若女将コラム

日々西屋と山を縦横無尽に駆け巡る湯守兼若女将の、マイペースなコラムです。好きなものは音楽・写真・自然・宇宙。

音のある生活 24 「The 日本 ③」



こんにちは。絶賛花粉症の若女将です。
お日さまぽかぽかの三十三観音では、抹茶色の杉花粉が
うねるように飛び交っています。目と鼻と喉に痛恨の一撃!
白布よいとこ、春だけアウェー。取り囲まれても心配ご無用。
薬を飲んで完全武装だ!

(話が飛びます飛びます♪)
つい最近不思議な夢を見ました。
現代から1億経った未来の西吾妻山の景色でした。なぜか1億年先。
ニック・レーンの本を読んでから横になったせいかな?
人工物や天変地異の残痕がそこかしこに散らばっているのかと思ったら、
そうでもありませんでした。




それは雲ひとつなく、
今より遥かに濃い青空の彼方で太陽が燦然と輝いている穏やかな景色でした。
スキー場はなくなり、温泉も見えなくなっていて、山の全てが深い緑に
覆われていました。文明の名残は跡形もありません。
残念ながら人類は既に絶滅しているようです。
しかし大地からは強い未知の生命の気配が感じられました(夢の話だよ!)。




それらを強く、希望に満ちた意識全体で感じ取っているという夢。

目が覚めてからしばらくの間は、どっちが夢なのか分からないくらい
本当にリアルでした(↑の写真はイメージです。近所の写真を加工)。

今のところ、50億年~百億年単位の未来は天文学的にもかなり具体的な
筋道が予測されていますが、恐竜の時代から見た現代、くらいの微妙な期間
となると、私含めていまいちピンとこない人の方が多いと思います。
10年先も予想できない今の世の中、明らかに自分がこの世にいない
1億年後なんて興味すら湧かないのは当然のことです。
ほぼ確実に言えるのは、環境依存度の高い人間は須らく滅びているだろう
ということ。これまでの地球史を鑑みるに、1億年の間に一度は隕石衝突なり
大規模気候変動なり起きても確率的におかしくありません。
それらにことごとく耐え長い期間繁栄を保てるのは、環境変化の緩やかな
深海の生物か、地中に生活圏を持つ微生物くらいでしょうから。




はな「そうか…にゃんこも1億年は無理ぽいニャ…ZZZ」

とまぁ、やたら無意味に思える1億年後の未来ですが、
今と同じような青空があって(つまり大気構成は殆ど変わっていない)、
緑があって(人類による砂漠化や環境破壊は未来に影響を残さず自然回復したようだ)、
新たな生き物の繁栄の時代が訪れているらしいことが判明して、
私は妙に明るい気持ちになって目が覚めましたYo!というお話でした。

遺伝子は逃れようのない死をコードしていますが、その遺伝子を
構成している原子そのものは、太陽の先祖ともいえるどこかの恒星の
炉の中で生れ、何十億年も巡り巡って取り込まれたもの。
それ自体のバランスが崩れない限り、この先も世代を超えて受け継がれて
いくでしょう。ある意味私達は肉体が滅んでも“(ほぼ)未来永劫生き続ける”
わけです。行き先、取る形が何であれ。
夢オチなのに変に納得できちゃったのは、その辺ぼんやりと理解していたおかげ
なのかも。すみません。相変わらず訳のわからない独り言でした。
最近しょっちゅうこんなことばかり考えています。
memento mori, carpe diem.



さて、「The 日本」シリーズ最終回となりました。
今日ご紹介するのはこちら。

伊福部昭 「シンフォニア・タプカーラ」2-Adagio

(演奏者は違いますが、Youtubeでの試聴はこちら。)

ゴジラのテーマ曲!
といえばその名を知らぬ人はいないほど有名な伊福部昭さん。
そんな彼の初期の傑作が:シンフォニア・タプカーラです。
タプカーラというのはアイヌ語で「立って踊る」という意味です。
北海道出身の伊福部さんは、幼少期に住んだ北海道の地やアイヌの人々の
文化に思いを寄せてこの曲を作曲したのだそう。
民族の違いはあるものの、心同じくする日本という広い意味でチョイスしました。
独特のリズムと旋律のある舞曲風で、終曲は大団円のように華やかです。
個人的には2曲目のアダージョがイチオシ。
ハープと弦楽器の静かな伴奏で始まる夜明けのような情景で、手つかずの
自然が広がる北海道、はたまた日本のどこかの山野が脳裏に思い浮かびます。
歴代の大怪獣映画のサントラ、ヤシモリ作戦の場面で再び脚光を浴びた
「宇宙大戦争」のメインテーマなど、日本のSF界のミュージックシーンを
長年牽引してきた氏ですが、日本狂詩曲や二十五弦筝の為の幽玄なソロ曲など、
記憶の底にある日本人の魂を揺さぶる荘厳で素晴らしい曲も数えきれないほど
世に送り出しています。
タプカーラのアダージョが奏でる、どこか悲しげであり優しい牧歌的な響きは、
まだ人が誕生する前の時代、はたまた夢に見たはるか未来の、
誰かがそこで平和に暮らしているであろう大地の、
静かな命の讃歌のようでもあります。

もうすぐ日本は新しい時代を迎えます。
人が聡明に今を歩み、この国に留まらず、世界中が末永く穏やかで、
命が巡りあふれる星であり続けることを願っています。

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