小瀬村晶「In The Dark Woods」


Akira Kosemura - "In The Dark Woods"(2017)

映画や舞台の音楽も数多く手掛ける若手音楽家・ピアニストである
小瀬村晶(こせむらあきら)さんの最新アルバム。
タイトルのイメージをそのまま視覚化したようなジャケットが既にツボ。

時折、胎教のようにぽわんと不思議なエコーを響かせるピアノや
弦楽器電子音が印象的です。「内省的で静謐な感覚を大切にした」という
作曲者の思いの通り、全曲にわたり、まるで深い森の中を霧がゆっくり
漂うような暗くやさしい旋律が描かれています。



春先や梅雨の季節の白布の森が思わず思い浮かびます↑。
山や森と縁が深い私にとって、
心の故郷を想起するようなお気に入りのアルバムです。

ちなみに小瀬村さんは海外でも非常に評価が高いそうです。
むしろ国外の方が知名度高いかもしれません。
国内では、auの三太郎CM(金太郎こと金ちゃんと小熊の対話シーンが
キュートだった「もうひとつの鬼退治篇」や、スクエニのゲームシリーズの
アレンジアルバム「Cill SQ」でFFVの「親愛なる友へ」のアレンジ楽曲などなど
(ちょっと待ってまだこのアルバム持ってない(汗))。
Apple Musicでも何枚かオリジナルアルバムを聴けますので、気になった方はぜひ。


2.伊藤ゴロー「GLASHAUS」


Goro Ito "GLASHAUS"(2012)

“コードの魔術師”の異名を持つ、
作曲家・編曲家・ギタリストの伊藤ゴローさんのアルバム。2012年リリース。
親交のある坂本龍一さんが「浪漫的かつ抒情的な、真の無国籍音楽」と
評したように、開放的な安らぎに満ちた曲群が満載。
例えるなら、どこか遠い海辺の町の小さな喫茶店で窓の外を舞うカモメを
見ながら異国情緒にひたるような…時を超えた世界を連想させる素敵なアルバムです。

ボサノヴァにも非常に造形が深く、彼のやわらかなギターの音色に
引き込まれること請け合い。特に私が好きなのはNovemberとWings。
Novemberはピアノと弦楽器が加わり、Wingsはチェロとギターの二重奏です。
いずれも優しく、そしてどこかさびしげなアンサンブルで、
乾いた心も潤うような気持ちになれます。

ちなみに伊藤ゴローさんは原田知世さんとのコラボレーションも多く、
彼女のツアーに参加もしています。ファンの方は馴染みが深いはず。

大人のひと休みにオススメです。


3.当真伊都子「When The World Will Mix Well」


Itoko Toma "When the World will mix well"(2017)

わーい、やっと彼女のアルバムを紹介することができた~…。

岡山県出身のピアニスト、当真伊都子さんの2ndアルバム。
本日ご紹介するアルバムの中で唯一歌が入っています(全て英語)。
Apple Music上のジャンルはJ-POPにカテゴライズされています。
限りなくプライベートな環境で収録をしたそうで歌の合間に
多少ブレス音が入っていますが、それだけリラックスしているという証。
優しさに満ちた珠玉のピアノソロが本当に耳に心地よく、
去年Apple Musicで偶然2曲目のShorebirdを見つけ、
聴いた途端にファンになってしまいました。

本作は全体にわたり当真さんの身近な景色である「海」がテーマになっていて、
実は1でご紹介した小瀬村晶さん↑もプロデュースに関わっています。
3曲目のFantasiaでは彼が実際ストリングアレンジに加わっています。
きらきら輝く海、夕刻の凪いだ岸辺、海鳥が優しく波と戯れる様子…
さまざまな情景が浮かんできて、聴いていて飽きません。

私はかつて海辺に住んだことがなく(一番近くて東京…海辺??)、
今は山奥ですので海辺の思い出は殆どないのですが、
学生時代なぜかよく江の島を訪れていました。しかも殆ど一人で(笑)

七里ヶ浜の車通り、見るも珍しいお土産屋さん、はるか遠くに見える富士山、
そして江の島の隠れ里のような神社の数々…
海というと必ず思い浮かべるのが江の島だったりします。
当真さんのアルバムを聴いてなぜかひどく懐かしく感じるのは、
その時の記憶がかすかによみがえるからなのかもしれません。

ああ、またいつか江の島を訪れてみたい。。。



いかがでしたか?今回ご紹介したお三方ですが、
上記のアルバムの他にもたくさん素敵な曲を発信していますので、
機会があったらぜひ触れてみて下さいね。

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