若女将コラム

日々西屋と山を縦横無尽に駆け巡る湯守兼若女将の、マイペースなコラムです。好きなものは音楽・写真・自然・宇宙。

音のある生活 8 「ところで宇宙往ってくる①」




晴れた日の白布温泉は星がきれいよ~(↑イメージです(笑))。




桃の節句も過ぎ、ようやく長い冬のトンネルから抜け出そうとしつつある西吾妻山麓。
今週は天候もあいまって一気に雪解けが進んできました。
(しかし油断は禁物。大概4月中下旬頃までに1~2回は再びドカ雪に降られる。)
銀世界の裏山でアストラッド・ジルベルト版「fly me to the moon」
がなぜか脳内再生される中、「(雪は)もう要らんわーー!!」
とヤケクソでスコップ振り回していた季節とも、いよいよしばしの別れです。
嬉しいやら寂しいやら(?)。






さて、今日はto the moonどころかさらに彼方、
「ところで宇宙往ってくる」シリーズ1回目です。

のっけから飛んでます。
すみません。
でも宇宙大好き。

図書館に行くとついつい宇宙なぜなぜ?の本ばかり手に取ってしまいます。
(まったくの素人でも分かりやすい本がたくさんあってありがたい。)
最先端の科学技術をもってしても未だ謎の多い宇宙。
(全質量の95.1%は未だダークな領域…)
古来人々は様々な形でこの壮大な未知の世界にロマンを抱いてきました。
そんな宇宙を深くイメージさせてくれる音楽を
ピックアップしていこうという我ながら珍妙なテーマです。
内容が内容だけにアンビエント系多めですが、
地球からだんだん遠方に旅立っていくというシチュエーションで
アルバムや曲を紹介していきたいと思います。
時には底知れない畏怖を抱きつつ、楽しんで頂ければ幸いです。


1.ジング・カール「This Universe」


Singh Kaur "This Universe"1998(Amazon)

地球から見上げた宇宙へのスピリチュアルな畏敬の念と、
時空を超えた旅立ちを思わせる1枚目のアルバムはこちら。
インド出身のニューエイジ・アーティスト兼歌手、
Singh Kaur(ジング・カール?)女史の遺作アルバムです。
Singhさんは7作に及ぶクリムゾン・シリーズでは光り輝く聖水のような旋律、
Gary Stadlerとの共作である「Fairy Night Songs」は語りかけるような
優しい歌声を聴かせてくれていました。
しかし惜しくも今から20年前、40代前半の若さでこの世を去ってしまいました。
“呼ばれた”のかな…。

This Universeは、ヨガにも精通していたという彼女のエッセンスが
込められたアルバムです。地球と宇宙はいつでも繋がっていて、
ただの暗闇や真空ではない温かい何かが満ちていると感じさせてくれます。
スピリチュアルな世界やヒーリング、アセンションに興味のある方にもオススメ。


2.ブライアン・イーノ「Apollo」


Brian Eno "Apollo" 1983-2005(Amazon)

このコラムでもたびたび登場しているブライアン・イーノが、
NASAの月面着陸記録映画のサントラとして1983年に製作したアルバム。
タイトルもそのまんまです。
鋼鉄の船で無音の宇宙を漂いながら時折地球を振り返り、
得も言われぬ孤独感に浸ったかと思えば、
「意外と快適だよ宇宙!」といきなりリゾートハッピーな気分に
吹っ切れる…そんな意外性に富んだ一枚。
Silver Mornigとか一体どんなシーンだったんだろう。気になります(笑)

とはいえ、地上から月までの距離はISSの距離のざっと961倍(約384,000km)。
アポロ11号は約4日かけて月面を目指したわけで。
(その間困難な操縦、途中下車も景色もなし)
さぞ苦行に満ちた長旅だったことでしょう。
ご存知の方もいると思いますが、
月はほんの僅かずつ地球から遠ざかっているそうです(1年で3.8cm)。
人類がこの星を超える未来はやってくるのでしょうか。
とりあえず地球と月との間は末永く平和が続く。そんな明るい希望が
見える素敵なアルバムです。


3.クリストファー・ウィリッツ「Horizon」


CHRISTOPHER WILLITS "Horizon" 2017

アメリカの作曲家クリストファー・ウィリッツの最新アルバム。
1曲目のCometがとにかく最高。
銀色に輝く尾を伸ばし、高速で太陽のそばを駆け抜ける荘厳な彗星のイメージです。
(↑のリンク先からYoutubeでCometを聴くことができます)
イコライザはぜひ重低音厚めでお楽しみください!
他の曲も天上的な癒しに満ちたナンバーで、
今日紹介するアルバムの中では最もヘビロテしている1枚かも。
ウィリッツはオリジナルアルバムの他コラボレーションも積極的に
製作しています。坂本龍一さんとの共作「OCEAN FIRE」もおすすめです。

ところでこの彗星。孤独に宇宙を旅しているようで、
実は太陽系内では火星-木星軌道~エッジワース・カイパーベルト内外まで
兆単位とも言われるまさに星の数の彗星がわんさか飛んでいるそう。
スペースガード的には四六時中監視しておきたいところですが、
今後150万年以内にこれらの軌道に大きな影響を与えそうな恒星
(あるいは巨大重力源)の接近は1回あるかないかくらいだそうで、
当面は穏やかに太陽を回り続けるのではないかと思うのです。
やっぱり割と平和だ宇宙。

惑星の起源のカギを握る宇宙の使者。
どんな名前の彗星になるのか、生きているうちにもう一度仰ぎみたいものです。


4.ホルメン「Oort Cloud」


Jexper Holmen "Oort Cloud" 2011(Amazon)

さて、エッジワース・カイパーベルトのHorizonを抜け、
ボイジャー1号や太陽系最遠軌道を巡る小惑星セドナ(公転周期12000年以上)
よりもさらにさらに遠くにやってまいりました。

本日の最難関、ホルメン(多分これはグループ名だと思います)の
「オールトの雲」。
1枚1トラックの超大作ですが、楽器構成はサックス・
アコーディオン(2台)・電子音のみという異色過ぎる組み合わせ。
時折狂気的な旋律とも叫びともつかない音を響かせながら、
ヘリオポーズの嵐とダークマターの霧の中、一直線に太陽系の
真の果てを目指していく(と私は想像している)1枚です。

オールトの雲とは、太陽系の最果て…太陽の重力と他の恒星・銀河の重力が
均衡を保つ境界に存在すると仮定されている巨大な天体群です。
ここを抜け出せば完全に孤高の旅人。
銀河鉄道999よろしくアンドロメダ銀河を目指してゆけます。
非常に長い周期で太陽を巡る彗星はこのオールトの雲に属していると
いわれていますが、詳しいことはまだ分かっていません。

難解を極めるこのアルバムはまさにそんな謎に満ちた領域をなぞるかのよう。
「宇宙ってすごい!この向こうに何があるんだろう?行ってみたい!!」
などという冷たい感動と共に聴き切れれば、
あなたも立派な宇宙通(かもしれない)。

驚くことにこれでもジャンルは「クラシック」です。
もう細かいことは考えないでおくれ。

いかがでしたか?!
次回は後編です。さらに宇宙の彼方を目指しましょう(笑)