若女将コラム

日々西屋と山を縦横無尽に駆け巡る湯守兼若女将の、マイペースなコラムです。好きなものは音楽・写真・自然・宇宙。

若女将コラム

2018年01月

2018.01.28

音のある生活 6 「まだ見ぬ心の日本巡り①」




寒さと雪の往復ダブルビンタが止まらない今年の冬模様。
なぜかここ数日は白布温泉のある山の上の方が天候が穏やかで、
市内は吹雪いているのに山では時折朧月が拝めたりしています。
寒さはいずれもハンパないですが。

…皆さん生きてますか(爆)?



さてさて今日は、音のある生活シリーズ6回目です。
普段アンビエントやら洋楽やらクラシックやら聴くことが多く、
国内アーティストに殆どレパートリーがない(特にJ-POPは最も縁遠い)私ですが、
今回は「まだ見ぬ心の日本巡り」と題しまして(語彙力…)、
日常をふと忘れ、ここではないどこかに思いを馳せたい時、
眠る前のひととき、あるいはティータイムにリラックスしながら…
思い思いの「ほっ…」とした時間の中で、気軽に親しめる
日本人アーティストの癒し系推しアルバムをいくつかご紹介したいと思います。

殆どがインストメインです。

1.小瀬村晶「In The Dark Woods」


Akira Kosemura - "In The Dark Woods"(2017)

映画や舞台の音楽も数多く手掛ける若手音楽家・ピアニストである
小瀬村晶(こせむらあきら)さんの最新アルバム。
タイトルのイメージをそのまま視覚化したようなジャケットが既にツボ。

時折、胎教のようにぽわんと不思議なエコーを響かせるピアノや
弦楽器電子音が印象的です。「内省的で静謐な感覚を大切にした」という
作曲者の思いの通り、全曲にわたり、まるで深い森の中を霧がゆっくり
漂うような暗くやさしい旋律が描かれています。



春先や梅雨の季節の白布の森が思わず思い浮かびます↑。
山や森と縁が深い私にとって、
心の故郷を想起するようなお気に入りのアルバムです。

ちなみに小瀬村さんは海外でも非常に評価が高いそうです。
むしろ国外の方が知名度高いかもしれません。
国内では、auの三太郎CM(金太郎こと金ちゃんと小熊の対話シーンが
キュートだった「もうひとつの鬼退治篇」や、スクエニのゲームシリーズの
アレンジアルバム「Cill SQ」でFFVの「親愛なる友へ」のアレンジ楽曲などなど
(ちょっと待ってまだこのアルバム持ってない(汗))。
Apple Musicでも何枚かオリジナルアルバムを聴けますので、気になった方はぜひ。


2.伊藤ゴロー「GLASHAUS」


Goro Ito "GLASHAUS"(2012)

“コードの魔術師”の異名を持つ、
作曲家・編曲家・ギタリストの伊藤ゴローさんのアルバム。2012年リリース。
親交のある坂本龍一さんが「浪漫的かつ抒情的な、真の無国籍音楽」と
評したように、開放的な安らぎに満ちた曲群が満載。
例えるなら、どこか遠い海辺の町の小さな喫茶店で窓の外を舞うカモメを
見ながら異国情緒にひたるような…時を超えた世界を連想させる素敵なアルバムです。

ボサノヴァにも非常に造形が深く、彼のやわらかなギターの音色に
引き込まれること請け合い。特に私が好きなのはNovemberとWings。
Novemberはピアノと弦楽器が加わり、Wingsはチェロとギターの二重奏です。
いずれも優しく、そしてどこかさびしげなアンサンブルで、
乾いた心も潤うような気持ちになれます。

ちなみに伊藤ゴローさんは原田知世さんとのコラボレーションも多く、
彼女のツアーに参加もしています。ファンの方は馴染みが深いはず。

大人のひと休みにオススメです。


3.当真伊都子「When The World Will Mix Well」


Itoko Toma "When the World will mix well"(2017)

わーい、やっと彼女のアルバムを紹介することができた~…。

岡山県出身のピアニスト、当真伊都子さんの2ndアルバム。
本日ご紹介するアルバムの中で唯一歌が入っています(全て英語)。
Apple Music上のジャンルはJ-POPにカテゴライズされています。
限りなくプライベートな環境で収録をしたそうで歌の合間に
多少ブレス音が入っていますが、それだけリラックスしているという証。
優しさに満ちた珠玉のピアノソロが本当に耳に心地よく、
去年Apple Musicで偶然2曲目のShorebirdを見つけ、
聴いた途端にファンになってしまいました。

本作は全体にわたり当真さんの身近な景色である「海」がテーマになっていて、
実は1でご紹介した小瀬村晶さん↑もプロデュースに関わっています。
3曲目のFantasiaでは彼が実際ストリングアレンジに加わっています。
きらきら輝く海、夕刻の凪いだ岸辺、海鳥が優しく波と戯れる様子…
さまざまな情景が浮かんできて、聴いていて飽きません。

私はかつて海辺に住んだことがなく(一番近くて東京…海辺??)、
今は山奥ですので海辺の思い出は殆どないのですが、
学生時代なぜかよく江の島を訪れていました。しかも殆ど一人で(笑)

七里ヶ浜の車通り、見るも珍しいお土産屋さん、はるか遠くに見える富士山、
そして江の島の隠れ里のような神社の数々…
海というと必ず思い浮かべるのが江の島だったりします。
当真さんのアルバムを聴いてなぜかひどく懐かしく感じるのは、
その時の記憶がかすかによみがえるからなのかもしれません。

ああ、またいつか江の島を訪れてみたい。。。



いかがでしたか?今回ご紹介したお三方ですが、
上記のアルバムの他にもたくさん素敵な曲を発信していますので、
機会があったらぜひ触れてみて下さいね。

2018.01.19

米沢のいい所あれこれ 【第11回:カクリキみそ噌醸造元(花角味噌醸造)】


年明けから気温が乱高下している米沢・白布温泉界隈。
全国ニュースになるレベルの降雪があったかとおもえば、
零下15度未満の日が続いて宴会場の床暖房が凍結したりと、
年明け早々雪国の手痛い洗礼を受けまくっている西屋です。

もう5年分の厄落しにはなったんじゃないかな…(白目)

笑顔を忘れず、そして決してめげずに通い続けてくれる
スタッフのみんなには頭が下がります。
何よりもこの冬の寒さと雪の中、温泉の癒しを目指して
泊りに来て下さるお客様には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
どうか幸せな笑顔が西屋に灯り続けますように。



さて、今日のいい所紹介は「カクリキみそ醸造元」さんです!




実店舗は市内中心部にほど近い大町にあります。
建物の雰囲気がとてもすてき。
カクリキみそ(花角味噌醸造)さんは1857年創業の老舗味噌醸造元。
市内始め近郊のスーパーには必ずと言っていいほどカクリキ味噌が置かれています。
米沢市民にとってなくてはならない故郷の味というわけです。
かくいう当館も朝食のお味噌汁に花角さんの味噌を採用させて頂いております。
もう長い長いお付き合いです。



今回初めてお店の中にお邪魔しました。



店内はとてもこぎれいに飾られていて、お花もいっぱい。
老舗醸造元という何となく敷居の高いイメージは全くありません。




店内は直営店ならではの多種多様な味噌が並べられています。
HPでオンライン販売もされていますが、こうして実際に手にとって
商品を見比べるのもまた楽しいものです。

この「カクリキ」というユニークな屋号。
その昔花角さんのご先祖様が力自慢大会で重い俵を見事に持ち上げ、
上杉藩の御殿様から「(□で囲んだ)力」の称号を与えられたことから
ついた名前だそうです。本名は花角さんですが、地元の人は「カクリキ」という
愛称で親しんでいるわけです。

さてその気になる商品。味噌だけでなくユニークなものもあるんです。



そのひとつがこちら。フリーズドライのインスタントみそ汁&ぞうすい。
にら玉のぞうすいやなめこのみそ汁、他にも「米沢牛入り牛肉みそ汁」も!!
私も全種試しましたが、どれも味噌のこく味が効いて本当に美味しいですよー。
ぞうすいシリーズは一人暮らしで万が一風邪を引いてしまった時にも重宝するはずです。
なにしろつや姫入りです。卵を落とせばなお美味。





そしてこちら。地元米沢市民でなければ恐らく知らないであろう菊みそ
置賜地方で採れる「香紫露(かしゅろ)菊」という、薄紫色でストロー型の
菊の花びらを米澤味噌に混ぜ込んだものです。
適量を熱湯に注ぐだけで、高貴な菊の花の香りを楽しめるみそ汁が出来上がります。




名前のモダンさから最近開発された商品と誤解されがちですが、
実は菊みそは古くから米沢で食べられている伝統食なんだそうです!
(私も今回の取材で初めて知りました。勉強不足です…(苦笑))
寒い冬、炊事場に長時間立って食事を作る手間がかからないよう、
秋のうちに摘んだ菊を味噌と共に壺に入れておき、すぐに食べられるようにと
工夫されて誕生したものです。言ってみれば古のインスタント食です。

米沢のお土産に最適!!ただし季節限定品なので、ほしい方ご注文はお早めに…!
仕込んだばかりの秋口であれば、うっすら紫色の花が浮かんで本当に綺麗ですよ。
(今ならお店とネット両方で購入可能です。)





さらにこちら。私の超イチオシ。
つや姫100%使用、
生の「甘酒」!!

可愛いパッケージにころんとした小瓶入りで、ちょうどいい大きさです。



実はこちらのお店、店内に小さな甘酒処があり↑
注文した甘酒をその場で楽しむことができるんです。
スペースは大きくありませんが、旅行中のひと休憩にぜひ。

私もこの日、いろんな甘酒を頂きましたよ。



まずはこちら。甘酒ハーフ。
瓶入り甘酒の半分量をぐい呑に差し、紅茶のミルクのように豆乳を注いで
いただくスタイルです。甘酒に豆乳というちょっと新鮮な組み合わせはもちろん、
器や出し方(あたたかいジャスミンティー付き)がとても女性的で可愛らしいです。

甘酒単体でも十分風味豊かですが、
豆乳が加わることで麹の香りがよりまろやかになります。
自分で作るほど甘酒好きな私はあっという間に頂いてしまいました(笑)




次はフローズン甘酒。
瓶入り甘酒(半分量)を冷凍させ、そこに新鮮な牛乳を注いだもの。
スプーンでざくざく崩してシャーベット状にして頂きます。

これが!
これが!!
もう見事なフローズンスイーツ!!!




凍った甘酒にプラスミルクしただけだというのに、
高級バニラアイスに勝るとも劣らないこく味と甘さの絶妙なバランス。
カロリーの低さをポイントにすれば間違いなくこの甘酒に軍配が上がるであろう!




とにかく“異次元の美味しさ”です。お店で一番人気なのもうなずけます。
麹タイプの甘酒が苦手な人にこそぜひ試して頂きたい、ステキな逸品です!

まだまだ続きますぞ。




お次はこちら。テイクアウトにちょうどいい甘酒みるく&甘酒抹茶みるく。
どちらもホットかアイスか選べます。
こちらはあっさりごくごくいける栄養ドリンクタイプです。
中身的にもまさに栄養満点。
麹やつや姫のつぶつぶがまるでタピオカのような食感で嬉しい!
そしてとても飲みやすいー。
店頭で購入して、そのまま街歩きやドライブにも行けます。
夏になったら絶対買いに行こう!!




というわけでカクリキみそさん一押しの甘酒。ぜひお土産にいかがでしょう。
何しろ添加物一切なしの生ものなので、あらかじめ購入する場合は
クーラーボックス&保冷材必須です。
でも万が一忘れてもご安心を。
ちゃんとお店には発泡スチロール箱(500円)と保冷パック(50円)があります。

熱を出して食欲が低下した小さいお子さんにもオススメです。
ぜひご家庭でフローズン甘酒を食べさせてあげて下さいね。
ちなみに甘酒もネットで購入できますが、
賞味期限がとても短いのでお早めにお召し上がりを。

他にも花角味噌さんでは自家製みその仕込みに使える生麹や
昔ながらのパンチの利いた味噌漬、醤油やめんつゆなども販売されています。
日本人の食生活になじみの深い発酵食品の良さを、ぜひ再発見してみて下さい。



最後になりますが、ゆくゆく花角味噌さんの7代目となる花角綾美さんが
「NHKきょうの料理ビギナーズ」12月号みそ育新聞No.4に載っています。
みそへの熱い思いや郷土愛が伝わってくる素晴らしい記事ですよ。
西屋もご厚意で一部本誌を頂きました。
ロビーに置いてありますので、ご自由にお手に取って下さい(持ち帰りはダメよ!)。


いかがでしたか?お店の方もとても親切で気さくな方ですので、
米沢にお出かけの際はぜひお立ち寄りになってみて下さい。
駐車場は道路を挟んで向かいにあります。

花角味噌さん、どうもありがとうございました!!


【お店の場所】
カクリキみそ醸造元(株式会社花角味噌醸造)
〒992-0031山形県米沢市大町1丁目2-23
TEL:0238-23-0641 FAX:0238-23-0683
営業時間 9:00~17:30(定休日:日曜日、祝祭日)
※甘酒処は10:00~16:00

2018.01.06

今年も湯守頑張ります。

 
皆様、新年いかがお過ごしですか。
3が日を過ぎて仕事始めを経た方も多いことでしょう。
私達旅館業にとっても、年末年始は本当にあっという間に過ぎてしまいます。
今週末の連休が過ぎたらスタッフたちと共に3日間(9日~11日)お正月休みを頂きますので、
ご了承くださいませ。
(休館日明けは雪下ろしボンバー!!)



さて、大晦日のTwitterでも呟きましたが、
2018年も、女将業傍らほぼ無休で湯守に勤しんでまいる所存です。
湯守の方が休みがないかもしれません。

なぜなら…

冬季は休館日がコンスタントに入る代わり、雪との終わりなき熱い戦いが
勃発するからです。





↑これらは、ここ最近私が三十三観音や湯滝の裏山によく携帯していく武器です。
ザ・物騒(笑)
一体何をしに行くんだ?!と、自分でも笑ってしまいます(笑)

というのも、



↑沢水そのものはもちろん、大切な取水口も容赦なく降る雪と低温のために
全体が凍ってしまい、さらにそこに雪が積もり、水しぶきで凍って、再び雪(以下略)

山に入るたびに氷を割り雪の中から入口の網を取りだし、引っかかった落ち葉などを
除去しなければならないからです。



↑湯滝風呂の裏の枡に行くには、途中までお薬師様の参道だった階段を
登って行くのですが、ここも凍るわ雪が積もるわで、上り下りは細心の注意が必要です。
2年前に私も足を挫いてギブスを履く羽目になったトラウマの場所です(苦笑)

↓当時の写真(笑)


また、足元だけでなく森の中は風が吹けば梢から固い雪が落ちてくることもありますので、
場合によってはヘルメットも必要です。
雪が深く積もれば積もるほど、沢にたどりつくまでにかかる時間も多くなってきます。

それはもう防寒対策と同じくらい戦闘仕様の装備が必要になるというもの。
例え近所だろうと真冬の雪山は侮れません。




それでも、私は山が好きです。
斧をかついででも、丑の〇参りさながらの道具を背負ってでも、



誰よりも一番に、人が滅多に立ち入らないこんなきれいな景色を拝みたいと思って、
自然に心が山を目指していきます。
お客様に「気持ちいい!」と笑顔で寛いで頂ける最高の温度管理をするという
使命感と同じくらい強い思いが、冬の寒さを跳ね飛ばす勢いで胸の内に燃え続けています。

よく考えたら、去年の湯守シリーズでも殆ど同じことを書いていましたね^^;
でも、湯守である限りこの気持ちは不変です。
願うことはただ一つです。
「お客様に気持ち良く温泉につかって頂きたい!」のです。




↑温度計を突っ込んだ湯枡の奥の湯筒の向こうに湯滝風呂があります。
お風呂から聞こえてくる「うわ~、気持ちいい~」
の声を聞けるだけで、私はどんなに幸せで、疲れも寒さも吹き飛ぶことか。



雪が多く気温も低い冬のさなかであるにもかかわらず、遠方から西屋にお越しいただき
本当にありがとうございます。
今年も四季折々の気候に耳を傾け、森や水と語り合いながら湯守の勤めを頑張ってまいります。
どうかよろしくお願いします。