若女将コラム

日々西屋と山を縦横無尽に駆け巡る湯守兼若女将のかなりマイペースなコラムです。
内容はすっ飛んでいます(というかほぼ西屋に関係ない話題ばかり)。ぜひ楽しんで下さいませ。

若女将コラム

2020年06月

2020.06.16

音のある生活 40 「インスピレーション映写機」

 


白布は今、一面の深緑です。
時々霧で真っ白になります。
霧が立ち込める森の中を歩いていると、そのまま違う世界に行ってしまいそう。
まさに幽世の境界線。

こんにちは。
隙間時間に数独を解くのが小さな楽しみの若女将です。
解けないと悔しくてついついリベンジ、分かっちゃいるけど
結局盛大に時間オーバーの巻。
仕方ない、今度からゼロ卿のお説教でもアラーム音に設定しようか(笑)

「ニトロ博士、事情を説明してもらおうか(怒)」
大友龍三郎さん声ステキ。



当コラム名物?のスーパー誰特ネタ:音のある生活シリーズ。
紹介している曲は相変わらずですが、だんだん数が増えてきて
そろそろ履歴を整理しないといろいろマズイ気がしてきました。
我ながらよく続いているよ(笑)もう40回目?!
好物のジャンルの多くがとてもエレクトリックでは一括りに
できない分野(そもそもジャンルと呼べるのかどうかも微妙)
ばかりなので、履歴作るにもカテゴリ分けはほぼ不可能!
やりたくない手だが、やっぱり名前で羅列するしかないか…




(↑枯れる寸前だった鉢のナデシコを地植えして数週間、無事復活して
再び可愛い花を拝むことができました。嬉しい。)


突然ですが、日頃皆さんにとって、音楽とはどういう存在でしょうか?

そもそも興味を持つきっかけとなる音楽との出会いやジャンルの好み、
その付き合い方もまた十人十色だと思いますし、改めて何と聞かれても
すぐには答えは出ないかもしれません。
しかし私は、このコラムで音シリーズをいくつも書いているうちに、
私個人の音楽の位置づけは実は他の人のそれと相当異なるんじゃ
ないかと(何を今更)考えるようになりました。
上手くは言えないのですが、私にとっての音楽とは、感情を共有する
気軽なお友達みたいなものではなく、文を書いたり絵を描いたり、
何か他の(主に創作的な)作業をするときに良いインスピレーションを
与えてくれる、要は潜在意識覚醒ツール(?!)のようなもの。
例えば、その時聴きたいと思った曲をかけながら白い紙と鉛筆を
目の前に置いていると、あら不思議。曲がインスピレーション映写機に
なって、紙の上に勝手に何かの色や映像を映し出してくる…みたいな。

特にクラシック全般(近代~現代)や大人しめのエレクトリック、
アンビエント、ハロルド・バッドやフレッド・ハーシュみたいなつかみ
どころのないピアノソロを奏でるアーティストあたりが最適です。
曲のタイトルや描かれた背景に関わりなく、無秩序に何らかの
具現化を引き起こしてくれます。

あくまで肝は"ツール"であること。
こういう音楽を聴く時のメンタルはむしろ瞑想に近いのかも?本来の
活動は違うところにありながら同時に一体であるような感覚。
逆に音楽が目立つ立つとバランスがたちまち崩れます。

え?
じゃあマリリンマンソンやらThe Prodigyやら、メンタルバランス
ブレイカーもいいところな際物ばかり聴いていたのは何だったんだ?

…それはだな。このタイプの音楽に傾倒していたのはもう15年以上前。
毒を以て毒を制すように、当時の若いなりの未熟な不安や怒りを、
今思うに、彼らの音楽で逆に鎮めようとしていた気がします。
そして吠えるように何かを書きなぐったりしていた(笑)
それはそれで釣り合いがとれてたから、聴けていたのだと思う。
まぁしかしそんな芸当、今の私にはもう無理だなー(苦笑)

そんな中、今も昔も馴染めないのが一番メジャーなはずのポップス。
特に日本の歌。歌詞の一つ一つが「言葉」としてやってくるため、
いい旋律でも極めて限られた意味でしか受け止めることができない。
歌詞に込められた心情は既に誰かの手で確立された(幅はいろいろだが)
共有可能なメッセ―ジ(例えばテレビ番組)なため、邦楽に限らず
英語の歌詞ですらついつい聴く方に気を取られてしまうのです。

もちろん好きな曲やアーティストもいますが、
実際その数は極めて少なく、大概のアルバムはとても長時間聴くことが
できません。人の声を純粋に"音"として吸収できる声楽までが
エンドレスで心地よく聴き続けられる境界線。

やっぱり私はおかしいのかな(笑)?

最近はAppleMusic等のオンラインサービスのおかげで、
古今問わず素晴らしい曲やアーティストとの偶然の出会いが飛躍的に
増えました。これらを大まかに辿っていくと、若い頃に比べて
心の琴線に深く触れるジャンルが少しずつ
動(例:ポップ・ロック・ダンス・フルオーケストラ)から
静(例:ジャズ・声楽・アンビエント・器楽ソロ)に
移行してきたなぁという感じがします。

自分自身を深く見つめ直すように、音楽に限らず、
若い頃のスピード感ある無茶ぶりな半徹夜生活から、
無駄も無理もない日和見のスローライフを良しとするようになりました。
家事も仕事も、焦らず丁寧に。時間の流れを五感で感じて、
一日一日をかみしめるように暮らす。それを意識して実現できる
平和な今がどれほど有難いか、つくづく感謝の気持ちを
抱くようにもなりました。

なんてことはない。歳取ったんだよ。



というわけで今日の一枚はこちらです。

"The Fata Morgana Dream"

Forrest Fang(2019)


↑(サムネイルクリックでLullaby for a Twin Moonが
視聴できます)

中国系アメリカ人のコンポーザー:フォレスト・ファン氏の
通算14枚目のアルバム。バイオリニストにしてプログレ出身と
いう異色のキャリアを持つマルチなアーティストですが、近年は
ファンタスティックな抽象画のようなアンビエント系アルバムを
発表し続けています。琴やマンドリンetc.国や地域にとらわれない
民族楽器や、氏が得意とするバイオリンが奏でるオリエンタルな
旋律が何とも言えない夢のような世界観を醸し出しています。
…というと好き嫌いがぱっくり分かれそうですが、
トランスグローバル・アンダーグラウンドみたいな
ドラマチックくどさは皆無。むしろどの曲も初夏の清流のように
涼しげで神秘的です。

最近手書きで手紙を書くことにこだわっていますが、
そんなときのBGMにぴったり(私個人の感想)。

特におススメはLullaby for a Twin Moon、
Her Fading Image…ですが、彼のアルバムはいつも数枚分
いっぺんにシャッフル流し聴きしているため、何時まで経っても
肝心の曲名がなかなか頭に入ってきません(苦笑)
梅雨の時期によく合う、ステキなアルバムです。

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