若女将コラム

日々西屋と山を縦横無尽に駆け巡る湯守兼若女将の、マイペースなコラムです。好きなものは音楽・写真・自然・宇宙。

音のある生活  10 「ところで宇宙往ってくる③(終)」





雨が降ると途端に気温が5度を切る白布温泉です。



庭の一角で紅いつつじが咲き始めました。
ウコギの垣根も瑞々しく葉を広げています(写真↑)。
うーん、なんだか食べるのがもったいない…(苦笑)



一方シバザクラが覆うはずだった石垣にはなぜかマーガレットが自生。
ああ…これもまた剪定するのがもったいない…(汗)

いつか西屋の庭をきれいにするのが私の目標の一つでした。
今年こそは時間を見つけ、本腰入れて整備したいと思っています。
元々ある草花も全てを刈り取るのはかわいそうなので、
きれいな花を咲かせてくれるもの、ちょっと珍しいものは移植して
活用させたいと考えています(完全に素人思考/笑)。





さて、今日は「ところで宇宙往ってくる」シリーズとうとう最終回
こんなに引っ張るつもりはなかったのですが、いい加減きっちり〆ないと
斥力が効きすぎて二度と帰ってこられなくなりそう。

前々回でオールトの雲を脱したところでしたので、さらにその先へ往って
ちゃんと帰ってきます!
(Jexper Hormenに続く紹介になるので、通し番号で5番からスタートします)


5.Max Corbacho :Source of Present


Max Corbacho "Source of Present"(2017)

スペインの作曲家・マックス・コルバチョ氏のアルバム。
まずは太陽の重力圏を完全に脱し、それまで観測と想像でしか
その姿を把握できなかった銀河系を振り返った時に聴いてみたくなる
(かもしれない)穏やかで神秘的な一枚です。
他にも2008年にリリースされたBreathStreamや、近年シリーズで
出しているNocturnesもおすすめ。アンビエントながら癒し効果のある
いい音楽を生み出しています。
肉眼を通して見る銀河は実際暗い天体のはずですが、沢山の命の源が巡る
懐の深い宇宙の故郷に違いありません。数えきれないほどの星が
その一生を過ごす中で、ゆっくりと繰り返される輪廻の“今”を感じつつ、
ぜひ灯りを落として聴き入ってみてください。


6.Grouper : A I A:Alien Observer


Grouper "A I A : Alien Observer"(2011)

アメリカ出身の女性ミュージシャン:リズ・ハリス(本名エリザベス・アン・ハリス)
のアルバムで、Dream lossとの2部作として2011年にリリースされました。
アルバム名を王様直訳すると「エイリアン観測者(???)」。
出会うことの叶わないほど遠方に住まうエイリアンが、人間(地球)を宇宙から
観察しているのか、それとも人間がエイリアン(の交信)を傍聴しているのか、
真意は謎。
リズ・ハリスのウィスパーヴォイスがその一つの答えを紡ぐように、綿毛のような
旋律を響かせる味わい深いアルバムです。
ジャンルはドローン~アンビエントですが、5で紹介したマックス氏のアルバムの
方がドローンぽいかも。リズの歌声(むしろ音源の一つ)にはノンバーバルな
メッセージ性があって、身も蓋もない話「エイリアンが歌って話しかけている」感じ。
ジャケットのおとめ座プレアデス星団のモノクロ写真もあいまって、暗黒の虚空を
「懐かしく温かい宇宙」といとおしんでいるようにも聞こえます。
私はロマンを込めてパンスペルミア説を信じている派。
あくまで曲を聴いたイメージですが、
宇宙を故郷に見立てたようなこの1枚は特にお気に入りです。


7.Phelios Human Stasis Habitat


Phelios "Human Stasis Habitat"(2016)

紹介するかどうするか最後まで迷いました。
ドイツの作曲家:Martin StürtzerことPheliosが2016年にリリースした
かなりディープなアンビエント・アルバムです。
銀河の群れからさらに遠ざかり、ボイドの辺縁から宇宙全体を見渡している…
というイメージ(もはや意味不明)。
このタイトルの意味は…?
2年ほど前にNASAが火星への有人探査を目的として、
「火星飛行における人体停止状態を利用した冬眠誘導式輸送ハビタット
(Torpor Inducing Transfer Habitat For Human Stasis To Mars)」
という計画を発表したそうですが、つまりはそういうことでしょうか。

いつかそんな宇宙の深遠を肉眼で拝む日が……まぁ十中八九来ないであろう…。
火星はともかく、現在観測可能な宇宙はなんと直径約930億光年も
あるんだそうですから…
たとえ光速で飛んでも、所要時間は太陽の寿命のざっと10倍弱。
そもそも現宇宙がそんな未来にまで存在しているかどうかも怪しい。
それでも、人間の英知は確かに宇宙の彼方を捉えつつあるんだから凄い話です。
重力波も観測されたわけですし。

未知の宇宙への畏怖と生命とのせめぎあいともとれるこの一枚。
聴き応えあります。


8.Lull Moments


Lull "Moments"(1998)(Youtubeのリンク、truck 1のみ)

とうとう思いつく限り宇宙の果ての果てまでやってきました。
ここからは事象の地平線をまたいだ“異界”。実証はされていないものの、
その存在が諸説示唆されている多元宇宙論の世界です。

可視化不能の極致はいつもこのパターン。
Momentsはちょうど20年前にリリースされたLullの初期作品です。
ジャンルはロックとありますが、実際はロックと似ても似つかない。
全曲にわたり、背景のない無味乾燥な信号音の連なりが強弱をつけて
流れ続けるというもので、なんと99トラックもあります。
99ディメンション。
近年のLullは垢抜けしたサイケデリック調のポップ曲作りにすっかり
シフトチェンジしていますが(誰これ?と見まごうほどの変貌ぶり)、
MomentsやWhiteoutを世に出していた頃はひどく病んでいたのだろうか?

紹介しておいてなんですが、真面目に聴いていると20曲過ぎたあたりで
いやんばい発狂できます。ボリュームは最小レベル推奨。


9.(おまけ)ENIGMA Voyaj より Following the Sun


ENIGMA "Voyageur"(2003)(Youtubeのリンク)

7あたりからメンタルにわりとグーパンなアルバムを立て続けに
紹介してしまいましたので、最後はおまけをお届けします。

今やニューエイジ・ヒーリングミュージックの重鎮となったENIGMAが
2003年にリリースしたアルバム。
当時流行りのコピーコントロールCDだったので正直持ち運びし辛く、
プレーヤーが壊れてからはすっかりお蔵入りしてました。
Apple Musicを通して久しぶりに聴けた時は素直に嬉しかったなぁ。

最後のトラックに収録されているFollowing the Sunの舞台は、
イメージすると夕暮れの海岸線。(いつの間に地球に帰還しているという…)

日の沈んだ空にやがて満点の星空(これまで旅をしてきた宇宙、そして未来)が
瞬くダイナミックな時の移ろいに寄せて、愛と命を歌った明るくも壮大なテーマです。
宇宙シリーズの締めくくりにふさわしい曲と思い、チョイスしました。


Have a look up to the sky
See the billion stars above
'cause (maybe) on one of them
You'll spend your further life

空を見上げ
幾億もの星を見つめよう
あの星のどれか一つで
あなたはもう一度生きるのだから


聴いたことのない音楽との出会いが、日々の生活にインスピレーションと
潤いと癒し(こういうテーマになると結構な確率で”畏怖”も)を
もたらしてくれることを願い、今日も心の旅を続けます。