若女将コラム

日々西屋と山を縦横無尽に駆け巡る湯守兼若女将の、マイペースなコラムです。好きなものは音楽・写真・自然・宇宙。

音のある生活 29「元祖コズミックホラー」


こんにちは。濱田マリさんの声が大好きな若女将です。




かぐら「…ニャ(暑)。無理。」

毛皮100%の猫でなくとも声が裏返っちゃうほど超暑いですねぇ…今年の夏も。
その異常さは、天気予報で繰り返される「(命が)危険な暑さ」という
過激な表現すら、もはや常套句並みにスルーしてしまえるほど。
今年は冷夏になるって言ってなかったっけ天気予報?
やっぱり原因は地球温暖化なのだろうか。
だとしたら、来年以降は立秋をひと月先に設定したほうがいいカモネギ。

とまぁ、年々気候がおかしくなってきていると言われる今日この頃ですが、
じゃあ“正常な”気候は一体いつだったんだろう?…などと、
ひねくれ者の私はつい考えてしまいます。

地球の歴史を長ーい目で振り返ると、スノーボールアースやK-Pg境界など、
およそ分かっているだけでも過去5回急激な環境変化(=生物大量絶滅)が
起きていているようです(まぁ最後のそれは原因そのものが宇宙から突如
やってきた特殊なパターンですが)。その異常天候スパンも数年から
数千万年と原因(多くは特定できていない)によってさまざま。
光合成をおこなう生物が出現したことで大気中の構成が大きく変わったり、
太陽活動の影響か温室効果の弱体化で地球全体が氷におおわれる時期が
あったり、太古には現在の地球とはおよそ想像もつかない世界が
広がっていたと思われます。
いかにビフォーアフターを生き延び、幾世代にもわたって過酷な環境に
適応し続けてこられたかが、その先の進化と繁栄のカギを握って
きたわけです。

わずかな地層の変化や化石の発見から垣間見える、
驚くほど鮮やかでドラマチックな地球の歴史。興味は尽きません。




そんな地球の歴史を文学的に紐解けそうな今日の「音シリーズ」は…
こちら~

 "Nyarlathotep"

Cryo Chamber Collaboration(2016) 

(サムネイル↑をクリックすると、レーベルサイトにルーラします)

ご存じクトゥルフ神話に登場する、絶対神アザトースの分身にして使徒である
ナイアーラトテップ」の名を冠したアルバム。
クライオチェンバー(日本名:零度の間?)はアメリカのオレゴン州にホームを
構えるレーベル名で、文字通り凍り付くようなダークアンビエント(またか(笑)!)
を得意とするアーティストが多数所属しています。
サイトを覗いてみると、なんとまぁシビれるようなジャケ絵のアルバムが目白押し。
彼らが毎年合作で1枚ずつ発売しているのが、コアなファン必涎の
クトゥルフ神話シリーズ。2015年に発売された「アザトース」を筆頭に、
本作、「クトゥルフ」、「ヨグ=ソトース」、「シュブ=ニグラス」の5枚が
現在好評発売中?!
驚くべきはその曲の長さです。どれも1トラック1時間前後。
切れ目のないダークでディープなアンビエントタイムが存分に楽しめます。
アザトースは宇宙に住まう混沌の神だけあって深遠な響きがかっこいいし、
クトゥルフは海底都市ルルイエを思わせる水の滴る音、言葉にならないうめき声
のような気味の悪い音色がなんともいえないし、ちゃんとそれぞれの立場を
音で表現しています。のんびり聴き比べてみるのも一興です。長いけど。
中でもこちらの「ナイアーラトテップ」は怒涛の全トラック3時間15分。
徐々にニュアンスを変えながら心の奥へも宇宙の彼方へも無限に広がる
摩訶不思議な響きが、アザトースの分身で唯一神の意志を代弁できる
ナイアーラトテップの静かなるトリックスターぶりをばっちり醸してくれます。

(これだからマニアというやつは…(笑))

クトゥルフ神話が体系化されつつあった当時は、アインシュタインや
ハイゼンベルグによる様々な物理法則の発見が重なった時期とはいえ、
今と比べると宇宙について多くの実態が未解明のままでした。
ラブクラフト自身伝え聞くところによるとちょっと偏った思考の持ち主で、
小説の中には差別的な表現や、人外含め嫌悪する者達に対する粘着質な
敵対的恐怖心が散見されます(ある意味心の闇)。
その旧態依然なスタンスが個人的に不快で、これまで彼の小説はあまり
真面目に読んだことがありませんでした。が、最近になって我が家の本棚に
いつの間にかラブクラフト全集が並んでいたという理由から(多分義弟の
コレクション)あっさり読み始めてみたオチ。
年の功か若い頃あんなに不愉快に思えた描写もあまり気にならなくなりました。
(無関係の市民や幼い子供を人身御供にするくだりはいただけないが。)
タコやイカはともかく、時空を超越した恐ろしく無情な闇(宇宙)の世界を
「邪悪な」神の御座と捉えたセンスは地味に感動。

少し話題が巻き戻りますが、過去5回の地球生命大量絶滅事件のうち、
三葉虫はじめ史上最多の種が絶滅するきっかけとなったP-T境界
(約2億6000万年-2億5000万年前)は、その甚大な影響(恐竜が滅びる
原因になった約6500万年前の小惑星衝突よりさらに多くの種…
当時の全生物の90~95%が死滅したと言われている)に反して
他のビッグ5のいくつかと共にはっきりとした原因が分かっていない
そうです。

実はグレート・オールド・ワンの皆さんの仕業かもYO?
なんて寓意を込めて想像してみたりして。

彼らの生きた痕跡は、生物史上最大級の謎と共に地球の奥深くに去りましたが、
星は銀河の運動に従い、その寿命が尽きるまで過去と違う位置に座標を変え続けるので、
幸か不幸か暗黒時代復活の可能性はゼロ。
クトゥルフ憐れ。

はいはーい!また話が思い切り脱線してしまいました。すみません。
やめられない止まらないかっぱえ〇せん♪

Cylo Chamberの珠玉クトゥルフシリーズを聴きながら(ついでに小説も読みながら)、
あなたも是非古典ホラーで残暑を(ゾワゾワーっと)涼しく?乗り切ってみましょう(笑)

コラム内検索