若女将コラム

日々西屋と山を縦横無尽に駆け巡る湯守兼若女将のかなりマイペースなコラムです。
内容はすっ飛んでいます(というかほぼ西屋に関係ない話題ばかり)。ぜひ楽しんで下さいませ。

音のある生活 34 「一年のスタートは"荘厳"に。」


おそくなりすぎましたあけましておめでとうございます若女将です。
ひらがなズラッと並ぶとやたら読みにくい日本語マジック。



ご存じの通り、今年は脅威を感じるレベルと言っていい
異常な雪の少なさで幕を開けました。
沢が全面見渡せる三十三観音。信じられにゃー。

雪国住人としては除雪に悩まされないのが有難いところですが、
先々(特に今夏)水不足に影響するのではないかと
内心すごく心配してもいます。



例のごとく湯守しながら常に山の様子を注意深く見守っていますが、
(↑作業に欠かせない「鎌(!)」「温度計」「LED懐中電灯」と共に。)
ただでさえデリケートな冬の温度調整がいつになく難易度の高い
作業になり、実は裏山で一人四苦八苦しています。



↑三十三観音から引いてきた山水。この水ホースを左右に僅か2~3
センチずらすだけで…



↑同じく前後にほんの3~4センチ動かすだけで…



↑これでもかと湯滝の温度が激変します。
簡単なようだけどね、本当に難しいの。
勘と経験で温泉と水の流れや混ざり具合をある程度予測できるとはいえ、
ベストの状態に安定させるまで長いときは30分以上かかります。

こんな燃費悪い湯守を日々続けているせいでしょうか。
いつもの冬とまるで違う妙な気配が否が応でも伝わってきます。







↑今月3日に撮影した、長さ6~7センチに及ぶセレナイトのような
見事な霜柱。誰かさんの髪のツヤにもそっくりさん。
源泉が通るパイプと沢の間のわずかな隙間にだけ見られるレアもの。
この冬まだ一回しか遭遇していません。

ふつうこの時期ならもっと空気が冴えわたっていて、
森も山も人を寄せ付けないまるで結界のような雰囲気すら漂わせているのに、
少なくともここ西吾妻界隈は、大地も大気も芯がなく"緩んでいる"感じ。

なぜだろう?
…いや、自然に対して"何故"は愚問か。
ならば人間活動のせいか?
…否、地球環境は決して一枚岩じゃない。

こうも気候変動が予測不能になると色々と意見を言う人々が
湧いてきますが、これからの時代は目先に左右されず注意深く
慎重に歩まなければならない…強くそう感じます。
まず疑うべきは"思惑"そのものなのだ。

何かが変化しているのを感じた時、それは何故かと問い始めた時、
一歩踏み出す毎自分を決して見失わないように。
かといって、石橋を叩きすぎて本来渡るべき橋を自分からぶっ壊す
カッコ悪いオチは絶対踏まないよーに。

というわけで私、
今年一年は引き続き内省と学びの年にしたいと考えています。
ずっと昔取り組んで途中放ったまま長期間ブランクがあったもの、
いつかやりたいと思っていたこと、どこから手を付けたらいいのか
とりあえず時間との相談ですが、掃除のたびに新鮮な風を部屋に
取り込むがごとく、いつも心の窓を解放して、脳内すっきり状態を
キープしたいと考えています。





だらだらと前置き失礼しました。
今年一発目の紹介アルバムは幸先よくゴーカ?に行ってみよう。

"Back to Bach" (J.S.バッハ:「名オルガン作品集」)

Kei Koito(2019)


(残念オンライン視聴できるサンプル楽曲がない!)

日本ではあまり知られないないようですが、
本場ヨーロッパではその道のカリスマとも呼ばれている
世界的オルガン奏者:小糸恵さんのアルバム。
数百曲に及ぶバッハのオルガン作品から厳選した17曲が
収録されています。

パイプオルガン。言わずと知れた世界最強のアンチモバイル楽器。
ストップ(鍵盤の左右についているドアノブorもんじゃ焼きの
ヘラみたいな器具)を出し入れすることで、神々しくも
コケティッシュにも変化する魔法のような音色が昔から大好きで、
サイモン・プレストンやヘルムート・ヴァルヒャなどなど
名演奏家による主にバロック時代のオルガン曲を折に触れ
聴いていました。
その影響か、どちらかというと「(厳格な)宗教的」「男性的」
「機械のような正確さ」みたな印象の強かったバッハオルガン。

ところが小糸女史の演奏は、今まで聴いたどのタイプとも違う
独特のオーラを感じます。人間らしい柔らかさと同時に人間離れした
世界観が同居している…というか、
バッハその人があたかも作りたての音楽を弾いているような、
素晴らしく瑞々しいオーラ。
小糸さんご本人はバッハというよりグーニーズのフラッテリー・ママに
(かなり)似ている方なんですが(←なんつー失礼…)、
とにかくどの曲もしっとりと生命感あふれる素敵な響きなのです。
収録に選んだパイプオルガン(500年以上前に作られた
北ヨーロッパ最大級の名器)もさることながら、選曲の素晴らしさも
このアルバムの大きな魅力です。
1曲目のトッカータ、12曲目のタイトルからしてドツボな
「来たり給え、創造主なる聖霊よ」あたりおススメ。

目を閉じると浮かんできます。正装したネクロードがネクロノミコン
みたいなステンドグラスの地獄絵バックにゴシック豪華な
パイプオルガンを弾きこなす姿が。(ちょっと待てそれ吸血鬼でわ?!)
教会の神聖な楽器という立ち位置とは裏腹に、なぜか私の脳内では
世紀末メメントモリな方々がパイプオルガンを弾くというギャップ萌えが
発生してしまいます。ルシファー(元天使→堕天使→悪魔)繋がりかな?

ああ今年も一年こんなノリでいっちゃうのか私(いっちゃうんだけどね)。
こんな趣味だからしてパイプオルガン好きでもあるわけだが。
我ながら一体どこにストライクゾーンが付いてるのやら(笑)
ご安心ください、誰もフラッテリー・ママが悪魔だなんて言ってません
(↑分かってて自ら意味不明な墓穴を掘る)。

というわけで、この世界に悩めるすべての魂をも浄化するような
魅力的な名演奏(オチ!!)。今年一発目のおススメでした~!

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