若女将コラム

米沢弁若葉マークの若女将が綴る米沢の魅力や日々の西吾妻模様。

【湯守シリーズ】2

早くも3月半ばとなりました。冷たく霞む早春の空気を和らげるように、
少しずつ森の木々が芽をふくらませています。山間(それも東西に深い地形)で
日照時間がとても短く、プランターを育てるのは困難な白布。
私にとっては、西屋の周辺に自生するフキノトウやシダ、山や森で出会う
菊咲一華(5月~)たちを愛でるのがひそかな楽しみです。
彼らの凛とした姿に、生きている喜びをいつも分けてもらっている。
そんな気がします。

本日は“湯守”シリーズ2回目。今日は「湯守の仕事」についてお話します。
えらくながいので【前篇】から。
2湯守の仕事【前篇】
2-1白布温泉について詳しく
まずは、湯守として日々向き合っている我らが元気の源:白布温泉について解説をいたします。



全国津々浦々さまざまな泉質の温泉が湧く、湯煙の幸わう国:日本。
そのひとつである白布温泉は、自然湧出する源泉を3か所に持つ
カルシウム‐硫酸塩温泉です。
その総量は毎分約1500ℓ。これは群馬県の伊香保温泉に匹敵する量で、
山形県内では蔵王・肘折に次いで3番目に多いそうです。
地味にすごいんです。
それだけの湯量をたった3軒(+1軒)で分けているわけです。
白布は屈指の湯量を誇る」と言われる所以です。一切人の手を経ずに
これだけの量が700年以上も変わらず湧いてくるのは奇跡としかいいようがry
(さらに続けると脱線したまま止まらなくなりそうなので中略!)

温泉のpHは7.3、ほぼ中性。ヒトの血液とほぼ同じです。
適応症は主に筋肉痛や神経痛、打ち身など。
接骨院にお世話になりやすい方に向いている温泉といえます。
前回そのわけをお話ししました通り、現在はほぼ無色透明です。
基本的に入る人の体質を選ばず、適温であれば湯あたりすることもなく、
豊富な温泉を心行くまで堪能できます。
人と大地にやさしい温泉。いつも感謝して使わせていただいています。


(天元台付近の山奥にある源泉の一つ(小屋)。サバイバルしないと行けない場所。)


(年に一度源泉祭の時だけ開帳される源泉のもう一つ。温泉が滾々と湧いている。)


(前回白黒写真で紹介した地下パイプの集合場所。60年経った今も現役。)


2-2湯守の出番
さて気になる白布の源泉温度ですが、若干の季節変動はあるものの
約57~59度ほどあります。温泉卵を作るには少し惜しい、
しかしそのままでは当然熱くて湯船に流せない温度です。
この温度を現在の諸条件下でいかにして適温に下げ、湯滝風呂に流してゆくか!?
これが私の湯守としての最大にして毎日必修のミッションです。
2-3共に山に生まれ、違う道をたどってきた源泉と山水を引き合わせる


(温泉街と源泉と水路(沢)の位置関係。)

温泉と、温度調整のために使わせてもらっている山の水の道はマップの通りです。

①温泉の道(マップの黄色)

湧出地から山中にある貯湯タンク(全白布分)を経て分岐してくる西屋分の源泉は、
いったん宴会場の床暖房用の専用貯湯槽を経由してこの枡に注ぎこまれています。
その間地上に出ることはほぼなく、温度も下がることがなく、本当に「生」状態です。

②山水(マップの水色と青色)


山水は、西屋から200mほど裏手の森を登った三十三観音から、
沢と貯水槽経由パイプの二通りに分けて湯枡のすぐそばまで引いています。
この沢水は、元々はるか吾妻山の奥深くで地上に湧いてきたもの。
最終的には大樽川に合流するれっきとした最上川源流の一つで、
100%天然の山水です。
サワガニや岩魚が普通に生息しています(稀に水路にやってくる)。
この二つの水路を温泉の温度調整のために利用しています。



(西屋の裏手。左側に湯滝風呂があります)

西屋の湯滝風呂の裏まで下りてきました。ここには
温度調整用の枡と湯滝に小分けにする用の枡、
二つの湯枡があります↑(本館の2階から見ることができます)。


(山側の湯枡のすぐ脇にある山水の受け入れ口。これは去年の夏に撮影したもの、
極端な水不足の年で、温度を適温にするため何本もホースを渡しまくっていた。
のように源泉の量を微調整することもある。)

ここが、源泉と山水の出会いの場です。キューピットは私(笑)

主に使っているのはパイプの方です。
予め消火用貯水槽に貯めて葉などを沈めてから上澄みを引いてくるので、
年間を通して水量が「わりと」安定しています
(もちろん凍結や落ち葉などで水が止まることもあります)。
一方の沢は完全に地上を駆けてくるので、水量は変化が激しく
葉や土砂も容赦なく運んできます。大雨が降ると水の色も濁るので
まめにホースをきれいにしておかなければいけません(あっという間に葉が詰まる)。
いずれにせよ、落ち葉や雪のない季節でもできれば
1日1回は見回らなければいけない大事な場所なのです。



(三十三観音脇の沢。うち右側を流れる方が西屋裏へ流れてくる。)


(冬になるとこの通り、雪に埋もれて沢は見えなくなる。)


次回は、実際の温度調節風景をお伝えいたします!